やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版) 作:ステルス兄貴
ファイル島の海岸において、野生の成熟期デジモン、シェルモンとの戦いで、太一のアグモンは成熟期のデジモン、グレイモンに進化した。
しかし、いくらグレイモンの力が強力でも成熟期に進化したばかりのグレイモンと成熟期に進化した期間が長いシェルモンでは、長期戦はグレイモンには不利だった。
徐々に押され始めるグレイモン。
そこへ、突然、シェルモンの頭に岩が落とされる。
頭部に奇襲を受けたシェルモンに隙が生まれる。
その隙を見逃す事無く、グレイモンはシェルモンを海へと放り投げる。
シェルモンを追い払ったグレイモンは成長期のアグモンに退化する。
そして、空には鉄仮面を被り、黒い翼を生やした猫の様なデジモンとそのデジモンの背中に乗る一人の少年の姿があった。
「だ、誰だ?お前!?」
太一が声を上げる。
「あっ、あの人だよ!!黒いテイルモンを連れた人間」
「なにっ!?あいつが‥‥」
「間違いあらへん」
「うん。でも、前に連れていたのは黒いテイルモンだった‥‥」
「あんなデジモン、見たことないよ‥‥」
パートナーデジモンもネフェルティモンは見たことがないと言う。
そりゃ、ネフェルティモンは通常の進化とは異なる進化をしたデジモンなので、彼らが知らないのも無理はない。
ネフェルティモンは海岸の砂浜に降りる。
太一たちは砂浜に降りたネフェルティモンを警戒する。
しかし、先程進化したアグモンも初めての成熟期の進化にて、エネルギーを使い果たし空腹状態。
戦える状態ではなかった。
だが、このファイル島で初めて出会った人間。
パートナーデジモンの話では彼は自分たちよりも先にこのファイル島に来ていたので、この島の事を知っているかもしれない。
ネフェルティモンは光ると黒いテイルモンに戻った。
「あっ、やっぱりあの時の人間だ」
「それで、お前は誰なんだ?」
「失礼な奴だな、他人の名前を聞くときは、まずは自分の名前を名乗るのが礼儀じゃないか?」
「お、おい、カマクラ」
黒いテイルモンはギロッと太一を睨みつけ、テイマーらしき少年は黒いテイルモンを諫める。
「あ、ああ‥‥そうだったな‥‥俺は八神太一。お台場小学校の5年生だ」
「武之内空よ」
「石田ヤマトだ」
「城戸丈、6年だ」
「泉光子郎です」
「高石タケル。小学校2年生だよ!」
「太刀川ミミよ」
太一たちは自己紹介をする。
「俺は比企谷八幡、千葉の総武小学校の5年で、こっちは俺のパートナーのカマクラ」
(こいつ等の親って、ミーハーなのか?子供に有名人の名前をつけるなんて‥‥)
八幡は太一たちの名前を聞いて、テレビとかで聞いたことのある有名人の名前が含まれていることに気づく。
「かまくら?そいつ、かまくらって名前なのか?」
変わった名前をしているデジモンだと思った太一。
「黒いテイルモンじゃないんだ‥‥」
「あっ、カマクラって言うのはコイツのニックネームだ。デジモンの名称じゃ、ブラックテイルモンだ」
「そのまんまだね」
アグモンは黒いテイルモン=ブラックテイルモンと安直だと思った。
「アグモンたちはあの時、会ったコロモンたちでいいのか?」
「うん、そうだよ」
「成長期に進化できたんだ‥‥それにテイマーとも無事に出会えたようだな」
「成長期?テイマー?なんだ?そりゃ?」
聞いたことのない単語に首を傾げる太一。
「と、とりあえず、デジモンたちも疲れているみたいだし、ご飯食べながら話しましょう」
空が食事をしながら話そうと提案し、デジモンたちも子供たちもそれに賛成する。
「えっと、比企谷君も加わったから、食料は‥‥」
光子郎は、八幡が加わったことで、自分たちがもっていた食料を更に分ける計算をするが、
「あっ、食べ物は俺、持っているから大丈夫だ」
八幡はこれまでのサバイバル生活にて確保した食料があるので大丈夫だと言う。
「えっ?食料もっているの!?」
ミミは八幡が食料を持参していることに声をあげる。
「これまでのサバイバル生活でカマクラと確保した食料だ。食べられる植物や魚、あとは肉かな?」
「えっ!?お肉!?」
「どこで手に入れたの!?」
「ファイル島の森の中」
「‥‥それってもしかして、デジモンの肉じゃないよな?」
太一は八幡が確保した肉がデジモンを殺して得た肉じゃないかと疑う。
「いや、畑から取った」
「畑!?」
「肉が畑にあるわけないだろう!?」
「?」
八幡はどうも太一の言動に違和感を覚える。
テイマーと言う単語も知らなければ、デジモンのレベル、肉の畑についてもしらない。
これらのことはテイマー講習の講習内容に入っていることばかりだ。
それを太一は知らないという。
「それより早くご飯にしよう」
タケルはもうお腹がペコペコなのか、両手でお腹を押さえながら食事にしようと言う。
「そうだな」
タケルのお菓子と非常食をデジモンと分けながら食べる太一たち。
八幡はマンガ肉をカマクラに与え、自らもマンガ肉を食べている。
太一たちとパートナーデジモンたちは気になるのか八幡とカマクラをチラチラと見ている。
(き、きまずい‥‥)
「えっと‥‥少し食べる‥‥?」
「えっ?くれるの!?」
「欲しい!!欲しい!!」
パートナーデジモンたちは非常食やお菓子では足りないのか、八幡に近づく。
八幡がカバンからマンガ肉を取り出し、
「カマクラ」
「はぁっ!!」
カマクラが爪でマンガ肉を真っ二つに割り、
「ほれ」
「ありがとう!!」
「僕にも頂戴!!」
「はいよ」
デジモンたちに配る。
パートナーデジモンたちは半分になったマンガ肉を食べ始める。
太一たちは羨ましそうに見つつも、あの肉が何の肉なのか分からないので、食べたくても食べられなかった。
「それで、比企谷君はいつからこのファイル島に?」
空は八幡にいつからファイル島に居るのかを訊ねる。
「うーん‥‥かれこれ、一週間ぐらいかな?」
『一週間!?』
八幡がファイル島に一週間滞在していることに驚く太一たち。
「それで、その間、人間は!?人間は見なかったのかい!?」
丈は、八幡に一週間の間、人間の姿を見なかったと問う。
「居たら、此処にいないって‥‥」
もし、DATSの隊員に見つけてもらっていたら、とっくに人間界へ戻っている。
「そりゃそうだ」
ヤマトが納得するようにうなずく。
「比企谷さんは何故、どうやってここに?」
「パソコンの画面に変なデジモンが表れて、気づいたら‥‥そちらは?」
「俺たちはサマーキャンプで山に来ていたら、空からこれが降ってきて、津波に呑まれたと思ったら、ここに居たんだ」
太一は八幡に自分のデジヴァイスを見せる。
「そ、それはっ!?」
(なんで、初期型のデジヴァイスを持っているんだ‥‥?よく言えばプレミアム品、悪く言えば骨董品だぞ、それ‥‥)
「比企谷さんも此処にいて、デジモンを連れているってことは持っているんですか?」
光子郎は八幡にデジヴァイスを持っているのかと訊ねる。
「ん?あ、ああ‥‥デジヴァイスね。俺のはコレ」
「僕たちの機械と全然違う形ですね」
太一たちのデジヴァイスはポケベルの様な形であるが、八幡のデジヴァイスはスマホの様な形状をしている。
「それで、比企谷君はこれからどうするの?」
ミミが八幡に今後の方針を聞いてくる。
「うーん、最終的には人を見つけて、元の世界に戻らないと‥‥」
「じゃあ、俺たちと一緒に行かないか?」
太一が八幡を誘う。
「えっ?いいんですか?」
「こうして、出会ったんだ。困った時はお互い様だろう?」
「どうも」
こうして八幡とカマクラは、太一たちと一緒に行動することとなった。
「それで、さっき言った、成長期やテイマーってなんだ?」
太一は八幡がさっきアグモンに言った言葉の意味を聞いた。
「ああ、まずテイマーって言うのは、デジモンの育成師‥‥パートナーデジモンを持つ人間の名称だ」
「パートナーデジモンを持つ人間‥‥」
「なんだか、比企谷さんの口調だとデジモンを持つ人間が沢山いるみたいな感じがするのですが‥‥」
光子郎が八幡の説明を聞いて違和感を覚える。
「それで、成長期ってやつは?」
ヤマトは次に成長期について聞いてくる。
「成長期はデジモンのいわばレベルのランクの内の一つですね」
「レベルのランク?」
「デジモンにもレベルがあるのか?」
「ええ、下から幼年期、幼年期ⅱ、成長期、成熟期とデジモンは進化していきます」
「じゃあ、どうして、アグモンはグレイモンからアグモンに戻っちまったんだ?」
「僕にもよくわかんないや」
「多分、エネルギー切れでしょう」
アグモン自身、なぜ退化してしまったのか、原因は分からないというが、八幡は、単にエネルギー切れだと言う。
それから一行は海岸を後にして、また森の中に入る。
「ねぇ、カマクラ」
「カマクラ言うなよ‥‥」
森を歩いていると、ピヨモンがカマクラに話しかける。
「それで、なんだ?」
「さっき、変わったデジモンに進化していたけど、カマクラはもう、成熟期以上に進化できるの?」
「ああ、あれか‥‥実はあの進化はあたしにもよくわかんねぇんだ‥‥」
「えっ?わからない?」
「ああ‥‥これが関係しているって、八幡は言うが‥‥」
カマクラは首からぶら下げている赤い真珠の首飾りをピヨモンに見せる。
「それはなに?」
「八幡がここに来た時に、手に持って倒れていた‥‥お前さんらのテイマーの下にデジヴァイスが送られたのと同じような要領さ」
「へぇー‥‥」
それから、しばらく歩くと、ミミがへばってしまった。
「もう疲れたー!!」
「もう少し頑張れよ、ミミ」
太一がミミを励ます。
「足が太くなっちゃう……」
「太い方がいいんだよ、ミミ。その方が体を支えるにも、土を蹴るにも」
アグモンはミミに足が太くなるメリットを話すが、
「あなたと一緒にしないで!」
ミミはアグモンに不機嫌そうに言った。
女の子なのに、アグモンみたいに太い足はちょっとねぇ‥‥
「そうよー! 足っていうのは根っこみたいな方が素敵なの!」
パルモンが足について別の意見を述べるが、
「それも嫌だー!!」
ミミはそれも拒否した。
「それにしても奇妙な色の夕焼けですね」
八幡にしては、もう見慣れたこのファイル島の夕焼け‥‥
しかし、今日初めてこのファイル島にやってきた太一たちにとっては、それは奇妙な光景に見えたのだ。
「そろそろ日が暮れるみたいね」
「どうします? 暗くなってから進むと危険ですよ」
「そうですね……」
とは言っても、ここで野宿は気がのらない。
この辺には寝床にしていたホログラムで出来た木もなさそうだ。
直に野宿では凶暴なデジモンに襲われる危険性が高い。
「匂う‥‥」
「え?」
テントモンが急に飛び立った。
「匂いまっせ!!真水の匂いや!!」
そして、そのまま木の上にいく。
「あー! 飲み水確保や! 湖、湖でっせ! あそこでキャンプにしまへんか!?」
「あたし賛成。もうこれ以上歩けない!」
「オイラ泳ぐー!」
「ゴマモン待てよ!」
丈はゴマモンの尻尾らしき部分を持って止めた。
「俺も今日はここまでにした方がいいと思う」
疲れて座り込むタケルを見ながらヤマトが言った。
「みんな疲れて腹も減ってきたしな」
「よーし、今日はあそこでキャンプだ!」
というわけで、一行は湖に向かった。