これは嵐の予感。
それはともかく、今回から無印閑話編です。
あと前回、これからは三人称で書くと言いましたね。アレは嘘…あ、いや、単純に二人称の方が書くのが楽だったので流れただけです。すいませんでした。
申し訳ありませんが、これからも視点はころころ変わると思います。
今回はグレビッキー視点です。
病院にて
「……キー、ビ……キー」
肩を叩かれる感覚。安藤……さん?
ぼーっとしていた私の前を誰かが遮った。
「立花さん! ちゃんと話を聞いていましたか!!」
はっ、となって前を見る。目の前には担任の先生。
「……すいません。ちょっとぼーっとしてて」
先生が腰に手を当てて深々とため息をつく。
「校外活動に熱心なのも良いですが、学生の本分を忘れないように!」
ごめんなさい先生。たぶん今先生が考えている事と私が考えていたことは違います。
「……はい」
先生がツカツカと私のそばを離れて、教卓に戻り、授業の続きを始める。
「災難だったね」
席を寄せて安藤さんがこっそり耳打ちする。
「……でも私が悪いし」
賢治さんの事を考えてしまうとなかなか戻ってこれないことが多い。前々からだんだん意識が遠くに行く時間が長くなっているのは自覚してるから、気をつけたい。……できるとは思えないけど、努力はする。
「まぁ、そうだけどさ。でも、ワザワザ耳元で言わなくたって良くないと思うけどねぇ」
……それは少し思った。
◇
櫻井博士の叛意が暴かれ、離反してから数日。
賢治さんは事件の際に身体を酷使した結果、極度の疲労によって深い眠りについてしまい、未だに起きる兆しを見せなかった。
「アイツはまだ起きてねぇぞ」
病室の前について早々、そうつっけんどんに言ったのは賢治さんが連れてきた2年前に行方不明になっていた少女、雪音クリス。彼女はどういう訳か賢治さんの病室を見舞いに来ており、何をするでもなく部屋の隅に居座っていた。
「……そう」
「そう、ってお前」
椅子を持ってきて賢治さんの眠るベッドの横に座る。
「今起きてなくても、あと少ししたら起きるかもしれないでしょ」
ビニール袋から買ってきた林檎を取り出して剥き始める。
「だから私はここにいる」
起きた時に一番近くに居たいから。
「あ゛ー」
雪音さんが私の顔を見て顔を真っ赤にした。
「……何?」
「んでもねぇよ!」
ったく、ずいぶんしたわれごにょごにょ。
何を言ってるかよく聞こえない。
「そういえば、雪音さんの方こそなんで賢治さんの病室に来てるの?」
「あん? 、そりや、そのぅ……まぁ〜」
雪音さんが口ごもり、プイッとそっぽを向いた。
クゥ〜〜
その瞬間、どこからか、というか雪音さんの方から小さな音が聞こえた。雪音さんの顔を見るとほんのり赤い。
「もしかして、私のお見舞い目当て?」
私は毎日賢治さんの病室を訪れては、林檎を剥いては置いて行っていた。当然だけど次の日には無くなっているから、病院の人が片付けてしまっているのものだと思っていたけど、
「すまねぇ」
今のは聞こえた。どうやらわたしの後に訪れていた雪音さんが食べてしまっていたらしい。
「……いや、どうせ夜になったら看護婦さんに片付けられちゃうだろうし、別にいいけど。……司令から電子マネー機能付きの通信機貰ってなかった?」
そう私が言うと、雪音さんが一見収納などこれっぽっちもないように見えるワンピースのどこかに手を入れると、すっとゴツゴツとした大きめのトランシーバーのようなものを取り出した。
それは、寮に入るまでの間、交通費の現物支給として一時的に私も借りていたことのある代物だ。
「これだろ」
「そう」
「いやなぁ、ちょっとなぁ」
もったいぶる様に歯切れが悪い。
「何?」
「笑わねぇか?」
「え?」
「使わねぇ理由言っても笑うなよ?」
「……? 笑う訳ないでしょ」
「言ったな! 絶対だかんな!」
雪音さんが私のそばに寄る。
「……人の金で何か買うって怖くねぇか?」
そう言った雪音さんは同意を求めるように食い入る様に私を見つめる。
私は少し考えて、
「雪音さんって、口調の割に育ちがいいんだね」
「はぁ!? 言うに事欠いて何言うんだよ! 今、あたし笑われるよりムカついたぞ!」
むっと膨れて荒ぶる雪音さん。
「私も雪音さんと同じ奴、昔少しの間だけ借りてたけど、必要だと思った時は遠慮なく使ったよ」
実家からこっちに来る時の電車とか昼食とか、母子家庭の高校生の財布には大変ありがたかった。もちろん、最小限の出費に抑えたつもりだけど。
「お前、……あーいや」
私の言葉を聞いてポカンとしていた雪音さんは何かを言おうとして言い澱む。
「見かけ通り図太い?」
「んな事言ってねぇよ!」
「本当は?」
「言わねぇよ!」
必死になって否定する雪音さんを見てくすくすと笑いが溢れる。キッと雪音さんが私を睨んだ。ふふふ、ちっとも怖くない。
サクッと最後の一回りで皮が林檎から切り離され、ビニール袋の中に落ちる。八等分にした林檎をひとまず4つずつに分けて紙皿に盛る。
横のチェストの上に一皿置いて、もう一皿を雪音さんに渡す。
「ひとまずね」
「……おう、ありがとよ」
受け取った皿の上の林檎を一切れとると雪音さんは一口で頬張った。頰が膨らみ、ゴリゴリと音を立てる。
「
……喜んでくれるのは嬉しいけど。うーん、あまりいい食べ方ではない。私は作るのも食べるのも好きな身として、綺麗に食べてもらいたいという欲が少しばかり強かった。
「……雪音さん、あんまりそう食べるのは良くない」
私がそう指摘すると、雪音さんはハッとした様子で口元を隠し、ゆっくりと咀嚼し始めた。
飲み込んだ。
「すまねぇ、コイツにも食べ方は直せって言われてたんだけどよ。最近は一人で食うことが多くて気を抜いちまってた」
「コイツって賢治さんのこと?」
「あぁ」
「賢治さんと一緒にご飯食べてたの?」
「うん? あたしは元々コイツの監視をフィーネに任されていたし、食事中は危険物を手に握る訳だからな。監視が必要だったんだよ。まぁ、実際の所、食べ方が汚ねぇってんで、コイツに食べ方を指導されまくってて、監視されてんのはコイツじゃなくてあたしみたい感じになっちまってたけどな」
「……へぇ」
シャクシャク
ちょっとお高い林檎、蜜も多くて甘くて美味しい。
「あ、お前ソレ」
「何?」
シャクシャク
「……まぁ。いいけどさ。……あたしももう一つ貰っていいか?」
ノータイムでお皿を差し出した。
「どうぞ」
「ありがとよ」
受け取った雪音さんは少しずつ齧って食べる。
時間を見ればもう4時過ぎ。3時のおやつには少し遅い。
「あぁ、そういえば」
「何だよ」
私はバックからパンを取り出した。
「お昼の残り、開けてないけどいる?」
「……いいのか?」
「うん」
「ありがてぇ。へー、アンパンかぁ。食うの久しぶりだな」
「櫻井博士の所じゃ何食べてたの?」
「肉、パン、野菜。野菜は嫌になるほど食わされたな」
「……ずいぶんと健康的だね」
「フィーネは海外の怪しい連中と繋がってたんだが、フィーネの話じゃそいつらは軒並み偏食家なんだそうだ。そんで、その話をするたびにフィーネは「真の知性は完璧な栄養によってもたらされる」とか言って馬鹿にしてた。元から食生活には気をつけていたのかもな」
「へぇ」
その後もご飯の話は続いた。まぁ、雪音さんは食べものとかお店には詳しくなかったから、ほとんど私の方がこの街の美味しいお店を紹介してたけど。
◇
時間は5時半を過ぎ、外はそろそろ夕暮れになっている。
「それじゃあ、私そろそろ戻らないと」
「おう、それじゃあな」
「……雪音さんは帰らないの?」
「もう少しいるわ。どうにも本部は大人が多くてな。あんまり居たくねぇ」
「……そう。それじゃあね」
「あぁ」
私は椅子を片付けて扉を開ける。
「……。なぁ!」
「どうしたの」
「り、林檎ってどこで買えんだ!?」
「……私は下町の八百屋さんで買ってるけど、たぶんカード使えないよ」
私がそう言うと雪音さんは露骨に落ち込んでしまった。
「そ、うか」
しょぼくれる雪音さん
「また、買ってくるから、その時も一緒に食べよう」
雪音さんがバッと顔を上げた
「あぁ! そうだな! この馬鹿の分も食っちまおうな!」
そう言う訳には……、とも思ったけど、賢治さんにはまた別なモノを持って来ればいいかなと思った。
「……うん、それじゃ」
「あぁ、またな!」
病院からの帰り道、いつも起きない賢治さんを思い出して重かった足取りが、今日は少しだけ軽かった。
まだ仲良く無いので苗字呼び、クリスの方も名前を呼びません(原作もですが)、ひとまずネタに走る前に真面目な閑話をと……。
ギチギチギチギチギチギチギチギチ
リヨ393「私の出番…何処?」
ルマンド「ぐべぇ、あ゛、いや、無印だと配役の関係で出番が」
リヨ393「G編書く気力が残ってるのか怪しいでしょ」
メキメキメキッ!!、ビシィッ!!
ルマンド「も゛申し訳ありませんが、貴女の出番は」
ニコッ
リヨ393「貴方のその強情な所、好きじゃないし嫌いだよ?」
ルマンド「ぐぁぁぁ、ジーク・ジ」大爆発
シンフォギアのラスボスのメインプランを潰された際のリカバリー力の高さ凄いと思う(唐突)
戦姫絶唱シンフォギア わだつみの抱く光
次回 「電光刑事は隠れない」