散々お待たせし、申し訳ありません。
しかしプロットは万全、最終回に向けて後は書くだけになりました。
どうか見限らず、今後ともこの作品をお願いします。
6月18日最後を修正
では、どうぞ!
前回の大敗を以て帰還した俺は、最初に司令部へ出頭を命じられた。取り消しを要請する部下達を制止して大人しく出頭することにした。ここで大っぴらに逆らうのは得策ではない、秘密裏にやらないと。
「心義零、出頭致しました」
「来たか、座れ」
見る限りでは紫さんや天魔、翔弥などのこっち側はいなかった。まぁ当然といえば当然の行動ではある。
「今回、何故呼ばれたかは理解しておるな?」
「敵を見誤り、自軍の約五割を損耗しました」
「その件だが、貴様ほどの者ならもっと抑えられたのではないか?」
来たよ王道を往く質問。俺の過大評価と敵の過小評価が過ぎるだろ、俺は神でも万能でもないんだ。呆れを隠して当たり障りのない返しをしていく。
「私個人としては、限界まで抑えようとはしたものの、全く予想外の能力、膨大な物量が雌雄を決したかと」
「迎撃においてはあれほどの戦果を示しておきながらか?」
比較対象が違うっての、規模を考えろよこの無能。
「流石に何百という数ては勝手が違いました」
その後も出来る限り事実を述べた続けた結果、
「貴様!黙って聞いておればのらりくらりと!」
「保身のつもりか!地位に恋々としおって!」
「これ以上ふざけるなら、貴様の部下もまとめて潰すぞ!」
今、なんて言った?
────まぁ、こんな程度なら来た所でサイコロに出来るし、いいや。
「保身も何も、そちらの要求は何ですか?知りたいことがあれば教えて頂きたいのですが」
「……では問おう、次は勝てるか?」
正直、呆れた。それが分かったら苦労しない。下らないんだよ、考えてることが。
「はっきりと言わせて頂くと、地上は更地になるかと」
それを聞いた奴らの顔は一気に青ざめた。それくらい分かっていただろう。次は艦隊クラスが始めから撃ってくる、そんな当たり前の現実に。
「ど、どうにかならんのか?」
「地底に誘き寄せれば可能性はあるかと」
「だめだ、地底は信用出来ん。何せあの覚りがおるではないか」
「その通りだ、なんとか、なんとかせねば………」
…………ああ、やっぱり俺は地底の妖怪なんだな。こんなにも、『苛つく』
表情には出ずとも、顔の筋肉がひきつり、両の耳がピクリと動く。
さてと、『どちら』の顔にしようか。ここで査問を受けている「艦隊司令」の
少し考え、声を意図的に低くして話しかける。
「おい」
「な、なんだ!」
ああ、醜い。実に醜い。死にたくないばっかりに色々と画策しやがって。俺は出来ることをやった。だがな、そもあいつらは死なずに済んだんだよ、お前らが手柄を欲しがったばっかりに死んだ。
────フザケヤガッテ
「これは、地底防衛司令としての言葉だ。今の発言は我々への侮辱とみなすぞ。そして覚り妖怪は我らの主であり、主への侮辱は我ら全てへの侮辱とみなせる。敵の第二次侵攻において我らが貴様らを受け入れぬかもしれんぞ?」
今ありったけの悪意を以て、「お前らは助けない」と宣告する。かもしれんなんて嘘、このままいくなら邪魔になるし地上が更地になるのと同時に消えてもらおう。
激昂したのか顔の赤い一人が、指を指しながら言う。
「貴様!図に乗りおって!貴様を艦隊司令から外す!第18中隊は貴様の部下のままにしておくが、一切の戦闘行為を禁ずる!」
「了解しました、
「分かったら出ていけ!」
バーカ、あえて言葉の裏が見えやすいようにしたのに、気づく素振りもなかったな。呆れるよ。
軽く心の中で罵って席を立つ瞬間、ふと思う所があって質問する。
「ひとつよろしいでしょうか?」
「なんだ」
それ以上物を言うなと言わんばかりの声音に突っ込む。
「防衛軍司令官としての権限で、一部部隊を引き抜きたいのですが」
「どれだ?」
「17、18、29中隊です」
「ふむ、あれか………」
18中隊は俺の直属の部隊、17中隊はドラゴンとも呼称される高い能力を持つが、前回の艦隊戦で俺らと近しくなった。29は新設された人里に近しい妖怪と人間で構成された部隊。どれもこれも邪魔者か戦力外か、だめならだめで他の手はある。けれど恐らく
「分かった、しかし代わりに奴らも戦闘をさせず、艦隊の搭乗員からも外すことが条件だ」
貰った。「それでは、失礼します」とだけ言い残し、こちらに背中を向け話し合う奴らを放って部屋を出る。もうどうでも良かった。外に出たときには既に奴らが何を考えているかなんて、全く気にも留めなかった。
「あ!零さん、どうでした?」
「ああ、椛。皆を集めてくれ、ついでに17と29中隊もだ」
「あれもですか?分かりました」
迎撃戦前くらいから妖力無線が一気に普及したことで遠くでも話すことが出来るようになった。それのお陰で行動範囲が格段に広がり、一部隊当たりの監視範囲も広がって忙しくなった。けれど今は非番のはずだ。先の艦隊戦に皆居たのだから。
呼び掛けから数分、三々五々集まった面子を見渡して口を開く。
「あー、呼び出してすまない。少し話があるんだ」
「それはいいがな司令官、あんたに話があるのはこっちもなんだ」
29中隊の人間だろうか、中年の男が声を掛けてきた。
「なんだ?」
「悪いが俺らは人間だ、妖怪を簡単に信じられねぇ。しかもこの前の大失敗もあるしな」
そうだろうね、なんて言葉は飲み込み、忘れかけていた当然の現実に目を落とす。
俺は妖怪だ、人間とは本来相容れない。そして戦いでも失敗した。信用なんてなくて当然ではある。
けれど、それは後だ。せめて一旦の協力態勢だけは作らないと。
「それの件は分かった。信用出来ないのは当然だ。だが俺はやるべきことがある、それには29中隊の協力が不可欠だ」
「信用しないでいい、と?」
「それでいい、戦いが終わったら背中から刺そうが切ろうが好きにしてくれ。ただ今だけは、協力して欲しい」
ふん、と鼻を鳴らし、男はそれっきり何も言わなくなった。一旦の承諾と解釈して、話を進める。
「突然で悪いが、地底防衛軍司令官の権限を以て皆を地上軍から地底軍へ移籍する。この際諸君らの身及び家族、友人には一切手を出させないことを誓う」
「おいまて!信用してねぇっつってんだろ!」
一人が声を荒げる。突然で当然の反応ではあるし、趣旨を説明しないことには誰一人承諾しないだろう。
苛立ちを隠さない男に視線を向けながら言う。
「順を追って説明させて貰っていいか?」
「ちゃんとした理由だろうな」
「ああ、まず次の敵の侵攻に際して、俺らは一切の迎撃戦力がない。というよりそもそも空に上がる前に粉々にされる」
「その心は?」
「今度は確実に始めから攻撃してくるからだ。それに伴い、人里の全住民の避難を行う。ついでに道を知ってるやつを二人付ける」
「行き先は?」
割とすんなり話を聞いてくれていることに感謝しつつ、その問いに指を一本立てて地面を指し、
「地底だよ」
現状唯一の策を伝えた。
「だが、あいつらは納得しないぞ」
頭が冷えたのか、男は冷静に欠点を指摘する。
「それは前提にするしかない。俺がこうしているように、そこまで悪い奴らじゃないことを伝えるしかない。これが29中隊を選んだ理由だ。どうか頼む」
苦しい状況、俺は一度地底に戻れば上がってはこれないだろう。それほどに向こうを疎かにし過ぎた。最後の調整は確認が必要で、次の侵攻はもうすぐそこだ。
「家族が、友人が、恋人が、いるなら、守りたいなら、手を貸してくれ」
だからせめて、死者を減らす策を打つしかない。
「俺らが動かないと、どうなる?」
「まとめて灰になるだけだ、地獄の先の勝利か、死による安楽か。選んでくれ」
「………分かった、出来る限りのことはする」
「ありがとう。最初に言った通り、地底に来た人々には手は出させない」
最低限必要な協力は取り付けた。後はこの前仕掛けたやつが機能するといいけれど、期待せずに待つのが吉か。
「大夏、みんなを連れてきてくれ。17中隊もだ。地底へいくぞ」
「いきなりだが、目的は?」
「単純な戦力不足だよ」
手は打った、後は彼ら次第。なんとかなることを信じながら、大夏の問いに戦力不足だと答える。半分事実、半分嘘。本当はやりたくないが、疑わざるを得ないと思う自分がいるのは残念だ。
内通者がいるなんて、止めてくれよ?
はい、終了です。
久しぶりだったからかな、時間掛かった割に上手いこといきません。
まぁ追々頑張っていくので、よろしくお願いします。
ついでに言うと次回予告はなしにします。め──ゲフンゲフン、ネタがなくなりかけるので。
それでは次回の前書きにて、お会いしましょう!