やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版) 作:ステルス兄貴
サバンナのど真ん中にある工場から、地下水道へと降りて、歩いていくとそこにはナメクジの様なデジモン、ヌメモンが沢山生息していた。
ヌメモンはデジモンの中でも最弱のデジモンで、成熟期デジモンながら、成長期はもとより、幼年期ⅱレベルのデジモンと同レベルの強さしか持ち合わせていないかもしれない。
しかし、そんな最弱デジモンながら、多数で迫られると厄介なデジモンでもある。
なにせ、ヌメモンの攻撃手段が自らの排せつ物を投げつけてくると言う技なのだ。
汚物系デジモンであるならば、こうしたヌメモンの攻撃に対してもなんら影響はないが、通常のデジモンならば、汚物まみれにはなりたくないので、多数のヌメモンの前では、逃げるしかなかった。
ましてや、人間ならば当然の反応であり、八幡たちも逃げた。
地下水道から逃げると今度は大きなクマのぬいぐるみの様なデジモン、もんざえモンが襲い掛かってきた。
パルモン曰く、もんざえモンはおもちゃの町の町長で、良いデジモンのはずだった。
それが、一体何があったのかは不明だが、八幡たちに襲い掛かってきた。
カマクラはもんざえモンと戦うが、完全体のデジモンであるため、レベルの差があり、あえなく敗北した。
八幡自身は何とか、逃げたが、カマクラはもんざえモンに捕まっておもちゃの町に連れていかれた。
もんざえモンを追いかけておもちゃの町にやってきた八幡は、そこでミミとパルモンと再会することが出来た。
しかし、おもちゃの町には人間はおろかデジモンも見当たらない。
そこで、八幡、ミミ、パルモンはおもちゃの町を探索していると、おもちゃに追いかけられている太一たちを見つけた。
彼らは口では「楽しい~!!」と言っているが、表情と言動が矛盾していた。
おそらくもんざえモンの仕業であることは容易に想像がついた。
しかし、太一たちのパートナーデジモンの姿は見当たらない。
どこにいるのだろうか?
そんな中、ある家の中にある宝箱から物音が聞こえてきた。
八幡たちがその家に入ると、宝箱の中から、アグモンたちの声が聞こえてきた。
「その声は!?もしかして、アグモンか!?」
八幡が宝箱に声をかけると、
「その声は八幡か!?」
「ああ、そうだ」
「なぁ、アグモン。カマクラを知らないか?」
「それにガブモン、テントモン、ピヨモン、パタモン、ゴマモンは?」
八幡とパルモンはパートナーデジモンの行方を訊ねる。
「みんな、この中に居る」
どうやら、この宝箱の中にパルモン以外のパートナーデジモンが監禁されているみたいだ。
「どうして箱に閉じ込められているの?」
「もんざえモンにやられたんだ。それで、気が付いたら‥‥」
「ここに‥‥」
「この箱を壊すことが出来ないのか?」
「何をやってもダメだ!!」
「カマクラのパンチでもか?」
「残念ながら‥‥」
成熟期デジモンのカマクラのネコパンチでもこの宝箱を破壊するのは不可能だと言う。
「ど、どうしよう‥‥」
「もんざえモンを倒すしかないわ」
「えええーっ」
「む、無理よ」
この宝箱を開けるにはもんざえモンを倒して、カギを手に入れるしかない。
しかし、パルモンはまだ成熟期に進化することが出来ない。
成長期のデジモンである自分が完全体デジモンであるもんざえモンに勝てる筈がないと言う。
だが、現状で太一たちやカマクラたちを救う手はアグモンの言う通り、もんざえモンを倒すしかない。
「パルモン、もんざえモンは確か良いデジモンなんだよな?」
「そうよ、おもちゃを愛し、おもちゃから愛される良いデジモンの筈よ」
「良いデジモンの筈が突然、180度異なる行動をする‥‥それって、メラモンやアンドロモンの時と同じじゃないか?」
「そういえばそうね‥‥」
「って、ことは、もんざえモンの体の中にも例の黒い歯車が入り込んでいる可能性がある。だからある程度のダメージを与えるだけで何とかなるはずだ」
八幡はもんざえモンの異変に例の黒い歯車が関係している可能性を示唆するが、
「でも、もし、黒い歯車のせいじゃなかったら?」
「‥‥」
ミミは万が一、黒い歯車の影響でなかった場合を訊ねる。
「でも、このままじゃあ、太一たちは おもちゃのおもちゃにされたままなんだ」
「ヤマトを助けてくれ!!」
「今、頼りにあるのはミミとパルモンだけなんだ」
アグモンに頼られ、ミミとパルモンはイヤイヤながらも、もんざえモンと戦うことになった。
八幡はパートナーデジモンが捕まっているので、足手まといになってしまう。
その為、なんとかこの宝箱を開けられないかと、落ちていたピンでピッキングに挑戦した。
八幡が宝箱のピッキングをしている時、ミミとパルモンはおもちゃの町を歩いていた。
すると、
「バンザイー!!バンザイー!!」
ヘリコプターのラジコンに追いかけられているタケルとすれ違う。
顔は引き攣っており、無理に笑みを浮かべている。
アグモンが言うには、太一たちはもんざえモンに感情を取られておもちゃのおもちゃにされているのだと言う。
だから、おもちゃに追いかけられているのに、表情と矛盾している言葉を発していたのだろう。
それからすぐにミミとパルモンはもんざえモンに見つかった。
もんざえモンは目から赤いレーザーを撃ちながら襲い掛かってきた。
ピンチな中、ミミとパルモンの窮地を救ったのは、なんとヌメモンたちだった。
どうやら、ヌメモンたちはミミに惚れたみたいだった。
力もなく、排泄物を投げるしかないヌメモンたちが、ミミを助けるために完全体のもんざえモンに立ち向かう姿を見て、パルモンの中の何かが弾けた。
すると、ミミのデジヴァイスが光ると、
パルモン進化―――――トゲモン
大きなサボテンの姿をしたデジモンに進化した。
トゲモン
レベル:成熟期 タイプ:植物型デジモン 属性:データ
巨大なサボテンの姿をした植物型デジモン。
体内に栄養素データを保存することができ、何も無い砂漠地帯でもしばらくは生きていくことができる。
その表情からも見てとれるように、普段は何を考えているか全く分からず、1日中ボーッとしていることがほとんど‥‥しかし、ひとたびトゲモンを怒らせるとその形相が一変し、暴れ出して手が着けられなくなる。
必殺技は腕先のトゲを更に硬質化させてバンバン殴る『チクチクバンバン』。
成熟期に進化したばかりのトゲモンであるが、完全体のもんざえモン相手にボクシングの様に殴り合い、必殺技のチクチクバンバンでもんざえモンの身体をトゲまみれにすると、もんざえモンの背中のチャックが開き、そこから黒い歯車が飛び出すと、消えた。
トゲモンともんざえモンの戦いが終わった時と同時に、八幡はパートナーデジモンたちが閉じ込められている宝箱の鍵のピッキングに成功した。
「よし、開いた!!」
鍵を外して、宝箱の蓋を開けると、
「ふんっ!!」
「へぶっ!!」
いきなり、カマクラからアッパーをくらった。
「いってぇなぁ!!いきなり何しやがる!!」
顎を手でさすりながら、カマクラに怒鳴る。
「遅い!!」
カマクラは八幡が助けに来るのが遅いと言うが、実際はそれだけでなく、連続して完全体に敗北したことがイライラを募らせたようだ。
もんざえモンを正気に戻したことで、もんざえモンになぜ、こんな事をしたのかを訊ねると、彼は不遇な目に遭っているおもちゃの為に歪んだ思想を持ったのだと言う。
そうした歪んだ思想が黒い歯車の影響で増大されて、凶暴化したらしい。
お詫びとして、もんざえモンからは気分を幸せにする本物のラブリーアタックをしてもらった。
このラブリーアタックで、カマクラのイライラが少しでも緩和できればと思う八幡だった。
おもちゃの町を出て、なんかだんだんと山間部みたいな場所へと入ってくると、寒気が押し寄せてきた。
「寒いよ‥‥」
「萎れそう‥‥」
タケルとパルモンは寒そうに体をさすっている。
「約二匹やけに元気だよな」
丈はゴマモンとガブモンをちらりと見た。
「なるほど、ガブモンは毛皮を着ていて、ゴマモンはアザラシだから寒いところが得意なのか」
八幡はパルモンとは打って変わって、元気そうな二体のデジモンを見ながら呟く。
「カマクラは大丈夫か?」
進化前のカマクラならば、黒ガブモンなので、きっとヤマトのガブモンみたいに元気だろう。
しかし、今は進化した状態なので、もしかしたら、感じ方が異なるかもしれない。
「暑いよりはマシだ」
確かにサバンナ気候の場所ではカマクラの毛皮は熱を吸収しやすい色をして、結構バテぎみだった。
それならば、暑いよりは寒い方がマシなのだろう。
「まっ、でも寒いのもわるかないよな」
「えー!?」
「そんな、勘弁してください!」
太一の発言にタケルとミミが驚く。
そして光子郎も文句を言っていた。
「だーって雪が降れば雪合戦出来るぜ?」
「雪合戦!!」
タケルとミミは雪合戦と聞いて、はうって変わって喜んだ。
「雪合戦か‥‥」
「なんやそれ、食べもんかいな?」
「違いますよ。雪合戦というのは雪玉をぶつけ合う遊びの一種ですよ」
「なんや」
食べものじゃなかったらすぐ興味を失ったテントモン。
「久しぶりに勝負できるな!」
「負けないぜ!」
「楽しみだねー!」
「僕、かまくら作りたい!」
太一とヤマトに続いて、空とタケルもはしゃいでいる。
「かまくらって作るの?」
パルモンは『かまくら』と聞いて、カマクラを見る。
「なんや?ブラックテイルモンを増やすんでっか?」
「違うよ」
「そなら、食べ物に違いあらへん!」
「それも違う」
パルモンとテントモンの会話に八幡と光子郎が突っ込んだ。
「気楽なんだから。雪なんて降られたらたまらないよ」
雪に対してはしゃいでいる太一たちとは異なり、丈はみんなと離れた場所で嘆いていた。
「まぁ、確かにな‥‥」
丈の愚痴を聞いた八幡はそれに同意した。
「というか、八神たち、あの格好で寒くないのか?」
太一たちは夏休みのサマーキャンプに来ていた。
夏休みなので、当然身に纏っている服は薄手の服だ。
しかし、ここは今にも雪が降りそうな気温な場所。
もし、吹雪にでもなったら、凍死しないだろうか?
「丈先輩、比企谷君も何で深刻な顔しているの?」
空が丈と八幡に声をかけてきた。
「はあ、深刻にもなるさ。考えてもみろよ、これ以上気温が下がれば野宿だって難しくなる。寒冷地では、食料の調達だって大変になるだろうし……頭が痛いよ。僕はみんなを守らなくちゃいけないからね」
他の子がはしゃいでいるのを見ながら、丈は真面目にこれからのことを考えていた。
「僕は、一番年上なんだから……」
彼はまるで自分に聞かせるかの様に呟いた。
そして、彼の予感は不幸にも的中した。
森を抜けた先は一面の銀世界だった。
「ほら見ろ、僕の心配した通りだ」
丈が不機嫌そうに呟いた。
「これからどうするの?」
「とりあえず、先へ進む。ここでボケっとしていてもしょうがないだろう」
「ええっ!?この雪原をか!?」
「そうだよ、これ以上は無理だよ!」
太一の意見に、ヤマトと丈が反論する。
「じゃあどうするんだよ? 前は雪原、後ろはあの山、どっちにしろ、どっちかに進むしかないだろう?」
背後にある山を指しながら、太一は言った。
一方、三人が険悪なムードとなっている中、ミミとタケルは無邪気に雪原を駆け回っていた。
「ん?なんか変な臭いがしないか?」
カマクラが鼻をヒクヒクさせて、変な臭いがすると言う。
「えっ?ん~‥‥ホントだ、変な臭いがする」
アグモンも鼻をヒクつかせて辺りのにおいを嗅ぐと、確かに変な臭いがした。
「これってもしかして‥‥」
「あっ、あれだ!」
辺りを見回していた光子郎が灰色の煙を指差した。
「煙が出ている!」
「そうか、この臭いは‥‥」
「温泉だ!!」
「温泉!?」
雪原を駆け回っていたミミとタケルが同時に嬉しそうに叫んだ。
変な臭いは温泉が放つにおいだった。
温泉に入れるかもしれないと言うことで、煙が立っている場所へと行くと、そこは‥‥
「‥‥って、これ沸騰しているぜ!」
太一が思わず嘆く。
そう、確かに温泉はあったのだが、そこはボコボコと言う音を立てて煮えたぎっている源泉だった。
「地獄にありそうな感じのシロモノですね」
「これに浸かるんかいな‥‥」
「まさか」
光子郎はテントモンの問いに即答していた。
こんな沸騰している温泉に入ったら、それこそ本物の極楽に召されてしまう。
「うわーん、これじゃあお風呂に入れない!」
「でも、あったかいわ」
「とりあえず、寒さはしのげるな」
パルモンとヤマトは湯気に当たって暖を取っている。
「呑気な事言っている場合か!? 食料はどうするんだよ? ここには食料なんて‥‥」
「あるよ!」
丈の台詞を、タケルが遮った。
「何言っているんだよ、こんな岩だらけのゴツゴツしているところに」
「ほら」
その指差す方向をみてみると、そこにはなんと、この場にはあまりにもそぐわない家電‥‥冷蔵庫があった。