TS、改造、洗脳、記憶の保存に不老不死。
というか記憶を複製できるなら錬金術使い放題じゃないの?
あとキャロルで70億倍絶唱ならサンジェルマンなら何百億…
393
刻は午後4時、二課の居住エリア。
「〜♪ 〜♪」
鼻歌混じりに廊下を歩いているのは雪音クリス。その両手に山となって抱えられているのは飲み物、お菓子、そしてあんパン。
今日はこれからミーティング。クリスと響はお見舞いを早めに切り上げ、残りの時間をクリスの部屋で過ごすことにしていた。
そもそもお見舞いを早めに切り上げるとはなんぞやと思われるが、
友達がいないため知り合いの眠る病院に来ていたクリス。お見舞いに来ていたが起きない賢治を前に陰鬱になっていた響。2人は友達となることで互いが抱えていた問題を緩和させていた。
数日を経てそれなりに仲良くなった2人は不器用ながらあちこち行くようになっており、(それを書けよ)
そうなると病院に留まる意義が小さくなる訳で、
いまや病院は2人の待ち合わせ場所程度にしか使われていなかった。
つまりは、賢治の扱いがぞんざいになっているのだが……。
代わりが2人の少女の安寧となれば比べるまでもなかった。
◇
「私も一緒に行こうか」
「はぁ? 子供じゃねぇんだ。同伴なんていらねぇよ」
「でも私の分の食べ物だって」
「ンなもんあたしが買うに決まってんだろ? いっつも奢って貰うだけってのは好かねぇ」
「……あんまりお金使いたくないんじゃないの?」
「あんたとは前に給料の話しただろ? あたしが二課の装者として一回出撃すりゃ、それだけでお釣りが来らぁ。後で耳揃えて返しゃいいんだよ」
「……いいの?」
「何がだよ」
「二課の装者になること」
「いいからここにいるんじゃねぇか」
「……そう。じゃあ、お願い」
「おう」
そんなちょっとしたやり取りを経て、クリスは買い出しに行っていた。
◇
流石と言うべきか政府直轄組織の購買部。その品揃えは豊富であった。白あんパンなるものを見つけたクリス。買い物を済ませ、帰るその足取りは軽やかでその速さは歩きに区分されるが、限りなく小走りに近い。
──そういや、こういうのって接待費って言って経費で落ちんだっけか。なら返さなくてもいいか?
ネットで経費について調べた結果、都合のいい免罪符を見つけたクリス。実はここ数日おやつを欠かしていなかった。
バルベルデ、フィーネの監視下、どちらも自由にお菓子を食べることなど考えられない環境。現在、物心ついてから初めてとも言える食べる自由を得たクリスはその自由を存分に堪能していた。
友達を自分の部屋に呼ぶなんてことも初めてで浮かれている面もあるが、それでも2人分には多い両手に抱えられたお菓子の量が今のクリスのタガの外れ具合を如実に表していた。
……当然のことながら
その罪科は本人の気付かぬ所で着実に積み重なっており、夏になる頃には軋む体重計と絶叫と共に心底後悔することになるのだが……、それはまた別のお話。
今のところ、クリスの気分は上々だった。
◇
「おっと過ぎちまってたか」
浮かれていたからか、自分の部屋を過ぎていたことに気付いたクリス、今開けようとしたドアから、一つ前のドアのへ移動した。
お菓子が落ちないように慎重に片手を離し、サラッとした赤いワンピースの何処にあるか分からない謎の収納からカードを取り出すと、それをサッとドアの横の機械に通した。
カシュー
軽い音ともにドアが横にスライドして開かれる。
ブワァ
「うっ!?」
ボンボン、ガサガサガサッ!
ペットボトルが跳ね、食べ物の袋が辺りへ広がる。
クリスが部屋からただよう強烈な匂いに驚き、とっさに鼻を覆ったためだ。
「なんだよ……コレ」
絶句するクリス、すると今しがた開けたドアの更に前の部屋の扉が開いた。
「クリス?」
お菓子選びに時間をかけ過ぎていたクリスを心配して部屋から響がひょっこり顔を出してきた。
「立花……、コレ」
クリスが力なく隣の部屋の中を指差す。
「何? 翼さんの部屋がどうかしたの」
トントンと靴を履いて踵を合わせ、響が部屋から出てきてクリスの横に並んだ。
「何……コレ……」
クリスに次いで響も言葉を失った。
2人の前に広がる光景。
無惨
その部屋の惨状を表すにはその言葉以外見当たらなかった。
それほどまでに部屋の中は酷い有様であった。
一言で説明するならば、ひっくり返されたおもちゃ箱。しかも長年使い古して底に得体の知れないモノを山ほど抱えたヤバい代物を力任せに振り回して中身を撒き散らしたような。
部屋の中にあらゆるものが散乱し、部屋の持ち主の私物であろう鮮やかな色彩の衣類と、無数のゴミの鈍色が混ぜこぜになって、部屋全体を満遍なくドギツく汚い色で満たしていた。
「ひでぇ……」
入り口まで甘ったるい強烈な匂いを送っていたのは化粧台の下で大きなシミを作っている瓶だろうか?
真っ先に目についたのは胸ぐらいの高さのタンスの上にあるトロフィー群。いくつもの賞状の入った額縁は軒並み落とされており、壁の釘が丸出し。何本もあるトロフィーの方も軒並み倒れており、唯一立っているトロフィーにはビビットカラーの服が掛けられていた。
その下のタンスは全ての段が中途半端に開けたられたままになっており、これまた服が垂れ下がっている。
その隣にはテレビらしきもの。1、2枚どころでなく5枚も6枚も衣類が被せられているせいで、画面のあるはずの場所が完全に布で覆われていた。
その他にもいくつもの質の良い服があらゆる調度品、床、洗面台、およそ相応しくない場所に投げ出されており、その価値を貶められていた。
部屋の床には服以外にもゴミが散乱している。それだけでなく何かのプリント、クッション、筆記用具。本に下着にデスクライト。更には十手に模造刀までもが刃を見せて転がっていた。
その荒らし方はベッドも例外ではなく、めくられた布団が死体のように床を這いずり、ベッドの上は床と遜色ない荒れよう。部屋の中に、安全に足を踏める場所はどこにもなかった。
◇
「誰がこんなこと……」
「部屋の中につむじ風……ってなわけにはいかねぇか」
「この綺麗なぐらいのゴミの散らかり方は人じゃないとできない」
「分かんのか」
「……まぁね」
響がうつむき加減で言い、その表情を見てクリスはそれ以上同じ話を続けるのを辞めた。
湧き上がる苛立ちからパチンと両手をぶつけて打ち鳴らした。
「くそっ! 人間は結局人間ってことかよ!」
俯いていた響が振り返る
「とにかく誰かに知らせないと」
「あぁ、そうだな」
◇
「そんな、風鳴さんの部屋がそんなことに」
2人の言葉を聞き驚いているのは津山元一等陸士。
明るい髪色、自衛隊出身というがっしりとした体格、職務に忠実な真面目な人物だ。
津山はしばらく顎に手を当て、思い悩むと2人に対しビシッと敬礼をする。
「情報提供感謝します。今日はミーティングがありますからいつもより本部の人員は多くなっています。その中から犯人を探し出すのは至難ですが、ミーティングが終わり解散してしまえば犯人に逃げられてしまう可能性が高い。そうなる前に必ずや不埒な輩を見つけ出してみせます」
意気軒昂な様子の津山がドンと胸を叩いた。
「よろしくお願いします」
「よ、よろしく」
最後に2人に柔らかく笑いかけると津山は敬礼を辞め、小走りで廊下を走っていった。
2人には見せなかったが、振り返った後の津山の表情は怒り一色。
──ツヴァイウィングには過去に命を救ってもらった恩がある。彼女達に害を成す者が二課の中にいるのなら、たとえ同僚でも許さない。
津山元一等陸士。
彼はツヴァイウィングの大ファンであった。
◇
「で、これからどうする?」
「……どうしようか」
既にお気楽ムードは霧散し、今からおしゃべりという気分でもない。だからと言って、職員との交流もほとんど無い自分たちでは翼の部屋を荒らした犯人を見つける事はできない。
悶々とした2人の前に一人の人物が現れた。
「どうしたの? 二人とも」
友里あおい、二課の情報処理担当……、オペレーターの女性だった。
「実は……」
カクカクシカジカ
「なるほどね。そうね……、なら二人は司令室で待っていて」
「司令室……ですか?」
「そう、今は非戦闘状態だから静かだし、私も仕事があるから行きたいんだけど、どうかしら? あったかいものも出せるわ」
クリスと響が顔を見合わせる
「……じゃあ」
「お願いします」
おずおずと言う2人にうんうんと友里が頷く。
「それじゃあついてきてね」
友里は2人についてくるようジェスチャーを出すと耳に装着したインカムに手を当てる
「
友里は端的にそう指示を出すと2人を先導し、司令室へと入っていった。
◇
そんな訳でパンドラの箱は開かれた。
友里あおい
あったかいものどうぞ
藤尭朔也 ふじたかさくや
隠密任務でマナーモードにし忘れる金髪
津山一等陸士
漫画版で登場した金髪?の自衛官
ツヴァイウィングに命を救われ、二課に転属した。
漫画版では緒川さんの出番を全て奪ったぞ
ツヴァイウィングのCDをすべて初回版で揃えている。
◇
SNB「そんな、まさか津山さんに先を越されるなんてっ」
ルマンド「まぁ、こればっかりは…、おがっ、SNBさんが居るとこの話起きないですし」
SNB「けれどわざわざ彼を出す必要は無いでしょう!?」
ルマンド「いや…だって公式に使いやすい人いるなら使わないと、オリキャラはあんまり使いたくないなぁって」
SNB「公式設定資料もキチンと読んでない人が何をいっているんですか」
ルマンド「うっ」バタッ
戦姫絶唱シンフォギア わだつみの抱く光
次回「I am the bone of my sword. (言い訳)」