暗殺教室〜自分のスタンドは暗殺向きです〜   作:ナメクジとカタツムリは絶対認めない

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どうもー、ナメツムリ絶認です。
2020年になりましたねー。(今更)今年もよろしくお願いします!


二人目の時間

はいはい、どうも銃悟です。今日も出席日数確認(暗殺)を無事終えました。いつも通りに避けられた今日この頃。このヤロー。(韻踏み)

 

「烏間先生から転校生が来ると聞いていますね?」

 

そう。昨日の夜、烏間先生からメールが届いた。その内容は、転校生がE組に来るというものだった。…だいたいこの時期に来るってなると、やっぱり暗殺者だろうなー。

 

「律さんの時は少し甘く見て痛い目を見ましたからね。先生も今回は油断しませんよ」

「そーいや律、何か聞いてないの?同じ転校生暗殺者として」

 

原の質問に答える律。

 

[はい。…初期命令では…私と『彼』の同時投入の予定でした。私が遠距離射撃、『彼』が肉迫攻撃…連携して殺せんせーを追い詰めると]

 

ふーん…肉迫攻撃…本当に通用するのかぁ〜?だって殺せんせーだぜ?よほど鍛えたりしねーと…それこそ、体のどこかを改造するとかなぁ〜ッ。

 

[…しかし、二つの理由でその命令はキャンセルされました]

「なんで?」

 

誰かがそう聞くと、律は苦笑気味に俯きながら答えた。

 

[ひとつは、『彼』の調整に予定より時間がかかったから。もうひとつは───、私が『彼』より、暗殺者として圧倒的に劣っていたから]

 

それを聞いた教室内に戦慄が走る。

 

 

[私の性能では…『彼』のサポートをつとめるには力不足だと]

 

 

あの律を圧倒的に凌ぐ程の強さ…。いったい、何者なんだ…?

そう考えていると、不意に教室のドアが開かれた。

 

────来た。

 

みんながドアに視線を集中させる。誰かが固唾を飲む音が聞こえた。そして、外から入って来たのは──!

 

 

「…………」

 

 

白装束を身に纏った、いかにも怪しい男だった。その男は何も言わず、右手を上げる。そして────

 

 

ポンッ!

 

 

突然、鳩が手のひらに現れた。……これは………

 

「ははは、ごめんごめん、驚かせたね。転校生は私じゃあないよ」

 

白装束は朗らかな雰囲気を出しながら自己紹介をする。

 

「私は『保護者』だよ。……まぁ、白いし、『シロ』とでも呼んでくれ」

 

…なんだこいつ。()()()()ぞ。

 

「いきなり白装束で来て手品やったらビビるよねー」

「うん…殺せんせーでもなきゃ誰だって…」

 

その殺せんせーは液状化して天井の隅にへばりついていた。いやめちゃくちゃビビってんじゃあねーか。

 

「初めましてシロさん。…それで、肝心の転校生は?」

「初めまして殺せんせー。ちょっと性格とかが色々と特殊な子でね…私が直で紹介させてもらおうと思いまして」

 

はい、これおくりもの。と、殺せんせーに羊羹を渡すシロ。それに笑みを浮かべ、喜ぶ殺せんせー。それでいいのか。

 

「では、紹介します。おーい!イトナ!入っておいで!!」

 

今度こそ来る…!俺たちはドアを再度見つめる。そして数秒後────!

 

 

 

 

盛大な音が、教室の後ろから響いた。即座に後ろを向くと、今まで誰も座っていなかった席に、見知らぬ少年が座っていた。 

…いや、壁壊すなよ。ドアから入れよなぁ〜ッ。

 

 

「俺は…『勝った』。この教室の壁よりも強いことが証明された。『それだけ』でいい…。『それだけ』でいい……」

 

 

なんだこいつ。頭パープリンなのォ〜〜ッ?また変なのが増えたよこのクラス。(他人事)

 

「堀部イトナだ。名前で呼んであげて下さい。…ああ、それと。私も少々過保護でね。しばらくの間彼のことを見守らせて貰いますよ」

 

シロがそう言い、その場は静まる。しかし、ある人物が転校生に話しかけた。

 

「ねえ、イトナ君。ちょっと気になったんだけどさ?今、外から手ぶらで入って来たよね?──外、どしゃ降りの『雨』なのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()の?」

 

…確かに。カルマが言った通り何か奇妙だ。その指摘を受けた転校生──イトナは、クラスをキョロキョロと見回す。そして俺の姿を見て、指を向けた。

 

「…お前は、たぶんこのクラスで一番『強い』。…けど安心しろ、俺より弱いから…、俺はお前を殺さない」

「………」

 

「俺が殺したいと思う奴…。それは、俺より『強い』かも知れない奴だ。この教室では、殺せんせー。あんただけだ」

「強い弱いとは喧嘩のことですかイトナ君?…力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ、ヌルフフフフ」

 

羊羹を食べながら顔の表情がしましま模様になる殺せんせー。…腹立つ態度なんだけど、言ってることは事実なんだよなぁ〜〜ッ。腹立つけど。

その言葉を聞いたイトナは、殺せんせーが食べている羊羹と同じものを取り出す。

 

 

 

「立てるさ、────だって俺たち、血を分けた兄弟なんだから」

 

 

 

 

 

 

──────急展開すぎません?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄弟宣言した後、イトナは壊した壁から何処かに行ってしまった。いや壁直せや。その後、みんなは殺せんせーを質問責めにしていた。しかし、殺せんせーは知らないという。

まあ、確かにあの外見で兄弟ってのは難しいとは思うが…。

 

「にしてもなぁ〜ッ。似すぎなんじゃあねーのかよ、アレは」

 

俺の視線の先には、殺せんせーと同じグラビア雑誌を読むイトナがいた。あの後、しばらくして戻って来たのだ。その机には、大量の甘いものが置かれている。…あ、全部食べ終わった。

 

「ねえ、鷹田君。あの転校生、本当に今日殺せんせーを殺すのかな?」

 

片岡が弁当を持ってこちらにやって来る。…途端に周囲から殺気を向けられる。ちょっと待って下さいや。俺が何したって──スマホ熱っつ!?オイ律ちょっと待て俺のスマホから湯気出てるんだが!?──あいつ、本体から直接スマホいじりやがったなッ!?

俺が突然熱くなったスマホを取り出して机の上に置くと、片岡がまた話しかけてくる。()()()()()()

 

「ねえ、鷹田君?他の人に気を取られて無いでさ──、こっち見てよ。ねえねえねえ」

 

うわあい。いつの日か見たハイライトさんがどこかに行ってしまった濁った瞳だぁい。…片岡に限らず、この時の女子には何かやると言ったらやる、『スゴ味』がある。何でだ。

俺が考察をしていると、不意に自分の右腕が柔らかな物に包まれた。それに目を向けると、未だハイライトが灯っていない潤んだ瞳でこちらを見ながら、俺の腕を抱きしめている片岡がいた。

 

「何でそんなに無視するの…?…も、もしかして私のことが嫌いになった?──嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!ダメなところがあったら直すから!鷹田君が望むこと何でもしてあげるから!…だから、私を嫌わないで……!」

「オーケー、ストップだ片岡。ちょっと落ちつけ。というか落ち着いてください」

 

やんわりと肩を掴むと、片岡に言い聞かせる。

 

「あのな?俺は別に片岡のことを嫌ってるわけじゃあねえ。むしろ好意的に思ってる」

「ふえっ!?」

 

そのキザったらしい言葉に顔を赤く染める片岡ァ!そして囃し立ててくる外野ァ!(前原)強くなって行く殺気ィ!今さっき何かの部分が飛んでった俺のスマホォ!

 

「…さっきのは、ちょっと片岡のことを考えてただけなんだ。無視とかそーいうのじゃあない。それに、俺たちの事をいつも考えてくれてる片岡を嫌いになるわけないだろ?」

 

っかあ〜〜ッ!どこの色男だよお前はァ!?恥ずかしいとは思わないの?生きてて。(倒置法)

そんな黒歴史をまた一つこの世に刻んでしまった俺に、さすがの片岡も俺の目をじっと見つめて動かない。見ろよあの口元。満面の笑みじゃねーかよ。嘲笑われてんのか、ハハッ!!(名推理)

 

「……俺、女の子達は好きだけど、こんなハーレムは嫌だなぁ…」

 

 

 

オイコラ前原お前後で覚えとけよ。

 

 

 

 

 

 

はてさてご飯も食べ終わり、俺たちは机を移動させている。…え?何でそんな事してるのかって?…イトナと殺せんせーが今から決闘するからなんだよ。何でもシロがそうしてくれって頼んだんだ。俺は誰に説明をしてるんだろう…。(戦慄)

そして、イトナと殺せんせーが机のリングの中に入る。するとシロが殺せんせーにある提案をする。

 

「ただの暗殺は飽きてるでしょ殺せんせー。ここはひとつ、『ルール』を決めないかい?…リングの外に足がついたらその場で『死刑』!…どうかな?」

 

「…なんだそりゃ、負けたって誰が守るんだそんな『ルール』」

「──いや、みんなの前で決めた『ルール』は…破れば()()()()()の信用が落ちる。…殺せんせーには意外と効くんだよあの縛り」

 

杉野の言葉にカルマが答える。…なるほどな、いい性格してやがるぜ。殺せんせーがカルマが言った通りの性格だとしたら──。

 

 

「…いいでしょう。受けましょう」

 

 

やっぱりな、…ったく。わざわざそんな事しなくても俺たちが信用を無くすわけねーってのによ。

殺せんせーの返事を聞いたシロは、満足気に頷いて、そして右手を上げる。

 

「…では合図で始めようか。暗殺───」

 

張り詰めた空気が辺りを支配する。その場の誰もがリング内にいるふたりに注目する。そして──シロが、右腕を振り下ろした。

 

 

 

「──開始」

 

 

 

その合図が出た瞬間────。

 

 

 

 

 

 

殺せんせーの触手が一本、『何か』によって切断された。

皆の視線は『ソレ』に固定される。本体から分離され、トカゲの尻尾のようにビチビチと跳ねる触手に───ではなく。

イトナの頭の辺りを音を立てて移動している『ソレ』は──、

 

 

 

 

 

「『触手』ッ!?」

 

 

 

 

殺せんせーの武器でもある『触手』。それがイトナの頭と同化していた。…うそだろ、何でなん────ッッ!?

突如、辺りにとてつもない寒気が漂う。すると殺せんせーの顔色が文字通り変わっていく。黄色から──()()()()色へ。…こ、この色はッ!?

 

 

「どこで『ソレ』を手に入れたッ!!その『触手』をッ!!」

 

 

「──渚。あの色って───」

「う、うん。『黒』は、殺せんせーが怒った時、の色なんだけど──何で怒ってるんだろう…?」

 

今の殺せんせーは誰がどう見てもキレている。…しかし、『どこで手に入れた』、か──。『何故触手がある』じゃあないんだな。

 

「…シロさん。どうやら貴方にも話を聞かなきゃいけないようだ」

「聞けないよ、死ぬからね」

 

そう言い、シロは袖の間から光を出した。

その光線を浴びた殺せんせーは、何故か動きを止めた。さらによく見ると、流線を帯びていた体は、どこかカクカクした歪な形となっている。

 

「この圧力光線を至近距離で照射すると、君の細胞はダイタラント挙動を起こし、一瞬全身が硬直する。──全部知っているんだよ。君の弱点は全部ね」

 

その言葉と同時に、イトナから無数の触手が繰り出された。

 

「死ね、兄さん」

 

そして──殺せんせーの体は、その触手に貫かれた。

 

「殺ったか!?」

 

村松がそう叫ぶ…がしかし、寺坂は冷静に答えた。

 

「…いや違う、上だ」

 

その言葉に皆が上を向くと、蛍光灯にぶら下がって荒い息を整えている殺せんせーがいた。

 

「『脱皮』か…そういえばそんな手もあったっけか」

 

それを見たイトナはまた触手をヒュンヒュンと動かし始める。そして再び触手で殺せんせーを襲い始めた。

 

「その『脱皮』は見た目よりもエネルギーを消耗する。よって直後は自慢のスピードも低下するのさ。常人から見ればメチャ速いことに変わりはないが、触手同士の戦いでは影響はデカいよ」

 

確かにイトナの攻撃が少しとは言え確実に当たっている。必要最低限の防御はしているようだが、その頻度が多くなっていた。

 

「加えて、イトナの最初の奇襲で腕を失い、再生しただろ?それも結構体力を使うんだよ」

 

そして、シロは次々と殺せんせーの弱点を暴露していく。

 

「また、『触手』の扱いは精神状態に大きく左右される。予想外の『触手』によるダメージでの同様、気持ちを立て直すヒマも無い狭いリング。…今現在どちらが優勢か。生徒諸君にも一目瞭然だろうねー」

 

「お、おい…これマジで殺っちゃうんじゃあないのか…?」

 

誰が言った言葉だろうか。全員がイトナのその強さに戦慄し、そして念願の殺せんせーの『暗殺』を達成できる──。

しかし、生徒たちの顔に浮かぶ表情は、何故か良いものではなかった。…こいつはマズイな。

 

 

「更には、献身的な保護者の───ッ!」

 

 

そう思った俺はシロの袖の中にある機械に向け、発砲するのだった。

 

 

 

 

 

 

〜渚side〜

それは、突然だった。僕の横で銃悟くんが発砲したのは。その音に周りのみんなも驚く。

 

「おいテメー、何俺たちの『獲物』横からぶんどろうとしてんだコラァ!それにお前らもだ!目の前で『獲物』取られそーになってんのによぉ〜〜、ボケーっとして見てんじゃあねーぞ!!」

 

その言葉に僕たちはハッ、となる。…そうだ。さっきからずっと感じてたこのもやもやは、『悔しさ』だったんだ。急に出てきた人が、僕たちが頑張って集めた『努力』を一瞬で追い抜いたから。

…そんなんじゃあ『駄目だ』。僕たちには『飢え』が足りなかった。何が何でも『殺してやる』という、気高き『飢え』が足りなかったんだッ!『飢え』なきゃあ、殺せないッ!

 

 

「……!殺せんせー!負けないで!」

 

 

気づけば、声が出ていた。暗殺者が、ターゲットに応援するなんて言語道断かもしれない。しかし、自分たちが『殺す』という気持ちは全員同じだった。

 

「何してんだよ、そんなぽっと出の奴にやられてんじゃあねぇぞ!殺せんせー!」

「殺せんせーを殺すのは私たちなんだから!」

「殺されたら一生エロ本見れなくなんぞ!?」

 

…ひとり、変なのが居たけど、それでもこのクラスが一つになった。それを見た銃悟くんは満足気な表情を見せた。…やっぱり頼りになる男だ。

 

 

 

 

 

「…くだらない」

 

 

 

 

 

すると、壊れた機械を捨てながらシロさんが呟いた。

 

「君たち、何か勘違いをしていないかい?これは競い合う『スポーツ』じゃあ無いんだよ。れっきとした『暗殺』さ。誰が殺したか関係ない。最後に笑うのは結局。そいつを殺した者が笑うのさ!それを『死なないで』だと?ハッ!反吐が出る」

 

シロさんの雰囲気が一変し、低い声色で吐き捨てるように言う。そして、銃悟くんに向かって言葉を放った。

 

「…やはり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()鹿()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「『社会のクズ』に君は救われたんだっけ?君もかわいそうだね、鷹田銃悟くん。あんな『麻薬』を売ってた組織に拾われるなんて」

「…………」

「確か…組織名は──『パッショーネ』────」

 

 

 

その時、シロさんの右頬に弾丸が掠って飛んだ。…え?…待ってくれ。彼は…決して生きてる人の『頭部』とか、『弱点』を狙わなかった筈だ…!『手』とか、『足』とかの筈…なのにッ!?

 

 

 

「……そういやあよぉ〜、ある人からの受け売りなんだがよぉ〜〜。アンタら、『覚悟して来ている人』…だよな」

 

 

静まりかえった教室に、銃悟くんの冷たい声が響く。

 

「人を『始末』しようとしているってことは、逆に『始末』されるかもしれねーっつー『覚悟』をしてるってことだよなぁ〜ッ」

 

「……何が言いたいんだい?」

 

 

 

 

「まだ分かんねーのかぁ〜〜ッ!?『ぶっ殺す』っつってんだッこのスカタンッ!!」

 

 

 

その怒りの形相を浮かべた彼の瞳には、黒く、そして昏い炎が映っていた。




とべこんちえぬど

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