気付いたら、カルデア新所長だった件   作:雪風冬人 弐式

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ルーキー日間の方ですが、ランキング入りしていてビックリしました。
これも皆さんのおかげです。

4話じゃ無理っぽいので、5話構成になります。…多分

今更ですが、独自解釈、独自設定あります。


承②

『それで、無事に芥ヒナコはこちらの陣営に引き込めたわけか。お見事だよ、我が婚約者殿。早速、式を挙げようじゃないか』

「あと、5年ほどは待て。それと、南極に式場なんてないぞ。つーか、それ以前にウェディングドレス着て外に出たら、それが死装束になるわ」

 

 カルデアに到着した夜。

 予定していた職員達への挨拶周りや協会による査問等が落ち着くと、宛がわれた部屋で外部と連絡を行う。

 もちろん、魔術的にも科学的にも防音してドアの内と外の両方共、メイド達に見張らせている。

 

「で、私はお世辞ではなく、計画の進行具合を聞きたいのだが?」

『もう、つれないではないか。まあ、懸念していたシャトルは、問題なく打ち上げに成功したよ。私も彼女達も変わりなく、初めての宇宙旅行を楽しんでいるよ。最も、君が一緒ではないことを気にしていたがね』

 

 通信の相手は、陶器人形のような白い肌に純金の糸を思わせる細く真っ直ぐな髪の美少女である。

 

「その点は、どうしようもないことだ。私はサーヴァントでもなければ、英雄でもない。少し意地汚い、普通の人間さ」

『冗談は止してくれよ。君が一般人だったら、この世は世紀末になってるよ。しかし、私も噂のカルデアを拝見してみたかったんだがな』

「それは何度も言ったが、この件が片付いたらだ。いくら、未だに疑似サーヴァントの状態とはいえ、お前に何かあったら私がロードに顔向けが出来ん。敵が来ると分かっているそっちよりも、いつ化けの皮が剥がれるか分からないこちらの方が危険だからな。それに、お前の役割はあくまでも宝具での後方支援だからな。本当は、家で待っていて欲しかったが」

『ふん。グレイも君もいない茶会は味気ないからな。そんなことをするぐらいなら、体を動かした方がまだ効率的だよ』

 

拗ねたように口を尖らせる十五歳児。ロリコンじゃないが、可愛すぎて堕ちそう。

 まあ、婚約云々は背伸びしたがる子供のジョークだろう。

 いやあ、小っちゃい頃の、大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる、発言を思い出しちゃったよ。

 可愛いいのう。癒されるのう。

 

『何はともあれ、無事に帰って来るんだぞ。待ってるぞ、マイダーリン』

「善処するさ。待っててくれ、マイハニー」

 

 最後に通信を切る時に、向こう側で何やら慌てる声が聴こえた気がするが、気にしないでおこう。

 時計を確認すると、午後の9時。夜食を頂くには、丁度良い時間だな。

 

「と、いうわけで、夜食にカレー麺を所望する」

「何が、というわけで、何でちか。この時間に、カップ麺は健康に悪いでち。専属シェフとして、見過ごせないでち!」

「そこを何とか!正月に手伝ったじゃないか」

「確かに立て直しに貢献してくれた、大恩人には違いないでち。だからこそ、でちゅよ!」

 

 夜食を食べにこっそりと厨房に潜入して、持ってきたカレー麺を調理していたら運悪く、今回専属コックとして同行してもらって厨房を取り仕切っていた紅先生に見つかってしまった。

 

「し、仕方ないだろう。本当なら、クリスマスはイバラキンとルヴィア嬢、鈴鹿っちとキャンプする予定だったんだ。それが、サン[タ]が来てパーになっちゃったからせめて、キャンプご飯で雰囲気だけでも、と思ってました。はい……」

 

 段々と紅先生の殺気が濃くなってきて、最後は尻すぼみしてしまう。

 

「まあ、作ってしまったものを捨てるのはさらに論外でち。今回だけは見逃すから、食べてくるでちよ」

「本当!?ありがとう、紅先生」

「そう思うでちたら、食べ物を使って謀をしないで欲しいでちよ。モノを食べる時はでちね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんでちよ。独りで静かで豊かで……」

「今後は、やりません。厨房を汚さないように、食堂スタッフの休憩室で食べてきます」

 

 いくら敵を欺く為とはいえ、食材を利用してしまったことを反省して、カレー麺を持って移動する。

 休憩室に入ると男性のスタッフが一人いて、自分と同じメーカーのカレー麺を啜っていた。

 

「お邪魔するぞ、名探偵殿」

「お構いなく、新所長殿」

 

 休憩室に居たのは何を隠そう、変装した世界的有名な名探偵シャーロック・ホームズであった。

 偶然居合わせた体で、近くに座って共にカップ麺を啜る。

 

「さて、まずは久しぶりだね、ゴルドルフ君。新宿の件は、改めてお礼を言わせて貰おう」

「何、必要だから尽力したまでだ。それで、カルデアを見てこれからをどう推理する?」

 

 お互いに食べ終わると、話を切り出したのはホームズの方であった。

 

「今は語るべき時ではない。と、言いたいがそうも言ってはいられない状況だからね。結論から言うと、種は七つだ」

「そう推理した理由は?」

「一番大きいのは、トライヘルメスで検索した結果だ。後はその他に諸々の証拠からだね」

「そうなると、未知のクリプターが一人はいることになるな」

「ああ。虞美人こと芥ヒナコを助けなければ、未知の敵は生まれなかったけどね」

「分かってるさ。でも、偽善かもしれないが知り合いを敵に回すのは、どうにも嫌でね」

「気持ちは分からないでもないさ。どちらにせよ、明日で君の運命は決まる。過労で全力の出せないことのないように、しっかり休んでおくんだね」

「ご忠告どうも。もし私が失敗したら、その時は頼むよ」

「まあ、出来る範囲で対処はするさ。良い夜を」

 

 先に出て行くホームズを見送り、自分もゴミを片付けて紅先生に明日の朝食にステーキのリクエストをして案の定、却下されてすごすごと落ち込みながら部屋へ戻る。

 人間的にダメな大人の演技を終えて、一息つく。

 出てくる可能性が高い、未知のクリプター。一体、誰なのだろうか?

 私は勝てるのだろうか?

 ともかく、今更悩んでも仕方ない。

 寝不足で負けましたなんて、シャレにならんからな。

 そうして、思考を切り上げて私は夢の世界に旅立つのだった。

 

 

 

 

 

 (地球)を包み込む大いなる宙の中、異星の神は静かに密かに近付いていた。

 狙った星のテクチャを張り替え、自らの七つの根を降ろす為に。

 本来ならば、星は人類は何も出来ずに漂白される筈であった。

 

「イグナ……イグナ……トゥフルトゥクンガ」「ふんぐるいふんぐるい、オン・ソチリシュタ・ソワカ、うがふなぐるふたぐん」

 

 だがしかし、今ここに反撃の狼煙が上がる。

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