本当は2分割する予定だったんですけど、そうしたらあまりにも短くなり過ぎてしまったので繋げました。それでこの量とか加減ミスったかなぁ?
「…………アレは?」
「…………イレギュラーですね。一般生徒の避難誘導をしましょう」
「ですが…………」
「アレはシールドを破壊して侵入しています。それが観客席に向けられればどうなるかは自明の理でしょう」
直後、緊急避難の指示が千冬によって出される。それを聞いた生徒達はパニックとなり、我先にと逃げようとする。
しかしロックがかかっているのか、扉はビクともしない。
「……扉を破壊しましょう。ロックの解除を待っていても埒が開きません」
「わかりましたわ。わたくしは反対側に向かいます」
「お願いします」
一夏は人混みを掻き分け、扉の前でインフィニット・ワイバーンを展開し、出入口を切り裂く。
「落ち着いて避難を。慌てないように」
それだけ言い残し、次の扉を破壊しに向かう。全ての扉を破壊し、避難漏れが無いかを確認すると、スピーカーから大音量の悲鳴が上がった。
『助けて! 誰か助けてよおおお!!』
「放送室…………!」
それは全ての扉のロックと共に放送室に閉じ込められた放送委員の生徒の声だった。
インフィニット・ワイバーンのスラスターを吹かし、邪魔な扉を破壊しながら放送室の前まで駆けつける。そこには開かない扉を必死になってバールで開けようとする篠ノ之 箒がいた。
一夏が来たことに気づいた箒は簡潔に状況を伝える。
「中に人がいる!」
「わかりました。中の人も扉から離れて!」
そう言った直後、一夏は放送室の扉を切り裂く。そこから放送委員の生徒が出てくるのを確認すると共に、放送室に謎のISの攻撃が放たれようとしているのが見えた。
「…………第1封印、解除」
それを合図にインフィニット・ワイバーンが対軍用IS戦闘システムを起動させる。そしてつい先日送られてきた斬艦刀を、刀身を展開しないまま、それを盾として使用することを決めた。本来は防御に使用することを前提としていないため不向きだが、現状で格納されている武装の中では1番防御に向いている。
斬艦刀にSEを流し込み、即席の盾として後ろにいる篠ノ之 箒と放送委員の生徒を守るように構える。
瞬間、謎のISから大出力レーザーが放たれた。
インフィニット・ワイバーンの脚部を床にくい込ませ、全てのエネルギーを防御と押される機体の姿勢制御に使用する。放送室が膨大な熱量で蹂躙され、爆発を起こす。
しかし、一夏の後ろにいた者達は傷1つ無いまま生存した。
「…………無事ですか?」
「あ、ああ…………助かった。ありがとう」
危うく死んでしまうところだったと自覚し、そして命が助かったからか、閉じ込められていた放送委員の生徒はその場で泣き出してしまう。
「気持ちはわかりますが今は逃げるのが先です。
こちら御祓 一夏、放送室に閉じ込められた生徒の救助に成功。シェルターに誘導します」
オープン回線でアリーナ内の全ISと管制室に告げると、一夏はシェルターへ先導する。斬艦刀は想定外の使用法によって使えなくなってしまったが、機体の損傷は殆ど無く、SEはまだ余裕があった。
「(流石は奏さん。耐久力も申し分無し。
インフィニット・ワイバーンでの中型幻神獣との戦闘はまだ行えていない為、若干の不安要素は残っている。
また、一夏、夜架、奏の想定では、第1封印解除形態───対軍用IS戦闘形態の使用はもう少し先になるはずだった。それを使用しなければならないと判断したことに間違いは無いと判断する一夏だが、任務遂行の計画に狂いが生じてしまうのは否めなかった。
ふと、イレギュラーの機体を思い浮かべる。見るからに過剰威力の攻撃と人が乗って動かすことを想定していないような形状。
───無人機という単語が一夏の頭によぎる。
「(あのIS…………まさか?)」
1つの予感を感じながら一夏は箒と放送委員の生徒をシェルターに送り届ける。そこには先に生徒達を誘導していたセシリアと簪がいた。
「一夏さん! 無事ですか!?」
「ええ、どうにか。彼女達を中へ。他に逃げ遅れた人は?」
「まだ4人いないみたい。3組の人がそう言ってた」
「そうですか…………。ならばハイパーセンサーで周囲を………………」
その言葉を遮るように、それは響いた。
───イィィィィィイィィィィ!
聞いたことのある耳障りな音が響いた。
「(ッ! 角笛!?)」
それを理解すると同時に一夏の背後に影が降り立つ。一夏は振り向きざまに使えなくなった斬艦刀を展開し、防御に使用する。限界だった耐久力を超える威力が斬艦刀に突き刺さり、スクラップへと姿を変えた。
一夏の後ろにはシェルター。非戦闘員数百名。及び競技用リミッターが解除されていないISが2機。
そして一夏の前にいるのは人型の異形────
「…………ディアボロス」
中型幻神獣の一体、ディアボロスがそこにいた。
直後、一夏は動き出す。
「セシリアさんと簪さんはここの防衛を!」
唐突に現れたイレギュラー───幻神獣相手に呆然としてしまったセシリアと簪にそう言うと共にシェルターの扉を閉める。セシリアと簪の呼ぶ声を無視し、幻神獣殲滅の為に思考を切り替える。
「競技用リミッター完全解除。全システムコードレッド。第3封印まで完全解除」
そして対小型幻神獣戦を想定した第2封印を飛ばし、対中型幻神戦を想定した第3封印までを解除すると、ディアボロスにIS学園の誰もが見たことの無い推力で吶喊する。
「オーバーブースト!!」
ディアボロスに組み付き、スラスターの出力を一瞬で自壊寸前にまで引き上げる。その凄まじい推進力によりディアボロスはシェルターから離されていく。そして少し開けた場所まで来ると、一夏は攻撃を開始した。
時間は少し遡り、所変わってアリーナ内。謎の機体が出現した直後、ピットへ帰還することのできなくなった鈴音と秋一は補給も無しに戦わねばならなくなっていた。
「ねぇ、アレ、アンタの知り合い?」
「はっ! 知らないね。君のお仲間じゃないのかい?」
「まさか。こんな品の無い奴なんて見たことも聞いたこともないわ」
軽口を叩き合うも、鈴音は警戒を怠らない。襲撃してきた直後から鈴音は目の前の敵が普通では無いことを確信していた。ましてやそれなりの強度を持つアリーナのシールドを貫通する一撃を目の前で見たのだから尚更だ。
敵が何もしてこないことを利用して鈴音は自分の置かれた状況を俯瞰する。
「(敵の主兵装はあの大出力ビーム。放送室に叩き込まれたのを見る限り今の私たちじゃ一溜りも無いわね。
観客席は多分避難完了してる。一夏とセシリア達が逃がして、一夏が放送室に取り残されていた生徒も逃がした。
管制室とは繋がらないのは多分目の前の変なののせいね。先生達からの指示を断つのが目的かしら?
逃げていいならさっさと逃げてるのも手よね。わざわざ戦ったら殺されるかもしれない相手に挑む馬鹿なんてこいつくらいでしょうし。でもそうは問屋が卸さないでしょうね。別にコイツが死のうと構わないけど、それで責任追及されたら面倒ね。それにだいぶ痛めつけたから足手纏いもいいとこかしら?)」
一通り状況を確認して敵を見る。観察しているのか、敵は何もしてこない。好き勝手言われるのは嫌だが、隣の足手纏いに逃げることを提案しようとする。
しかしその前に秋一は無くなった白式のウィングスラスターの代わりに全身に組み込まれた姿勢制御スラスターを吹かして雪片弍型を回収し、目の前の敵に切りかかる。
「あんの馬鹿っ!! 何余計な真似してんのよ!!」
鈴音は秋一の無謀に頭を掻きむしると、後戻りはできないと考え、双天牙月を展開し、目の前の敵に向けて衝撃砲を放った。
ディアボロスとの戦闘を開始して数十分。一夏は夜架が来るまでの時間稼ぎの為にディアボロスの攻撃を受け流し続けながら、周囲をハイパーセンサーで探査していた。
「(あの音は角笛…………! ならどこかに使っている人間が居るはずだ!)」
しかしもうすぐ20分経とうとするのに、それらしき反応は見つからない。そのうえ、簪の言っていた4人はまだ見つからない。
「(この近くにはいない? ならここで撃破を…………!?)」
攻勢に転じようとしたその時、専用機と思しきISを纏った生徒が3人の一般生徒と共に現れた。
それを察知したのか、ディアボロスは一夏ではなくその4人に標的を変える。
それに気づいたIS操縦者が共にいた生徒に対し逃げるように叫ぶ。それは正しい行動ではあったが、今回ばかりは相手が間違いだった。
幻神獣は逃げる人間を最優先に狙う。それはディアボロスも例外では無い。
一気に加速したディアボロスは攻撃してくるISを歯牙にもかけず、逃げる生徒達に一直線に向かう。しかしその目の前に一夏が割り込み、機竜牙剣を抜剣し、両手の二刀流でもって地面に叩きつける。
「この先にシェルターがあります! まだ空きがある筈です! その3人を抱えて急いで!!」
「君は!?」
「こいつを倒す! 行け!!」
命令口調で急かすと、専用機の操縦者は3人の生徒を抱えて簪達のいるシェルターに飛び去っていく。
そこへ夜架からの通信が入る。
《一夏、聞こえてますわね?》
「夜架さん。角笛を使用した者がいます。捕縛できますか?」
《その存在は見つけられたのですが、残念ながら逃げられましたわ。如何せん、後ろは足手纏いの非戦闘員ばかりなうえに前には小型と中型の群れですもの。後ろの人達を見捨てていいならば捕まえられたのですが》
「それは悪手ですね。選ばなくて正解です。敵側に角笛があることがわかっただけでも良しとしましょう」
《そうですわね。そちらは?》
「ディアボロス一体と交戦中。たった今専用機持ちと一般生徒3名を逃がしました。確実に殲滅できるように夜架さんが来るまで待とうかと思いましたが、その様子では無理そうですね」
《ええ、単純な数の多さは面倒なことこの上ありませんわ。申し訳ありませんが1人で頑張ってくださいな》
「了解」
待っていた夜架の状況と角笛の使用者の行方がどうなったのかがわかった一夏は、目の前のディアボロス殲滅に動き出す。
地面に叩きつけ、押さえ込んでいたディアボロスが拘束を破る。その勢いを利用し、一夏はディアボロスの背面に回り込む。そこへ2つの斬撃を浴びせ、振り向きざまの反撃に備えて距離を取りつつ左手を牙竜牙月の代わりにガトリングレールガンを装備し弾丸を浴びせる。試作品の為か、弾丸1回毎に銃身を格納し、予備の銃身に交換しなければならないが、この状況でそんなものは関係ない。予備のレールも含めた全てを使用し、銃身が焼け付くまで撃ち切ると、ガトリングレールガンの代わりに機竜牙剣を再び持ち、一気に接近する。
「───
全力の肉体操作を一点集中の精神操作で押さえ込むという矛盾によって引き起こされる意図的な制御不能の一撃を放つ。それを右手の機竜牙剣で放つと同時に再び同様の操作を行い、左手の機竜牙剣で別の向きの一撃を放つ。ディアボロスの胸に十字の傷が刻まれた。
そして肉体操作と精神操作による独立した操作命令を交互に行い、永久連環を放つ。それはまるで2本の剣を使った剣舞のように。そしてディアボロスの身体に無数の傷が刻まれていく。
しかしディアボロスもやられてばかりではない。その剛腕を薙ぎ払い、一夏に攻撃する。しかしそれを見切った一夏は永久連環の操作として回避と共に薙ぎ払われた腕の付け根に左手の機竜牙剣を突き刺した。
それに対しディアボロスは咆哮をあげる。ディアボロスそのものの限界を越えたそれは衝撃波を伴って攻撃となる。それを一夏は
一夏は再びディアボロスに接近。右手の機竜牙剣を両手持ちし、
一閃、ディアボロスの左腕が切り落とされた。
一閃、ディアボロスの右脚が指先から縦に割断された。
一閃、ディアボロスの首が切り落とされた。
そしてそれらの傷口に
「───戦闘終了」
その一言を呟くと一夏はため息をつく。次々と思い浮かぶ懸念事項に頭を抱えたくなるも、今はディアボロスに勝利できたことと犠牲者が出なかったことを喜ぶべきだと思い、心を落ち着かせる。
「こちら一夏、ディアボロスの殲滅完了。夜架さん、そちらは? 援軍に向かうべきですか?」
《安心なさいな。1匹残さず刀の錆にしましたので》
「それは何よりです。この後先生方による事情聴取があると思いますが、その後に少し集まりたいのですがよろしいでしょうか?」
《それはこちらも同じですわ。幻神獣について変に疑われた時の為に、幻神獣とは敵対していることがわかる映像を送ってもらいますわ。
…………面倒な事になってきましたわね》
夜架と共にため息をつく。胸の奥に蠢く嫌な予感に、一夏は不安を抱かずにはいられなかった。
再び所変わりアリーナ内。無謀にも謎の機体に挑む秋一を援護しながら鈴音は観察を続け、1つの予感に行きあたる。
「(アイツ、こっちが行動してない時は動いてない)」
鈴音と秋一が攻撃している時は敵も攻撃してくるが、間合いを整える為に何もしない時は何もしてこないのだ。
「(有り得ないと思うけどこいつは多分無人機。…………最悪乗ってる奴を殺すことになるけど、確かめるにはこれしかない!)」
どちらにせよ襲撃してきた時点で目の前の敵はこのままにしてはならないと判断した鈴音は、機体の競技用リミッターを解除する。校則とIS使用の規定違反もいいところだが、この状況では十分外すに値すると判断した結果だ。
とはいえ甲龍のリミッターの完全解除には本国の許可とIS学園の許可が必要な為、一部の出力系統のリミッターを外すだけだが。
「競技用リミッター解除…………! スクラップにしてやるから覚悟しなさい!」
一部の出力系統のリミッターが外れたことで、競技中とは比較にならない加速で敵に接近する。
「ぅおりゃあああああああああああ!!!!」
双天牙月の重量と機体の重量、そして加速を使って敵の一部に傷をつける。
そこには鈴音の予感を証明するように、従来のISであれば操縦者の肉体があるべき場所が機械とコードで構成されていた。しかし敵は巨体。どこかに人間がいるのではと思い次々に傷をつけ、衝撃砲を叩き込んで破壊する。しかし肉体や生体パーツと思しきものは見つからず、鈴音は敵を完全な無人機だと断定する。
「人が乗ってないなら!」
敵の砲撃をスレスレで避けながら、敵の胴体に搭載されているビーム砲に狙いを定める。小型のビーム砲にもロックオンし、衝撃砲を放つ。
無理矢理かつ不馴れなマルチタスクに頭痛を感じるも、それを無視して砲門を確実に潰していく。
秋一は零落白夜を発動させた雪片弐型を叩き込み、更に破壊していく。人体の急所とされる部位にすら何の躊躇いもなく攻撃を加える。
その様子を見た鈴音は攻撃を加えながら秋一を見る。秋一は優越感に浸っていた。まるで報いだと、自らが裁きの執行人であるかのように切り刻んでいく。そこには無人機であるという確信と証拠を得る前の鈴音と違い、『もしかしたら人が乗っているのではないか?』という考慮は欠けらも無い。
「(見なきゃ良かった)」
その姿に鈴音は舌打ちし、敵を袈裟斬りにしてトドメを刺す。そして万が一動き出さないように徹底的に破壊し、二度と動かない鉄クズに変える。
敵の機体を破壊したからか、ピットをはじめとしたロックが解除され、ピットから一斉にアリーナへISを纏った教師達が雪崩込む。
「凰さん! 織斑君! 無事ですか!?」
「はい。皆さんが来るまでもありませんでしたよ」
「…………」
まるで自分が1人でやった事のように誇りながら笑う秋一に、鈴音は何度目かわからないため息をこぼす。
「(アレは死んでも治らないわね)」
そんな鈴音を見た真耶はどこか調子が悪いのかと思い声をかける。
「…………凰さん?」
「あ、すみません。考え事をしてたので…………」
「そうですか? 怪我があったらすぐに医務室に行ってくださいね? 万が一があったら大変ですから」
「…………お気遣い、ありがとうございます」
正体不明の敵の襲撃。そして幻神獣の襲撃。2つの事件が同時に起きたIS学園は、対応に追われることになる。
しかしそれがまだ序章でしかない事に気づいていたのは、一夏と夜架だけだった。
その少女は物陰から一夏の戦いを見ていた。
「───初めてだ、こんな情熱は。これ程までにこの身を燃やすような想いは」
少女は一夏に3人の一般生徒を逃がすように言われて送り届けた後、一夏の援軍に向かう為に戻ってきていたのだ。
そして見た。一夏の剣舞を。戦いを。
戦闘で敵を確実に撃破する為に修練を重ねた技の一つ一つが、その少女には芸術のように見え、それを使う一夏の姿に見蕩れていた。
他者を守る気高さ。
謎の敵に立ち向かう勇猛さ。
それを討ち取る強さ。
その力と技術の真実はどうであれ、一夏の見せたそれらに少女の心は激しい熱情に狂わされる。
「嗚呼…………! 名も知らぬ君よ、私は君に心を奪われた!」
自分にそのような特別な感情を向ける存在に、自分の戦闘を見ていた者に一夏は気づかずにいた。
女子校、心を奪われる。一夏は女子。
つまり、わかるな?
次回、夜架キレる。
以下私情。
最近、隣の部屋の兄がうるさいんですよね。日頃のストレス発散にゲームやるのはいいけどさ、それ逆にストレス溜めてね?っていうか。
兄貴、アンタの性格じゃ腕は良くてもFPSとガンブレは多分向いて無いと思うよ?
あといくら次の日が休みだからって文字通り徹夜でゲームするのは流石にどうかと思う。寝れねぇわ。うるせぇ。多分そろそろLANケーブル物理切断しても許されるのでは?
そんな私は課題をやる為に徹夜するのでした。
レポート系がめんどくせぇ!在宅授業だからね、成績付けるために必要なのはわかるし、テストはカンニングし放題だもんね。それくらいしないと成績付けられないのはわかるよ………。
でもホントめんどくさい。おかげで買って溜まってるプラモに全然手をつられないです。あ、それは関係ない?そうすか…………