以上。
では、どうぞ!
◆side 零
俺は人を殺した。もうここには居られない。敵の血を全身に浴びながら、冷めた思考を回す。間もなく紫さんがここに来て俺を消すだろう。さよならも言えない可能性か高いが、まだ一週間だ。付き合いは浅い、すぐ忘れるだろう。悲しい気もするが、人殺しにはちょうど良い罰だ。と、ここまで考えて紫さんがやってくる。
「ちょうど良いですね紫さん。俺を消しに来ましたね?」
「違うわ、零。貴方のことだからそう言うと思って来たのよ。」
「どういうことです?」
「幻想郷ではね。『守る為の殺し』は罪では無いわ。」
「守る為も何も、殺しは殺しです。」
それが率直な想いだった。確かに俺と奴等だったら俺の方がまだましだけど、やったことは同じ。何も違わない。そう言い返すと
「貴方はさとりをまた一人にするのかしら?」
そう言われた。どういうことか問うが、何も言わず逃げられた。本音として地霊殿には居たい。ここにいると心が落ち着くし、今まで退屈だった日常すら輝いて見える。それに─────
さとりと、地霊殿のみんなと離れたくない。それが一番強い。とりあえずお空とお燐を起こして部屋に連れて行き、休ませることにした。二人はすぐ部屋に行ってベッドに倒れ込み、安らかな寝息をたて始めた。最後にさとりを見ると、目の遣り場に困ったので俺のコートを羽織らせ、抱っこして運ぶ。そして二人の様に降ろそうとすると、さとりの手が俺の手を握りしめて離さなかった。どうしたものかと考えていると、
「ん、んむ。ふぁぁ、」
まずい、起きてしまった。ここはもう開き直るしかない。意を決して声を掛ける。
「起きたね、さとり。気分はどう?」
「ふぁぁっ、零さん?!ど、どうして?!」
「えっと、───」
さてどうしたものかと思案する。俺のしたことを伝え出て行くのが最善だろう。
「ごめん、さとり。怖い思いさせて。」
「いいんです。守ってくれてありがとうございます。」
「それだけど、
俺は人殺しだ。ここを出て行く。」
「え…………?」
「俺はここに居られない。人殺しが、人並みに幸せを享受するわけにはいかないんだ。」
そうだ、それで良い。“まだ一緒に居たい”という思いを押し留め、頭を下ろし続ける、
「だからさ、出て行く前に、ひとつだけ言わせてくれ。ありがとう、そして─────
さようなら。」
そう言い終えて頭を上げると
泣きながら俺の方を見るさとりがいた。
「な…………んで………」
驚いている俺に構わず、さとりは泣き続けた。
「…やっと…うっ…分か……って……グスッ……くれた……人…なのに」
泣きながら話すさとりは止まらない。
「…親戚も…………両親も……えっぐ……失く……して───」
さとりの過去は、凄絶の一言に尽きた。親戚を、両親を謂れの無いさとり妖怪への偏見で失くし、妹と二人、地底に来た。友人は紫ともう一人、たったそれだけ。『自分達が邪魔にならない所へ』と来た筈の地底にすら、そいつらは追って来た。その所為で地底でも居場所を失くして、彼奴らの相手をして、数百年。『心を読む程度の能力』に絶望した妹のこいしはサードアイを閉じて心を閉ざした。
そう、『心を読む程度の能力』。これだけで彼女達は惨殺の憂き目に遭った。心を、見たくなくても見えてしまうこの力、それを持っているだけ、ただそれだけだった。
今俺の目の前で泣いているのは、偏見で家族を失った、ただの少女だった。
「なんで!私の……周り…ひっぐ…み……んな……みんな…離れ………て………いく……の……?───え?」
気が付けば俺はさとりを抱いていた。もう大丈夫、と耳元で囁き、出来る限り優しく撫でながら。
「苦しかったよな、辛かったよな。でも、大丈夫だから。俺が居るから。」
「ほんと……ですか…………?…いなくなったり…しませんか?」
「ああ、それに、俺にも似たような力がある。」
「そんな、零さんは、覚り妖怪じゃ──」
「うん、でも
「私と、同じ?」
「そう、さっきはごめんな。出て行くなんて言って。出て行かないよ。」
「ほんとに?」
「ああ、本当だよ。」
「うっぐ、うわぁぁぁぁぁん!!!」
泣きながら抱きしめてきたのでびっくりしたが、好きにさせておいた。数百年耐えたんだ。今くらい泣いたって良いと思う。俺はさっきより優しくさとりを撫でながら、耳元で大丈夫だと囁く。その度さとりは声を上げて泣く。
数分間泣き続けて、ようやく泣き止んだ。
「ごめんなさい、服汚しちゃって。」
「いいよ、こっちもごめんね。酷い事言っちゃって。」
二人で謝りあって、顔を見合わせて、あははと笑う。この笑顔が見れて良かった。人殺しの事実は動かない。けれどここの人を守った。それも動かない事実だ。目を反らしているだけに決まっているけど、気持ちが楽になった。
「さて、時間も経ったし、晩御飯にしよう。」
「えっ?もうそんな時間ですか?」
時計を見れば時刻は午後6時今から作れば7時には食べ始められるはずだ。さとりと別れ、台所に行くと、お燐がすてに作り始めていた。
「遅いよ!零!」
「ごめんな、さとりを慰めてて。」
「そうかい。」
「お燐は大丈夫か?」
「あたいは大丈夫さ。ほら、さっさと作るよ。」
「あいよ。」
今日のこともあるし、少し良いやつにしようかな。食費は………この際考えなくてもいいや。けど残金も心許ないなぁ。働く所見つけないと。あ、でも地霊殿に住んでるって言ったら拒否されるな。となれば地上か、この前貰ったアレを使って仕事見つけよう。色々考え、地上で仕事を探すことにした。とりあえず今日は無理だが、明日から地上に出よう。そう思った頃職場も出来上がり、いつものようにみんなで食べ始める。
「今日はありがとね、零。」
「なんだよ、お空。」
「守ってくれたから。」
「そうか。」
「なぁ零、あんたの能力って何だい?」
「そうですね、あの剣伎、知りたいです。」
「今日何かあったの?」
「こいし様、今日例の集団が来て、それを零さんが倒しちゃったんです。」
「え?!あの人達を?すごいねお兄ちゃん!」
「早速教えてください。」
一気に詰め寄られた。教えて減るものでもないし、家族に隠し事は良くないから、言っておこう。
「あれは俺が外の世界で好きだった本の技で、能力名『ソードスキル』と、もうひとつは主人公の特殊能力。その世界には『ユニークスキル』ってのがあって、世界中で一人しか所持出来ない、『何かにおいて最高』が条件で、あれはユニークスキル『二刀流』。条件は最高の反射速度だ。」
「とんでもないですね。」
「最高の反射速度って、まだ上はあるのかい?」
「勿論さ、あれでまだ30%程度だ。」
「すごすぎて分かんない~。」
「うにゅー、私もー。」
「技の後ちょっと止まりましたけど、あれは?」
「ソードスキルの伎後硬直だ。バランス崩壊モノだからな、制限はある。」
「あの時は八連撃だったけど、最高は?」
「たしか片手で十一、二刀なら二七くらい、けど自分で作ればもっと上出来ると思う。」
俺の言葉にポカンとしているみんなを他所に、食事を済ませる。それに気づきみんなも急いで食べる。そんな急がなくてもと思いつつも、言わずにおいた。
『ごちそうさまでした』
みんなで言葉を重ね、挨拶した後、夕食の片付けをして、風呂に入って寝た。今日は色々あったけど、良い一日だった。明日は仕事を探しに地上へでないとな。そう思い目を閉じた。
ハイ、終了です!
如何でしたかね?良ければ感想下さい(露骨)。けど批判等々は避けて頂きたいです。メンタル崩壊まっしぐらなので。
次回の「東方黑剣士」は?
ついに地上へ出た零、新たな仕事先は?
一大勢力の長との───決闘?!
次回!第四話「新たな理解者」お楽しみに!
次回の前書きにてお会いしましょう!