プロローグ
拝啓、前世のパパンママン。
出来の悪かったバカ息子はどうやら転生したようです。
美幼女にな!!
いつも通り寝て、朝ベッドから起きたら体が縮んでいたのだ。部屋の内装も丸っきり変わってて思わず「知らない天井だ」と呟いてしまった。
夢でも見ているのかと思い、手近にあった姿見で容姿を確認してみたところ、んまーとてもふつくしい幼女が映っていたのだ!
少しウェーブの掛かった艶やかな黒髪。汚れの知らぬ柔肌。気の強そうな眼はややつり上がっていて、スラッと通った鼻筋と綺麗な唇といった各パーツはまるで黄金比のように整っていた。
んんー?
なぁーんかこの顔どっかで見たことあるんだよなー。
親戚の綺麗な叔母さんの子供時代の写真を見せられているような。
多分俺はこの顔を知っている。でも思い出せない。
でもまぁ夢だし良いか! って結論が自分の中で出たので家の外などを探索した結果。
アルビダの幼年期であることが発覚したのだ!
"アルビダ"
大人気海賊漫画ONE PIECEに出てくる、そばかすと肥満体型が特徴の女海賊だ。俺の記憶が正しければ主人公モンキー・D・ルフィが故郷フーシャ村を出て初めて戦う海賊だったはず。
海兵を目指すコビーと言う少年が間違えて乗ってしまったアルビダの船で雑用係をしている所を、何やかんやあってルフィが助けるのだ。
ルフィにぶっ飛ばされた後、海の秘宝である悪魔の実の一つ"スベスベの実"を食べたことで超絶美人へ転身。"道化のバギー"と組んでちょくちょく出てくるキャラだ。
なーるほど。この顔に既視感があった訳だ。スベスベの実を食べた後のアルビダを幼くしたらイメージとピッタリ合った。
ああ、何でここがONE PIECEの世界だと気付いたのかと言うと"
ロジャーとかガープとか、ロジャーとかガープとか……ロジャーとかガープとか!!
もういいよ! 海賊王と伝説の海兵。そういえばどっちも
その話ばっかりだから聞いてみたところ、この島が
まあそれはさて置いて、家の外に出てみれば道行く人々に「アルビダちゃんは可愛いねー」とか「アルビダちゃん天使みたいだよ」なんて声を次々掛けられる。
買い物をしたわけではないのに、サービスと言って食べ物をたくさんくれる青果屋や魚屋や肉屋。
同年代の男の子なんかは俺を見ただけで顔を赤らめ、女の子ですらも感嘆のため息を吐いている。
娘がいるにも関わらず「アルビダちゃんみたいな娘が欲しかった」と町長は宣い、「十年後まで待つから、その時になったら結婚してくれ!」と三十過ぎのロリコンおっさんがプロポーズしてきて町の人たちに袋叩きにあったり。
うんーー
ーーめっちゃ気持ちいいイィィィッ!!!!
なんだこれは……なんだこれは!?
まだ幼いにも関わらず驚異的な美貌で周りからチヤホヤされる特別感!
異性は当然のことながら、同性ですら魅了してしまう優越感!
気持ちいい! 気持ち良すぎるぞっ!!
なるほど、原作のアルビダの気持ちがわかる。わかってしまう。
そばかすデブの癖に自分のことを美しいか
だってコレ気持ち良すぎるもの!!
自分は特別、なにしても許される。後の"海賊女帝ボア・ハンコック"に通ずるところがある。
どれだけ肥え太ろうがおかしいのは周りの価値観であって、自分の美しさは一切損なわれない。そんなところだろう。
原作でもスベスベの実の副次効果で痩せた後も「変わったのはそばかすが消えたくらい」と言っていたしな。
それにしてもチヤホヤされるのがこんなにも気持ちいいものだとは思わなかった。
前世では到底得られなかった優越感はまるで麻薬のように強烈な幸福感と中毒性がある。
コレをこれからも味わい続けたい。この町の住人のみならず、世界中からチヤホヤされたい!
ーー海賊だ……海賊になろう。
賞金首になれば手配書が世界中に散りばめられる。世界中を
動機が不純? ふざけてる?
関係ないね。
海賊は自由だ。海賊なら"
何を目指そうと自由だからこそ海賊になる。
頭がおかしいと思われようが、俺にとってチヤホヤされることは命を賭けるに値するんだ。
だから俺……いやアタシはーー
「世界一のかまってちゃんに、アタシはなるっ!!」