東方黑剣士   作:鋏人

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どうも鋏人です。こっちの更新ですな。

ユニークスキル、何でしょうね?

では、どうぞ!


第二話 ユニークスキル、解放

 地霊殿に住むことになり一週間、ようやくみんなと仲良くなれた。そして紫さんが勝手に部屋に入って私物をおいといてくれたようだ。ほんとうにありがとうございます不法侵入で捕まって下さい。そして地霊殿では食事の用意を担当している。お燐に任せっきりも気分が悪いし、さとりに任せるとスクラップになる。ついでに敬語はとても良い笑顔で『外して下さい』と言われた。あれは怖かった。

 朝はみんなより早く起きて朝食を作る。金がないので朝食は大概パンくらいだ。よく足りるな、俺は無理だ。けど俺の外での金があるので多少はマシになったらしい。無駄遣いは出来ないが。今朝はパンと……そうだな、卵でも焼くか。そう思い適当に準備して配膳までした頃、ちょうどさとりが起きてくる、と言ってもさとりは基本部屋で本を読んでいるので眠たげな様子はない。

 他にも、『スペルカードルール』についても教えて貰った。決闘の方法らしいく、地上でも異変解決に一役買っているそうだ。俺もいくつかスペルカードを作った。能力を教えてくれとさとりの妹のこいしちゃんに頼まれたが、『戦いになったら』と言って見逃して貰った。起きてきたさとりと挨拶する。

 

「おはよう、さとり。」

「おはようございます、零さん。」

 

さとりの態度が少し変だ、どこかよそよそしい。思い過ごしだと良いが、

 

「さとり、大丈夫か?少し変だよ。」

「そ、そうですか?」

 

どもった、隠し事で確定だな。

 

「話せるなら話してくれ、力になれる事なら協力する。」

「いいんです、大した事じゃないですから。」

 

それなら良いが、と追及するのをやめる。ほじくりかえすのは良くないし、重大なことなら話してくれる───いや、それこそさとりの性格上隠そうとするな。そうなれば嫌でも話して貰う必要があるな、そうならないことを願うが。

 

「お兄ちゃん、おはよう~。」

「おはようこいしちゃん。」

「朝ごはんまだ~?」

「もうすぐだよ。」

「分かった~。」

 

寝ぼけ気味なこの子が古明地こいし、さとりの妹だ。初めて会ったときにいきなり「お兄ちゃん」呼びして来て、それ以来このままだ。可愛いから許せゲフンゲフン。

 

「おはよう零。」

「おはようお燐。」

「うにゅ~、眠い~。」

「おはようお空、顔洗って来な。」

「うん~。」

 

さとりのペットの内の人化出来る数少ない人、お空とお燐も起きてきて、いつものメンバーが揃う。みんなが椅子に座ってから、

 

「いただきます。」

 

と朝食を取る。

 

 朝食後から昼までは仕事だ。さとりはここの管理をしているので仕事はとても多い。重なった書類の山には目を回した。さとり曰く、「とても大変です。」だそうだ。お燐は死体集め、聞いたときは思わず聞き返してしまった。お空は灼熱地獄の管理と、それぞれの仕事をし、午後はのんびり過ごす。これが1日、

 

 

 

 

 

 

なのだが、明らかにさとりの様子がおかしい。何時もは早く仕事を終わらせどう過ごすかに胸を弾ませているのに、今日は憂鬱な表情を作っている。何を聞いても「大丈夫」としか返ってこない。いよいよ異常だ。

 そしてそれは、最悪の事態と共に理由を明らかにする。

 

「さとり様!あいつらが!」

 

お燐が大慌てで入って来る。さとりはその報告に震え出す。それを見てさとりに問う。

 

「どうした、なにがあるってんだ、さとり。」

「嫌いに、なりませんか?」

 

謎の質問と涙目が返って来た。俺の答えはひとつ。

 

「当たり前さ。」

「帰ってきたら、話します。だから、今は、あの人達を───」

 

 

その言葉が届かない内に、俺はさとりの部屋を飛び出した。

 

 

◆no side

 

零が外に出て見たのは、ざっと20人はいるだろうかという、武装集団だった。

 

「お前もさとり妖怪の仲間か!」

 

開口一番、放たれたのはその台詞だった。零は下らないと思いながら、言い返す。

 

「どちら様だ糞お客様。」

「我々は『さとり妖怪撲滅団』!さとり妖怪は排除する!」

「理由は?」

「そんな物などない!心が読め、存在する、それが罪だ!」

「勝手言いやがる、お客様の御心が腐りきってやがるから読まれるのがお嫌なだけでしょう糞が。」

「貴様ぁ、言わせておけばぁ!」

 

一人突っ込んで来るのを腰に提げた刀で────

 

 

 

 

 

 

心臓を貫いた。

 

───殺れただろ!もっと殺れるだろ!ほら動け動け動けって!くそ、前のは偶然か!

 

零の手に肉を掻き分ける生々しい感触が走る。かつての記憶が頭を駆け、殺しの感触が動きを鈍らせた。

 

「てめえ、死ねええええ!!」

「がっ!?」

 

瞬間、敵が零を蹴り飛ばす。追撃を加えようとするそいつを、リーダーらしい男が制する。

 

「手を出すな、俺が殺す。」

 

振り上げた剣を下ろす時────

 

「零さんに、手を出さないで!」

 

さとりの弾幕が襲う。難なく避けた男は、配下に指示を出して襲いかかる。

 お空は不意打ちで転がされ、お燐は必死の抵抗を見せるも数に負けた。さとりは

 

「やめて!来ないで!」

 

泣き顔で抵抗する。だが妖怪の中では弱い部類のさとり妖怪、簡単に捩じ伏せられる。お燐達は意識がある。それの意図を察知した零は刀片手に走り出す。

 

 

 

 

剣が、振るえなかった。

殺しの感触が手に残り、動けなかった。当たり前だ。幻想郷の外では、殺しの機会など、ないのだから。だがここでは、殺しが当たり前。そんなことなど、ないのだ。

 

 

「その程度か、屑が、」

 

その言葉と共に剣が振られ、傷を作る。

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ体が───焼け────

意識が沈む、それを知覚して──

 

 

 

 

「嫌─────!!」

 

さとりの絶叫で意識が浮上する。

 

───嫌、もう、汚されたく、ない───

 

その言葉で今日のさとりの全てを理解し、また立ち上がる。見ればさとりは服を破られ、今にも事が始まろうという時だった。

 

───()()をよくも!!

目の色が変わる。

 

「なんだ?その目、さとり妖怪は屑なんだ、これくらいかまわないんだよ。」

「力のない奴はそこで寝てろ。」

「我々こそ正義だ!」

『オオー!!』

 

一言一言が、さとりの心を抉る。死にたい───そう思った時、零が口を開く。

 

「力がっ、なくてもっ、鍍金のっ、勇気でもっ!

 

 

 

『守りたい人を守れたら、それだけでヒーロー(英雄)』だ!」

 

その声と共に、膨大な妖力が放たれた。遠くにいた紫は察知すると共に地底に飛ぶ。

 

「零!何が──っ、分かったわ、いくわよ。」

「ああ!紫、行くぞ!」

「殺って見せなさい!」

 

突如現れた紫に驚く敵に目もくれず、零は背中に革の鞘、黒のコートを纏う。

そして─────

 

 

「来い!『レスキュラー(救い上げる者)』『エリュシデータ(解明する者)』!!」

 

その声に応え、空間を割って二振りの剣が落ちて来る。片方は漆黒の片手直剣、もう片方は───

 

 

────淡く優しい緑をした、細剣(レイピア)だった。

 

シャラン、と高い音を立て剣が抜き放たれる。目付きは鋭く、左右に剣を持ち、言い放つ。

 

───キリト、二つ名、借りるぞ。

それは誰にも届かなかったが、次は全員に届いた。

 

「『黒の剣士』心義零!推して参る!!」

 

───単発ソードスキル 『ソニックリープ』

 

驚きから立ち直れぬ敵に突進を放つ。反応する間もなく、その男はこの世から消え(ログアウトし)た。

そのまま次を撃つ。

 

七連撃ソードスキル 『デットリー・シンズ』

 

剣が赤い光芒に輝き、三人纏めて斬り伏せる。

 

そう、これが零の能力、『ソードスキルを扱う程度の能力』そして────

 

「『ダブル・サーキュラー』ッ!!」

 

『ユニークスキル 二刀流』。作中では主人公キリトの力、それが零の能力だった。強い反面、ソードスキル特有の技後硬直もある。だから

 

「はぁ!」

 

このように、ソードスキルの直後は無防備になる。それを敵は見逃さず、斬り付ける。それを受けるもすぐにその者を地に伏せる。あっと言う間にリーダーだけとなった。

 

「餓鬼が!貴様もさとり妖怪の仲間か!」

「うるさい────」

 

底冷えのする声で黙らせて話し出す。

 

「俺は───さとり妖怪の味方じゃない」

 

それを聞いたとき、さとりは思った。──また、離れていく、と。しかしそれは

 

「────そこで、今涙を流している、少女の味方だ。」

 

この言葉で消え失せる。悲しさの涙より、嬉し涙が流れる。

 

ようやく、わかってくれる人が出来た。

 

「だからそいつもさとり妖怪───」

「黙れ───!物分かりの悪い奴だ。俺はさとり妖怪という種族の味方じゃない、そこにいる、お前らの汚そうとした、少女、古明地 さとりの、味方なんだ───!」

「意味分からん、さとり妖怪はがいあ──」

「黙れ!貴様みたいな、奴が、人のことを考えない、屑が、居るから!」

 

左手のレスキュラーが、蒼い光を放つ。

 

「みんなは、さとりは!」

「なんだ!言ってみろ!」

 

 

スゥ「幸せに暮らせないんだァ────!!!

ソードスキル、スターリィ・ティアー!!!」

 

『閃光』アスナのオリジナルソードスキル、五連突き。

その閃光の名に恥じぬ剣閃は、四肢を貫く。

 

「があ!」

「おい、この程度か?違うだろ、お前のさとりに与えた苦しみは!これだけで済むものじゃない!」

 

今度はエリュシデータとレスキュラーが同時に輝く。それは、零のオリジナルソードスキル、突きと、斬撃を併せた技。

 

「オリジナルソードスキル、『ワルツ オブ ライト』!」

 

斬撃が壁を作り、刺突がそこに反射するかのように放たれる。敵の服が血に染まる。都合15撃、そしてもう1つのオリジナルソードスキル、

 

「『ヘキサスラント』」

 

正八面体の軌跡を描き、傷付いた四肢を更に切り刻んで────

 

「『リニアー』」

 

無慈悲な宣言で放たれた突きは、口から入り後ろに出た。そのまま上に剣を振り上げて────

 

 

 

 

 

 

内側から頭蓋を叩き斬った。

 

 

ゆっくりと倒れる死体を見ながら、

血まみれのまま、零は暫くそこに立っていた。

 

 




はいというわけでユニークスキルは『二刀流』でした!

え?知ってた?わかってるよそんなの。
さて、さとりさんの扱いが酷いですが、これからもっと酷くなる可能性が高いです。お気をつけ下さい。

次回の『東方黑剣士』は?

殺しをした零、どうする?
さとりの苦しみは?地霊殿の行く末は?
分からないことだらけの襲撃後、みんなの想いとは?
次回、『過去と今』お楽しみに!
次回の前書きにてお会いしましょう!



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