感想、評価をいただきありがとうございます。
自分の趣味とご都合主義全開で行くので、ついて来れる奴だけついて来い!
あと、ぐっちゃんと項羽様のカップリングこそ至高!という方には不快にさせてしまうかもしれない表現があります。
それでも、気にしないという方は、改めてどうぞ。
唐突だが、過去の話をしよう。そうあれは、一年ほど前のことだった。
原作でいうところの、第一部の人理焼却が行われる時期。
これが始まるまでが、私の自由に動ける準備期間のタイムリミットだろうと考え、趣味と実益を兼ねながら世界中を駆け回った。
表向きは私の趣味の一つとされている、カーレースへの参加。
裏は原作知識を生かした、ある人物達のスカウトと亜種聖杯戦争への参加。
この世界は、Apoの要素も混じっているらしく、各地で亜種聖杯戦争が執り行われていた。
金とコネにものを言わせて情報を掴むと、現地へスカウトした人材を派遣し、時には自ら乗り込んで勝ちはしなくとも、聖遺物や魔力リソース、運が良ければ受肉したサーヴァントを雇っていった。
そして迎えた、人理焼却が行われる7月のあの日。
ぐだ男かぐた子かどっちかは知らないが、人理修復は任せた、と寝床について私は意識を手放したのだった。
が、しかし、運命とはそう甘い物では無かった。
あれか。一年ぐらいぐっすり眠れるぞい。例えカルデアが失敗しても、苦しまずに逝けるし、今まで散々美人なメイド達を口説いてパフパフしてきたから、悔いはないや、なんて思ったのがいけなかったのか。
気付いたら、屋敷じゃなくて見覚えのない畦道で寝転がっていた。
「ちくしょうめぇ!知らない天井だ、ってネタやりたかったけど、天井すらナイじゃないかッ!!」
「およよ。あれ、もしかしてゴルドルフくん?」
「ん?誰だ、ってウェイ!?」
どうしようもない現実に苛立ちを募らせていると、背後から私を知っていると思わしき人物が声を掛けてきた。
誰だろう、と振り向くとガチで知人だったので驚き、変な声が出てしまった。
「何で貴女が、ここに居るんですか、武蔵師匠!!」
そう、まだ中坊ぐらいの時期にムジーク家の庭園で腹を空かせて行き倒れていて、助けた見返りに護身術とか大人の階段的なことを色々と教えてもらった師匠。その名も魔境JAPANが生み出した頭おかしいSAMURAIの一人、宮本武蔵である。
この人に出会ってなければ、私の体型は原作通りとなって結果にコミットできていなかっただろう。
現在はキチンと引き締まった体型だが、気を抜くと直ぐにお腹が出てしまうので油断大敵だ。
しかし、食材を目にすると、多々買え……、多々買え……、って声がするけど、ぽっちゃり体型にならないといけないのも、もしや抑止力案件なのだろうか。
「お~、やっぱりゴルドルフくんだったか。久し振り、すっかり男らしくなっちゃって。……ジュルリ」
「師匠、盛ってないで、ここが何処か教えて下さい」
「や、ゴメン。私もこの世界は来たばっかだから、よく分かんないや」
「ふむ。困りましたね」
「そうだね~。ところでさ」
携帯もネットも繋がらず、どうしようか途方に暮れていると、不意に肩を叩かれて師匠が上空を指差した。
「アレは、お知り合い?」
「アレ?」
視線を空に向けると、人影がこっちに向かって落ちて来ているのが見えた。
「……ギャァァァァァアアアアアアアアアアア!!ヘルプ!ヘルプ、アスク、ミィィイイイイ!!」
「親方、空からナマモノが!」
「ナマモノって、酷くない?」
魔術で強化した視力で、落ちている人物を見るとこれまた、思いっきり知り合いだった。
まあ、あいつなら上空から地面に叩き付けられた程度じゃ死なんから、全力でネタに走る。
そうこうしてる内に、地面に落ちると思いきや、あいつは空中で身を捻って体勢を変えると、片膝を立ててシュタッ、とカッコよく着地した。
「スーパーヒーロー着地!?スーパーヒーロー着地よ、ゴルドルフくん!!あれ、絶対膝を痛めるよねッ!!」
着地に仕方がツボにハマったのか、バシバシと自分を叩きながら興奮して声を荒げる師匠。
「ちーっす。どうして、貴女がここにいるんですか、ぐっちゃん?」
「お、お前、ゴルド、ルフ、か。私が、知るわけ、な、いでしょ、うが」
「横になったら?」
「そうする」
着地で膝を痛めたらしく、プルプルと震えるぐっちゃんこと、虞美人。またの名は、芥ヒナコ。
おかしいな。彼女は、今はカルデアで爆破に巻き込まれた筈なのに。
「私も本当にどうしてか、分からないわ。カルデアでコフィンに入って、レイシフト直前に意識を失って気付けば落ちてたんだから」
メガネをクイッとして、知的な雰囲気を醸し出すが、いつも持ってる本を枕にして、横になって未だに膝の痛みで痙攣しているという、シュールな絵面だ。
「ねねっ、ゴルドルフくん。仲良さそうだね。もしかしてこの子、コレ?」
小指を立てて興味津々といった感じで、聞いてくる師匠。
それを見た、私とぐっちゃんは奇しくも同時に返事をした。
「「いいや、セフレ」」
あまりの衝撃発言だったらしく、師匠はフリーズしてしまったので、仕方ないから痛みから復帰したぐっちゃんと片腕ずつ抱えてまるでエイリアンを連行するが如く移動したのだった。
その後、迷い込んだ世界は並行世界の江戸時代初期、現在の千葉県辺りの下総国であり、英霊剣豪なる虐殺を繰り返す集団とかち合ったり、変な坊主に目を付けられたりしながらも、元の世界へ戻る算段をつけることができたのだった。
でも結局、元の世界には戻れずに明らかに、原作でいう期間限定イベントや1.5部の特異点に巻き込まれたんだよな。
不幸中の幸いか、途中から自分のメイド達とも合流出来て、新しいメイドが増えたから何とか攻略は出来たけど。
さて、何故私が先程まで過去を回想していたかというと、今向かっているコフィンに原因がある。
案の定、ダ・ヴィンチ女史からの歓迎されてない歓迎を受けた私は、その足でAチームメンバーが収容されているコフィンを見に来た。
他の職員やダ・ヴィンチ女史、ぐだ男らへの対応は、例の二人やついて来た魔術協会の方々に任せた。
ムニエル氏と思わしき職員は、私は院長回診の如くゾロゾロ引き連れたメイド達を見て、血涙を流していたが。
「さて、これか。ニトクリス」
目的のコフィンを見付けると、メイドの一人に声を掛ける。
「ハッ。出ませい!!」
うさ耳を付けたメイドが杖をかざすと、白い布を被った二足歩行の謎生物、メジェド様が現れてコフィンの隙間から内部へ侵入する。
「アヒャヒャヒャヒャ!フヒヒヒヒヒヒ!!」
途端、内側から女の子がしちゃいけないような笑い声を響かせて、コフィンのドアが開いて目的の人物である、ぐっちゃんが転がり落ちた。
「イーヒッヒッヒッヒ!ちょ、止め、止めなさいよ!起きた、起きたから!!」
それを見たうさ耳メイドが、杖を振ると脇や足裏をくすぐっていたいたメジェド様が消える。
次いで、パシャっと感光した音が響き、ぐっちゃんの顔が強張った。
「よくやった、アナスタシア」
「恐悦至極」
灰色の長髪で片腕にぬいぐるみを抱えた愉悦スマイルのメイドが、スマホを操作しながら恭しく頭を下げる。
「さて、ぐっちゃん。あの写真を項羽さんに」
「分かってるわよ。アー、くりぷたーヲ裏切ルノハツライケド、脅サレチャッタカラ逆ラエナイナー」
「宜しい」
こちらの意図を察したぐっちゃんは、明らかな棒読みで心が籠ってないが誰に聞かせるわけでもないから良いだろう。
ちなみに、写真はアナスタシアのあの様子なら既に項羽さんに送信済みと推理する。
「そういや、お前のメイド隊ってコードネームでもあるの?」
さらに渡したメイド服を見て、私が率いるメイドの一人に紛れさせることを言わずとも察したぐっちゃんが、袖を通しながら聞いてくる。
「あるぞ。アベンジャーズだ」
「フフッ。アッセンブルしなきゃね」
こうして、また一つ駒を進めることが出来た。
この時空では、ぐっちゃんは新所長の影響もあってアメコミ好きにもなってます。