やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版)   作:ステルス兄貴

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8話

 

 

ファイル島と呼ばれる未知の島に呼び寄せられた太一たちは海岸にて、シェルモンに襲われる。

その最中、太一のアグモンは成熟期のグレイモンに進化した。

しかし、徐々にシェルモンに圧される太一のグレイモン‥‥

そこへ助けに入ったのは、鉄仮面を被った黒い翼をもつ猫の様なデジモン。

そして、そのテイマーである比企谷八幡と出会った。

八幡は、太一たちと話し合いの中で、違和感を覚えながらも、元の世界に戻るという共通の目的から、太一たちと行動を共にすることにした。

そして、今日は湖の近くで一夜を明かすことになった。

湖に到着するとそこなそれなりの大きさの湖だった。

 

「うわあ! 大きな湖!」

 

「ここならキャンプに最適ね!」

 

空が嬉しそうに言う。

 

「ねぇ、キャンプってつまり野宿ってこと?」

 

「まぁ、そうなるな」

 

「うそー!」

 

ミミと太一とのやり取りの中でこのようなことがあった。

 

(もともと、サマーキャンプでキャンプ場に来ていたんだろう?)

 

(あっ、でも、テントやロッジはないか‥‥)

 

同じようなキャンプでも、野宿とテント泊では、大きく異なる。

 

(もし、アイツが一人でここに流れ着いていたら一人で、やって行けただろうか?)

 

そして、ミミがもし一人でファイル島に流れ着いたら、一人でやって行けただろうかと思った。

すると、湖の中州にあった一台の路面電車のパンタグラフにバチバチと電気が走ると、正面のライトが点いた。

 

「ライトが点いた!」

 

「路面電車だー!」

 

「どうしてこんなところに?」

 

「ねぇ、中に誰かいるんじゃないの?」

 

「行ってみようぜ!」

 

路面電車に電気が点いたと言うことで、誰かいるのかもしれないと思い、路面電車に行ってみると、車内には誰も乗っていなかった。

 

「誰もいない‥‥」

 

(やっぱりね‥‥)

 

八幡は何となく察しがついていた。

 

「まだ新しいですね」

 

「ふふ、ちゃんとクッションが効いている!!」

 

車内には人間どころかデジモンもいなかったが、車内はまるで新車の様に綺麗で、座席のクッションも痛みや汚れなどなく、今夜はこの路面電車の中で眠れそうだった。

ミミが嬉しそうに座席に腰かける。

 

「しかし分かんねえなぁ‥‥この間の海辺の電話といい、どうなってんだ?」

 

「この世界で常識を求めるのは間違っているぞ」

 

カマクラが太一にファイル島‥‥デジタルワールドで人間界の常識を求めること自体間違っていると忠告する。

 

「ん?どういうことだ?それは‥‥?」

 

「ここは、情報があふれるお前たち人間の世界の情報が集まり、それが歪んで実体化している世界だからな‥‥」

 

「なんだか、まるで、この世界が異世界みたいに言うな‥‥」

 

「異世界か‥‥まぁ、当たらずとも遠からずだ」

 

「それって‥‥」

 

「そろそろ飯にしまへんか?」

 

テントモンの言葉をきっかけに、皆は分担して夕食の準備を始めた。

太一もカマクラの言葉にもっとツッコミたかったが、彼自身、お腹が空いたので、今は夕食のための準備を優先にした。

 

光子郎とタケル、そしてカマクラは魚釣りの担当になった。

 

「こら、ゴマモン邪魔するな! そんなところで泳いだら魚が釣れないだろ!?」

 

釣り針を投げ付けようとしたら、ちょうどその場所でゴマモンが泳いでいた。

それを光子郎が叱る。

 

八幡はデジヴァイスのアプリを頼りに食べられる植物やキノコ、果物を取る。

その他に夜、路面電車の床に敷き詰める葉っぱなどもついでに集めた。

ミミが明らかに毒キノコっぽいキノコを取ろうとしていたので、八幡とパルモンが慌てて止めた。

 

「ミミ!!それ毒キノコ!!」

 

「イタリアの配管工の兄弟が食べていそうなキノコだけど、それを食べると幻覚症状による頭痛と腹を下すぞ」

 

「えっ!?うそっ!!」

 

ミミは慌てて毒キノコを捨てる。

 

「流石、植物を頭に生やしているだけあるわね。比企谷君もよく知っているわね」

 

「デジヴァイスにある程度の情報が入っているからな」

 

「すごーい!!私のデジヴァイスにはそんな情報ないのに‥‥」

 

そんなやり取りをしながら、今日の夕食の食材は何とか集めることが出来た。

火に関しては、アグモンが焚き木に火をはいて火を点ける。

すると太一は火の上で魚を炙り始めた。

それをヤマトが止める。

 

「そんなことしたら身がくずれるだけだろ。それに、魚は遠火で焼くもんだ」

 

「やけに詳しいな、ヤマト」

 

辺りがすっかり暗くなった頃、皆は夕食を食べていた。

 

「タケル」

 

「なに、お兄ちゃん?」

 

「骨取ってやろうか?」

 

「頭からガブッといけ!」

 

タケルは太一からそう言われると頷くと、魚を頭から食べ始めた。

 

「‥‥」

 

すると、ヤマトの表情が曇ったように見えた。

 

(こいつも俺と同じ、下の兄弟には甘いみたいだな‥‥)

 

(まぁ、分からなくもないぞ‥‥石田よ‥‥)

 

八幡自身も下に妹がいる分、ややシスコンなところがある。

一方、カマクラは八幡の両親が彼に対して半ば育児放棄をしているのに、妹に愛情を注ぎこんでいるのを間近で見ているため、カマクラはあまり八幡の妹には好印象を抱いてはいなかった。

食事が終わり、

 

「空」

 

「ん?」

 

太一は水を汲んでいた空に話しかけた。

八幡も空の傍で水をくんでいた。

 

「タケルはヤマトのことお兄ちゃんって言っているけど、あの二人名字が違うよな?」

 

「うん」

 

「何でだ?」

 

「あたし、知らない」

 

「ふーん‥‥」

 

空は知らないというが、あの表情は知っているな‥‥

人間観察を得意とする八幡は空が本当は事情を知っているのだが、ヤマトの家の事情なので、他人である自分が口を出すのははばかれると思って嘘をついたのだろう。

 

(八神よ、少しは空気を読め、でないと将来苦労するぞ‥‥)

 

太一は真っ正直な性格なのだろうが、正直だけで世の中はやっていけない。

空が察しているように八幡もヤマトとタケルの関係を何となく察していた。

あれは近所のお兄さんや従兄弟に向ける信頼ではなく、血の繋がった兄弟に向ける信頼だ。

血がつながるのに、名字が異なると言ったら、原因は一つしかない。

 

「うーん……」

 

「どうしたんです? 先輩」

 

すると、丈が頭を悩ませながらこちらにやって来た。

 

「方角を確かめようと思って‥‥でも北極星が見つからないんだ」

 

(そりゃあ、ある筈がない‥‥ここは人間の世界じゃないんだから‥‥でも、何故それを理解していなんだ?)

 

八幡はここがデジタルワールドであることをまだ理解していない太一たちにますます違和感を覚える。

 

「そういえば、さっきカマクラがここは異世界みたいなところだと言っていたけど‥‥」

 

「確かに北極星がないんじゃ、そうかも‥‥」

 

「南半球なら、南十字星もあるはずだしね‥‥でも、南十字星もないとなると、やっぱり、カマクラ君の言う通り、ここは異世界なのかもしれないな‥‥」

 

「ふわぁ~」

 

「眠いの?パタモン」

 

パタモンが大きなあくびをして、地面に伏せてしまった。

他のデジモンたちも眠そうだ。

 

「ふわぁ~そろそろ寝ようぜ」

 

「交代で見張りをした方がよくないですか?」

 

光子郎がこちらに歩み寄って言った。

 

 

「そうだな、順番を決めよう」

 

「女の子はやらなくてもいいだろ?」

 

「タケルもだ!」

 

「僕平気だよ!」

 

タケルがむっとして、ヤマトの服を掴む。

 

「いいから、お前はゆっくり休め」

 

タケルはあまり納得していない表情だ。

 

「だったら‥‥」

 

そこで、八幡が助け船を出す。

 

「君は明日の朝、一番に起きて見張りをするのはどうだ?」

 

 

「えっ?朝」

 

「そうだ。最後の見張りをする奴も、出発前少しでも休ませてやらないとキツイだろうし‥‥」

 

「わかった!それでいいよ!」

 

タケルは笑顔で元気良く返事をした。

 

「でも、寝るって言ってもお布団とかないのになぁー」

 

ミミが不満そうに言う。

この騒動に巻き込まれず、キャンプに参加していてもきっと寝袋だろうから、どのみち布団では眠れないだろう。

 

「おい、ガブモン。毛布がわりにその毛皮貸してくれよ! 俺、すっごく気になってたんだよな! ガブモンの毛皮の下って、どうなってんの!?」

 

太一がガブモンの毛皮をひっぱがそうとしていた。

毛皮を剥がされたくないのか、嫌がっているガブモン。

 

「よせ!」

 

すると、ヤマトが太一を突き飛ばした。

 

「なにすんだよ!?」

 

「嫌がっているだろ!!」

 

「突き飛ばすことないじゃないか!!」

 

「やめて二人ともー!」

 

喧嘩している兄や太一の姿を見たくないのか、タケルが目に涙を溜めて二人を止める。

太一とヤマトはお互いを掴んでいた手を離すと、プイっと反対側を向いた。

 

「え、えーっと‥‥最初の見張り番は‥‥?」

 

「俺がやる!」

 

「次は俺だ」

 

空気を変えようとした勇者丈を遮り、太一とヤマトは競い合って名乗り出た。

 

「わ、わかった。比企谷がヤマトの次、光子郎が比企谷君の次で、最後は僕だ。さあ、みんな路面電車の中で寝るんだ」

 

見張りの順番を丈が決めて、太一とアグモンが外に残り、それ以外の皆は路面電車の中に入る。

 

「なぁ、カマクラ。退化‥‥」

 

「しないからな!!」

 

太一とガブモンのやり取りを見て、八幡は、カマクラに成長期の黒ガブモンに退化してくれと頼むが、速攻でカマクラから拒否された。

 

「えっ?カマクラってガブモンよりも上なの?」

 

それを聞いたミミが意外そうに聞いてくる。

 

「あ、ああ‥‥カマクラはこんなナリだけど、成熟期‥‥グレイモンと同じレベルだ」

 

「へぇ~、てっきりパルモンと同じレベルだと思っていた‥‥あれ?でも、なんで、アグモンは元に戻ったのに、カマクラは成熟期のままなの?」

 

「うーん‥‥経験値とエネルギー消費の差かな?グレイモンはあの巨体を維持するのにエネルギー消費が多いんだろう」

 

「そっか、カマクラは小さいもんね」

 

「小さい言うな!!」

 

カマクラはミミに怒鳴った。

 

路面電車の床には食料調達の際についでに集めた柔らかい葉っぱが敷き詰められており、デジモンたちはそこで寝て、テイマーたちは座席の上に横になる。

カマクラは八幡の腹の上に乗り、そこで丸まって眠る。

それからどれくらいの時間が経っただろうか?

突如、路面電車が揺れた。

地震かと思ったが、どうやら違った。

 

「モンスターが、出たんだ!」

 

「あれはシードラモンや!!」

 

 窓の外を見ると、蛇の様な長い体を持つデジモンが居た。

 

 

シードラモン

 

レベル:成熟期 タイプ:水棲型デジモン 属性:データ

 

大蛇のような長い体を持った水棲型デジモン。

この長い体を使い、襲い来る敵に体を巻きつけ、敵が息絶えるまで締め上げる。

元来、知性というものを持ち合わせておらず、本能の赴くままネットの海を泳ぎ回っている。

必殺技は口から絶対零度の息をはきだし、水を瞬時に凍らせて敵に放つ『アイスアロー』。

 

 

皆が路面電車から出ると、

 

「うう、やっぱり地震だわ!」

 

ミミが地面に座り込んで叫んだ。

 

「島が……浮いて居ている!」

 

「動いているんだ!」

 

「何だかこの島をシードラモンが引っ張っているみたいだ!」

 

太一と光子郎は島の動向を見守っていた。

 

「そんなアホな! シードラモンは殺気を感じん限り襲ってやきやしませんで!」

 

「うわぁ、止まった!」

 

突然島の動きが止まった。

 

「あんさんら、なにか悪いことしよりましたんかな!?」

 

「何にもしてない、何にもしてない!」

 

太一とアグモンは声を揃えて言ったが、

 

(本当か?)

 

シードラモンがあそこまで怒っているなんて、こちらからシードラモンにちょっかいを出した以外に考えられない。

 

「う、うわあ!」

 

テントモンが大きい葉っぱに乗った途端、吹っ飛ばされた。

 

「テントモン!!」

 

「なんで葉っぱがテントモンを!?」

 

光子郎は、どうして葉っぱがテントモンを襲ったのか分からなかった。

 

「いや、葉っぱじゃない!!あれはシードラモンの尻尾だ!!」

 

八幡があれはシードラモンの尻尾であることを指摘する。

 

「えええっ?あれって葉っぱじゃなくてアイツの尻尾だったのかよ!?」

 

「なんか心当たりがあるのか?」

 

「さっき、焚火の火が爆ぜて‥‥」

 

「やっぱり、お前らのせいじゃねぇか!!」

 

カマクラがそう叫んだ途端シードラモンが島に尻尾をぶつけ、地面がさらに揺れた。

 

「うわあ! やつがおこっている!」

 

シードラモンが沈んでいくと、島が再び動き始めた。

 

「うわぁ、島が流されていく!」

 

「あたし船酔いしそう‥‥」

 

「吐くなら、向こうで吐けよ!!」

 

ミミが顔を青くし、手で口元を押さえる。

八幡はすぐそばでゲロをされてはかなわないので、離れた場所で吐けと言う。

すると島が電波塔に当たり、ようやく止まった。

 

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