やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版)   作:ステルス兄貴

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19話

 

 

ムゲンマウンテンからこのファイル島は絶海の孤島であることを知ったテイマーたち。

降りる途中で、ワクチン種で正義のデジモンとして名高いレオモンとそのレオモンの宿敵とされるオーガモンが何故かタッグを組んで八幡たちに襲い掛かってきた。

運良く?起きた崖崩れにより、レオモンもオーガモンも崖の下に落ちていき、ピンチを凌いだ。

ムゲンマウンテンを降りると、謎の洋館があった。

デジモンたちもムゲンマウンテンでの戦いで疲労し、日も暮れてきた。

このまま野宿するわけにもいかないが、ムゲンマウンテンに居た時、こんな洋館あったっけ?という思いがあった。

こんなに大きな洋館ならば、ムゲンマウンテンに居た時、見つけていた筈‥‥

そんな疑問を抱きつつも、やはり疲労には勝てず、今夜はこの洋館に泊まることになった。

洋館に入った八幡たちは玄関ロビーの辺りをうろうろしていた。

 

「ここでこうしていてもしょうがないわよね……」

 

空が困ったように呟いた。

 

「もっと奥を探してみようか。いくぞ、アグモン」

 

「ああ……これは!」

 

突然ガブモンが声をあげた。

 

「どうした、ガブモン?」

 

「食べ物の匂いだ!」

 

「ええっ!?」

 

「それもごちそうだ!」

 

「ええーっ!?」

 

「こっちだよ!」

 

そう言って駆け出したガブモン。

太一たちはガブモンの後を追って行くが、八幡とカマクラはまだ玄関ロビーに残っていた。

八幡はやはり、この洋館の存在がきになっていた。

そして、カマクラは睨むように辺りを見回している。

 

「カマクラ‥‥何かを感じるか?」

 

「ああ‥‥陰湿でどす黒い気を感じるぜ‥‥」

 

「じゃあ、ここにも敵が‥‥?」

 

「ああ‥今もどこかでほくそ笑んでいるだろうな‥‥」

 

「‥‥そうすると、やはりこの洋館で一晩過ごすのは危険じゃないか?」

 

「だろうな‥‥でも、それを言ったところで、アイツらが信用するか?」

 

「‥‥難しいだろうな。パートナーデジモンたちも疲労しているし‥‥敵が仕掛けてくるとしたら、いつだと思う?」

 

「深夜‥‥寝静まった時だろうな‥‥」

 

「反対にそれまでは、敵が仕掛けてくる可能性は少ないってことか‥‥」

 

「ああ‥‥それまで何とか、体力を回復しないとな‥‥」

 

八幡とカマクラはそんな会話をした後、太一たちが向かった食堂へと行った。

 

八幡とカマクラより、先に食堂へと入った太一たちは‥‥

 

「……食いもん、だよな……」

 

「そう見えますが……」

 

食堂のテーブルの上には、様々なごちそうが並べられていた。

 

「なんてラッキーなんだ!」

 

丈は感極まったように叫ぶ。

しかし、ヤマトに空といった頼れる上級生組は怪訝そうな目でそれを見つめた。

 

「こんな馬鹿な話があってたまるか!」

 

「いくら何でも話がうますぎるわ」

 

「何か毒でも盛られているんじゃあ……」

 

「うーん、本当に美味いわ!」

 

太一たちが言ったにもかかわらず、目を離した隙にデジモンたちは料理を食べ始めていた。

 

「なんともないのか、アグモン?」

 

慌てて太一がアグモンに駆け寄る。

 

「うん、美味しいよ!」

 

「こんな美味いもん食わんだって、バチが当たるで」

 

デジモンたちは美味しそうにガツガツとごちそうを平らげていく。

潜伏性の毒もあり得そうだが、小学生の太一たちにはそこまで頭が回らなかった。

 

「ぼ、僕は食べるぞ! 少しくらい、ラッキーな事があってもいいじゃないか! いっただっきまーす!」

 

丈は立ち尽くすみんなを放置し、料理を食べ始めた。

 

「お、おい」

 

もちろん、空腹なみんながそれを見て我慢出来るはずもなく――。

 

「俺もー!」

 

「あたしも!」

 

「僕も!」

 

「僕も食べる!」

 

太一やミミ、光子郎にタケルも食べ始める。

 

「お、おい、タケル!」

 

ぐぅぅぅ~‥‥

 

タケルを止めようとするヤマトのお腹の音が盛大に鳴った。

 

「……俺も食ってやる!」

 

「背に腹は代えられないわね」

 

パートナーデジモンたちもテーブルの上の料理を食べても体調に異変をきたしている様子はない。

そのことから料理に毒が盛られている様子はないので、自分たちも空腹状態‥‥

ついにはヤマトと空まで空腹に耐えきれずにテーブルの上のごちそうを食べ始めた。

 

八幡とカマクラが食堂に来た時、それに気づいた太一が声をかけた。

 

「八幡、早く食べないとなくなっちまうぞ! ほら食え!」

 

「‥‥」

 

この時、カマクラには食堂の光景が異常に見えた。

太一たちは空の皿にまるで料理が盛られているかのようにパントマイムをしていたのだ。

 

「八幡」

 

「なんだ?」

 

「ここには何もない‥‥あいつら、空の皿を前にパントマイムをしている」

 

「えっ?」

 

カマクラは空の皿と言うが、八幡の目には皿の上には美味しそうな料理が盛られているように見えた。

 

(どういうことだ?カマクラは皿の上に料理はないと言うが、皿の上にはちゃんと料理が盛られているし、八神たちもパートナーデジモンたちも食っている‥‥)

 

八幡は戸惑いつつも、夜には敵が動くことを考え、

 

「お、俺は食事は良い‥‥なんか疲れたからもう寝るわ‥‥」

 

「そうか?」

 

「ああ‥‥それじゃあ、おやすみ」

 

カマクラと八幡は夜の事を考え、先に寝ることにした。

 

食事を終えた太一たちは風呂へと向かった。

風呂は銭湯の様に男湯と女湯に分かれていた。

 

「やめてー!!」

 

男風呂の方から丈さんの悲鳴が聞こえる。

その訳は丈が下半身にタオルを巻いて風呂に入ってきたのだが、それが太一とヤマトのいたずら心に触れ、二人は丈が巻いたタオルを無理矢理取ろうとしていたのだ。

 

「まーた馬鹿やってる」

 

空が呆れたように言った。

 

「どうせ太一さんが何かやったんでしょう」

 

「そうね、馬鹿だもの、太一は」

 

空は思わず笑い合った。

 

「あーいい気持ち」

 

ミミは気持ち良そうに浸かっている。

何しろ久しぶりのお風呂だからだ。

雪山では源泉はあったが、入れなかったので、女子にとってはこうして湯船に入るのはまさに命の洗濯なのだろう。

 

「あーごくらくごくらく」

 

そんな女子たちの目の前に、ゴマモンが浮いていた。

 

「ああ!」

 

「なんであんたがこっちにいるの!?」

 

「ゴマモンはあっち!」

 

パルモンが蔦でゴマモンを男風呂へ飛ばす。

向こうからいい衝突音が聞こえた。

丈の声が聞こえたのでおそらく放り込まれたゴマモンが丈に当たったのだろう。

 

お風呂から上がり寝室へ向かうと、そこには人数分のベッドが用意されており、その内の一つに八幡とカマクラが眠っていた。

 

「あはは、ふかふかだ!」

 

タケルが飛び込む。

 

「本物のベッドだ! ちゃんとシーツにノリも効いている!」

 

光子郎も嬉しそうにベッドを撫でた。

 

「なんだか林間学校みたいっ!」

 

「うん!」

 

「みたいじゃないよ……そもそも僕たちはサマーキャンプに来てたんだ。それがどういうわけかへぶっ」

 

「そうだよな、ただのキャンプに出かけるつもりでみんな家を出たんだよな」

 

「俺たちがこのファイル島に来てから今日で五日目。学校や町内会では、大騒ぎになっているだろうな‥‥」

 

太一とヤマトが考え込んで言った。

 

「………」

 

タケルの表情は見えないが、おそらく泣いているのだろう。

 

「パパ、ママ……」

 

だんだんと空気が重くなっていく‥‥

 

「……今日はもう寝ましょう。デジモンたちも疲れているし」

 

「そうだな」

 

空の意見に太一が頷く。

 

「おやすみ!」

 

次々と太一たちは横になった。

それから何時間経っただろうか?

皆が寝静まった頃、太一とアグモンがベッドから起きて、寝室を後にした。

多分トイレだろう‥‥

しかし、なかなか帰ってこない。

 

「いくらなんでもおかしい‥‥デッカイやつだとしても遅すぎる」

 

大きい方だとしてもいくらなんでも遅すぎる。

不審に思った八幡がベッドから起き上がると、いきなり天井や壁が無くなった。

 

「な、何だ!?」

 

「おいでなすったか‥‥おい、起きろ!!」

 

八幡とカマクラの予想通り、敵の襲撃だ。

カマクラが怒鳴ると、みんなはすぐに起きた。

ミミと空は、寝る前にきていたガウンは消滅してキャミソール姿になっていたから、悲鳴を上げる。

すると急にベッドが宙に浮かんで、勝手に動き始めた。

慌ててベッドの柵の部分に掴まる。

下を見下ろすと、禍々しいオーラを放つ、悪魔みたいなデジモンが、ニヤリと笑っていた。

 

「っ、あ、あいつは‥‥!?」

 

「デビモンだ!!クソ、最悪だな‥‥」

 

 

デビモン

 

レベル:成熟期 タイプ:堕天使型デジモン 属性:ウィルス

 

漆黒の衣に身を包んだ堕天使型デジモン。

元々は光り輝くエンジェモン系デジモンだったが、デジタルワールドの空間の歪に存在するダークエリアに堕ちたことにより堕天使となった。

その証である悪のマークが胸に大きく浮かんでいる。

狡猾で凶悪な性格だが、非常に優れた知性の持ち主でもある。深紅に輝く両眼に見つめられたものはマインドコントロールされ、デビモンに支配されてしまうと言われている。

必殺技の『デスクロウ』は伸縮自在の両腕を伸ばし、相手の体を貫き通す。

 

 

成熟期デジモンの中でも飼いならすことが困難なデジモンでもあるデビモン。

しかもこいつは野生のデビモンだ。

力も知能も高い。

 

すると、八幡とカマクラが乗ったベッドがガクンと急降下を始めた。

急にベッドが落ちたかと思えば、浮き上がる体。

気がつけば八幡は、デビモンの目の前にいた。

赤い瞳が怖くて固まっていると、首に強い衝撃。

そのままギリギリと絞められて、息が苦しくなる。

 

「がぁ‥‥」

 

「八幡!!」

 

首が絞まって遠くなる。

カマクラが自分を呼ぶ声を遠くで聞こえる様な気がした。

 

「お前は何者だ?選ばれし子供たちではないな‥‥だが、好都合だ‥‥私の力になれそうな奴がいたとはなぁ‥‥」

 

「おいてめぇ、八幡をすぐに離しな!!」

 

「なに、それは君次第だよ、ブラック・テイルモン。」

 

「何だと?」

 

「私と手を組まないか?」

 

「てめぇ、ふざけたことぬかしてんじゃねぇぞ」

 

「私は大いに真面目だ。私この黒い歯車で、この世界を覆いつくす。そして支配するのだ!!お前は魔獣型で、私は堕天使型。そういった点で違いはあるだろうが、同じウィルス種‥‥お前も魔の端くれなら、この世界を支配したいと思うだろう?お前の力を私に貸せば、支配した世界の一角を担わせてやる。絶大な力が手に入るのだぞ!?」

 

先程、食堂でカマクラには皿の上の食事が見えず、反対に八幡たちに見えたのはおそらくデビモンが幻影を見せて、料理があるように見せ、反対にカマクラに見えなかったのはデビモンと同じ、ウィルス種だったからだろう。

デビモンと同じ、ウィルス種だったからこそ、カマクラにはデビモンの幻影が効かなかったのだ。

 

「断ったら?」

 

「おまえのパートナーを殺す」

 

ぎちり、とまた首を絞める力が強くなった。

デビモンは本気で八幡を殺すつもりの様だ。

 

「‥‥る‥な‥‥よ‥‥」

 

「何だ?小僧?命乞いでもするか?」

 

「ふざ‥‥ける‥‥な‥‥」

 

「何?」

 

 

ガシッと八幡は自分の首を絞めているデビモン手を掴む。

それに驚いたのか、デビモンの力が少し緩んだ。

 

「テメェ‥‥と、カマクラを‥‥い、しょに…する、なよ‥‥」

 

八幡がキッと睨むと、持っていたあのデジヴァイスが光りだした。

しかしこれは、進化の光ではなかった。

 

「ぐぁぁぁぁー!!」

 

その光を浴びると、デビモンは苦しんで八幡を放した。

そして、某大佐の様に両手で目を抑えていた。

 

落とされた先には先程まで八幡たちの乗っていたベッドに落とされたから、痛い思いをしなくてすんだ。

急に肺に入ってきた空気に、げほげほと蒸せてしまう。

 

「八幡!!」

 

「ゲホ、ゲホ‥‥カマクラ‥‥」

 

「この馬鹿野郎が!!無茶しやがって‥‥」

 

文句を言いながらも、カマクラは八幡の背中をさする。

 

(同じウィルス種でも、テメェとカマクラじゃあ、天と地と差があるんだよ‥‥いずれカマクラはテメェなんかよりもずっと強くなる‥‥俺がカマクラをその高みに導く‥‥!!)

 

「おのれ、小僧‥‥小癪な真似を‥‥!!」

 

デビモンが怒ったような声を出し、手を翳すとまた宙に浮かび上がり動きまわるベッド。

空中から見たファイル島は、積み木かパズルのようにバラバラになっていた。

バラバラになった島のパーツにはあの黒い歯車が組み込まれており、本来の歯車として働いていた。

そして八幡たちも、バラバラになってしまった。

 

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