東方黑剣士   作:鋏人

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どうも、もうひとつの作品がシリアスでエタりかけた鋏人です(綠に書いてないくせに)
今回から次の異変に突入です。
因みに今後もしかしたら地霊殿後に登場のキャラを使うかもしれないですが、そこは目を瞑って下さい。

あと、お気に入り登録十二人、UA1200、本当にありがとうございます。感謝感激です。

では、どうぞ!


第九話 いないハズの者

◆Side 零

 

何時もの如く起きて、台所に向かう。

 

朝早くから一人で朝食作りをするのは眠くて堪らないが、寝てしまえばいつ起きるか分かったものではないし、何より今日は仕事の日だ。遅れようものならまずいことになる。

 

「ファァァ、眠いな。」

 

食堂には誰も居らず、何時もの光景。最近は金も少し心許なくなってきたので、稼ぎがないとやっていけない。

 

「さてと、始めるか。」

 

一人でぼやきながら、朝食を作り始めた。

 

「~♪」

 

お気に入りの歌を口ずさみながらフライパンを扱う。注意はしてるから手元が狂うことはない、ハズ。

 

「~♪」

 

気分よく歌っていると、物音がした。多分さとりだろうし、ラストも近いので歌い切ろうと思い、最後の一節を唄い、終わってから声を掛ける。

 

「後ろに居るのはさとりか?」

「あ、バレてました?」

 

大当たり、バレないはずがない。かなり足音が大きかったんだから。

 

「入ってきた辺りから、ね。」

「そうでしたか」

 

少し残念そうなさとり、こんなのも可愛いよなぁ。

 

「かかか可愛いなんて?!」

「あれ?俺口に出してないけど。」

「少しだけ、心が読めるみたいです。」

「そう、良かった。」

 

紫さん、ありがとうございます。ただなぁ、せめて一言言ってからにして欲しい。勝手に他人の体を弄くり回す癖やめよ?

 

「けどしっかりは読めませんね、朧げです。」

「えっと、色々と黒歴史あるから見えても忘れてくれ。」

 

見られたくない記憶は多い、特にフラれた辺りとか、黒歴史の最たるものだから。

 

「そろそろ焼けてません?」

「あ、そうだな。────よっと」

 

目玉焼きを四つ皿に乗せてテーブルに運び、出勤の準備をする。と言っても剣とコートを用意する程度だが。

さて時刻は午前七時半、みんな起きるのは八時くらいだけど俺の仕事開始が八時くらいなので待っていたら遅刻だ。

 

「行ってきます、さとり。」

「行ってらっしゃい、零さ────こっち来て下さい。」

「ん?ああ。」

 

言われた通りにさとりに寄ると

 

「目を閉じて」チュ

「なっ?!」

 

今、さとりに、キス、された?

 

「頑張ってくださいね。」

「ああ、ありがとう。」

 

ほぼショートした思考回路を叩いて直し、俺は妖怪の山へ向かった。

 

十数分飛んで、天魔達大天狗に出勤の報告をする。

 

「心義零、参上しました。」

「おお、零、来たか!」

 

天魔が温かく迎えてくれた。天魔の声を皮切りに他の天狗も声を掛けてくる。

 

「よう零!この間の戦い、凄かったぞ!」

「まさか紫をやっちまうとはなぁ!」

「ははは、ありがとう。」

「さとりと早くくっ付け!」

「羨ましい!さとりんは俺のもんだぁ!」

「リア充爆散しろぉ!」

 

称賛に混じって危ない台詞も聞こえたので、目からハイライトを退社させて

 

「うちのさとりに手ぇ出したら、消すよ?」

 

今持てる全力の殺気で、そいつらを睨む。するとすぐに禁忌に触れたが如くその類いの台詞は消えた。元々三白眼だからハイライトさん退社させるとめちゃ怖い、らしい(お燐談)。

 それはともかく、今日のやる事を聞いてさっさと巡回に出る。なんかみんなより早く来てしまったらしく、他の天狗達が来るのが見えた。それはそれでいい気分だ。

 

「ああ、眠いなぁ。」

 

あくびしながらもしっかりと見回りはする。と言ってもこうも変化がないといくらなんでも退屈過ぎる。

 

「はぁ、いい加減ここ見るのも終わりに────」

 

今まで見ていた地点の監視も切り上げ、他の所を見ようとした時

 

ヒューーー────  ドーン!!

 

空から何かが落ちてきた。どうやら金属体のようだが、幻想郷にそんな高度な代物あったか?

考えていても始まらないので、エリュシデータを抜いて落下してきた未確認飛行物体(unknown fly object)に接近する。すると中に人影が見えたので

 

「動かないで下さい。妖怪鍋を夕食にしたくない。」

 

若干の脅しを含めて言う。すると中から両手を上げて出て来たのは、大体四十くらいのおっさんだった。

 

「ここは、幻想郷のどこだい?」

「妖怪の山だ。俺は零、あんた、誰だ?」

「月の都の使者の者だ。零君、天魔の下へ案内して頂きたい。」

 

正直言うと、かなり狼狽えた。月の都とかおとぎ話の存在でしかないものが飛び出てきたんだ。そりゃ困る。最近は妖怪やら弾幕やら色々見て、もう何が来ても驚かない自信があったんだが。ついでに君付けも腹立つ。

と言っても使者なら案内する義務があるので、エリュシデータを仕舞い本陣へ向かった。

 

「月の使者とか言う奴が来てる。天魔に取り次ぎを。」

 

それを聞くや否や受付係は窓口からすっ飛んで行った。眠そうにしてたからいい眠気覚ましになったろう。

数分もせずに俺と奴は対談室へ通され、途中で俺は天狗側に立った。奴の傍には、なんとなく居たくなかった。何か良くない感情が見えたから。

 

「はじめまして、天魔。私は月の都の使者だ。兎に角、この書状を読んで貰いたい。」

「分かった。」

 

天魔はそれを読み始め、ものの数分もせずに憤怒の表情となった。

 

「なんだこの無茶な要求は!」

 

そう言って書状を床に叩き付ける。ばさりと散らばった書類に書かれた内容には

 

『一、幻想郷全土は月に従うこと

 一、上記が飲めないならば全面攻撃する

 一、恭順後はあらゆる結託を禁止する

 一、出来れば殺しあいは避けたいものだ』

 

ざっと見ただけでこれだ。細部に何があるか分かったものじゃない。てかこれ、絶対喧嘩売ってるだろ。

その後も書類を拾うふりをして読み進めると、幻想郷中の妖怪の扱いについて殴り書きされた所があった。色々分からん所が多かったが、概ね糞みたいな扱いだ。倫理的にアウトな奴もいくつか、おそらくこいつが妄想でもしてやがったんだろう。

ざざっと流し読みをして、『覚り妖怪』の項目でページを捲る手を止める。そこには、

 

『覚りは発見後即座に────し、処刑の指示あり』

 

あーそっかー────するんだー、そーなのかーふーん……………………

思考を片言にして目を逸らそうとするも、────が頭から離れない。そして使者の奴を見ると、天魔をおちょくって楽しんでいるらしい。

すう、と俺の中をある感覚が走る。それは嫌悪と、途轍もない()()、何故俺の周りの人達は、消えるんだ、そう思った。外では親しい多くの人達が、死に、生き別れた。ある時は引っ越し、ある時は卒業、ある時は病で、そしてある時は────────

 

 

 

 

 

殺されて────

 

認めたくないことが多すぎたから、目を逸らし続けた。そのつけが回ってきた。向き合えと言う声を無視したつけだ。理不尽な感情だ、怒りとは。だが、それを向ける正当な先が今度はある、目の前のこいつだ、こいつの仲間だ。月の都がなんぼのもんだか知らんが、さとり達に手を出す予定なんぞ組んだ貴様らに慈悲はない。

そう思い、エリュシデータに手を伸ばすと、翔弥が止めた。見ると、目だけで「殺すのは後にしろ」と言ってきた。それもそうだなと思い、鞘に剣を納めた時、紫さんがやってきて、書類を見るなり一言

 

「戦争がしたいらしいわね、帰って伝えなさい、『考える事が安物の箸より質が悪い』とね。」

 

そう言って容赦なく幻想郷から叩き出した。そして俺らの方を向いて

 

「見たわね、第三次月面戦争、開戦よ。」

 

と言った。

ここから、『黑の剣士』は動き出す。血で血を洗い、死者は数字の一と化す、地獄へと踏み出すことになる。

 

 

後にこの第三次月面戦争は、月面の歴史に『決して敵対してはならない者と敵対した』と記させることになるが、それをまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 




ハイ、終了です。

第三次月面戦争、勃発です。理由はかなり先で明かします。────の所は写す予定はありません。R-18 に抵触しますので。
次回の『東方黑剣士』は?
「私は、怖いんです。」「分かるさ、でも俺は、往くしかないんだ。」
同じことを思う二人、彼らはどれを選択するか?

次回!第九話「決意を固め」お楽しみに!
また次回の前書きにてお会いしましょう!
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