東方黑剣士   作:鋏人

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どうも鋏人です。

さて異変ってなんでしょうね?

では、どうぞ!


第五話 宴会の裏での異変

◆side 零

 

 天魔達と宴会の約束をした翌日から、俺は宴会の準備に追われた。何せ地霊殿初の地上から妖怪を招く上に、相手は地上の一大勢力、《妖怪の山》だ。粗相が有っては今後に響くし、何より仲良くなった人達にはしっかり礼をしたい。ルート確認、食事の用意、会場設営等々、ほとんどの準備は俺が一人でやった。自分の蒔いた種だから自分がやるとさとり達に言ってやらせてもらった。それにしてもさとりの料理の出来なさ加減はひどい。どうやったらあんなダークマターがカレールウ使って完成するのか。そんなこんなで準備に追われ、三日後の朝、俺は起きて食堂に向かうと、さとりが座って本を読んでいた。

 

「おはよう、さとり。」

「おはようございます、零さん。」

 

挨拶はいつもするようにしている。俺も適当に本を持って来て読みながらお空とお燐を待つ。十分程待ってみたが一向に起きてこない。

 

「二人とも、遅くないか?」

「そうですね。どうしたんでしょうか。」

「ここ二日は姿すら見てない気がするぞ。」

「言われてみれば変ですね、仕事場で何かあったのでしょうか?」

「うーん、まぁ今気にしてもどうにもならないから、宴会の後に聞こうか。」

「そうしましょうか、(零さんと二人っきりで居れて嬉しいですけど)。」

 

ん?なんか聞こえた気がするけど、なんて言った?聞くのは──流石に野暮だな。俺はかなり耳の良い方だから、ラノベの主人公みたくフラグ乱立とか聞き逃しはほぼない。いくらなんでも遅すぎるから俺てさとりの分だけ朝食作ってお燐達は───最悪なしでも今日は宴会だからいっか。

 

「とりあえず二人分だけ作っとくよ。お燐達の分は帰ってきたら作ることにする。」

「分かりました、お願いしますね。」

 

~青年調理中~

 

「出来たよ。」

「ありがとうございます、じゃあ、いただきます。」

「いただきます。」

 

今日の朝食はさっさと作れるベーコンエッグにトースト。少なめだが今夜は宴会だから少ない方が良い。食べ終えて食器を洗ったら即出発。

 

「行ってくるよ。」

「行ってらっしゃい。」

 

なんか夫婦みたいだ。さらっととんでもないことを思って顔が赤くなる。さとりもそう思ったのかやはり顔を赤くして俯く。ちょっとギクシャクしたのが恥ずかしくて空に舞い約束の場所まで最速で飛ぶ。

 

 十分もせずに到着したが、天魔達は既にそこにいた。

 

「おはよう、天魔。」

「やぁ、零。今日は頼むぞ。」

「零、おはよう。」

 

今話し掛けて来たのは“谷島 翔弥(やしま しょうや)”。最初に俺の山に入るのを反対した天狗だが、あの決闘から認識を変え、今はお互いに呼び捨てにするほどの仲だ。因みに彼も同じ元外来人だが、幻想入りはあほ程昔なので実質ここの最初期を知る一人だ。元が外来人ということもあって話が合う。しかも紫さんに頼んで外の世界の物を色々と仕入れているのだからもっと話が合う。今の所一番の親友と言っても過言じゃない。

 

「翔弥、おはよう。みんないるか?」

「問題ないさ、早く行こう。」

「よし、行こうか!みんな!」

 

俺の一言でみんなが動き出す。さて地霊殿への行き方だが、大穴の住民達にはこの事を説明してあるのでここはすんなり行ける。しかしそこからが問題だ。見つかれば質問攻めに遇うのは目に見えてる。なので天狗の速さを活かした高速移動で裏道まで行き、そこからはのんびり地霊殿まで行く手筈だ。大穴は何事もなく、裏道に入った後は翔弥と話していた。

 

「なぁ翔弥」

「どうした?」

「なんで天狗はさとり達の本当の事を知ってるんだ?」

 

これはとても気になっていた。同じ地底に住む鬼ですら偏見の眼差しが絶えないのに、何故天狗だけは肯定的だったのか。

 

「それか、そいつはちょっとばかし長くなるけど、良いな?」

「ああ。」

「実は俺達は数百年程前のある異変で散々世話になったんだ。頭おかしい数の敵だったけど、さとり妖怪の読心能力のおかげで勝てた。そんな恩のある人に敵意を向けれたらそいつはある意味化物だ。あの仕打ちはないと思うぜ。」

「そうか、そいつは嬉しい話だ。さとりにも伝えておくよ。」

 

成る程ね。恩がある、か。ある異変って「だーれだ?」

 

「ふぇ?!」

 

翔弥がすっとんきょうな声を上げる。見てみるが誰もいな「こいし!久しぶりだな!」いたわ。こいしか、通りで気づかない訳だ。

 

 

「えへへ、久しぶり~翔弥~。」

「おう、久しぶりだな。」

「おい、なんでこいしに気付けるんだ。『無意識』の能力だぞ。」

「それは俺の能力が『感知する程度の能力』だからさ。俺から半径50メートル以内で感知出来ないものはない。」

 

翔弥に抱きつくこいしと笑いながら抱き返す翔弥。あれ?なんか───

 

「翔弥、お前ってロ〇コン?」

「なんでそうなる?!つーかなんでこの作者の作品のサブキャラは一度はロ〇コン扱いされるんだ!!!」

「メタ発言やめろぉ!!」

 

なんでこうも堂々とメタ発言しますかねぇ!

 

「つーか久しぶり?どういう事だ?」

「とっても前にね!翔弥が地上にいた私を助けてくれたの!」

 

こいしが言うには、昔無意識で地上に来てしまった時に翔弥が助けに来たということらしい。それ以来ちょくちょく地上に出て翔弥の仕事場に行っていたということ。

 

「こ~い~し~!」

「怒るなよ零。可愛いは正義って言うだろ?」

「どこで知ったその台詞。」

「そーだよ!良いじゃん!」

「良くない!何かあったらどうする!」

「その時は俺がどうにかするさ。」

「…………絶対か?」

「ああ、確実に。」

「なら、こいし。」

「何?」

「翔弥の仕事場から離れないこと、これだけは約束な。」

 

こいしに一つ約束をさせ、この件は終わりとなった。お燐とお空、いい加減連れ出すかな。どうせ灼熱地獄にいるだろうし。

 

 

◆no side

 

時は戻って宴会前日、灼熱地獄に、二人の少女がいた。片方は言わずと知れた灼熱地獄の管理人、空。

 

「お空!大丈夫だよ!地上に怨霊も飛ばした!すぐに人が────」

 

 

もう一人はお空の親友、燐である。

 

「うううっ。」

 

空が呻くと同時に、右手の制御棒に光が溜まる。空の能力は『核融合を操る程度の能力』。その一妖怪には膨大過ぎる力が空を暴走させていた。燐はこれの解決の為に地上に怨霊を飛ばしていた。

 

「(まずいね、お空の力が強くなってる。)」

 

その日は一日中燐は空を抑えていた。

 

 

◆side 零

 

 今は宴会が始まり二、三時間程経ったくらい。俺はさとり、こいし、翔弥、天魔の五人で酒を飲んでいた。

 

「いやーあの時はびっくりしたよ。能力とはいえスピードがイカれてるんだから。」

「天魔!お前も同類だごらぁ!」

「零さん、怖いです。止めて下さい。」

「ん、ごめんさとり。天魔、言っておくがあの上がまだあるぞ。」

「零、一体何連撃だよ。」

「二七連。何かあれば見せるさ。」

「頭おかしいだろ。」

「それに凄いんですよ!ここに来た一週間後に一人で二十人は倒したんですから!」

「どういう奴?」

「なんか『さとり妖怪撲滅団』とか、下らないから殺った。」

「やったの字が何か気になるよ。」

 

ハハハ、と笑い合って喋っていたが、未だに燐と空が来ない。おかしいな───ん?何かが視界の端に見えた。なんだ?紅白の巫女服、緑の同じく巫女服、金髪の魔女、白髪のメイド、銀髪の剣士、全員女性か。見ないやつだから地上のか?こっちを見て何か話してる。

 

「なぁ、翔弥。」

「どうした?」

「今から言う特徴で知ってるやついる?」

 

俺はさっき見たやつらの服装と髪色を伝えると、翔弥と天魔が青ざめた。

 

「零、そいつら異変解決組だ!」

「それなんだ?」

「ここで起こる様々な異変を解決してきた、人間だけど人間と呼んでいいのかわからないようなやつらだ!」

「とりあえず人外だOK?」

「でも、どうしたのでしょう?」

 

俺の中でパズルのピースが嵌まりきった。出て来ないお空とお燐、異変解決組の襲来。これから導き出されるのは一つ。

 

「さとり!天魔!翔弥!俺は燐と空を見てくる!多分異変だ!」

「えっ?!でもなんで?」

「異変解決組が来たのが証拠だ!お前らはここで待ってろ!」

 

返事も聞かず走り出す。地霊殿を出て左へ、怨霊が止めるのを無視して灼熱地獄の穴へ飛び込んで最下層まで。この前気づいたが俺は妖力を使ってSAOのようにステータスを向上できる。今のビルドはAGI極振り、限界まで加速して灼熱地獄の最下層が見えた瞬間、俺は何かを感じて咄嗟に剣を抜き、ソードスキルを放つ。

単発ソードスキル『ホリゾンタル』

水平に凪ぎ払うと、何かに当たった感触がした。なんだ?熱い?よく視るとレーザー。よく弾けたな。そんなことを思いながら着地すると、お燐がお空を抱えていた。

 

「お燐、どうした!?」

「零、お空が、暴走して……」

「わかった!お空の能力はどこから出てる!」

「右手の、制御棒。」

 

なんとか言い切るお燐たが、消耗の仕方が半端じゃない。付きっきりで面倒を見たようだ。お空に目をやると、まだ暴走が始まり切っていないみたいだ。今なら───

 

「お燐、下がって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───一瞬で済ませる。」

 

言うが早いか駆け出して、お空に向かう。お空は能力を制御出来ていないようで、所構わずレーザーを撃つ。自分で制御出来ていないからめくら撃ちで、全く検討違いの方向へレーザーが飛んで行く。避けるのは容易だAGI極振りで接近してSTRに全ステータスを振る。ダメージのあるのはお空が危険だから、単発で、威力のないものを。

アインクラッド流体術『閃打』

光を纏った右手を振り抜いて、制御棒を直撃する。するといとも容易く暴走が止まった。やっぱり初期段階だったみたいだ。落ちてくるお空を受け止め、床に下ろす。

 

「大丈夫かい?お空。」

「う、ん。ありがとう、お燐。それに、零。」

「危なかった。もう少し遅かったら異変解決組がやって来るとこだ。」

「良かったよ。あたいがお空を運んでおくからさ、零は宴会に戻りなよ。」

「そうするよ。二人も後から来いよ。」

 

なんとか暴走を止め、灼熱地獄を出て宴会場に戻ると───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

そこには────

 

 

 

 

 

倒れたこいしと天魔。空中を睨む翔弥そして

 

 

 

 

 

 

ボロボロのさとりがいた────

 

 




はい、終了です!あの短時間になにが……?

酷い展開ですがお許しを。こうでもしないと異変解決組と戦えないので。そんで二人目のオリキャラ、谷島翔弥君、重要人物です。

次回の「東方黑剣士」は?

倒れたさとり達!一体なにが?
「あんた達邪魔よ」
「異変解決は私達の仕事だぜ!」
「あまり時間を掛けるとお嬢様に叱られるのよ。」
「とりあえず、斬る!」
「奇跡の力、お見せしましょう!」

異変解決組と対峙する零と翔弥!勝算は?

「行くぜ翔弥。」「任せろ。」


次回!第六話「嫌われ者のヒーロー」
お楽しみに!
次回の前書きにてお会いしましょう!
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