東方黑剣士   作:鋏人

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はい、今日もやっていきましょう。そしてどうも、鋏人です。
挨拶のいいやり方ないんですかね、誰か教えて(懇願)

それは置いといて、ニクスに続き零もルールブレイカー解放です。彼のはどんなのでしょうね。
では、どうぞ!


第二十四話 超越の欠片 後編

 吹き出した黑は、零の指一つで軽々と形を変えた。吹き出したこれが何かを確認するまでもなく、零はこの力を理解していた。知らない知識が、まるで自分の記憶かのように流れ込む感覚に違和感を覚えながらも、それを一旦切り離し、黑を格納した。

 

「それは……なるほど、研究対象だ」

「研究する暇があるのか?」

「あるから余裕なのさ───()()()()()()()()()展開(アンフォール)

 

ダツが光を纏う。

 

「なにっ?」

 

ルールブレイカーとは、あるものから人々を解放する力。それならば対となる『支配』の力もあって然るべきである。ルールブレイカーは解放、素質ある者が目覚める力。しかしルールガーディアンは支配、素質ある者が上位者から()()()()()力。

 今の秩序を壊すべく発現したルールブレイカーと、世界の秩序を保つために与えられたルールガーディアン。つまり二人は、敵対するべくして敵対したと言っても過言ではない。そして今、幾つもの銀河で初めて、『神へ王手を掛けた者同士の戦い』が始まる。

 

「あの方に救われた、だから、君をここで討って恩を返す!」

「やれるものならな!」

 

ダツのルールガーディアンは『簒奪』。敵対する者からあらゆる物を奪い力を無くして勝利する。そして

 

「全力だ!」

 

今まで取り込んだ全ての力は、自由自在に使用出来る。いくら研鑽が必要であろうと、いくら身体がそれにあっていなかろうと。

 烏天狗から奪った飛行能力と、零から奪った剣を用いて、超高速で仕留めにかかる。そしてこの間にも覚りの能力で以て回避を先読みする。全ての行動は読み取られ、発生前に潰せる万能の一手。それを零は、

 

「絶望よ、飲み込め」

 

腕から放った黑で受け止めた。黒とは、色に於いて最も強い。あらゆる色は黒と混ざれば黒に近づき、そして黒に飲まれる。

 防がれたことも計算の内であったダツは、そのままV字に切る『バーチカル・アーク』で至近を維持する。それもまた零は黒い霧で受け止め、霧をレイピアに変化させた。イメージ、剣の軌道を頭に描き

 

「ほう……」

 

 ソードスキル『リニアー』 

 

基本的ながら、高速かつ高精度の一突き。そして間髪入れずに黑刃を振るう。反撃前提、回避なし。零の予測通りにダツは斜め上から振るわれた剣を持つ腕を切り落とそうとした。腕に深い傷を残しながらも、刃はダツへ迫る。

ここで初めてダツに焦りが見えた。まさか反撃を食らい、腕が使い物にならなくなる程の傷を負ってなお刃を振り抜くとはまるで考えていなかったのだ。そして袈裟懸けに浅いながら刃の軌跡が残った。

 

「君は、どうして?」

「お前と一緒だよ。彼女に恩がある、それだけだ」

「………君と味方だったら───」

「お前が味方だったなら───」

「「良い友人になれたかも()」」

 

しかしここは戦場、そして二人は敵同士。故に、殺し合うしか道はない。

 ただひたすらに、理解不能だった。自分がニクスと同じ力を解放したことも、使い方が自然と分かることも、ダツが自分と『反対の力』を持っていることを知覚出来たことも。

それでも剣は止まらない。黑い霧から生成しているために常に集中して構築し続けなければ今にも消えてしまいそうな変幻自在の剣を、時に鞭がしなるように、時に鋭く、一歩も引かずに振り回す。

そして頭の中を巡る幾つもの策、正直頭がもつか分からない状態。通常の数十倍にまで加速された思考に脳がついていけていないのか、常に息苦しさが付いて回る。

 

「まだだ!」

 

ダツが二刀流に切り替えて、距離をとる。それに気付けずに足が止まって、その瞬間にソードスキルが差し込まれた。

 

 ソードスキル『ダブルサーキュラー』

 

黑の霧で、運動エネルギーを相殺する。そして妖力刀ごと飲み込んで纏めて消滅させた。

 

「やるね!ならこれはどうかな!」

 

その言葉と同時に、上下から巨大な光線が降ってくる。あまりに荒唐無稽な、無制限の光の束。しかしそれは零を狙ったものと、地底軍を狙ったものの両方があった。

 

「ギャアァァァァ!」

「脚が!俺の脚が!」

 

断末魔に気付いた零は、霧を使い防壁を展開。その僅かな行動の隙に、

 

ソードスキル『ソニックリープ』

 

音速の跳躍、そして袈裟懸けに振り下ろされた剣は、零の背中に傷を残す。

 

「っづあ”ぁ!」

 

痛みに声を上げ、しかし零は止まらずに霧を両手に集めて

 

「アルファスペル『始原の波動』!」

 

小石を池に落としたように、広がる波紋がダツを吹き飛ばす。

 

「ハァッ、ハァッ、、ハァッ、、、、

 

 

スペルカード、、発動」

 

零はスペルカードを発動して光に包まれる。白く綺麗な光は、ほんの数秒で黑に飲まれて消えた。そして疑似サードアイを使って放つのは

 

「…オーダー……ジ────オリジンっ!」

 

原点を、消し去りたい過去を再現するスペルカード。現時点での最大火力。零を中心に二つ、次に三つと、計五つの大きな弾幕が展開され、零と光で結ばれる。そして本人から白弾が無数に放たれていく。それら一つ一つが弾けては消え、弾けては消えていく、まるで月の使者の来たときの心の内を表すように。そこまでは一般のスペルカードと変わらぬ難易度。しかし全ての大玉が消えてからが真骨頂、全身から放つ霧が、ブラックホールのようにあらゆるものを飲み込んでいく。

 

「これが───俺の………本気だ!」

 

振り上げた手へ霧が収束した。

 

 弾幕の一つ一つを相殺し、回避するダツに、ついに限界が訪れた。霧から逃れることは叶わず、引きずりこまれる。その時、頭を駆けたのは自分の原点だった。元々月の民であった彼は、太古に地球から来た現在の上層部に蹂躙された。ただ、生きたい、死にたくないと叫んだ友人も、家族も、次々と死んでいった。その中で僅かに生き残っただけで、それからの日々に意味などなかった。そんな時、降って湧いた話。それが彼の今を作った。

 

『力をやる』

 

その人物はそう言った。そして半信半疑で取った手は、裏切らなかった。数百年ぶりの優しさに、彼は陶酔した。そして、ある策を問われた。

 

『ある者が世界の安寧を狂わせんとしている』

 

その人物が、僅か11歳の少年であったことは、良心の呵責を覚えるに十分だったが、主君に見せられた未来は間違いなく地球を滅ぼすものだった。地上への干渉は一度きり、完全にやるつもりが失敗し、主君には死んで詫びるのも辞さなかったが、主君は許した。そして、今回の戦争にあたり、ダツに告げた。

 

『あの時殺し損ねた彼奴がいる。地上へ赴き、彼奴の捜索と共に地上を制圧せよ』

 

制圧、それに一番合っているのはダツの力の簒奪だった。殲滅してしまっては主君の願いは叶わない。しかし殲滅以下の出来て腕の立つ者は少なく、彼が抜擢されるのは自然だった。

 それなのにどうだろう。殺し損ねた少年が青年となり、今正に反逆の力(ルールブレイカー)を振りかざしているではないか。その憎悪が生きていることに恐怖しつつ、久方ぶりの戦いに震えていた。腕を失くしかけても、背中に傷を作ろうとも、食らいつき、離さず、追い詰めている。それが、何故か堪らなく楽しかった。

 

「それが本気なら、僕も全力で往こう!」

 

奪った力の全てを一つに統合し、収束、二刀へ再構成する。そして、対峙する零への最大の礼儀として、彼と原作主人公の代名詞を放つ構えをとる。

 

「全てをくれた、主君のために戦うんだ────」

「全てを奪った、お前らを許さない────」

 

ダツの二刀が、流星のように煌めく。

零の手の中で、黑霧が槍の形を成す。

 

 

「『スターバースト・ストリーム(消し去れ)』!!!」

咲け(さぁ)───『黒百合(呪われろ)』!!」

 

投擲された槍が、総てを飲み込まんと肥大化する。二刀が、その闇を滅さんと輝く。ぶつかる二刀が、少しずつ剣を押し留めていく。それに負けじと槍は細く、鋭く、肥大化した全てを使い尽くすように変化する。槍が弾かれた。そしてダツが踏み込んで、最後の突きを放つ。それは零に吸い込まれた。

 

「───っづ!!───まだ、終わらせ………ねぇ!」

 

頭上へ手を向け、鞘から剣を抜くように動かすと、また槍が現れた。それを、片手で振るい────ダツの伸ばした腕を切り落とし、返しの剣で両の脚を切断し、更に袈裟懸けに切り裂いた。吹き出る血を前に、ダツは笑う。

 

「ありがと、これで死んだ皆に会えそうだ」

「───っ、そうか、仲良くやれよ」

「あぁ、ほんと、きみ、、となら、、」

「仲良く出来たろうにな」

 

落下した。ルールガーディアンは既に消えてなくなり、零のルールブレイカーも解除された。死にゆくダツと言葉を交わして、零は実感した。

 

 

───俺は、愚かだな

 

 




はい、終了です。
うーん、零のルールブレイカーの詳細はなかったですね。てか書けば秒でネタバレ一直線なので自重します。

では、次回の「東方黑剣士」は、
第二十五話「泣いて」

お楽しみに!また次回の前書きにてお会いしましょう!
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