わだつみの抱く光   作:筆折ルマンド

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投稿、遅れて申し訳ありません。

ちょっと油断して友達のブロスフンダルと伝説になろうとしてたら、合宿が始まってしまって文を書く時間が減り、更に微スランプが重なってかなり遅れてしまいました(言い訳)。

今回はクリスちゃん視点になります。(唐突)

遅ればせながらお気に入り200件ありがとうございます。



籠の中

 フィーネから命令を受けて8日。籠絡に関しては流石に無理だと説得して命令から目標にしてもらったものの、監視自体がだんだん面倒になってきたあたしはフィーネに最初の一週間の報告を済ませた次の日、部屋を出るのが億劫になり、いつもならあの野郎(深海賢治)を軟禁している書庫に向かっている時間にもかかわらず部屋でゴロゴロしていた。

 

 だって|あの野郎何かするわけじゃねぇし。いやまぁ、何かはしてるけど脱走しようと悪巧みしてる訳じゃねぇ。好き勝手に電化製品をバラしたパーツで遊んでるだけだ。

 

 だけってまぁ確かにそれ自体が危ねぇけどそれは自己責任の範疇だし許容範囲じゃねぇか? 

 

 そう思って、ダラダラと部屋の中で過ごしていると、何の前触れもなくあたしの部屋のドアが開いた。

 

 屋敷の中にはあたしと|あの野郎だけ。あたしには部屋の鍵が渡されていないんで、あたしの部屋に鍵は付いていない。とはいえだ。今、あたし以外にフィーネの屋敷を自由に歩き回れる人間はいないはず。

 

 強いて挙げるのなら軟禁されているはずのあの野郎……。

 

 まさか! あの野郎脱走したのか! 

 

 そうすぐさま結論を出したあたしは身構えたが、空いたドアの隙間から部屋の中に入ってきたのは、小さな台車に乗ったフィーネの人形だった。デフォルメされた3頭身の人形はその手にソロモンの杖に似た造形の先に紫色の丸い玉がついた杖を握っている。

 

「なんだお前」

 そう言ってトロトロあたしに近づいて来たフィーネ人形に近づくと人形が急に声を上げた。

 

「深海賢治が活動しているわ。監視任務を命じます」

 そう言いながらギコギコとあたしの後ろに回りあたしの足にぶつかってくる。どうやら急かしているようだ。

 

 なるほど。コイツはフィーネが用意したあたしを監視するために用意したロボットってわけだ。もしかしたら昨日の報告であの野郎の監視に飽きてきてたのがバレていたんだろうか? それとも元々作っておいていたのか? 

 ……なんとなく後者の気がする。

 

 でも! 今日のあたしはオフモード。監視に行く必要もあんまり感じなくなってるし、今日はもう書庫へ行くつもりは無ぇ。明日からまた頑張る。日本は土日休みなんだからな! 

 そう思ってかがんでフィーネ人形に話しかける。

「あの野郎は脱走なんてそうそう考えねぇよ。少し様子見するぐらいで」

「深海賢治が活動しているわ。監視任務を命じます」

 

「いやな。あたしもサボりは良くねぇとは」

「深海賢治が活動しているわ。監視任務を命じます」

 フィーネ人形はまさしくロボットのようにフィーネの音声を繰り返した。

 

「ちょっと待てよ。あたしだって」

「深海賢治が活動しているわ。監視任務を命じます」

 

「いやだから」「早く監視任務に行きなさい」

 

「ちったぁ」「早く監視任務に行きなさい」

 

「だー! うるせぇ!」

 ガツン! ガラガラ、ドン! 

 

 あたしはしつこくフィーネの声を垂れ流す台車人形に苛立って思わず蹴っ飛ばしちまった。人形は台車に乗ってごろごろと転がって行きベッドの木の板に激突した。

 

 一瞬壊れてないかと少し心配したが、次の瞬間バチバチと電気が弾ける音と共に台車が急発進してあたしの足にぶつかる。

 

「痛ぇ!」

 何すんだコイツ! 

 

 あたしが人形を睨むと同時に、人形の方もギロッと上を向いた。人形とあたしの目が合う。金のガラス玉は不気味にあたしの顔を写している。

 人形の口がカシャカシャと動き

「おいたがすぎるわよ。クリス」

 フィーネが時々するぞっとするような冷たい声が響いた。

 ただの人形だと言うのに怯んでしまったあたしに向かって人形が手に持った杖の紫色の玉を向ける。紫色の玉からキーンと高音が鳴ると同時に玉がバチバチと火花が放った。

 

「ま」

 バチン

 

 紫色の玉から紫電がほとばしり、久しぶりのあの痛みが足を駆け抜けた。

 

 ◇

 

「おや、寝坊かい」

 そう言って息を切らしてこの男(深海賢治)を軟禁している書庫に滑り込んできたあたしにコイツはまるで遅刻した子供をたしなめる教師のように接してきた。

 

「そんなんじゃねぇよ」

 後ろを見れば扉のガラス越しに紫の玉をバチバチと帯電させたフィーネ人形が見える。

 

 あの後、あたしは電撃で折檻しようとするフィーネ人形に追い立てられ、結局コイツのいる書庫へと追い込まれた。

 フィーネ人形はあたしがこの中にいる間は襲ってこないらしく、書庫の前で待機している。さっきまでバチバチと弾けていた紫の玉もエネルギーの供給が止まったのかだんだん放電の音も大人しくなっている。

 スタンガンなんて目じゃない電圧の電気を放つロボットなんてもはや武器だろ。

 

 野郎と扉の前に陣取ったフィーネ人形を交互に見て、あたしはハァと息を吐いた。とりあえずは今まで通り監視を続けなければならないようだ。

 

 そう思って振り返ると

「はい、今日の分の問題」

 そう言って野郎から差し出されたのはまるで機械のように整った字で中学2年生と書かれた冊子。

 

「……おう」

 あたしが冊子を受け取ると野郎はにっこりと笑って自分の読書に戻った。

 

 あたしは監視の間、この野郎の暇つぶしの一環として勉強を教わっていた。

 

 

 ◇

 

 

 カリカリとあたしが文字を書き、あの野郎がペラペラと本をめくる音だけが聞こえる。

 

 これだけ聞けば書庫として正しいあり方のはずなんだが、書庫にしてはあたしらが過ごしている場所はいささか所帯染みていた。

 

 この書庫は一週間前まで一度も使ったことは無かったもののガラス越しに知識の詰まった場所として一種の荘厳さを醸していたはずなのに、軟禁されたコイツによって、わずか数日で改造に改造を重ねられ、ガラス張りで廊下から中が見えることを除けば、もはや普通の家と見紛うような変貌を遂げていた。

 

 書庫の入り口近くの長机が並んでいた場所は応接室から引っ張り出してきた2つのソファと低めのテーブルが置かれ、長机はどこかへ行ってしまった。十中八九コイツが解体でもしたんだろう。

 

 そんなわけで書庫の中央にできたリビングルームのような場所であたしは野郎の作った問題集を解いていた。

 

 ただ鬱陶しいことが1つ

「……どこか分からない所とか無いかい?」

 時々心配そうに野郎が問題について聞いてくることだ。生憎地頭は悪くないもんで詰まることはない。

 けど、無いと何度も伝えても、本気で心配そうに聞いてくるコイツがあたしには鬱陶しくて仕方がない。

 

「頭の出来を自慢してぇならモンティ・ホール問題でも解いたらどうだよ」

 

「モンティ・ホール問題がなんなのか分かる?」

 

「知らねぇ」

 

「なら解いてもクリスちゃん分かんないでしょ」

 

「それあたしのこと馬鹿にしてんのか!?」

 

 あたしが声を荒げると野郎は慌てて弁明した。

「いや、普通に難しい問題だから俺も解説できないってだけだよ。それぐらい納得するのが難しい問題なのさ」

 

「そうなのかよ」

 

「そうなの」

 

「へー。じゃあ教えてみろよ。あたしは理解力にゃちったぁ自信があるんだぜ?」

 そうにっと笑ってあたしが挑発すると野郎が楽しそうに笑った。

 

「へぇ〜、なら少しぐらい解説してあげようか」

 

「おう。あたし様にかかれば解けねぇ問題なんか無ぇっての!」

 

 有った。

 

 

 ◇

 

 

 昼飯も夕飯も実は複数体居たフィーネ人形によって運ばれて来たため書庫から出ることなく1日を過ごしたあたしは、書庫の奥へ行こうとする野郎に一言逃げるんじゃねぇぞと一声をかけて自室に帰ろうと書庫の扉を開けた。

 当然、目の前にはフィーネ人形が立っている。

 まぁ、反抗しなければただの便利ロボットだしいずれ慣れるさ、そう思ってフィーネ人形の前を通り過ぎようとした瞬間。

 フィーネ人形が声を上げた。

「深海賢治が活動しているわ。監視任務を命じます」

 

「は?」

 

「深海賢治が活動しているわ。監視任務を命じます」

 

「いや、もう夜だし」

 

「深海賢治が活動しているわ。監視任務を命じます」

 

「いや、あたしもう眠い」

 

「早く監視任務に行きなさい」

 

「……」

 

 ◇

 

「どうしたのクリスちゃん」

 

 ソファで膝を抱えるあたしの顔を覗き込みながら野郎がそう問いかけてくる。

 

「……知らねぇ」

 

 どうやらあたしも閉じ込められたらしい。




強制イベントミッション
『フィーネの館から脱出せよ』
主人公があまりに目立ちすぎた際に発生する「クリス襲撃イベント」で敗北すると連鎖的に発生するイベント。
発生すると行動が大幅に制限され、基本的に雪音クリスとの接触しかできなくなる。

脱出方法は主に強行突破とクリスを味方に付けるの2つがあるが、
前者は軽装備でノイズ無限湧き+二段階クリスとの戦闘をこなしながら脱出ポイントまで逃走しなければならないため、よっぽど主人公の戦闘力に自信がある場合でなければやるべきではない(そもそもそれだけの戦闘力が有ればクリス襲撃イベントはクリアできる)。
そのためクリアするには基本的に後者の方法を取ることになる。
クリスを味方にする条件は、主人公に対するクリスの信頼度を、フィーネに対する信頼度よりも上回らせること。
こちらは難易度自体は低く、フィーネに対する信頼度はストーリー進行に従って低下するため、よほどやらかさない限りいずれ上回る。またクリス自身も攻略難易度は低めのため無難な対応でも少しずつ信頼度を貯めることができる。
ただし強制ミッションの中でもダントツで拘束期間が長く、フィーネに対する信頼度が低下するイベントである「響vsクリス」「デュランダル覚醒」が発生する前にこのイベントが起きると拘束期間が1ヶ月を超えることも普通にありえる。
ヒロインが確定していない場合ではあまり問題にならないが、ルートが確定している場合、時間経過によるヒロインのメンタル値減少と爆弾の処理が不可能になるため、やっとの思いで脱出した次の日にデッドエンドするなんて可能性を孕んでいる。
また、だからと言って性急にクリスの信頼度を上げようとすると好感度を上げる必要が出てくるため、とにかく早く脱出しようとした結果、修羅場フラグが立ち、これまた脱出直後にデッドエンドを迎える可能性がある。
これ以外にもそもそもの発生条件である「目立ちすぎ」が錬金術師勢力の襲撃を受ける可能性を高めるため、蛮族プレイでもない限り基本的に目立つことはオススメはしない。


はい、ごめんなさい。
作者は設定厨です。こういうの考えるの大好きです。

とりあえず、明日にはグレビッキーに粉末にされていると思うので次の更新は明後日以降になります。

次回 戦姫絶唱シンフォギア わだつみの抱く光
第5話 睡虎の目覚め
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