やはり俺の青春にデジモンが居て、俺がDATS隊員なのはまちがっているのか?(リメイク版) 作:ステルス兄貴
ファイル島での一夜を明かす為、湖の中州にある路面電車の中で、休んでいたら、突如、中州を大きな揺れが襲った。
地震かと思いきや、それはシードラモンによるものだった。
こちらから攻撃を仕掛けない限り、そこまで好戦的ではないシードラモンが暴れている。
その理由は見張りの為に焚いていた焚火が原因だった。
暴れ狂うシードラモン。
そして、中州は湖から飛び出ていた電波塔に当たり、ようやく止まった。
「やっと止まった‥‥」
「でもこれじゃどこにも逃げられませんよ!!」
それを狙ったのかどうか分からないが、シードラモンが再び姿を表した。
「うわあ! 襲ってくるぞー!!」
「みんな、行くよ!」
「おっけぃ!」
アグモンたちはシードラモンへ向かっていく。
「マジカルファイヤー!!」
「エアーショット!!」
ピヨモンとパタモンの攻撃は効いている様子がない。
「ポイズンアイビー!!」
パルモンの蔦はシードラモンまで届かなかった。
「プチサンダー!!」
「ベビーフレイム!!」
テントモンとアグモンの攻撃も効果がなかった。
当然、カマクラ自慢のパンチやキックも今の状況ではシードラモンには届かない。
「アグモン、進化だ!!」
太一はアグモンを成熟期デジモン、グレイモンに進化させようとするが、
「さっきからやろうとしているんだけど、出来ないんだ‥‥」
アグモンが振り返り、困惑の表情を浮かべる。
「カマクラ、お前の方は!?」
「あたしの方もダメだ‥‥真珠から力を感じない‥‥」
カマクラの方もどういうわけかネフェルティモンに進化できない。
カマクラが言うには赤い真珠の首飾りから力を感じないのだと言う。
「くっ、カマクラの方もか‥‥」
カマクラがネフェルティモンに進化できれば、空からシードラモンを倒すこともできるし、数回に分けることになるが、この中州から脱出することもできる。
しかし、肝心のカマクラがネフェルティモンに進化できないので、どちらも実行不可能だった。
「タケルー!!」
そんなときヤマトの声が聞こえた。
彼の声を聞き、タケルはそちらに向かう。
「お、お兄ちゃん!!」
ヤマトは必死に泳いで中州に向かっている。
彼はシードラモンが出て来る前、中州から出ており、向かい側の岸でハーモニカを吹いていた。
「お兄ちゃん! うわあ!」
がくんと中州が揺れ、タケルが湖に落ちた。
湖に落ちたタケルはゴマモンが助けた。
ゴマモンに助けられたタケルを見て、ヤマトはホッとした表情をした。
「いいぞ、ゴマモン!」
「ヤマト、早く!」
「ヤマト、シードラモンやー」
そんなヤマトにシードラモンがすぐ傍に迫っていた。
中州にいる連中よりも、湖の中に居る相手の方が狙いやすいと判断したのだろう。
「ゴマモン、頼むぞ!」
ヤマトはタケルをゴマモンに託し、
「おーい、シードラモン! こっちだ!」
ヤマトが泳いでシードラモンを挑発した。
「プチファイヤー!!」
ガブモンの攻撃をするが、動きは全く止まらない。
「うわぁ!」
そうこうしているうちに、ガブモンが島の方へ吹き飛ばされる。
「ガブモン! うわあ!!」
ヤマトが叫ぶと、シードラモンの尻尾に捕らえられ、水中に引き込まれた。
「お兄ちゃん!!」
島にあがったタケルが叫ぶ。
空とミミが心配そうに駆け寄る。
「僕のせいだ! 僕を助けようとしてお兄ちゃんは!!」
「ヤマト!!」
湖から出てきたヤマトはシードラモンの尻尾で締め付けられていた。
「まずい、まずいでっせ! シードラモンは1度掴んだ相手は息絶えるまで締め付けるんや!!」
「お兄ちゃーん!!」
ヤマトは更に締め付けられた。とても苦しそうだ。
「パタモンお願い、お兄ちゃんを助けて!!」
「ぼ、僕の力ではシードラモンに通用しない‥‥・ガブモン、お前なら」
「無理です! 俺にはそんな力は‥‥」
「うわあ!!」
そんな間にもどんどんヤマトは締め付けられる。
「お兄ちゃん!!」
「おい、ガブモン! 無理とか言っている場合じゃないぞ! ガブモン、お前は本当にこれでいいのか!? このままじゃあ、お前のテイマーがシードラモンの餌になるぞ‥‥お前は長い間、石田を待っていたんじゃなかったのか?」
八幡が、ガブモンに檄を飛ばす。
「そ、そんな‥‥」
ガブモンはシードラモンに締め付けられているヤマトを見つめた。
「ヤマトォ!!」
ガブモンがヤマトの名前を叫ぶ。
その途端、ガブモンは光り始めた。
ガブモン進化―――――ガルルモン
すると、ガブモンの姿は大きな狼の様なデジモンに進化した。
ガルルモン
レベル:成熟期 タイプ:獣型デジモン 属性:ワクチン
青白銀色の毛皮に体を覆われた、狼のような姿をした獣型デジモン。
その体毛は伝説のレアメタルと言われている「ミスリル」のように硬く、肩口から伸びているブレードは鋭い切れ味を持っており、触れるものを寸断してしまう。
極寒の地で鍛えられた筋肉と激しい闘争本能を持ち、肉食獣のような敏捷性と標的を確実に仕留める正確さを持っており、他のデジモンからは恐れられている存在。
しかし、知性が非常に高く、主人やリーダーと認めた者に対しては忠実に従う。
必殺技は口から吐き出す高熱の青い炎『フォックスファイアー』。
ガルルモンに進化したガブモンはヤマトを助けるべくシードラモンの尻尾に攻撃をした。
そして見事に救出成功し、ヤマトはそのまま湖の中に落ちた。
ヤマトから目を移すと、ガルルモンはシードラモンに噛み付いていた。
その間にヤマトは泳いで島へ向かう。
しかしガルルモンは尻尾で叩かれ、湖へ沈んでいった。
「お兄ちゃん大丈夫!?」
タケルがヤマトに駆け寄る。
「俺よりガブモンが‥‥」
ヤマトが心配そうにガルルモンを見つめる。
だが、予想に反して、ガルルモンは平然と浮かび上がった。
そして、何故かシードラモンはガルルモンに触れる度に痛がっている。
「ガルルモンの毛皮は伝説の金属ミスリル並の強度なんや!」
「何ですか、伝説の金属って?」
「伝説やさかい、わても見たことないさかい、知りません」
「物知りなんだかそうじゃないんだか分かんねえやつだな、テントモンって」
「んなアホな!」
テントモンのコントはさておき、ガルルモンとシードラモンの戦いはまだ続いている。
シードラモンが口から冷気を吐くと、ガルルモンが凍っていった。
「あれはシードラモンの必殺技、アイスアローや!!」
「解説どうも‥‥」
しかし、毛皮が伝説の金属並に硬いおかげか、ガルルモンは凍らずに氷が崩れていった。
「フォックスファイアー!!」
ガルルモンの必殺技がシードラモンの口向かって放たれる。
火と氷のぶつかり合いが続いていたが、火の勢いの方が強く、シードラモンに見事命中した。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁー!!」
口から煙を吐き、シードラモンは湖に沈んでいく。
(うーん‥‥でも、事の詳細を考えると、悪いのはこっちだったからな‥‥なんか、アイツには悪いことをしてしまったな‥‥)
元々、寝ていたであろうシードラモンの尻尾に火を落としてしまったのはこちら側のミスだったので、シードラモンが怒るのも無理はなかった。
それから、電波塔に引っ掛かっていた中州はゴマモンのマーチングフィッシーズに動かしてもらい、元の位置に戻した。
すべてが終わったころには夜が明けていた。
「は、八幡‥‥」
「ん?」
ガブモンが恐る恐る八幡に話しかけてきた。
「さっきはありがとう。八幡の後押しがなければ俺は進化出来なかったよ」
「いや、進化できたのは、お前自身の力だ‥‥俺はただきっかけを与えただけにすぎない」
「そうかもしれないけど、結果的に進化出来て、ヤマトを助けることが出来たのは事実だから、お礼は言わせてもらうよ。ありがとう」
「‥‥」
ペコっと頭を下げて礼をいうガブモンに八幡はガブモンをギュッと抱きしめる。
「は、八幡?」
突然、自分を抱きしめる八幡に困惑するガブモン。
「ガブモン、お前って素直な奴だな‥‥俺のカマクラとは大違いだ!!」
「オイ‥‥」
そんなガブモンと八幡のやり取りをカマクラはジト目で見ていた。
「ふわぁ~疲れたー!」
一行は陸に上がり、地面に座り込んだ。
寝不足なせいもあり、全体的に元気がない。
「でも、どうして今度はガブモンだけが進化したんでしょうね?」
光子郎が疑問を口に出す。
「あ! もしかするとヤマトくんがピンチだったから?」
「この前、アグモンが進化したときも俺が危機一髪のときだった」
太一は少し考え込んだ後、そう呟いた。
「彼らが進化するのは、僕たちに大きな危機が迫ったときですか?」
「そうよ、きっと」
そのとき、空にミミが寄りかかった。
「ん、なに? ミミちゃん?」
「もうここで寝る」
そう言うとミミさんは地べたで眠り始めた。
「ふふ、たった一日ここで過ごしただけなのに、たくましくなったね」
「そのうち僕みたいなガッチリした体になるね、きっと!」
「あたしみたいな翼も生えるかもね!」
「そんなのいやぁ‥‥」
ミミは寝言のように呟いた。
「翼は翼でも、飛べない翼はあってもねぇ‥‥」
八幡は飛べない翼をもらってもただ邪魔になるだけだとボソッと呟く。
それから、一行はその場でゴロッと横になり、ひと眠りをしてから、出発することにした。
湖の岸でひと眠りした後、一行が森の中を歩いていると、変な音をした何かが上空を通った。
「ん?」
「何の音だ?」
皆が空を見上げると円形の何かが空を飛んで行った。
「歯車みたいだったな」
「空飛ぶ円盤じゃない?」
「歯車型の隕石だったりして」
「何にしても、いい感じのするもんじゃないな」
「そうですね」
(何か嫌な予感がする‥‥)
皆が空の彼方に飛んで行った黒い歯車を見ていると、
「うわぁっ!」
そのときタケルが足を踏み外し、転んでしまった。
「いててて‥‥」
「大丈夫か?えっと‥武石」
八幡がタケルを抱き上げる。
「いったぁ……けど、大丈夫。我慢する」
「我慢しなくていいのよ? 痛かったら痛いっても言っていいんだから」
「そうだぞ」
「……うん。本当はちょっとだけ痛い」
空と八幡のその言葉に、タケルは正直に言った。
「大丈夫?怪我してない?」
「うん!」
タケルは頷いてくれたが、やはり痛いのだろう。
彼の無理やりの笑顔だった。
しかし、大きなけがはなく、軽い打ち身だった。
「大丈夫? タケルー!」
パタモンがタケルに駆け寄る。
「あんさんに言われたないなぁ」
テントモンがパタモンに鋭いツッコミをかました。
「もし、痛かったり、腫れてくるようならば、遠慮なく言え、一応、薬草は持ってきたから」
「うん、ありがとう」
八幡が鞄の中の薬草を見せると、タケルは八幡に礼を言う。
「さっ、行きましょうか」
「そうだ。泣き言言ったって始まらないからな!」
「そうは言っても……どっちに行ったらいいなんて誰にも分からないし……」
空とヤマトは先に進むよう促したが、太一は珍しく渋っていた。
「それは確かにそうだけど……」
「あたしは空がいてくれればそれであーんしん」
ピヨモンは空にずっと擦り寄っていた。
「そんな100%安心されちゃっても……困るんだけどなぁ。責任とれないよ?」
「ひゃくぱー?」
「い、良い良い。気にしなくて」
「せきにんとれ?」
「いいってば! 気にしないで」
「あたし、空が喋っていること、いーっぱい知りたい! 教えて! ねー?」
「そんなの知らなくていいよ」
ピヨモンは空のことが大好きなようだ。
口調もなんか真似ているし‥‥
(オウムか?あいつは‥‥)
鳥で真似をすると言うことで、八幡の脳裏にはオウムの姿がチラつく。
(そういえば、オウムっぽいデジモンっていたよな‥‥あのピヨモンもあれに進化するのか?)
ピヨモンが将来進化したら、オウムっぽいデジモンに進化するのかと空にじゃれついているピヨモンを見ながらそう思う八幡だった。
「何じゃれてんだよ!」
「余裕だな」
ヤマトと太一がそんな空とピヨモンをちゃかす。
空たちはいつの間にか最後尾になっていた。
「好きでじゃれているんじゃないわよ!」
空は少し怒りながら、皆を追いかけた。
「ピヨモンは人懐っこいデジモンなんや」
「なるほど。デジモンによってそれぞれ性格が違うんですね」
(姿形も十人十色‥‥人間だって同じだからな‥‥)
光子郎とテントモンの会話を聞いて、それぞれのパートナーデジモンを見た後、自身のパートナーデジモンを見る八幡。
「ん?なんだ?」
「いや、なんでもない」
「?」
八幡の視線に気づいたカマクラが何か自分に用があるのかと訊ねるが、八幡は何でもないと言い、カマクラは首を傾げる。
「そらーそらー!」
ピヨモンはニコニコと笑いながら、空と手を繋いでいた。
(はぁ~‥‥カマクラもあれぐらい愛想がよければな‥‥)
ちょっと、ピヨモンと空の関係を羨む八幡だった。