また1ヶ月も投稿サボった屑がいるとかマ?
……ごめんなさいまた書きたいやつの構想を練って忘れてました。なんとか追い付く予定ですので、どうぞ見ていってください。
では、どうぞ!
「ぶっ殺してやる!あいつも、あいつの仲間も!誰一人として!この地から逃がさない!」
天井を向いて叫んで、沸騰し切った頭でも思考を止めなかった。真っ赤になっていただろう顔が少し冷めて、近くに来た天狗達の存在に漸く気付いた。
「あの、零司令……」
「なんだ」
「あの、えっと、先程の一件をその──天魔様のお耳に入れました。山に来るようにとのご命令で……」
「分かったすぐに行く。」
ぶっきらぼうに言い置くと、戦闘の結果散々な様子になってしまった地霊殿が目に入るが、それを見て何を思うでもなく立ち去ろうとする。
「あ、あの!司令!」
「どうした、何かあるなら言え。」
「ち、地底は我らにお任せを!司令はご自分の伴侶を取り返し───」
「そんなものではない。」
「は──?」
「ただの……なんでもない、忘れろ。」
自分の口から出た言葉が信じられなかった。出ないままにその場を去ると、最高速で妖怪の山へと向かった。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。敵への憎悪と、情けなさと、恋情とが入り乱れて心を無茶苦茶に引っ掻き回す。頭の中はこれ以上ないほどに混乱しているのに、表情にはそれが出て来ない。
「零さん?どうされました?」
「……天魔に用事だ、通せ。」
普段なら決して使わない言葉遣いに門番が怯えたような目をする。それを視界に捉えながらも、頭に情報として入ってこない。
「来たか、零……先ほど地底から連絡があったの──」
いつもの会議室に入るや否や、言葉を発した天魔を無視して言った。
「皆殺しだ、何もかもを消し飛ばしてやる。」
「おい何言ってるんだ、」
「空からなら一匹も逃がさず殺せるんだ、なぁ許可をくれよ、一切の躊躇もなしに殺し尽くすからさぁ──」
怒りで頭が沸騰している。今自分が何を言っているかも分からない。ただ心に浮かんだ言葉がよく考えもせずに口に出している。
「もうさ、あいつらの拠点の辺り更地にしようか。そうしたら自然と綺麗になるだろうよ」
「零!お前は一度冷静になれ。」
「黙れ!俺はまともだ!」
「罪無き者を巻き込もうとしている時点で貴様は狂っておる!」
『罪無き者』、その言葉は零を激しく揺さぶり、そして正気に戻した。
「……すまない、正気じゃなかったな。」
「おう、戻ってきたか。それで、一体何があったのだ?」
零は自身の見たありのままを天魔達へ伝える。
「唐突に地霊殿の天井が吹き飛んだんだ。その中心にさとりがいて、まるで気付かなかった。考えてみれば、中心にいるってことはそれが原因なんだから。それから戦闘になって、街を狙った攻撃を相殺したら……居なくなっていた……」
「さとり?本物なのか?だとしたら一体何故?」
「身体はさとりのものだけど、中身が別人だった。動き方の癖はさとりそのものなのに、『私の方が貴方より優れている』とか、さとりなら言わないことを言っていたんだ。」
「じゃあ、内側から乗っ取られた──?」
「目的は何だ?わざわざ地底まで行かずとも、我が軍を崩すだけなら山の指令部で十分だぞ?」
議論が白熱し出した所で、天魔が零に聞いた。
「零よ。あの黒い力は使ったのか?」
「あぁ使った。けど全くといっていいほど無力だったよ。」
その零の返答に少しだけ空を仰いだ天魔は、零と翔弥の二人に向けて言った。
「翔弥、零、幻想郷軍司令官天魔の名において命じる。妖怪の山山頂の『守矢神社』へ向かえ。そしてその力についてそこの神である諏訪子様と加奈子様へ問うのだ。」
「翔弥の言ってたやつか?」
「そうだ、今は情報収集を優先しよう。」
不本意そうな表情を浮かべたつもりの零だが、その顔は無表情なまま動いていなかった。
「他に議題はないな?これで解散とする。各自の責務を全うしろ。」
零が口を開かぬうちに会議を締め括ると、零と翔弥以外の全員が部屋を後にした。そうして会議室に残された零は、勝手に決めてくれたな、と苦々しい表情をした。
「そう怒るな零。天魔様だって考えてる。それにこれから帰って来るのは大分先になるんだ。」
「先?何故?」
「そりゃあお前、神社に行って話聞くだけじゃあるまいて、多分なにかあるさ。」
「それは、そうだな。(あまり時間を掛けたくはないんだが)………神社に今から行こう、」
「今から?」
「そう、時間が掛かるのはよろしくない。」
「それもそうだな、」と翔弥が行ったのを聞いて、大股で会議室を出ていこうとする零。それと同じペースで翔弥も隣を歩き、騒がしい廊下に出た辺りでにやりと顔が歪んだ。
「おいキモいからそのにやけ顔やめろ。」
「うっさい、もう本当にこいしと恋仲になれたのが嬉し過ぎるのが悪い。」
純度120%の惚気に若干眩暈を感じた零だが、
「あんな少女に手を出すとか許さんからな、牢にぶち込んでやろうか?」
そう脅して
「ふんっ、こちとら天魔様公認じゃい、邪魔させんぞ。」
まさかの公認という斜め上の展開に頭を抱えた。
「心義殿、八島殿、」
そう声を掛けられ、天魔からの伝言を預かったという天狗から、幻想郷については心配無用だからしっかり力を付けるようにという言葉をもらった。
そして山の基地を出発し、未だ続く翔弥の惚気に、それでいいのか幻想郷、と天を仰いだ零だが、自分もよく考えれば見た目15かそれより下の少女に恋していて、地底の幹部の目の前でカミングアウトしたのを思いだして寒気がした。
「天魔、今度会ったらただじゃおかんからなぁ!?」
「さとりとの交際も応援してるとよ、早く手を出して手篭めにしてしまえなんて言っ──」
「あんの腹黒天狗ゥ!」
冗談にしても大概な天魔の言葉に、後で全力で呪詛を吐いて呪ってやると零は誓った。
そしてものの数分で山頂の神社へ着くと、結界のようなものとそれを護るために門の前に立っている女性を見つけた。
「あれが件の神か?」
「そうだ。あのお姿は、加奈子様だな。」
「大分雑魚がいるな……翔弥、頼む。」
「わかってる。
風よ、刃に宿れ。」
決して無視できない量の空気が翔弥に剣に集中し、
「───っと、貴様ら慈悲は無用だな。『
零が自身の霧を使い巨大な手を作り出す。
「失せろ」
「死ね」
無慈悲で無感情な声が敵に向けて死を宣告する。そして半瞬の後に動き出した利口な敵は、肩から腰に掛けて斜めに身体がずり落ち、零の手に掴まれた相手は頭を蚊でも潰すかのように潰させられる。そして霧を剣へ変えて、
「バーチカル・スクエア、」
赤い航跡を残す高速の四連撃から、
「ホリゾンタル・スクエア───」
回りに集まった者を纏めて薙ぎ払えば、ほんの十にも満たない攻撃で数十の死体を量産した。幸運にも生き残った者が零を背後から狙い、零は一切そちらに目を向けず、服についた返り血を拭っていた。そう、それだけの余裕が、零にはあった。
「滅せよ『灼熱波』……」
風と剣の摩擦から凄まじいまでの熱を翔弥の剣が放ち、刃と同じ形を持ったその風だけで残りの敵を正確に両断した。
「殲滅完了だ。」
「───それは良かった。で、君らは一体何者かな?」
声を掛けられて零が後ろを振り向けば、警戒する素振りを表に出さず威圧する少女がいた。
「ああ、えっと……幻想郷軍の心義零だ。」
「幻想郷に軍はないよ?」
「ついこの間出来たばかりだ。月の都相手に戦争している。」
「あー、通りで襲ってくる訳だね。用事があるなら入っておいで。」
そう言うと掛けるはふわりと浮き上がって境内にある建物へ入っていってしまった。
「あんなに余裕があるのか…」
「神だからな、考えるだけ無駄だろうよ。」
失礼のないようにと思いながら障子を開けると、
「お客さんがきたんだ、失礼のないようにねー。」
「はい!加奈子様!」
諏訪子が奥へ声を掛けると、ものの十数秒で緑の髪を持つ巫女姿の女性が忙しなく脚を動かして茶を運んできた。それと目が合った零は、
「あっ!貴方は!それに翔弥さんも!」
「あの時の!」
東風谷早苗と指を指しあい、互いに何時か見たことのある姿に驚いた。
「お邪魔させてもらうよ、早苗さん。」
「あ、あぁどうぞ!お構いなく!」
余程印象が悪いのか、翔弥が声を掛けると早口で返事をしたかと思えばあっという間に奥に引っ込んでしまった。
「おや、早苗と知り合いなのか?」
「地底で一悶着あった時にね、加奈子様。」
「あぁ、言ってたなぁ。なんか黒服の剣士にボコされたって。それが君かい?」
「改めて、心義零と言います。その節は……なんだ、申し訳ありません、って言うべきか──」
話すことに困って言葉を濁す零を見て、諏訪子はカラカラと笑うと、
「気にするな!それより早苗!諏訪子を引っ張り出してお前もおいで!」
加奈子が奥へ呼び掛ければ、元気の良い返事が返ってきた。それを聴くと加奈子は零と翔弥に向き合って言った。
「残念ながらあいつらが空を飛ぶ方舟から降りてきてからはよく知らないんだ。教えてくれると助かる。」
そう聞かれた零は、翔弥へ自分が返答すると目配せしてから話し出した。
「もう二、三ヶ月前くらいに月から従属しろって手紙がきて、それを紫が蹴ったんだ。それからすぐ一度目の敵の襲来があって、上手いこと方舟を奪って倒した。
その後逆侵攻したが失敗に終わって疲弊したところに奇襲されて主戦力は地底に追いやられていた。これが大体ここ数週間前までのことだ。
それ後は一応山だけ奪還して、とある事情でここに来ている。」
一言も口を挟まずに聞いていた加奈子だったが、終わったと同時に口を開きかけて
「加奈子様!諏訪子様をお連れしましたよ!」
「ん?おおありがとう、そこに座りな。」
「はい!それで、お久しぶりですね翔弥さん、それと───」
「零だ、心義零。あの時は申し訳なかった。」
「気にしないでください!」
大丈夫ですから!と言ってみせる早苗に感謝しつつ、加奈子に続きを促した。
「──あー、それで力を借りにきたとかそういう訳では」
「ない、その用事は少し後になるだろう。それよりも、
『ルールブレイカー』という言葉を知っているか?」
「『ルールブレイカー』?それをお前が持っていると?」
「そうなんだ、実を言えば翔弥と、俺の部下にいたニクス、合計三人が発現している。」
「え!?ニクスさんもですか!?」
零の口からニクスの名が出てきたことに驚く早苗。彼と侑李の恋路を手伝った者としては、彼らのその後は関心事であった。
だが、
「ニクスは………死んだ。ルールブレイカーの発現する直前に袈裟懸けに叩き斬られていて、その傷が元で───」
自分の服にしわがついて取れなくなりそうなほどに強く握り締めると、そう絞り出すように言った。
「……そう、でしたか。ニクスさんに恋人がいたのは知って?」
「知っていた、そのためもあって訓練時間は少し気にかけていたが、あいつ、まだやるって聞かなくてな、ははっ──」
自虐的に笑ってみせるが、早苗も目を伏せて悲しみを露にしていた。そして二人が失意の内に沈もうとした時───
「───あー、申し訳ないがもう話していいかな?」
加奈子に指摘されて赤面した零は、「どうぞ」とだけ言った。
「ルールブレイカー、か。何百年ぶりに聞いたかな、その力。
ソレは、まともな人間じゃあ扱えないよ。なんて言ったって『神殺し』の力だからね。」
「神、殺し……それがルールブレイカーだって?」
「神をも殺す力ってのは眉唾物なら幾つも聞いたことがあるが………まさか実在するとは───」
零も翔弥も絶句した。それを置いて加奈子は語る。
「ルールブレイカー、私達みたいな土地神が創られる前から存在する力。何時だったか聞いた発現条件は、
『上位存在が下位存在を抹殺しようとすること』
これから察せられるけど、敵の親玉は最低でここら一帯を支配する神だろうね。」
「神が敵だとッ?」
「しかも下位存在、つまりこの世界を抹殺するだって?」
またしても驚愕する二人だが、加奈子は続ける。
「神が相手だからこそ、それに対抗するための力が必要だ。」
そう言って立ち上がって奥に向かい、なにやらごそごそと音をたてると「随分ほったらかしだったから忘れてたよ」とぼやきながらひとつの巻物を持ってきた。
「これにルールブレイカーを持つものだけが入れるっていう修行場の場所がかいてある。これを持っていくといい。」
「……ありがとう、でも、何故ルールブレイカーを知っていたんだ?」
「さっきも言ったけどルールブレイカーの発現条件は『上位存在が下位存在を抹殺しようとすること』、つまり神であることに甘えて暴虐の限りを尽くそうものなら滅ぼされるってことは、覚えておかなくてはならないからね。
もちろん私らは悪いことしてないからね?」
最後に予防線を張った加奈子が可笑しくてつい笑ってしまった零だった。
あの後は全く相手にもされなかったことに拗ね気味早苗を加奈子が諌めるのを横目に茶を啜り、軽いお礼と共に守矢神社を後にした。
敷地を出た直後に空へ上がると、もらった巻物を開いた。巻物の中には方位磁針のような絵が描かれているだけだった。
「これ、偽物なんじゃないか?」
「疑うのはよくないぞ零、方位磁針みたいなんだからそこで一回転してみろよ。」
翔弥の言う通りにその場で一回転してみると、なんと巻物に描いてある矢印が動いてある一点を指し示した。
「───ほらな?」
どうだと言わんばかりの口調と表情に若干イラッときた零だが、何も見ていなかったふりをして矢印の示す方向へ飛び出した。
「なぁ翔弥、」
「どうした?」
天狗らしく高速で飛ぶ翔弥の後ろを零が追いかける形で移動する最中、零は翔弥に聞いた。
「こいしは、大丈夫か?」
別に何が、とは聞いていないが、零が聞きたいことを理解した翔弥は、飛行中に器用に後ろを向いて話し出した。
「俺が拠り所になれたみたいだ。不安定な感じもするが、暴走とかはないと思うぞ。」
「そいつは良かった。こいしはなんというか───」
「───話していても、相手じゃない所を、それも物理的な場所じゃなくて、過去や未来を見ているようだった?」
「……その通りだ。」
考えていたことを見事に言語化してみせた翔弥に感心しながら、翔弥にまだ聞きたいことがあった。
「………さとりってさ、」
「おうどうした、惚気か?聞いてくれた礼に聞いてやろうか?」
「違う。さとりは、自分の過去以外にも、まだ何か抱えていそうだけど、知っていたりしないか?」
「………はっきり言っておくがな、
くるりとまた前を向いて更に速度を上げると、
「そこから先は、てめえで考えろ───着いたぞ。」
翔弥が降下するのに合わせて零も降下する。翔弥の言葉の真意を確かめる前に、零は目の前にある民家に目を奪われた。
「デカイ、」
「そうだなっ──ごめんくださーい!」
生返事を返した翔弥は、周りの環境を確認しようとする零を引き止めて入口から声を掛けた。
「はいはい、少々お待ちくださいね。」
中から大きくはないが通りの良い男性の声がして、いかにも山の中で隠居しているといった姿の初老の男性が現れた。そして二人を見ると直ぐ様こう言った。
「おお、お待ちしておりました、神殺しのお方。ささ、お入りください。中で茶でも用意しますので。」
「ありがとうございます。いきなりお邪魔してすみません。」
いきなり老人の口から出た「神殺し」という言葉に驚きながらも、零は未だはっきりしない表情が出にくい不調によって、翔弥は長い人生経験によって躱す。
「いえ、私どもは
軽く零へ目配せすれば、周囲を警戒をしていた零は分かっているという風に頷いて警戒を緩め、中へ入っていった。
はい、終了です!
もうね、色々とごめんなさい。完結させる気があるのか自分も不安になるくらい筆が進まないです。
でも、評価、お気に入りしてくれている人のためにも、頑張らなくてはいけませんね。
さて、次回の『東方黑剣士』は~?
「あなた方がご自分の本質を見るまで、お世話させていただきます。」
「俺の本質は、『守ること』じゃないってのか!」
自分すらも知らぬ自分、それを見つけることはできるのか。
次回第三十二話「魂の望む姿」
お楽しみに!
また次回の前書きにてお会いしましょう!