オーバーロードは友人と道化と共に   作:ストップウォッチ(腕時計型)

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宜しくです!


始まり

ここはとあるゲームの中。そのゲームの名はユグドラシル。

そして、今日はユグドラシルの......DMMO-RPG「ユグドラシル」のサービス終了日。

 

「すみません、もう落ちますね......」

 

「はい......わざわざ来ていただきありがとうございました。ヘロヘロさん......」

 

「では、またどこかでお会いしましょう」

 

そう言って、会いに来てくれた数人のギルメンの内、最後のギルメンがログアウトしていった。

 

誰もいなくなった円卓の間で、豪華な装飾のついたローブを羽織る骸骨が座る人がいなくなった椅子を見つめていた。その骸骨は、死の支配者、オーバーロードという種族。ユグドラシルの中で、魔法を極めたアンデッドの最上位種にあたるものだ。剥き出しの頭部は皮も肉も、勿論髪の毛もあるはずがなく、眼窩には赤黒い光が灯り、ゆらゆらと揺らめいている。

 

「はあ......結局、一人か......またどこかで会いましょう…ね。どこでいつ会うのだろうね。………ふざけるな!!!」

 

その骸骨は右手で怒りをぶつけるように思いっきり机を叩いた。

 

「ここは皆で創り上げたナザリック地下大墳墓だろ!何でそんな簡単に捨てる事ができる。」

 

 

 

「……いや、違うか。」

 

ヘロヘロがさっきまで座っていた椅子を眺めていたアインズだったが一息ついた後立ち上がり、後ろの一部凹んでいた壁の中で浮いていた禍々しい黄金に輝く杖の前に立った。

 

「そう。皆、生活がかかっている。夢を実現した人だっている。現実(リアル)をとるのは仕方のない事なんだ。」

 

そう言った骸骨はただただ目の前の黄金の杖を見つめる。そしておもむろにその杖を取ろうとする。そしてその手が杖に触れる直前で止まる。この杖はギルド武器といい、この杖には絶大な力があるが、一度でも敵の手に渡ればそのギルドは何もできなくなる。ならば、渡らないようにするにはどうすれば良いのか?その方法はただ一つ。ギルドの奥深くで外に出さなければ良い。だが、今はもうこのゲームの終わり。こんな時にこの杖を奪いに来るような奴はいないだろう。素子で骸骨は止めた手を再び動かし、杖を手に取る。すると、手におさめた瞬間、スタッフから揺らめきながら立ち上がるどす黒い赤色のオーラ。時折それは人の苦悶の表情をかたちどり、崩れ消えていく。

 

「……作りこみ、こだわりすぎ」

 

 作り上げられてから一度も持たれた事の無かった最高位のスタッフは、ついにこの時を迎えるに当たって本来の持ち手の手の中に納まったのだ。

 

 彼は自らのステータスが劇的に上昇するのを感じながら、寂しさもまた感じていた。

 

「行こうか、ギルドの証よ。いや――我がギルドの証よ」

 

そして骸骨は誰も座っていない円卓に背を向け、部屋を外へと出ていった。




頑張ります!

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