アルビダ姐さんはチヤホヤされたい!   作:うきちか越人

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ちょっと長くなりました。


あとがきにアンケートあります。


フーシャ村と有能毒婦

 西日が強くなり始めた頃。

 アタシたちはフーシャ村の"PARTYS BAR"という酒場へ逃げ込んだ。

 

 フーシャ村がいくら辺境と言えど、流石に東の海(イーストブルー)現最高額の賞金首ともなれば顔は知られていた。

 陽気な人間の多いフーシャ村の村民たち。

 絶世の美女たるアタシを見て、警戒心が薄れるどころか若干歓迎ムードになりかけていた。

 でも特徴的な帽子と眼鏡をかけた村長のスラップさんの一喝で一旦は静まり返ったのだけれど、『アタシたちは何もしないつもり』『ついでにガープに追われている』と言ったら感嘆の声を上げていた。

 

 呑気すぎると言うかなんと言うか……

 ガープがいるのなら何とでもなると思っているんだろうね。

 実際その通りだし。

 まあスラップさんは青筋立てて怒鳴っていたけれど。

 

 ボガードくんの腕の治療をしなくてはいけないので酒場に向かった。

 "PARTYS BAR"の店主、マキノさんに事情を話したら快く入店させてくれた。

 ここはあの赤髪海賊団が溜まり場にしていた酒場だし、マキノさんはアタシたち海賊相手にも動じず胆が座っている。

 

「すまないねえ。まあ夜になったら出て行くよ」

「あら、夜まであと数時間くらいよ? そんなに急がなくても良いのに」

「ガープの奴がアタシたちを寛がせてくれるのなら、それも良かったんだけれどねえ。ちらっと見たんだがアタシたちの船はもう接収されちまってるし、早いとこ取り戻さなきゃあならないんだよ」

「接収? 軍艦に乗せられちゃったの?」

「いいや、繋がれてるだけさ」

「不用心すぎると言うか……ガープさんらしいわね」

 

 苦笑いを返すマキノさん。まあアタシもそう思うけれど。

 取り敢えず、船からボガードくんたちが持ち出せたのはリィリィの医療器具とウエストポーチ。

 それからボガードくんが作った弁当と幾ばくかの金。

 

 痛めた……というよりも砕けたボガードくんの拳をリィリィが治療する。

 船医としての腕が上がったとは言え、止血と骨の形を崩さないように形成することで手一杯みたいだ。

 最後に拳を包帯できつく巻いて応急処置を終わらせた。

 

「ふぅっ、出来ました。ボガードさんの回復力なら、あまり無理をしなければすぐに良くなると思いますよ」

「ありがとうございやす、リィリィの姉さん」

「い、いえ! 船医として当然ですからっ!」

 

 ふんすっ、と口では遠慮しながらも得意気に胸を張るリィリィ。

 海賊の船医ってのは言葉と態度が逆になる決まりでもあるのかねえ。

 

「へぇ……随分手際が良いんだね。それに可愛らしいし、こんな娘が"毒婦"って呼ばれてるなんてね。ビックリしちゃった」

「あ、あの……私、その呼ばれ方あまり好きじゃなくて……」

「アタシは? アタシは可愛らしくないってのかいっ!?」

「うーん……あなたは可愛らしいというより、綺麗って言葉の方が似合うんじゃないかな?」

「おおっ!! わかってるじゃあないか、マキノ! その通り、アタシは誰よりも美しいのさ! そうだろう、ボガード?」

「ヘイ、姐さん!」

 

 マキノさんはとても良い人だ!

 ちゃんとアタシを褒めてくれる!

 

「……ちょっと単純だけど、悪い人じゃないみたいね」

「えーと、船長はいつもあんな感じですよ?」

 

 リィリィとマキノさんが何か喋っているけれど聞こえなかった。

 大方アタシの美貌について語り合ってるに違いない!

 

 

 

 その後、一旦自宅に戻っていたスラップさんや村民たちが"PARTYS BAR"に集まり、宴会のような集いになった。

 呑気に思えるかもしれないけれど、これだけ人が集まってしまえばガープたち海軍は迂闊に手を出せないだろうという考えだ。

 ここで暴れてしまえばフーシャ村の村民たちは無事じゃあすまないからね。

 

 そんなこんなで大騒ぎ。

 ノリの良い人たちばかりでおだててくれるし気分が良かったので、飲食費は全てアタシ持ちだ。

 スラップさんだけは苦虫を噛み潰したような顔をしていたけれど。

 

 まあ、これだけ長い時間騒げば当然ガープたちがやって来るわけで。

 傍らには海軍ボガード、そして数名の海兵を引き連れ店内へと入ってきた。

 

「おったおった。おう、"疵無し"! お前さん逃げ足が速すぎじゃろ!」

「そいつはどうも。アンタとまともに闘り合うなんて真っ平御免だからね。そりゃあ逃げるのも全力さ」

「おいガープ! 貴様なに海賊を逃がしとるんじゃ!」

「言うな村長、してやられたわい! ぶわっはっはっは!! あ、マキノちゃん、茶ァくれ」

「中将、寛ごうとしないで下さいよ……"疵無し"たちに用件を伝えに来たのでしょう?」

「おお! そうじゃったそうじゃった」

 

 用件?

 一体なんのことやら。

 皆目検討も付かないけれど、見逃してくれるとかそういう感じじゃあないね。

 

「船を返してほしければ西の海岸へ来い!」

「船ね……」

 

 ああ、なるほどね。そう来たか。

 西の海岸はとても広く、村民へ被害が行くことはない。

 そして予想でしかないけれど、アタシたちの船の調査が終わればすぐにでも解体されると思う。

 それは恐らく明日だろうね。

 なら船を諦めれば良いかと言われれば、あまり良い策ではないだろう。

 仮に諦めて、何らかの手段で新しい船を手に入れたとしてもガープと軍艦をどうにかしなければ、一生この島ーードーン島から出ることが出来ない。

 人質をとって脱出するにも、やはりガープをどうにかしないと話にならない。

 

 それにガープの用件を無視してしまえば、寝込みを狙われる可能性がとても高いしね。

 たった三人で島内での逃亡生活になってしまう。

 逃亡生活自体は海賊やってりゃあ慣れっこなのだけれど、活動範囲が一つの島ではアタシの本来の目的――世界中からチヤホヤされることから大きく遠退いてしまう。

 ……アタシの行動理論がわかっててガープたちは待ちを選んだのか?

 まあいいや。

 

 ガープも軍艦もどうにかする。そして船も取り返す。

 それが最善で、そのチャンスは今回しかないと思う。

 大丈夫。策……と呼べるほどのものではないけれど、勝算はゼロじゃあない。

 

「夜になったら向かうよ。今度はちゃんと逃げ切ってやる」

「おう、待っとるぞ!」

「あれ? ガープさん行っちゃうんですか? お茶持ってきたんですけど……」

「おお! ありがとうマキノちゃん! 少しゆっくりしてから戻るとするかの!」

「中将……」

 

 なし崩し的にガープたちも宴会へと加わった。

 流石に海兵たちは酒を飲むことはなかったけれど、海賊と海軍が同じ酒場で飲み食いするという奇妙な光景が出来上がってしまった。

 うーむ、楽しいのと居心地の悪さが同居してるねえ。

 居心地の悪さってのはガープがすぐ近くにいるってことだ。

 それにしても海軍の英雄ともあろう人物が民間人への被害を考えたとは言え、海賊と飲み交わしたりして良いのだろうか?

 

 ……ああ、そう言えば一人以外に聞かれていなかったけれど、"天竜人"に対して『あのクズ』とか言ってたなこの人。

 今回のもガープの中ではセーフなんだろうね。

 

 ガープが破天荒と言うか自由奔放すぎると言うか、いつの間にか世間話するくらい馴染んでしまった。

 話題はボガードくんと海軍ボガードのことへ。

 始まりは同じ名前だね、ということだったのだけれど、いつしかどっちが優れているかの競い合いになった。

 アタシとガープしか白熱してなかったがね。

 

「わしのボガードはのォ、書類仕事の処理が海軍でも一、二を争うほど早いんじゃ! すごいじゃろ!」

「中将がいつもサボるので、私に書類が回ってくるだけですがね」

「ぶわっはっはっは! 気にするな!」

 

 海軍ボガードが呆れ顔でガープを見ている。

 

「ふん、アタシのボガードはプロの料理人に匹敵する腕を持ってるんだよ! 毎日がレストランで食事しているようなものさ! そうだろう、ボガード?」

「ヘイ、姐さん!」

「せ、船長は料理下手くそですもんね。あと手芸とか部屋のお掃除とかも…………」

「リィリィッ!」

「ひぃっ! ご、ごめんなさいぃ!」

 

 リィリィの悪癖は船旅を続けていても治る気配がなかった。

 ボガードくんが作った弁当をガープは勝手に平らげ、美味い美味いと感嘆の声を上げる。

 

 尚も自分の部下の自慢合戦は続いていたが、そろそろ日が暮れる。

 

「おう"疵無し"、しっかり捕まえてやるから覚悟するんじゃぞ」

「ふん。アンタに出来るかねえ」

 

 ガープは海兵たちを引き連れ酒場を出ていく。

 ……あっ! アイツらのお代もアタシ持ちじゃあないか!

 中将ほどの地位なら給料は相当なものなはずなのにケチくさい。

 

 まあいいや。この後のことを考えないと。

 ガープは約二十年くらい大将への昇進を断り続けている。

 いくら老いて弱体化したとは言え、少なくともそのレベルにはいる想定をしていた方が良い。

 贔屓目に見てもアタシたちが束で掛かっても闘って勝つのは不可能。

 ただ今回の勝利とは戦闘ではなく、彼らを出し抜くことだ。

 そこに焦点を合わせなければならないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リィリィ、何分でやれる?」

「二十……いや、十分でやります!」

「わかった。頼りにしているよ」

「は、はい! 頑張りますっ!」

「ボガードは……無茶するなって言っても無駄みたいだしね。体が擦り潰れるまでコキ使ってやるさ。気張りなよ」

「ヘイ、姐さん」

 

 西の海岸への道中、作戦の確認をしながら向かっていた。

 "準備"も既に済んでいるし、この作戦がどうでるかは天の神様の知るところだろう。

 

 到着すると既にガープたちは軍艦を背に布陣を敷いて待ち構えていた。

 布陣の形や人数差もそうなのだけれど、やはりガープがいるという事実だけでとてつもなく強固なものに見えてくる。

 

「来たか"疵無し"!」

「ああ、出来ればお手柔らかに頼むよ」

「ぶわっはっはっは!! そいつは無理な相談じゃのォ!」

「チッ、わかってるよ…………リィリィ、準備は良いかい?」

「だ、大丈夫、ですっ!」

 

 リィリィは見るからに緊張している。

 でもしっかりやってくれないと困るんだよねえ。

 今回の要はリィリィだしね。

 

(ソル)!」

 

 まずは急接近。

 悪魔の実の能力も相まって、速度だけはガープを上回っている。

 甲板の上での闘いと同じようにヒット&アウェイを常に心掛ける。

 

「ぬぅっ……なかなか当たらんのォ」

「当たったらお仕舞いなんでね! (スペル)即興拳劇(ハロルド)!」

 

 少しでも隙があれば、見えない拳撃や蹴撃を繰り出してダメージを狙っているのだけれど……

 傍目には全く効いているようには見えない。

 一瞬の硬直すらなく軽々と反撃される。

 

 互いの攻撃の瞬間には衝撃波が撒き散らされ、地面は荒れに荒れている。

 アタシが言うのもなんだけれど、東の海(イーストブルー)は一体いつから人外魔境になったんだい。

 このガープしかり、あの時のシャンクスしかり。

 まあ、余計なことを考えていても仕方がない。

 爆心地のようになってしまって、周りの海兵たちは手出しが出来ないでいる。

 この場で動けているのはアタシとガープ、そしてボガードくんと海軍ボガードだけだ。

 

 海軍ボガードの剣の腕前はかなりのもの。

 二人とも武装色を纏っていて、ボガードくんは更に鉄塊(テッカイ)で防御を固めているのだけれど、その上から少しずつ斬られてゆく。

 軽やかな身のこなしと剣捌きの海軍ボガードは、砕けた拳を振るうボガードくんの攻撃を軽くいなしている。

 仮にボガードくんが万全の状態だったとしてもああなっただろうね。

 二人の間には地力に開きがある。

 逃げるだけならともかく、闘うとなればアタシでも厳しいだろう。

 

「よそ見はいかんぞ、"疵無し"ィッ!!」

「チッ! (スペル)即興脚劇(スポークン)!」

 

 迫る拳を正面から迎撃しては確実に打ち負ける。

 なのでアタシの腹部に向かっていた軌道を逸らすように、横から蹴りを当てる。

 危ない。間一髪ってところだった。

 

 ボガードくんの加勢に行きたいところだが、ガープがそれを許さない。

 そしてまあ、逆もしかりと言うか。

 ガープがあっちに加わってしまえばボガードくんはあっという間に捕縛され、その後アタシもすぐに捕縛されてしまうだろう。

 だからボガードくんには必死で耐えてもらうしかない。

 

 どのくらいこの絶望的な攻防が続いたのだろうか。

 ボガードくんは至るところから出血が見られ肩で息をしているような状態。

 アタシもガープの攻撃こそ受けてはいないけれど、体力は底を突きかけている。

 

「良いマッサージになったわい!」

「マッサージって……」

 

 クソッ……ガープにとってその程度のものだったのか。

 自信がなくなってくるけれど、会話してくれるなら都合が良い。

 少しでも体力の回復に努められる。

 二、三言葉のキャッチボールを交わし、チラリと海を見た。

 

 アハ……アハハハハ!!

 来た! 宵闇で視界が悪かったが、ちゃんと見えた!

 上手くいったみたいだねえ。

 良くやったリィリィ!!

 

「アハハハハ!! ガープ、今回も逃げさせてもらうよ!」

「おお? わしから二度も逃げられると思っとるのか?」

「ああ、思ってるさ! 周りを見な!」

 

 こちらへの警戒を怠ることなく、周りを見聞色の覇気で調べるガープ。

 まあその必要はすぐになくなるんだけれどねえ。

 

「なんじゃあ!? これは覇王色……いや違う、麻痺毒かっ!?」

 

 次々と倒れる海兵たち。

 海軍ボガードでさえも動きが鈍ってしまっている。

 

痺れる程の子守唄(パラライ・ララバイ)。小型の海王類ですら五分は動けなくなる麻痺毒を散布しました」

 

 得意気に軍艦からリィリィが姿を現す。

 "毒婦"なだけあって、毒はリィリィの十八番。

 まあその毒の全てが新薬開発中に出来た副産物だけれどね。

 ちなみに新薬は未だ開発成功していない。

 

 と言うか、小型とは言え海王類ですら麻痺する毒を吸い込んで、なにも変わった様子が見受けられないガープはどうなっているのだろうか?

 アタシたちは"準備"、その段階で解毒薬を飲んでいたから効かなかったんだがね。

 

 リィリィが軍艦に忍び込むことが出来た理由は、彼女の特異な見聞色にある。

 他人を"見る""聞く"ことに特化したリィリィの見聞色は既に進化していて、覇気の及ぶ範囲内の他人が逆に何を"見て""聞いて"いるのかを感知する。

 実際に他人の視覚や聴覚と同調しているわけではないけれど、それがわかれば確実に相手の死角に入り続けることが出来る。

 本気で隠密行動に入ったリィリィを見つけるのは、見聞色が使えなければ基本的に不可能。

 使えたとしても、相手の見聞色が何を"見て""聞いて"いるのかがわかるリィリィはその見聞色の死角に入ることも出来る。

 ぶっちゃけもしリィリィの武装色の才能が開花したのなら、恐ろしい戦闘力を発揮するだろうね。

 

 まあこの作戦の要であるリィリィが行ったことは、その見聞色を利用して誰にも見つからず軍艦に潜入。

 中に残った海兵たちを様々な毒で無力化し、繋がれていたロープを切りアタシたちの船を沖へ流す。

 ついでにすぐさま追いかけられないように舵を壊す。

 

 リィリィはこれだけのことをやってのけたのだ。

 後はアタシがボガードくんとリィリィを抱えて月歩(ゲッポウ)で海の上を跳び続け、流されていた船に乗り込む。

 想定外はガープに麻痺毒が全く通用しなかったことか。

 

 ほんの少しの時間で良い。

 ガープの動きを止めなくてはならない。

 

「いつまで倒れとるんじゃ! 気合いでなんとかせい!!」

「無茶言わないで下さい、中将」

 

 海軍ボガードには僅かに効いているみたいで、あっちには若干余裕が出来た。

 リィリィが作ったこのチャンス、逃すわけにはいかないね。

 

 (ソル)月歩(ゲッポウ)を使い、高速でガープの周りを移動する。

 いつかの、シャンクス相手にも繰り出したこれ。

 でも今回はあの時より格段に速く、攻撃は鋭くなっている。

 

(スペル)即興乱劇(インプロブ)!」

 

 見えない拳撃、見えない蹴撃。

 四方八方からガープに攻撃を仕掛け続ける!

 

「はあぁぁぁっ!!」

「ぬおぉっ!?」

 

 乱撃が十を超え、二十を超え、三十を超えた辺り。

 ガープの横っ面を撃ち抜いた拳に手応えがあった。

 この瞬間しかない!

 

「ボガードっ!!」

 

 ボガードくんからの返答はなかったけれど、意図は通じたみたいだ。

 声を掛けた瞬間、海軍ボガードを無視して海へ走り出した。

 足を止めさせるため、アタシは海軍ボガードに向かって嵐脚(ランキャク)を放ち牽制。

 即座にボガードくんの下へ向かう。

 ――だが。

 

「逃がすかァっ!!」

 

 ガープはすぐに復帰し、アタシに追い付いて拳を振るった。

 まずいっ!

 ボガードくんとの距離が近すぎて回避してしまえばボガードくんが狙われる。

 今度はアタシが一瞬硬直してしまった。

 

 振るわれる拳。

 しかしそれがアタシに当たることはなく、間に入ったボガードくんに吸い込まれていく。

 

「姐さんっ!! 鉄塊(テッカイ)・剛!!」

「甘いわァ!!」

 

 最大硬度を誇る鉄塊(テッカイ)はしかし、事も無げに打ち崩されてしまう。

 ボガードくんは冗談のような勢いで吹き飛ばされて行く。

 海上を数度バウンドして遥か遠くまで。

 

 ただ幸か不幸か、ガープはアタシに集中して気が付いていなかったけれど、あの方向は船が流されているところに程近い。

 逃げることが出来たのなら、回収は容易だろう。

 気力を振り絞り最後の攻勢に移る。

 

(スペル)即興乱劇(インプロブ)!」

「ぐぅっ……!」

 

 効いた!

 辺りを滅茶苦茶にするほどの衝撃波を振り撒き、徹底的にガープの動きを阻害する。

 

「中将っ!」

「ぬぅっ! やられとらんわい! 追うぞボガード!!」

 

 最後の蹴りで地面を削りながら後退したガープ。

 同時にアタシは軍艦にいるリィリィへ向かい駆け出した。

 後ろから迫ってくる二人には艦上からリィリィが溶解毒を投げ牽制。

 良し! 良いタイミングだ!

 

「掴まりなリィリィ!!」

「はいっ!!」

 

 ガッチリとアタシの首もとに掴まった。

 今スベスベの能力は使えないので速度は少し落ちるけれど、ここまで距離を離せば問題ないだろう。

 

「良くやったねリィリィ」

「は、はい! あ、あと砲弾が怖かったので、甲板にあったやつは使えなくしておきました!」

 

 マジか。

 ボガードくんといい有能すぎるだろ!

 

 まあ辛々アタシたちの船へ乗り込むことが出来た。

 ボガードくんは気絶していて、海の上をプカプカ浮かんでいたのですぐに回収。

 リィリィの機転のおかげでガープの砲撃は飛んでこない。

 

「……逃げ切った、か」

「は、はいぃ……本当に危なかったですぅ」

「だね。早速で悪いんだけれど、ボガードの治療は任せたよ」

「わかりました!」

 

 闇夜の中、目を凝らして海岸へ目を向ける。

 ガープが大笑いしながらこちらへ声を掛けてきた。

 

「おおう"疵無し"!! 次は絶対逃さんぞォ! ぶわっはっはっは!!」

 

 元気一杯じゃあないか。

 こっちは三人揃ってヘトヘトだってのに。

 

「あ、それとお前たちの懸賞金上げとくぞい! 嬉しいじゃろ!?」

「勝手にしなっ!!」

 

 ああー、もう話すのもしんどい。

 

 取り敢えずいつものやっとこうかねえ……

 いや、やっぱり今回はやらなくていいや。

 

 無事に逃げ切れたことに感謝しよう。




どうも。
前話で謎理論の居合い云々を自信満々に晒した無知な作者です!
感想の方で指摘があり、このままの路線で進めるのはどうなのだろうと思いアンケートをとることにしました。

謎理論はアリかナシかと言うものです。
どっちも良い点と悪い点がある!

謎理論ナシの良い点は読者様が能力関連で違和感を覚えたりせず、更にスベスベの実の能力が最強格になるというもの。
アリの場合は出来そうなことが増えるというものですね。

悪い点としてナシの場合は能力のメリットデメリットがとんでもないことになり、更に能力が"覚醒"に至った場合世界が滅びるレベルでヤバいので、作中では覚醒しないことになるでしょう。
アリの場合は能力があまり強くなくなります。ナシの逆で読者様が違和感を覚えてしまうことも出てきます。

八日いっぱいまでの結果で、これまで通り書くか、改めておかしな点を書き直すか決めたいと思います。
ご協力お願いします。


追記

八月九日をもちまして、集計期間を終了させていただきます。
皆様、ご協力ありがとうございました

謎理論はアリかナシか

  • バカな作者には目を瞑ろう。
  • 無知を棚に上げるな。現実に則すべき。
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