やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版)   作:ステルス兄貴

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お待たせして申し訳ございません。


20話

 

 

デビモンの罠にはまり、子供たちはバラバラにされてしまった。

ついでにファイル島も同じようにバラバラとなる。

 

「そう言えば、このベッドどうやって飛んでいるんだ?なんかこう、デビモンが手で操るような素振りをしていたが‥‥」

 

八幡は自分が乗っているベッドが空を浮いている原理についてカマクラに訊ねる。

 

「さあな」

 

しかし、カマクラも知らなかった。

 

「そうか。それならなら仕方ないな‥‥だが、このままじゃ島か海に墜落するんじゃあねぇ!?」

 

徐々にベッドの高度が下がってきている。

どう見ても段々と近づいてくる浮島にこのベッドの動力源もわからない以上、このままでは衝突するのを待つしかない。

 

「やべぇよ!!この状況!!どうあがいても絶望だぞ!!」

 

「んなこたあ、分かっているっつぅのっ!」

 

「分かってんなら、なんかいい案は!?救いはないのか!?アーマー進化できないのか!?」

 

八幡は空を飛べるネフェルティモンに進化できないのかとカマクラに聞くが、

 

「どうも、このデジメンタルの調子が悪いみたいだ‥‥」

 

カマクラは首から下げているデジメンタルに視線を向ける。

 

「肝心な時に使えねぇアイテムだな!!」

 

八幡とカマクラがぎゃあぎゃあと慌てたり、騒いでいるがその間もベッドはどんどん浮島は近づいている。

そして、空飛ぶベッドは浮島‥‥ファイル島だった島の一部に墜落する。

八幡たちが落ちた場所は運良く川だった。

 

バシャーン!!

 

と、盛大に水しぶきをたてて落ちるベッド。

川の水しぶきを見事に被り、八幡もカマクラも濡れ雑巾と化してしまう。

 

「ぶはあっ!やべぇ、水飲んじまった」

 

「ヘップシュ!!」

 

水を浴びてクシャミが出る八幡。

 

「おい大丈夫か?」

 

「どうだろう?でも、このままベッドで流されている訳にもいかんな‥‥」

 

「そうだな、下手すれば海まで流されて漂流するかもな」

 

「よし、降りてこの島を探してみよう!建物みたいなのも見えたからそれも気になるし」

 

「ああ、見えていたな。何か手掛かりがあるかもしれないし」

 

それから少し川下りをしていると、

 

「スパークリングサンダー!」

 

突然川下から大きな声と雷のようなバチバチという鋭い音が響いた。

声がした方を見ると、そこには赤い体に青い模様をした、ピンと立った耳と扇形の尻尾を持つデジモンが大網を引いている所だった。

そのデジモンは嬉しそうな声で陸に上がった沢山の魚を網に入れていく。

 

 

エレキモン

 

レベル:成長期 タイプ:哺乳類型 属性:データ

 

ツノモンの哺乳類的要素を残して進化した哺乳類型デジモン。

とても好奇心が旺盛でいたずら好きな性格はツノモンから引き継いでいる。

また、エレキモンは9本の尻尾を持っており、戦闘時には、孔雀の羽のように尻尾をひろげ敵を威嚇する。

必殺技は『スパークリングサンダー』。

 

 

「ちょろい、ちょろい!これだけありゃあ十分だ!待ってなよ、ベビーたち!もうすぐオレ様がたんまり餌持って帰っからなー!‥‥ん?」

 

上機嫌で次々に魚を収穫したエレキモンは、数秒後に何食わぬ顔で川の上流からスライド式に流れてきた八幡とカマクラに気付きぽかんとした顔をしている。

 

「「「‥‥」」」

 

「はーい」

 

「‥‥」

 

八幡とエレキモンの目と目が合う。

無視はいけないので、とりあえず無難に挨拶をしておく。

 

「お、おお!!でっけぇ獲物だぁ!!」

 

「ちょっと待てぇい!!」

 

エレキモンは八幡とカマクラを食料だと思い込むが、カマクラが思わずツッコミを入れる。

それからベッドは川岸へと漂着する。

デビモンはあの屋敷にあった風呂も食べ物もすべては幻想だと言っていたが、このベッドだけは本物だったみたいで、八幡は枕とシーツはこのまま頂くことにした。

 

「ちょっと、中二っぽいが、文句も言ってられん」

 

八幡はベッドのシーツをマントの様にして、手には枕を持つ。

川岸についた八幡とカマクラをジッとエレキモンが見ていたが、やがて口を開く。

 

「なんだ?お前ら、ここらじゃ見ねぇ顔だな」

 

「まぁ、ここに来たのは初めてだからな」

 

「へぇ~‥‥それで、何しに来たんだ?」

 

「デビモンの奴に飛ばされたんだよ」

 

「まぁ、それ以前にこの世界から出るために旅もどきみたいなことはしていたけどな」

 

「旅か、いいな……まぁ、オレは残念ながら、旅は出来ねぇんだがよぉ」

 

「ほぅ、なんで出来ないんだ?」

 

「オレはこの近くにある町でベビーたちの世話係をやってんだ。『はじまりの町』っていうところなんだが聞いたことあるか?そうそう、この魚もベビーたちのメシさ。毎日、ベビーたちの世話で大変なんだぜ」

 

((知らねぇ‥‥))

 

八幡もカマクラもエレキモンの言う『はじまりの町』は知らなかった。

 

「カマクラ」

 

「なんだ?」

 

「さっき見えた建物ってのはその『はじまりの町』だと思うが、お前はどう思う?」

 

「あたしも同感だ。もしかしたら、他の面子もそこにいるかもしれないぞ」

 

「ああ、そうだな」

 

「そうだ、お前ら自由気ままな旅なんだろう?行く当てが決まってねぇなら町に来ねぇか?お前らいいヤツそうだしな、ちょいとベビーたちの世話を手伝ってほしいんだ。というよりこれだな」

 

そういいながら、エレキモンが示したのは大量の魚が入った山のようになっている網。

確かにこの量の魚を成長期のデジモン一体で運ぶのには大分時間がかかりそうだ。

 

「手伝ってくれたら、この魚も分けてやるよ」

 

「ああ、分かった」

 

八幡はカマクラに枕を持ってもらい、自身はエレキモンが捕まえた魚を半分持って、エレキモンの案内の下、はじまりの町へと向かった。

 

「なぁ、カマクラ」

 

「なんだ?」

 

「こいつが言う、ベビーたちって‥‥」

 

「多分、幼年期デジモンたちだろうな」

 

エレキモンの言う『ベビーたち』に何となく想像がつく八幡とカマクラ。

 

「おっと、自己紹介がまだだったな。オレはエレキモンってんだ。よろしくな!」

 

エレキモンは思い出したかのように八幡とカマクラに自己紹介をする。

 

「俺は八幡。こっちは俺のパートナーのカマクラだ」

 

「かまくら?変わった名前のデジモンだな」

 

エレキモンはテイルモンもブラックテイルモンも知らない様子。

 

「カマクラってのは、ネーミングセンス0のコイツがつけたニックネームだ。あたしはブラックテイルモンだ」

 

ブラックテイルモンこと、カマクラはエレキモンにカマクラの由来を説明する。

その後、はじまりの町を目指して、大網いっぱいに入った魚を引きずりながらエレキモンが先頭を歩く。

人間一人がいるとはいえ、なかなかの重労働だ。

あとエレキモンは、平気らしいが八幡は魚臭さに精神も鍛えられそうだ。

 

「ふぅー!大漁はいいが、やっぱ、川から町まで運ぶのがしんどいぜ!」

 

「俺はこの魚の生臭さが一番しんどい」

 

「ははは、そんなモン慣れだ、慣れ!」

 

眩しい笑顔で汗を拭うエレキモンは完全に労働者の顔そのものである。

社畜にはなりたくねぇ~‥‥

 

「そら、そうこう言っているうちにはじまりの町もすぐそこだぜ‥‥ん?」

 

嬉しそうな顔で前方を示したエレキモン。

だが、そう言った瞬間急に険しい表情をして耳を立てた。

カマクラもピンっと耳を立てる。

 

「どうした?」

 

「ベビーたちが泣いている‥‥」

 

「あぁ、泣き声が聞こえる」

 

そう言う二匹を見て私も耳をすませると、微かに林の向こうからたくさんの泣き声のようなものが聞こえた。

言われなきゃ全く分からないほどのかすかな音量だった。

流石デジモン‥‥身体能力は遥かに人間よりも上だ。

 

「何かあったのか!?」

 

「お、おい!!」

 

網を置いて急に走りだしたエレキモン。

八幡は慌ててエレキモンが捨てた網を拾いエレキモンを追いかける。

カマクラも枕を持ったまま走る。

木立の向こうに段々姿を現したファンシーな可愛らしい街並み。

ここがどうやら、はじまりの町のようだ。

 

「あれは……」

 

「えっ?」

 

カラフルな町の真ん中の小高い丘に見覚えのある影が二つあることに気付き、カマクラが呟いた。

はじまりの町の入り口に差し掛かったエレキモンがその影を見て、戦闘態勢を構えた。

 

「あいつら何モンだ?いや、そんなことよりベビーたちが危ないッ!」

 

「お、おい、エレキモン!」

 

「ちょっと‥‥」

 

「てめぇらッ!」

 

八幡とカマクラが止めるのも聞かず、声を荒げて突進するエレキモンが向かう先にいるのはここ数日の旅で見慣れた小さな影、タケルとパタモンだった。

いまにもタケルとパタモンに襲い掛かる勢いのエレキモン。

 

「エレキモンちょっと待って!!」

 

「スパークリングサンダー!」

 

八幡が制止を叫んだが時すでに遅し、荒げた声と同時にエレキモンは電撃をタケルとパタモンへ放った。

瞬時にエレキモンの攻撃に気がついたパタモンが咄嗟にタケルの前へ飛び出す。

 

「危ない、タケル!」

 

「うわぁぁぁぁー!」

 

エレキモンの攻撃をパタモンはタケルを庇い転がりながら間一髪で避ける。

突然の襲来にタケルとパタモンは驚きながらもエレキモンを鋭く睨んだ。

 

「何するんだ!――ってアレ?八幡さんにカマクラ」

 

「あっホントだ!」

 

飛び出していったエレキモンを追ってようやく八幡とカマクラが辿り付くとエレキモンを挟んでお互いの姿を確認する。

八幡とカマクラの姿を見て、タケルとパタモンはホッとした表情になる。

 

「武石、パタモン、無事だったか‥‥他の皆は‥‥どうやら一緒じゃないみたいだな」

 

「うん、僕たちだけだよ」

 

「おい、なんだァ?テメーら知り合いなのか?オレを無視すんなよ!」

 

「何言っているのさ!?いきなり攻撃なんて!危ないじゃないかぁ!」

 

「そりゃあ危ないさ!狙ってやったんだからなっ!」

 

「どうしてそんなことするの!?」

 

エレキモンは当然のことだと踏ん反り返るのに対し、タケルもパタモンも怒ったままだ。

そりゃあ、いきなり訳も分からず攻撃をされたのだからタケルとパタモンが怒るのも無理はない。

一方、エレキモンにしてみれば、見慣れない生物(人間)とデジモンが、幼年期デジモンの近くに居て、その幼年期デジモンたちが泣いていたのだから、タケルとパタモンがベビーたちに害をなす輩に見えてもしかたがない。

 

「うちのベビーたちを、可愛がってくれたからさぁ!」

 

エレキモンはキリッとカッコつけて言ってみせるが、タケルとパタモンには意味が通じなかったらしく目をぱちくりさせた。

 

「可愛がったけど、それのどこが悪いの?」

 

「ねぇ?」

 

タケルとパタモンは互いに首を傾げている。

 

「チッチッチッ、これだから困る。可愛がるって言葉にはなぁ、普通の可愛がるっていう意味の他に虐めるっていう意味もあるんだよ!」

 

(日本語って難しいねぇ~‥‥)

 

エレキモンとタケル、パタモンのやり取りを見てそう思う八幡。

 

「全然反対の意味なのに?変なの‥‥」

 

「でも、僕たち虐めてなんかないよ?この子たちの世話をしていただけだよ!」

 

エレキモン、タケルとパタモンが言い合いを始める。

その間、八幡は近くにいた小さくて黒い赤ちゃんデジモン、ポタモンを触ってみる。

八幡が触っても赤ちゃんデジモンはぽけーっとしていて抵抗もしない。

ボタモンの手触りはポヨポヨと柔らかくて気持ちいい。

 

「カマクラ、覚えているか?お前にもこんな時代があったんだぞ」

 

「さあな、覚えていねぇ。それよりもあっちはどうするんだ?」

 

「ん?」

 

八幡がボタモンを触っている間もエレキモン、タケルとパタモンの言い合いは続いている。

タケルとパタモンはただエレキモンに誤解を解こうとしているだけなのだが、エレキモンも中々頑固でそれでは全く納得しないようだ。

 

「言っとくがな、そもそも誰もおめぇらにベビーたちの世話を頼んでねぇんだよ」

 

ふん、と鼻をならしながらエレキモンはタケルとパタモンを睨みつけた。

エレキモンの一々棘のある言い方に流石のタケルとパタモンもムッとした表情を露わにする。

 

「そんなこと言って、君はベビーたちのなんだよ!?」

 

「何って‥‥その‥‥保護者とか、世帯主、連帯保証人‥‥」

 

「普通に保護者でいいだろう?」

 

カマクラが呆れたように言う。

 

「そ、そんなことどうだっていいじゃねーか!このガキ!」

 

「っ!?お前だってガキじゃないかぁ!?」

 

「うっくぅ~~ッ!あったまキタぁーッ!」

 

両者ともにキレて、とうとうただの悪口の投げ合いになってしまった。

先手を打って動いたエレキモンが叫ぶと共にジャンプしながら電撃を再び放つ。

パタモンがそれを避けたと思えばエレキモンに直接掴みかかる。

 

(エレキモンも少し気が立っているだけで悪い奴じゃないが、いくらなんでもリアルファイトはまずいだろう)

 

「痺れるぅう~っ!」

 

「はっはっはっはっは、オレに触ると危ないぜ!」

 

エレキモンに体表にはあらかじめ電流が流れていたみたいで、パタモンは直にそれに触れてしまい痺れる。

 

「両者!!待った!!ストップ!!」

 

見かねた八幡がエレキモンとパタモンとの間に割って声をあげた。

 

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