Wars of Characters   作:ロードゲート

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ヒャッホーーイ!!!


第11話 “奴”

ナツ達が拳を突き合わせた一方で、攫われたユウト達はと言うと…

 

 

連れ去られた場所はかつて、古代人の都だった場所。

その場所にある洞窟は、村の神事の際に、巫女が籠り神託を得たと言う。

 

 

「きゃっ」

「うわっ」

「ぎゃわ」

 

 

3人はその洞窟内に投げ込まれる。

 

 

「乱暴に扱うな!女の子なんだぞ!」

 

 

彼等に叱るハッピーだが、ブレインに顔を握られて床に放り込まれる。

ユウトはウェンディを背に右手で庇いながら、オラシオンセイスを睨みつける。

しかし、睨みに対して全く怖がらない彼等は、ウェンディについて話し出す。

 

 

「ブレイン、この女と餓鬼は何なんだ?」

「ニルヴァーナに関係してんのか?」

「そんな風には見えないゾ」

「そうか、売ってお金に」

「お前は黙ってろ」

 

 

ウェンディに対する疑問が上がる中、ブレインが口走る。

 

 

「餓鬼は付いてきただけだ。…女の方は天空魔法…言い換えれば治癒魔法の使い手だ。」

 

 

その言葉に全員は驚愕する。

 

 

「治癒魔法だと!?」

失われた魔法(ロストマジック)…。」

「これは金の臭いがしマスネ」

 

 

そんな中、ユウトが彼等に聞き出す。

 

 

「…何が目的なんだ?」

「“奴”を復活させるのさ。あの娘を使ってな。」

 

 

彼の言う“奴”とは?

 

 

「私、悪い人達には手を貸しません!!」

「同感。俺もそう言う事には協力しないんでね。」

 

 

ウェンディの反論に、ユウトも共感する。

 

 

「貸すさ、必ず…」

 

 

ブレインはウェンディを見下しながら言う。

 

 

「ウェンディ、うぬは必ず、奴を復活させる。」

「させねぇからな、絶対に」

 

 

ユウトの言葉を無視して、ブレインはユウトに視線を向ける。

 

 

「レーサー、奴をここに連れて来い」

「遠いなぁ、1時間はかかるぜ」

「構わん」

 

 

レーサーは会話後すぐに、“奴”を連れて来る為、音速で“奴”の元へ向かった。

 

 

「コブラ、ホットアイ、エンジェル。貴様等は引き続きニルヴァーナを探せ」

「でもあの人が復活すればそんな必要は無いと思うゾ。」

「万が一と言う事もある。私とミッドナイトはここに残ろう」

「ミッドは動く気配が無いデスが…」

「しゃあねぇ、行ってくるか」

「ねぇ、競争しない?先にニルヴァーナを見つけた人が「100万J!!乗ったァ!!デスネ」高いゾ」

 

 

楽しく会話しながらニルヴァーナを探しに向かうコブラ達を見送りながら、ウェンディとユウトは話し合っていた。

 

 

「なぁ、ニルヴァーナって何なんだ?」

「そんな、私に聞かれても分からないよ」

「だよなぁ…(まぁ知ってるんだけどさ)」

「うぬ等、ニルヴァーナがどんな魔法か知りたいか?」

「……どんな魔法なんだ?」

 

 

ユウトの質問にブレインは邪悪な笑みを浮かべながら答える。

 

 

 

 

 

「──光と闇が、入れ替わる魔法だ。」

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────

 

 

「──天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ってさ、何食うの?」

「空気」

「うめぇのか?」

「さぁ?」

「それ、酸素じゃないのか?」

 

 

空気(酸素)を食べると言う事は、一生魔力補給に困らないと言う事だ。

それに伴って酸素濃度が薄くなってしまうだろうが。

 

 

「ドラゴンスレイヤーってそう言う所が共通してるんだよなぁ」

「ユウトも氷食ってるしな。この間もかき氷100杯食ってたし」

「すげぇよなぁ」

 

 

かき氷の話の後、シャルルがウェンディが連合軍に参加した理由を語りだす。

 

 

「あの子、あんた(ナツ)に会えるかもしれないってこの作戦に志願したの。」

「オレ?ユウトは?」

「男の子の方はあまり知名度が低かったから知らなかったみたい。…あの子、7年前に滅竜魔法を教えてくれたドラゴンが、突然姿を消したらしいの。あんたならドラゴンの居場所知ってるかもって。」

 

 

この話はユウト以外全員共通している。

7年前の7月7日に、突如滅竜魔法を教えたドラゴン達が姿を消したのだ。

理由や原因、それに行方も不明。

ナツ達は消えたドラゴン達の行方を追うべく、各々のギルドにいる訳だ。

 

 

「“天竜グランディーネ”とか言ってたかしら。」

「オイ!!居なくなったのって7月7日か!?」

「さぁ?」

 

 

当然、シャルルはドラゴンと関係がない為、詳しい事は全く分からない。

 

 

「イグニールとガジルのドラゴンも、ウェンディも7年前…んがっ!!」

 

 

考え事に夢中になっていたナツは、目の前にあった木の枝に気付かずに顔面を強打してしまう。

 

 

「あれ?ユウトって育てられたドラゴン何て名前だっけか?」

「そういや俺も知らねぇな…後で直接聞いとくか」

 

 

そう会話した後、彼等はウェンディ達を奪還すべく走り続けるのだった。

 

 

───────────────────────────────────

 

 

「そうか、お前ドラゴンスレイヤーだったのか」

「うん。ユウト君はドラゴンについて何か知ってる?」

「え?…えっと…」

 

 

ウェンディの質問に言葉が詰まる理由、それは、ユウトは転生特典で滅竜魔法を与えられたので、ドラゴンの名前、そしてドラゴンが姿を消した日時等について、彼は全く知らないのだ。

しかし、ここで前世の記憶を思い出しつつ返答する。

 

 

「俺も7年前にドラゴンがいきなり姿を消してさ、行方も分からないままで困ってるんだよ(前世に感謝っ!)」

「そうなんだ…やっぱり知らないか…」

「ごめんな、役に立たなくて」

「そんな事は無いよ!…寧ろ同じ7年前にドラゴンが居なくなったって情報を掴んで嬉しいぐらいだよ」

「なら良いんだけどさ」

 

 

そうこう会話をしていると、レーサーが謎の棺桶を持ちながら洞窟内へと戻ってきた。

 

 

「重てぇ、これじゃスピードが全く出ねぇぜ」

「ご苦労。主より速い男など存在せぬわ。」

(いるんだよなぁ、海外の超能力家族に物凄い速い男の子が…)

 

 

ブレインの発言に心の中でユウトがそう突っ込む。

と、棺桶に対してウェンディは怖じ気付きながら両腕を握る。

 

 

「ひっ」

「棺桶!?」

「“奴”ってもしかして死体なのか?」

 

 

ユウトの疑問を無視しつつ、ブレインは棺桶を封印する鎖を解錠していく。

 

 

「ウェンディ、お前にはこの男を直して貰う。」

「わ、私…そんなの絶対にやりません!!」

「そーだそーだ!」

「そーだそーだ!(便乗)」

 

 

ウェンディの拒絶に続き、1人と1匹も共感するが、ブレインは拒絶を無視し、鎖を完全に解錠して棺桶を開ける。

 

 

「いや、お前は治す。…治さねばならぬのだ。」

 

 

棺桶の中身には、ブレインが言う“奴”であろう意識が無いまま拘束される青年がいた。

 

 

その青年を見て、ウェンディは目を見開く。

 

 

「この男は“ジェラール”。かつて“ジークレイン”と名乗り評議院に潜入していた。つまり、ニルヴァーナの場所を知る者だ。」

「ジェラール?」

「ジェラールって、え?」

「ジェラール…」

「え、知り合いなの!?」

 

 

ジェラールを目を丸くして見据えながら名前を呼ぶ彼女に、知り合いだと驚くハッピー。

ユウトは会った事も無い彼に首を傾げていた。

 

 

「エーテルナノを大量に浴びた結果、この姿になってしまったのだ。…元に戻せるのはうぬだけだ。……恩人…なのだろう?」

 

 

その男は、かつて“楽園の塔”編でエルザ達を苦しめたジェラール・フェルナンデスだった。

 

 

「ジェラールって、あの?」

「ハッピー、知ってるの?」

「知ってるも何も、コイツはエルザを殺そうとしたし、評議院を使ってエーテリオンを落としたんだ!」

「…そうみたい、だね…」

「生きてたのか、コイツー!」

 

 

寂しそうにウェンディは呟く。

ハッピーは意識が無いジェラールを強く睨みつける。

 

 

「この男は、亡霊に取りつかれた亡霊……哀れな理想論者だ。…しかし、うぬにとっては恩人であろう。」

「駄目だよ!絶対こんな奴復活させちゃ駄目だ!」

「聞いた所、コイツを復活していい所なんか1つも無い。…ウェンディ、こんな哀れな男を復活させる事は無いぞ。」

 

 

ハッピーとユウトがウェンディに説得するが、彼女は俯いたままだ。

 

 

彼女にとっては恩人。

ハッピーにとっては悪人。

 

 

復活させて良いのだろうか?と彼女は考える。

 

 

彼女の選択の長さに待ちきれないブレインは、手にナイフを取り出す。

 

 

「早くこの男を復活させぬか。」

 

 

ザッ!!

 

 

ブレインはナイフでジェラールの腕に突き立て、鮮血が流れ出す。

それを見て、ウェンディは泣きながら叫ぶ。

 

 

「やめてぇー!!!」

 

 

泣き叫ぶウェンディにブレインは杖を振り下ろすが、彼女を傷付けまいと咄嗟にユウトが彼女を庇い、背中に打撃を受ける。

 

 

「ぐっ」

「ユウト君!」

「大丈夫だ。…おいお前、女の子に手を出すんじゃねぇよ。」

 

 

ユウトは彼女を庇いながらブレインを睨みつける。

 

 

「たかが女1人対した事無い。」

「てめぇ…!」

「…それより早く治せ、うぬなら簡単だろう」

「ジェラールは悪い奴なんだよ!!ニルヴァーナだって奪われちゃうんだよ!?」

「…それでも私、この人に助けられた…。」

 

 

震え声で答える彼女の小さな拳の甲にポタポタと涙の雫が落ちる。

 

 

「大好きだった…」

「ウェンディ…」

 

 

涙を流す彼女の目にはきっと、ジェラールとの思い出が映されているんだろう。

そう思ったユウトはウェンディの頭を撫でる。

 

 

「何か悪い事をしたのは噂で聞いたけど、私は絶対に信じない。」

「何言ってんだ、現にオイラ達は…」

「きっと誰かに操られていたのよ!!ジェラールがあんな事をする筈が無い!!」

 

 

思い出に囚われているウェンディはジェラールの悪行を強く否定する。

 

 

「お願いです!少し考える時間をください!」

「ウェンディ!」

 

 

ウェンディはブレインに時間を要求する。

ブレインは考える時間を少しだけ与える事にするのだった。

 

 

「よかろう、5分だ。」

 

 

───────────────────────────────────

 

 

「…って事になってるんだよ」

《それは大変な事になりましたね…ウェンディさんは今どうされているのでしょうか?》

「彼女、ジェラールに助けられた思い出があるらしくて、現在復活させるかどうか考え中。多分後数秒もすれば5分経つから決められるとは思うんだけど。」

《そうですか、分かりました。…あ、オラシオンセイスとジェラールについて少し此方で調べておきますね。》

「あぁ、頼む」

 

 

ミントに通信機で話終えたユウトは、トイレから戻ってくる振りをしながら洞窟内へと戻ろうとしたその時…

 

 

「ハッピー!!ウェンディー!!ユウトー!!」

「ちょっと、敵がいるかも知れないのよ!?」

 

 

ナツの呼び声を聞いたユウトは、ナツに視線を向けて両腕を上げ、振る。

 

 

「お、ユウト!」

(今敵いるから静かに!)

 

 

しかし、時既に遅し。

洞窟内にいる全員も呼び声に気付き、レーサーが洞窟内から飛び出して来る。

 

 

「うおっ…何今の」

 

 

ユウトを無視してそのままナツ達の方に音速で直進し、彼等を攻撃する。

 

 

「ぐあぁっ!!」

「ぐはぁっ!!」

「ナツ、グレイ!」

「チッ、うぬは此方に来るんだ!」

「仕方ね……え?」

 

 

ブレインの呼び声に反応し、ユウトは洞窟内に向かおうとするが、彼の目には泣いているウェンディとハッピー、邪悪な笑みを浮かべるブレイン、寝息を立てるミッドナイトと、青年がもう1人。

 

 

「嘘…だろ?」

「ごめんなさい…」

「フッ、驚いたか。ユウトよ。」

「マジで復活させやがった……」

 

 

目を丸くしながら彼は、“奴”の名を呼ぶ。

 

 

 

 

 

「───ジェラール」

 

 

 

 

 

ウェンディが復活させてしまった青年──ジェラールの名を。

 

 

To Be Continued...

 




次回も早めに投稿する予定です
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