わだつみの抱く光   作:筆折ルマンド

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393のXDイベント。
期待を煽ったわりに内容がペラ、げふんげふ
ドゴォッ!!

…ゴプゥ

393【共鏡】*擬似ガングニールギア
ニコォ



デュランダル輸送作戦

 青い空、白い雲。天気は快晴。

 望む街並みは春の日差しを受けて、テレビCMに使えそうなぐらい美しい。

 

 そんな中を重々しい雰囲気を纏って走る一団があった。

 

 青いバイクを先頭にして、一台、二台、三台。それ以降も続々と黒塗りの車両が連なる。

 彼らは二課の輸送隊であった。

 

「いい天気だな。絶好のバイク日和と言えよう」

 

『……あんたさ、今日の任務忘れてねぇよな?』

 

「忘れている訳が無いだろう。私とて伊達や酔狂でバイクを持ち出した訳ではない。小回りと襲撃への対応速度といった要素をきちんと吟味した上で」『本当かよ』

 

 今日のクリスと翼の任務は、現在一団のどれかに紛れて運搬中の完全聖遺物の護衛である。

 響は射程、奏は活動時間の問題でそれぞれ今は戦闘可能状態に無い。

 

『ま、分かってんならいいけどさ。響は直衛。あんたの相方は作戦時間の関係で待機。フィーネたちを迎撃できるのはアタシらだけだ。大口叩いて奇襲されました。じゃ、笑い話にもなりゃしねぇぞ」

 

「もちろん心得ているとも。そちらも気を引き締めろよ雪音。二課の車は寝心地が良いからな」

 

『ばっか! 寝るわけねぇだろ!』

 

「怒鳴るだけの元気があるなら心配はいらないな」

 

『ったりめぇだろ!』

 

 車の中で膨れっ面をするクリスを想像してふふっと笑った翼がブゥンとバイクのエンジンを吹かした。

 

 バイクが自身を抜かしかけていた黒い車の前に再び躍り出て、一団の先頭に立つ。

 

 

 一団が目指すのは永田町最深部、特別電算室、通称『記憶の遺跡』

 運ぶ荷物は完全聖遺物『デュランダル』

 

 

 ◇

 

 

 青い空、白い雲。天気は快晴。

 流れゆく景色のなんと鮮やかなことか。

 

 対して車内はどんよりジトジト雨模様。

 

 後部座席のジメジメとした空気が運転手の黒服さんの背中を湿らせる。

 

 

 響がぼーっと窓の外を眺めている。

 

 気怠げな雰囲気。

 友達の事をいまだ引き摺っている模様。

 

 賢治がアレコレと話題を振るが響の反応は鈍い。

 

「いい景色だねぇ」

 コンコンと賢治が窓をノックする。

 土手を走る車の外では、川がキラキラと輝いており、川向こうには樹木の多い住宅街が見える。

 

「……うん」

 

「それにしてもいい天気だ。お弁当でも持ってくればよかったかな?」

 賢治が腕を四角く動かして、箱のジェスチャーをして、ニッと笑う。

 

「……うん」

 響は振り返らずに相槌を打つばかり。

 心ここにあらず。

 

 賢治のジェスチャーをしていた腕がくったりと膝の上に落ちた。

 

 賢治は迂遠な手を諦めて、響との間にあったトランクを窓側に移動させた。

 

 ドッカと背もたれにもたれる。

「……友達の話は聞いてるよ」

 

 ピクリと響の肩が跳ねる。

 

「……」

 

「大丈夫。きっとお友達だって分かってくれてるさ」

 

 響がぼーっとしていた時とは違い、意図的に顔を窓の方へ背ける。

「そう……かな」

 走行音にかき消されてしまいそうな小さな声でぽつりと呟かれたそれを賢治はなんとか拾い上げてみせた。

 

「そうさ」

 賢治は声色を明るく手を広げてみせた。

 何も心配はいらない。とアピールしてみせる。

 

 ガラスに映る賢治を見て、それでも響のの顔がしょぼくれたまま。

 

「……でもさ……」

 響がポロポロと不安を零す。

 

 

「私……友達を怖いめに合わせちゃった」

 

「あれは絶対。響ちゃんのせいじゃないよ」

 

 

「……ただでさえ私……いつも好き勝手なことしてるし……」

 

「誰だってそんなものだよ」

 

 

「あんまり一緒に遊ばないし……」

 

「無理に合わせることでもないでしょ?」

 

 響が振り返る。うるんだ瞳。

 

「でも! ……でも……さ」

 

「うん」

 

 賢治は響の言葉を静かに聞き続けた。

 

 ────ー

 

 賢治がポンと手をついた。

 

「……つまり響ちゃんは今の友達と友達でなくなるのが嫌なんだね」

 

 賢治の出した結論に、響が目をパチクリさせて、あぁと息をついた。

 

「そう……かも」

 喉元に何かがつっかかったような訳の分からない不快感が、ストンと腹に収まったような気がした。

 

 けれど響のほっとした顔はつかのま。

 すぐにまた仏頂面に戻る。

 

 問題は解決していないのだから当たり前だ。

 

 むむむっと悩む響。

 

 そんな響の横顔を見ながら、賢治は思うことがあった。

 友達ってそんな距離が近いっけ? と

 

 響の中では、友達とは毎日のように接して遊ぶ間柄の事を指すらしい。

 ……それは、時間の有り余る小さな子供の頃でしか通じない感覚ではないのか? 

 

 もう少し上の歳。今の歳になれば、一度友達になった人とは、携帯で会話して、直に話すのは都合が合う時だけ、もっと都合が良い時に、一緒に遊べれば万々歳。

 高い学年になるにつれ、バラバラに授業を受けることも多くなる学校生活では、友達も言っても、そんなものなんじゃないだろうか。

 

 賢治はそう考えていた。

 

 

「……むぅ」

 

 そっ

 

 バシンッ! 

 響の仏頂面を突こうとした指が手で弾かれた。

 

 

 ────

 

 ……そういえば。と

 賢治は不意に思い出した。

 

 友達は居なかったと言ってはばからない自分にも、大昔。それこそ齢一桁の頃、病院の学習室で大富豪をする友達がいた。

 名前どころか顔も思い出せないけれど、

 週に一回会えるか会えないか。そんな頻度でしか会えなかったけれど、

 確かに互いを友達だと認識していたと思う。

 その頃は、確かにもっと遊べたらと思っていたこともあったかもしれない。

 

 そう思うと、響のそれは、なんとも贅沢な、無邪気な頃の香りがした。

 

 ────

 

 賢治がふっと笑みを零す。

「響ちゃんは友達のハードルが高いねぇ」

 

「……馬鹿にしてる?」

 響がジトっと賢治を睨む。

 響の視線が刺さり、賢治が痛そうに視線を手で遮った。

 

「してないしてない。ただ、友達って言うのは、もっと気安いものだと俺は思うんだよ」

 響の頭をぽんぽんする。

 

「だから、まぁ……あんまり気負わなくても良いと思うよ」

 

 賢治がポケットからバタークッキーを取り出して響の手に渡す。

 

「今日の帰りにでもお菓子を買って帰れば良いんじゃないかな? 一緒に食べればわだかまりの一つや二つ簡単に無くなるさ」

 それは賢治渾身の献策であった。

 

 ジトー

 

 え、なに。

 響のなんとも言えない表情に賢治がたじろぐ。

 

 響が賢治から貰ったバタークッキーの袋をピリピリ破って一口で食べる。

 サクサクという音が小さく聞こえる。

 

 え、響ちゃん? 響さん? 

 

 ジトー

 

 ────

 

 クッキーを食べ終わった響がむっとした表情でビッと賢治を指差した。

「……賢治さんってさ。何かあるとすぐお菓子でどうにかしようとするよね」

 

「え、そんなこと無いんじゃないかな!?」

 ギクっとして、後ずさろうとして、背もたれに阻まれる。

 図星であった。

 

「……えー。そんなことあると思うんだけど」

 

「そ、そんなこと無いよ」

 ジッと見つめる響の目に賢治は冷や汗をかきながら視線をそらすことしかできない。

 

「……ある」

 確信に満ちた目。

 

 賢治の目があっちこっちに飛び散って、最終的に、膝を見た。

 

「まぁ……あるかも……ね」

 

「やっぱり」

 響はあきれた、それか知ってたという風。

 

 賢治の胸に響の指が刺さる。

 

 ──だいたいね 

 ──うん、うん、面目次第もございません

 

 響が腕を組んで苦言を呈し、賢治がそのたびにお菓子のつまみ食いがバレた子供のように賢治がぺこぺこと頭を下げる。そんな光景がしばらく続いた。

 

 

 結果的には、響は少しだけ調子を取り戻したようで

 

 黒服さんは脇見運転をしなくなった。

 

 

 ◇

 

 

《 魔弓・イチイバル 》

 

 

『4班! 車を捨てて撤退しろ!」

 

 司令の声が聞こえると同時に、クリスの弾幕を抜けて菱形の陣形の中央に数体の飛行ノイズが槍状になって突き刺さる。

 

 4班と呼ばれた菱形陣形後方の車から黒服が飛び出した。

 

 運転手を失った車はそのまま直進し、道路に突き立ったままのノイズに激突。

 

 無残にひしゃげ、爆発した。

 

 

「ちくしょう! また抜かれちまった!」

 

『落ち着け! 冷静に対処し、後続を許すな!』

 

 残った三台が海辺の道路を爆走する。

 

 

 道の先を阻もうとするノイズを翼が切り払い、飛行ノイズをクリスが車の上から撃ち落とす。

 

 予想通りのノイズの襲撃。

 しかし、無数の飛行ノイズの手によって少しずつ二課の車は削られていき、残りはわずかとなっていた。

 

 ◇

 

 爆煙を切り裂いて複数の飛行ノイズが残る車へ迫る。

 

「させるかよッ!!」

 先頭車両の上に陣取ったクリスがボウガンから矢を放つ。

 

 ボウガンから放たれた光の矢はパッと花開くように分散すると、曲線を描きながら飛行ノイズに殺到する。

 ボンボンボンと続け様に飛行ノイズが弾ける。

 

 その炭素の煙を切り裂いて更に飛行ノイズが迫る。

 

「このッ! しつけぇ「上だ!」なら後ろは任せるぞ!」

 

 クリスが後方のノイズに向けていたボウガンを引き金を引く直前で真上に向ける。

 照明弾のような明るい光球が打ち上がり、車の上空に陣取っていたノイズの更に上を取る。

 

「弾けろ!」

 クリスの声に合わせて光球が炸裂し、内部から針のように細かい矢が放たれる。

 光の針を浴びてサボテンのような針の筵となった飛行ノイズが一拍おいて一斉に崩れる。

 

 煤が濃い霧のようになって、二課の車に覆いかぶさる。

 煤で視界が遮られないように二課の車はワイパーを動かした。

 

 クリスが撃たなかった後方の飛行ノイズが迫る。

 

 菱形が欠けてV字陣形になった車列の後方に今まさに追いつこうとした瞬間。

 

 ドドドッ

 三本。

 

 飛行ノイズに小刀が突き刺さり、ノイズが砕ける。

 

 逆走し、後方まで下がってきた翼の姿。

 

 

 キュリキュリキュリキュリッ! 

 翼を乗せたバイクが猛烈な勢いで横滑りして飛行ノイズの横を取る。タイヤから聴こえてはいけない類の悲鳴のような音が鳴る。

 

 ガガガ! ギャリン!! 

 蹴り飛ばすように足で制動をかける。激しく火花を散らしてバイクをギュンと反転する。

 

 振り返ると同時にアメノハバキリを投擲。

 ひゅるひゅると回転した刃が、一度に何体もの飛行ノイズを真っ二つにする。

 

 残るノイズに小刀を立て続けに投げつける。

 精度はそれほど良くない。命中率は6割程度と言ったところ。

 

 ノイズを倒しきれないうちにアメノハバキリがブーメランのように翼の手元に舞い戻る。

 

「もっと緒川さんに稽古をつけてもらうべきだったか」

 掴んだアメノハバキリで最後のノイズを切り捨てる。

 

 

 ────

 

「やったか」

 クリスが背伸びをする。

 

『大型ノイズを上空に確認! 小型ノイズを投下しています!』

 通信機から友里の声が響いた。

 

 頭上高く、薄い雲に見え隠れする黄緑色の空母型ノイズが見える。

 それの中央の網状部分が開口し、飛行ノイズが吐き出されているのが確認できた。

 

「……雪音ぇ」

 

「はぁ!? 別にアタシ悪くねぇだろ!?」

 

 

 ヒュルルル

 風邪を切る音。

 

 ババババッ

 パラシュートが開いた時のような音ともに、再び輸送隊の頭上を飛行ノイズが覆う。

 

 クリスの矢が飛行ノイズを打ち落としていく。しかし、空に浮かぶノイズは少しずつ増えているように見えた。

「チッ、先にあのデカブツを倒さねぇと。小さい奴らをやったところで意味が無ぇ」

 

「同感だな。雪音。狙えるか?」

 

「エネルギーを貯める時間が有ればイケるが、エネルギーを貯めている間、アンタじゃ真上の飛行ノイズは止めきれねぇだろ」

 

「それもそうだな。ならば私が親玉を倒そう。雪音はその間、車を頼む」

 

「やれんのか?」

 

「飛行は出来ずとも、飛翔は出来る。私に任せろ!」

 

「…んなら、任せる。失敗したら笑ってやるよ!」

 

「その時は笑い事では済まないが、な!」

 

 翼がバイクのグリップから両手を離す。バイクから身体を浮かせ、シートに片足をかける。

 

「さらばだ! 迅雷7号!」

 掛け声と共に翼がバイクを蹴って飛翔する。足のブレードが展開され、刃の後ろのブースターが点火され、空を駆け上る。

 

 蹴り飛ばされたバイクは横転。盛大に爆発した。

 

 その爆風を背に、翼は空母型ノイズの元へ飛んだ。

 

 

 ◇

 

 海沿いを走る二課の輸送隊を双眼鏡で見つめる目。

 

 それなりに遠く、幅20mほどの海につながる川の土手から少女が翼たちを観察していた。

 

 キリリとした日本風の顔立ちに青いワンピース。肩にかかるぐらいの黒髪が、麦わら帽子からこぼれて見える。

 少女が肩にかけた小さなポーチから無線機を取り出し誰かに連絡する。

 

『あ、糖花ちゃん? どうしたの?』

 繋がった相手はフィーネ。

 しかし、その口調はいつもより砕けている。

 車を運転している最中のフィーネは何故か櫻井了子の姿をしていた。

 

「空母型ノイズが落ちそうです。アレを落とされたら呼び出しておいたノイズは底を尽きます」

 

『構わないわよ。ノイズが全滅しても、アイラちゃんにはそのままの位置を維持させて。タイミングは任せるけど、計画通りに仕掛けておいて。結果は本当、すぐに連絡すること』

 

「了解しました」

 

『あ、それと、マズくなったらすぐにノイズを召喚して逃げること。貴女達が捕まると、計画に支障が出るからね』

 

「承知しておりますフィーネ様。アイラにも伝えておきます」

 

『は〜い。それじゃ、よろしくね〜』

 

 プツリと通話が途切れ、糖花はまた双眼鏡を構えた。

 

 

 ────

 

 

《 月煌ノ剣 》

 

「せいやぁぁぁ!!」

 翼渾身のサッカーキックが飛行ノイズの横を通り抜ける。

 

 脚部ブレードが日光を受けて輝き、両断された飛行ノイズが真っ二つに裂けて地上に落ちてゆく。

 

「道は開けた! そこだぁぁぁ!!」

 

【 蒼ノ一閃 】

 大剣から青い斬撃が放たれ、空母型ノイズの中心部に大きな縦傷が一本入る。

 そこを中心に空母ノイズがボロボロと崩れ始めた。

 

 ────

 

 クリスのボウガンがグゥンと伸びる。腰のユニットがガシャンと展開される。

 

「出し惜しみはここまでだ。ありったけくれてやるよ!」

 

 両腕のガトリング砲が火を吹き、小型ミサイルが放たれる。

 

 頭上を覆う飛行ノイズはクリスの火砲に晒されて、一体残らず消炭と化す。

 

 

「雪音!」

 頭上から翼の声。翼がはるか上空から一直線に落ちてくる。

 

「待て待て待て! そのまま落ちたら車が潰れ」

 慌てたクリスが翼を止めようとするが、

 

 ボボボボボッ、ガンッ

 

 すんででブースターを逆噴射させて減速させた翼がクリスと同じ車の天井に乗る。

 

「どうにかなったな」

 

「あぁ、これでようやく一息つける」

 

 輸送隊は4車線ほどの中程度の大きさの橋に差し掛かっていた。

 

 車が橋の中腹を通り抜けた頃。

 

 ボボンと、下から爆発音。

 

 次いで

 

 ドォォン

 

 橋全体を揺らすほどの巨大な爆発が巻き起こり、橋がガクンとゆれる。

 

 翼たちが急いで橋の先を見ると、あるはずの道が、さっきの爆発によるのか。ガラガラと崩れ、無くなってしまっていた。

 

「……雪音ぇ」

 

「アタシのせいじゃねぇだろ!? というか止めろ! 運転手! おい! 聞いてんのか!?」

 クリスがバンバンと窓を叩く。

 

 翼がすらりとアメノハバキリを構えた。

 

 防衛任務はまだ続く。




迅雷7号
翼が戦闘用に使っているバイクの14番目。
(バイクの名前に、疾風と迅雷を交互に付けているため)
翼個人のガレージにはまだまだストックが残っている。
勤続期間3ヶ月。
大往生であった。*当社比(だいたい開幕特攻させられるから)



「ノイズから救難信号なんて」

「デスがアレって」


[100万響]

ノイズのみんな
チクチク、チクチク

「ノイズがお裁縫してるデスよ!?」

「それにあのお人形。どこかで」

「はーい、皆、ちゃんとやってますかー?」

「「ひぇっ」」

「皆、お裁縫が速くて偉いねー。…でも」
ドガァァァン 
ボシューー

「雑にやったら分かってるよね?」

ノイズのみんな『キューーン!!』

「それじゃ、引き続き頑張ってね〜」
スタスタ

「む、むごい」

「ノイズの皆さんごめんなさいなのデスよぅ。アタシたちでは未来さんをどうすることもできないデース…」

「響さんのお人形がたくさん…。お裁縫…頑張って」


戦姫絶唱シンフォギア わだつみの抱く光
次回「身内読みは有りなのよ〜」
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