暗殺教室〜自分のスタンドは暗殺向きです〜   作:ナメクジとカタツムリは絶対認めない

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鼻詰まりをこの世から消し去りたい。どうも、ナメツムリ絶認です。皆さん、お体は大丈夫ですか?僕は友達からパープルヘイズのウイルスを移されたみたいです。………はぁ。死ぬ。それでは、どうぞ!


師匠の時間

ーーー烏間先生を狙う黒い三つの影。一つは、我らがビッチ、イリーナ先生。ナイフをひと舐めし、今にも飛びかかりそうな表情で烏間先生を見つめていた。

そして二つ目の影は、突如現れたイリーナ先生の『師匠』、ロヴロ・ブロフスキさん。こちらは、イリーナ先生とは違い、烏間先生をしっかりと『観察』していた。

残る三つ目の影は、げんなりした表情のイケメン(自称)エリート(妄想)スーパー中学生の俺、鷹田銃悟である。

 

………何でこうなったんだっけ。遠い目をしながら数十分前に遡るーーーー

 

 

 

〜数十分前〜

「え?俺が烏間先生を暗殺っすか?なんでそんな急に…」

 

突然職員室に呼ばれた俺は殺せんせーの言葉に首を傾げる。説明も無しにこんな事言われたら誰だって戸惑うもんだぜ。そんな俺を見て、殺せんせーは笑いながら俺に説明を始めた。

 

「いえいえ、実は昨日イリーナ先生のお師匠様がいらっしゃってですね?『力不足のお前にはここでの暗殺は無理だ』と言われたのですよ。その言葉を聞いたイリーナ先生がショックを受けたその時!横から黄色の美男子が言い放ったのです。『それでは、烏間先生を先に殺せた方の条件を飲むと言うのはどうでしょう』…とね」

「いやどうでしょうじゃねーよ、そろそろ烏間先生頭の血管ブチ切れるぞ」

 

…一番の被害者は烏間先生だなコリャ。不憫すぎて仕方ねぇ。

 

「…つーか、なんで俺がやらなきゃいけないんだよ。その二人で競えば良いじゃあねーか」

 

その言葉に、殺せんせーは困ったように頭を掻く。

 

「うーん。なんと言いますか、()()()と言いますか……」

()()()?」

 

 

 

「私が指名したのだよ。『鷹田ジューゴ』をこの暗殺に参加させろとな」

 

 

 

ーーーーッ!?後ろから発せられた声に振り向くと、そこにはまさに『殺し屋』の雰囲気を纏った男性が立っていた。

こ、こいつは……?

 

「私の名はロヴロ・ブロフスキ。イリーナの師だ。…君が鷹田ジューゴ君か?」

 

…何かこの人からは『スゴ味』を感じる。…イヤ、イリーナ先生が三流とか、そういうのじゃあねぇ。むしろ、イリーナ先生の雰囲気に似ているようなーーーー?

 

「あ…ああ、鷹田です。…あの、聞きたいことがあるんすけど、なんで俺を暗殺に誘ったんですか?…別に俺には関係ないんじゃ…?」

「ふむ……そうだな、強いて言えばーーーライバルの実力を測りに来たという事だ」

 

ラ…ライバル?何だ何だ?…ハッ!?ま…まさかッ!俺とこの人は昔、何らかの因縁がーーー!

 

「ちなみに言っておくが、私と君は初対面だ」

 

…デスヨネー。こんな顔怖い人俺の知り合いにいる訳ねぇもん。…それだったらもっと分かんねえぞ。

 

「ヌルフフフフフ。それでは、暗殺を始めましょうか!」

 

ひとまず、様子を見よう。こうして、話は冒頭に戻るーーーー

 

 

 

 

 

 

 

って言うわけなんだ。…とりあえず、最初に烏間先生を狙うのが良いのかもな。様子見ってわけじゃあねぇが、ここは俺が一発ーーー!

そう思い、俺が拳銃を取り出したその時ーーー

 

ロヴロさんが、勢いよく飛び出した。

 

 

えぇッ!?ち、ちょっと待っーーーー!ああもうクソッ!

 

「『セックス・ピストルズ』!!」

 

《イイーーーーハァーーーーッ!!》

 

弾丸を三つ発射し、それぞれの弾丸に『ピストルズ』を着かせる。

一発目の弾丸は烏間先生の眼前を横切るように、そして二つ目の弾丸はロヴロさんが持っていたナイフを弾く。

 

「ーーーなっ!?…コレが…『スタンド』ッ!?」

 

 

驚いているロヴロさんをよそに、3発目の弾丸が、弾き飛ばされたナイフへと向かう。

 

 

《ウッシャアァアーーッ》

 

 

No.1とNo.2の強烈なキックで、ナイフが高速で烏間先生に向かった。ベネ!これでどうだ!

手応えを感じ、物陰から烏間先生の状態を確認する。

 

 

しかし、そこにいたのは危なげなくナイフを指で摘んだ烏間先生がいた。

…はあッ!?あの速度のナイフを受けとめたって言うのかよ!?

 

しかし、目の前にいるのはプロの殺し屋。予備のナイフを取り出して烏間先生に襲いかかる。がーーー

 

 

烏間先生は流れるような動きでロヴロさんを叩き伏せた。

そしてゆらり、と起き上がる。

 

「…熟練とはいえ年老いて引退した殺し屋と、超能力者が、先日まで精鋭部隊にいた人間を」

 

 

 

 

 

 

「ーーーずいぶん簡単に殺せると思ったものだな」

 

 

 

ヒイイイイイイイイイ!?怖い怖い怖い怖い!!

 

「オイ殺せんせーッ!俺あの人殺すビジョンが浮かばねえんだけど!?アンタなら一気に6個くらい思いつくのに!!」

「こ、これは先生も予想外ーーー今銃悟君サラッと酷いこと言いませんでした!?」

「カラスマ怖いカラスマ怖いカラスマ怖いカラスマ怖いカラスマ怖い………」

「おおぃッ!イリーナ先生ッ!戻ってきてくれ頼むからッ!?…ん?待って烏間先生こっち見てない?待って待って待って来た来た歩いてこっち向かって来たヤバいヤバいヤバいーーッ」

 

こうして俺たちは、作戦を練るため一時撤退するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…フッ、相手の戦力を見誤った上、この体たらく……。年はとりたくないもんだ」

「本当だよ、このクソジジイ、おかげでちょっぴり泣いちゃったじゃあねーか、このヤロー」

「ああああ!違うんですロヴロさん!この子はいつも良い子なんです!今日は何というかーーーそう!男の子の日です!」

「なんだそりゃ」

 

イリーナ先生からのツッコミが入る。うん。確かに意味が分かんねえ。

すると、目の前でロヴロさんがくっく、と笑い出した。

 

「どうしたんだよ、ついにボケたか?」

「きゃああああ!!ちょっと銃悟君!」

「いやーーー()()()()()()()()

 

ん?何だ似てるって。…今はそれどころじゃあないか。対策しねーと大変な事になる。主に今日の夜。怖くて夢に出て来そうだぜ。(涙目)

ここで『乗り越える』しかねぇ…。あの『恐怖』を『乗り越え』なくては、俺はもう成長できねぇッ!

 

「…しかし、この手ではもうあの男は()れないな」

「そんな!まだまだいけますよロヴロさんなら!フレー!フレー!ロ・ヴ・ロ!」

「…?アンタなんでそんな応援してんのよ?」

 

何故かロヴロさんを応援する殺せんせー。…しかし、このクソジジイが脱落したのはデカい。

しかし、イリーナ先生と俺がなんとか連携をとればーーー

 

「……結局、イリーナの最大の色仕掛け(ぶき)もあの男には通用しなかった。…この勝負、『引き分け』だな」

 

ーーーーは?

 

 

 

「なあ、なんで『引き分け』なんだ?」

 

その場の全員の視線がこちらに向く。…今、俺は結構頭にきてる。

 

「なんで最初っから俺たちが暗殺できないと決めつける?…プロの殺し屋だかなんだか知らんが、あまり俺たちをナメるんじゃあねえぜ」

「…ほう、それでは君はあの男を殺せると言うのか?」

 

 

「俺じゃあねえ。イリーナ先生、アンタが殺すんだ」

 

「ーーーーわ、私っ!?」

 

突然話を振られたイリーナ先生は驚きを隠せない様にこちらを見た。

 

「…どういう事だ?彼女の色仕掛けはもう通用しないといったはずだが……?」

「ああそうだ。確かに先生の武器はもう通用しない。だがな…ここに不思議な力を使うスーパー中学生がいる事を忘れんじゃあねーぜ?」

 

その言葉と同時に、俺の背後から『ピストルズ』が飛び出る。

 

「『スタンド』…か。…しかし、さっきの暗殺で、その『スタンド』もたいして役に立ってなかったじゃあないか」

「はん!もしかしてさっきの暗殺だけが俺たちの全力だと思ってるのか?ノンノンノンノン!俺たちの底力を侮っちゃあいけねーなぁ!

……アンタの弟子、アンタが信じなくてどうすんだ」

「…………フン、好きにするといい」

 

 

こうして、ロヴロさんはドアを開けて出て行った。

職員室に静寂が走る。

 

 

「…アンタ達は、本当に思ってるわけ?私がカラスマにナイフを当てられるって」

 

ぽつり、とイリーナ先生が呟く。…アホなのか、この先生は。

 

「何言ってんだよ、最初から言ってるだろ?俺はイリーナ先生だから殺せると思ったんだ。足りない部分は俺が補うさ」

「ええ、その通りです。貴女が師匠のもとで何を教わったかは分かりません。しかし、ここで何を頑張って来たかは分かります」

 

対先生用ナイフを紙に包み、イリーナ先生に手渡す殺せんせー。…やっぱやる時はやる人(?)だぜ。

 

「よーし!それじゃあ、烏間先生暗殺作戦、開始だ!」

 

 

 

 

 

 

 

昼休憩。生徒たちの目線は中庭に釘付けになっていた。なぜなら、そこには気に寄りかかり、昼食をとっている烏間に接近するイリーナを見たからだった。

しかし、イリーナは高度な戦闘技術を学んでいない。故に、イリーナの方法はーーーー

 

 

「ねぇ、いいでしょ?カラスマァ?」

 

 

やはり、色仕掛けであった。

上着を脱いでゆっくり近づいていくイリーナ。それを見た烏間はため息を吐く。

 

(…しょせんこの程度か。ナイフを奪って終わりだな)

 

烏間の心の中は、失望が渦巻いていた。形だけは同僚であった女の未熟さに呆れが出ていた。

 

「…いいだろう。やれよ。どこにでも当てればいい」

 

油断したそぶりを見せる烏間。しかし、体はいつでも反応出来る様に静かに力を込めていた。

 

「じゃ…そっち行くわね?」

 

イリーナがナイフを持ち、烏間に近づく。それを見た烏間は体を動かしーーーー!

 

 

 

 

 

突如、烏間の体が仰向けに引っ張り転がされた。

 

「ーーーーーーーッ!?」

 

(こ、これはーーー!)

 

 

 

職員室で暗殺を見ていたロヴロが驚愕する。

 

「『ワイヤートラップ』…ッ!」

 

(そうか、服と木を巧みに使って色仕掛けでカモフラージュ!…教えたこともない複合技術だ…)

 

 

そしてイリーナはそのチャンスを逃さない。脱兎の如く駆け、見事烏間の上を取ることに成功した。それに歓喜の声を上げる生徒たち。

 

(もらった!)

 

 

その手に持ったナイフを振り下ろそうとする。しかし、烏間はイリーナの腕を掴み、自身の身にナイフが当たるのを防いだ。

 

「ああっ!おい烏間先生ナイフ止めたぞ!?」

「マズイよ!力だったら烏間先生の方が強いから…!」

 

生徒の誰もが暗殺失敗と思ったその時、イリーナが突然獰猛な笑みを浮かべた。

そして口を開く。

 

 

「……後は任せたわよ、ジューゴ」

 

 

その言葉を発した瞬間、体育倉庫から二発の『ピストルズ』を乗せた弾丸が急接近して来た。

 

 

「なーーー!」

 

 

烏間が驚く間に、弾丸は二人との距離を縮めていく。

 

《イィィィッ!》

《ハァァァァァーッ!》

 

その弾丸は二人の間で均衡しているナイフの根本を打ち壊し、空へと消えていった。そして、ナイフの接合していた部分が破壊された事により、刃が烏間の胸へと落ちた。

 

 

あたりに静寂が流れる。ワンテンポ遅れて、生徒たちが一斉に声を発する。

 

「当たった!」

「すげえ、ビッチ先生残留決定だ!」

「さすが私の銃悟君…」

「は?」

「あ?」

 

 

そして、ロヴロがイリーナに近づいて行く。それを不安そうな表情で伺うイリーナ。

 

「出来の悪い弟子だ」

「ッ!」

 

 

「…先生でもやってた方がまだマシだよ。……必ず()れよ、イリーナ」

笑みを浮かべ、そう言うロヴロ。

 

「……!はい!もちろんです!」

 

 

 

 

 

こうして、この事件はひと段落ついたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ〜〜っ。疲れたー。…ん?あ、どうも銃悟です。あの後、イリーナ先生は教師としてここに残ることを許されたみたいだ。

…え?なんでそんなにあいまいなのかだって?…イヤ、体育倉庫で弾道予測してくれてた律に捕まったんですよ。すげービックリしたねー。だって完璧にラリった顔で[銃悟さん…?今私たちのほかに、誰も居ませんよ…?]って言うんだもん。それで反応に困ってたら何故か俺のスマホから機械の手が出てきて俺を抱きしめるんだぜ?

…人生初のハグが自分のスマホて。ハハッ、ワロス。

 

しかもその後、体育倉庫に入ってきた神崎と片岡が自分のスマホとハグしてる俺を見てゴミを見る感じだったからなー。これもう終わったなー。(白目)

 

 

 

…と、そんなこと言ってる間にもう学校だ。今日は一時間目から英語だからな。元気よく行こう。

 

「おはよーっす!」

 

そこに居たのは、複数人の生徒と、イリーナ先生だった。

 

「あら、おはようジューゴ。…そうだ。アンタに渡せって言われたものがあったんだった」

 

そういうと、胸の谷間から手紙を出すイリーナ先生。

…わかった。胸をじっと見たのは悪かったから、自分で胸を寄せるな陽菜乃。ドキがムネムネします。

 

絶景から目を晒し、手紙を開く。…………

 

 

 

 

「あのクソジジイ…!()()()()()だったのかよ……!」

 

俺の呟きにイリーナ先生が反応する。

 

()()()()()?…一体何なのよ」

『いや、実はーーーー」

 

「おはようございまーす!あれ?イリーナ先生、英語一時間目からだっけ?」

 

元気よく扉を開けて入ってきた矢田に、俺の発言は遮られたのだった。

…ま、いいか。俺は窓を開けて、手紙を紙飛行機にして飛ばす。風に飛ばされる手紙。そこに書いてあったのはーーーー

 

 

 

〔今度元気に帰ってこい。

           パッショーネ一同〕

 

 

俺の家族からの、あまりにも短く、それでいて優しい言葉だった。

 




ありがとうございました!

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