Wars of Characters   作:ロードゲート

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後少しで長かった第一章が終了するんだなと思うと寂しい気がしますね。

第1章、あとちょっとですが最後までお付き合い下さい!


第17話 阻止

 

「ニルヴァーナ、発射ァ!!」

 

 

男の合図と共に、化猫の宿(ケット・シェルター)に向けてニルヴァーナが発射される。

発射された巨大な光線は、そのままギルドに直進。

このままではギルドに直撃する──

 

 

───と、思われていたが。

 

 

突如何者かにニルヴァーナの足を攻撃され、光線は軌道を外し、被害は片耳だけで済んだ。

ユウト達は上を見上げ、攻撃した方に視線を向ける。

 

 

「あれは…!」

「魔導爆撃艇、天馬(クリスティーナ)!?」

 

 

オラシオンセイスによって無惨に撃墜された筈の魔導爆撃艇、天馬(クリスティーナ)が上空を飛行していた。

どうやらあの飛行艇がニルヴァーナの足を攻撃し、軌道を外したようだ。

 

 

『聞こえるかい!?…誰か、無事なら返事してくれ!』

「ヒビキか?」

「わぁ!」

 

 

ヒビキが掛けていると思われる念話が聞こえる。

 

 

『エルザさん?…ウェンディちゃんも無事なんだね』

「俺も無事だ!」

『ユウト君も無事で良かった!』

『私も一応無事だぞ』

『先輩も!』

 

 

それぞれ、お互いの安否を念話を通じて確認した後、エルザが質問を訊く。

 

 

「…どうなっているんだ?確かクリスティーナは撃墜された筈じゃ無かったのか?」

『壊れた翼をリオン君の魔法で補い、シェリーさんの人形撃と、レンの空気魔法(エアマジック)で浮かしているんだ、因みにさっきの一撃はイヴの雪魔法さ』

 

 

魔法を利用してクリスティーナを復活させ、さらには砲撃するとは、なかなか賢い者だ。

しかし、魔力がもう限界の人が動かしているとなると、飛んでいられる時間も、もう僅かしか残されていないだろう。

 

 

『僕達の魔力ももう限界で、残り僅かしか飛んでいられない。…だが最後にこれだけは聞いて欲しい!…漸く“古文書(アーカイブ)”から見つけたんだ!

 

 

───ニルヴァーナを止める方法を!』

 

 

ヒビキの説明はこうだった。

ニルヴァーナを支える6本の足、その付け根にある魔水晶(ラクリマ)が大地からの魔力供給を制御すると言うものだった。

その6つの魔水晶(ラクリマ)()()()破壊する事により、ニルヴァーナの全機能が停止するのだと言う。

次のニルヴァーナ装填完了までの20分をタイミングと見て、“古文書(アーカイブ)”でエルザ達の脳にタイミングをアップロードし、ヒビキが念話を切断しようとした時…

 

 

『──無駄な事を…』

 

 

念話に謎の声が割り込む。

 

 

「誰だ!?」

「この声…」

「ブレインって奴だ!」

 

 

念話を“ジャック”する声からしてブレインと言う事が分かる。

しかし、何かの違和感を感じる。

 

 

「…ブレインにしちゃ、印象的な声と違うような気がするな…」

『…オレの名はゼロ。六魔将軍(オラシオンセイス)のマスターゼロだ』

『マスターだと!?』

 

 

オラシオンセイスの“マスター”の登場に、連合軍は動揺する。

 

 

『まずは褒めてやろう、まさかブレインと同じ“古文書(アーカイブ)”を使える者が存在していたとはな…。…聞くがいい!!光の魔導士よ!!オレはこれより、全ての物を破壊する!!』

 

 

ゼロが高らかにそう宣言し、続ける。

 

 

『手始めにてめぇらの仲間である3人を破壊した。…“滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)”に“氷の造形魔導士”、“星霊魔導士”あぁ…それと猫もか』

 

 

ゼロはナツ達を破壊したと言う事を告げる。

 

 

「何!?」

『ナツ君達が…!?』

「クソッ…!」

「そんなの嘘よ!!」

 

 

ゼロの言葉にエルザは震えながら拳を強く握り、ウェンディは悲痛な表情を浮かべる。

 

 

『てめぇら、魔水晶(ラクリマ)を同時に破壊するとか言ってたなァ?オレは今、その6つの魔水晶(ラクリマ)のどれか1つの前に居る!ワハハハハ、オレが居る限り、6つの魔水晶(ラクリマ)を壊す事は不可能だ!』

 

 

そう言い放った後、ゼロは念話を切断した。

 

 

『ゼロとの念話が途切れた…』

(ゼロに当たる確率は1/6、しかもエルザ以外だと勝負にならんと見た方が良いか…)

「とりあえず、6つの魔水晶(ラクリマ)を破壊しに…」

 

 

向かおう、とユウトが言う前にシャルルが待ったをかける。

 

 

「待って、6人も居ない…!魔水晶(ラクリマ)を壊せる魔導士が6人も居ないわ!!」

「わ、私…破壊の魔法は使えないです…ごめんなさい…」

 

 

ウェンディは申し訳無さそうに言う。

ウェンディが戦えないとなると、その場にいるエルザとジェラールのみとなるが…

 

 

「此方は2人だ、他に動ける者は!?」

「俺は魔力が…」

 

 

ユウトは魔力が空の為、行動出来ないと判断した。

 

 

 

───残り4人。

 

 

 

《私が居るではないか。…縛られてるが…》

《一夜さん!!》

 

 

念話に響く声、一夜が名乗りを上げた。

 

 

 

───残り3人。

 

 

 

《まずい…もう、僕の魔力が……念話が……切れ…》

 

 

ヒビキの魔力も限界だ。

念話が切れるのも時間の問題だろう。

 

 

その時、リオン達の声が念話に響く。

 

 

『グレイ、立ち上がれ…お前は誇り高きウルの弟子だ、こんな奴等に負けるんじゃない』

 

『私…ルーシィなんて大嫌い…ちょっと可愛いからって調子に乗っちゃってさ、バカでドジで弱っちいくせに……いつも…いつも一生懸命になっちゃってさ……死んだら嫌いになれませんわ、後味悪いから返事しなさいよ』

 

 

涙を流しながら告げるシェリー。

嫌いになりながらも、ルーシィの事を認めている…そんな感情が伝わる。

 

 

「ナツさん…」

「オスネコ…」

「ナツ…」

《ナツ君…》

 

 

 

「───起きろよ、ナツ!!俺達の声が…!!」

 

 

響くユウトの叫び。

 

 

…それに続くように、

 

 

 

『───聞こえてる!!!』

 

 

 

荒い息と共にナツが返事をする。

続いて、念話に2人と1匹の猫の声が響く。

 

 

『6個の魔水晶(ラクリマ)を……同時に…壊す…!』

『運の良い奴は、ついでにゼロも殴れる…でしょ?』

『あと18分。急がなきゃ…シャルルとウェンディのギルドを守るんだ…!』

 

 

その声に安堵するユウト達。

息を吐いたヒビキがナツ達の脳裏に語りかける。

 

 

『もうすぐ…念話が…切れる……頭の中に僕が送った地図がある…各魔水晶(ラクリマ)に番号を付けた……全員がバラけるように…決めてくれ…』

『“1”だ!!』

『“2”!』

『“3”に行く!…ゼロと当たりませんように』

『私は“4”へ行こう!此処から一番近いと香り(バルファム)が教えている』

「教えているのは地図だ」

『そんなマジでツッコまなくても…』

 

 

エルザのマジなツッコミに落ち込む一夜。

 

 

「私は“5”に行く」

『エルザ!?元気になったのか!?』

「あぁ、お陰様でな」

 

 

エルザは解毒してくれたウェンディを見る。

視線の先に居るウェンディは「いえいえ」と首を横に振る。

 

 

「オレは…「お前は“6”だ」!?」

『誰か居るのか!?』

『今の誰だ!?』

 

 

声を出そうとしたジェラールをエルザが止めて、代わりに答える。

 

 

「ナツはまだお前の事情を知らん…敵だと思っている、声を出すな」

 

 

ひそひそとエルザはジェラールにそう伝えたのを最後に、プツン、と音を立てて念話は途切れた。

 

 

「…途切れましたね」

「あぁ。魔力の限界だったんだ、仕方ない。」

 

 

その後、付近にいたユウトと合流し、ゼロが居る場所についてエルザが語る。

 

 

「恐らくゼロは“1”番にいる」

「ナツさんが選んだ所だ…!」

「そんな事どうして分かるのよ?」

「彼奴は鼻が良いからな、分かってて“1”番を選んだ筈だ」

「だったら加勢に行こうよ!皆で戦えば…」

 

 

拳を握りながら叫ぶウェンディをユウトは見つめ…

 

 

「大丈夫、彼奴なら出来る。ナツを信じようぜ?」

 

 

と、不安気なウェンディに微笑みながら答えた。

 

 

「…さて、私達も持ち場につくとするか」

「…そうだな」

 

 

エルザがそう指示し、ジェラールの方を振り返る。

 

 

「……ナ……ツ…」

「……ジェラール?」

 

 

頭を抑えながらぶつぶつと呟くジェラールを見て、エルザは声をかける。

彼からは「何でもない」と返答し、何処かへ歩いて行った。

 

 

「…彼奴、もしかして?」

 

 

ユウトの脳裏にある予感が浮かび、彼に声を掛けようとした瞬間、ウェンディに先を越されてしまう。

 

 

「ジェラール、具合が悪いの?」

 

 

頭を抑えるジェラールに、ウェンディは心配の声を掛ける。

 

 

「いや…君は確か、治癒の魔法を使えたな?」

「………」

 

 

彼の質問にウェンディは相槌を打つ。

 

 

「…ゼロと戦う事になるナツの魔力を、回復させられるか?」

「……それが…」

 

 

ウェンディが続きを言おうとするが、代わりにシャルルが声を荒げながら返答する。

 

 

「何バカな事を言ってるの!!今日だけでウェンディが何回治癒魔法を使ったと思ってるのよ!!これ以上は無理よ!!元々この子は──」

「そうか、ならばオレがナツの魔力を回復しよう」

「…え?」

 

 

俯いた顔を上げ、ウェンディは首を傾げる。

 

 

「……思い出したんだ、ナツと言う男の底知れぬ力……希望と言う名の力を、な。…君はオレの代わりに“6”番の魔水晶(ラクリマ)を破壊してくれ。」

「でも、私…」

 

 

ジェラールのお願いに表情を歪めるウェンディ。

そこに、ユウトが会話に参加する。

 

 

「……俺も手伝おうか?」

「…ユウト君?」

「確かお前はさっき念話にいた…」

「ユウトだ。…初対面か分からんけど」

「…何処かで会ったことあるの?」

 

 

ウェンディがそう訊くと、ユウトは「ほら、さっきの洞穴で」と答え、納得させる。

それから彼はウェンディの方に顔を合わせ…

 

 

「ウェンディ、確かにお前にはこのお願いには葛藤するかもしれない。だけど、お前は竜迎撃用の魔法を持つ“滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)”だ。……魔水晶(ラクリマ)を破壊するには序の口だろ?」

 

 

ウェンディは天空の“滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)”。

ナツと同じく、攻撃に特化した魔法である。

しかしナツとの力とは天と地ほどの差があるウェンディにとって、少し無理がある話である。

 

 

「でも…」

「…お前なら絶対出来る。……“天”を喰うんだ。」

 

 

ユウトはそう言い放った後、一瞬間は空いたものの、俯きながらも直ぐにウェンディから返答が告げられる。

 

 

「………分かった、やってみます」

「よし、それでこそドラゴンスレイヤーだ。…ジェラール、俺もウェンディんとこに付いてっても良いか?」

「…あぁ、だが大丈夫か?…お前も魔力が無い筈じゃ…」

 

 

ジェラールから投げ掛けされる心配の声に、微笑みながらピースサインを作り…

 

 

「心配すんな、大丈夫だ」

 

 

そう言って、2人は“6”番魔水晶(ラクリマ)へと向かって行った。

ジェラールは小さな後ろ姿を見て、

 

 

「彼奴、小さなナツみたいだな…」

 

 

そう呟いていた。

 

──────────────────────────────────

 

そして20分後、同時に6つの魔水晶(ラクリマ)が破壊され、さらにはナツの活躍によってゼロも倒され、ニルヴァーナは停止。

 

 

───六魔将軍(オラシオンセイス)との戦いは、幕を閉じたのであった。

 

 

To Be Continued...

 




最近1週間に1~2話投稿を守れてない気が…

早めに投稿するように頑張ります。


※5000UAありがとうございます!
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