是非最後までお付き合いください!
数時間後、ユウト達は連合軍と別れた後、樹海を離れ乗船して帰路についていた。
「あぁ、船って潮風が気持ちいいんだなぁ…乗り物って良いもんだなァー!!」
「そろそろ“トロイア”が切れますよ」
「おぷぅ」
子供のようにはしゃいでいたナツに掛かっていた“トロイア”の効果が切れ、一瞬にして弱体化してしまう。
「も、もう一度かけ…て…おぷ」
「連続すると効果が薄れてしまうので」
「そんな奴放っとけよ」
「あはははっ!」
盛り上がっていたナツ達に対し、ユウトはローバウルから授かった玉を見据えていた。
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『この融合した世界を冒険する君にとって、大事な物だ。』
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「…大事な物、か」
そこに、金髪の女性、ルーシィが歩み寄る。
「どうしたの、ユウト?」
「あぁ、さっき貰った玉がなんだろうかなぁって思って」
「…
「俺にとって大事な物って言ってたからな、多分それは無いかも」
「…そう言えば、融合した世界がなんちゃらこんちゃらって言ってたけど」
ルーシィがローバウルの言葉を思い出し、そう呟いた。
統合世界の冒険者の事実を訊いて来たのだ。
…ここで事実を隠蔽しても良かったのだが、短い間ではあったものの、彼等は信頼できる仲間達だ。
仕方なく話しておこうと、ユウトは口を開いた。
「実は俺、この世界とは違う世界に存在している人間なんだ」
「違う世界…?」
「この世界のように魔法は使えないし、魔導士ギルドとかドラゴンとかも存在しない世界に俺は居たんだ。」
現実世界、それはこの世界のようにクエストを受けて金を稼ぐ世界とは無縁だ。
学校と呼ばれる施設で勉強し、社会に出て金を稼ぐ世界。
勿論魔法なんて概念が無ければ、ドラゴンも居ない。
そんな何も無い世界に、ユウトは誕生した。
「何でこの世界に来たの?」
「…俺の不注意によって、あの世界で死んで、融合した世界を救う為にって、統合世界って呼ばれる、他の世界と融合した世界に、俺は転生したんだ。」
「統合世界?」
「転生?」
「いずれ分かるよ」
ユウトは「ハッピーエンドを迎えたい」と言う理由でこの統合世界の返戻を目指し、この統合世界に転生した。
「兎に角、俺は仲間を探してこの世界に来たんだ。……誰も仲間に出来なかったけどよ」
3つ目の目標も達成出来ないまま、
何としてでもそれだけは避けたい。
「頼むッ…!誰か1人、俺の仲間になってくれないか?…無論、無理にとは言わないが、頼むッ!誰か…」
土下座して頼み込むユウト。
沈黙が現れ、誰も仲間になんてなってくれやしない。
そう思い、諦めて立ち上がろうとしたその時…
「……でよければ」
「…え?」
「私でよければ、ついていくよ?」
沈黙を破り、ユウトにそう告げる幼い少女の声に、ユウトは顔を上げる。
…声の正体は、
「ウェンディ!?」
「え、待って、ギルドは?」
「ギルドには勿論入ります。…けど、一度闇に落ちかけた私を救ってくれたユウト君の借りをいつか返したいから」
彼女は一度、ニルヴァーナによって自責の念に囚われ、闇に落ちかけていたのだ。
そんな彼女を救い出したユウトの借りを返したいと言うのだ。
「ウェンディ…」
「…だから、出来る事があれば、私は貴方の冒険について行きます。…駄目?」
ウェンディの問いに、ユウトは表情を明るくし、彼女の手を握る。
「勿論さ!!…これから俺と一緒に冒険しよう!ウェンディ・マーベル!!」
「はい!!ユウト君!!」
統合世界を冒険する仲間が加わり、戦力も大分上がった。…サポーターではあるが…
「…と言う訳だ、ウェンディは俺が貰う、良いよな?」
「…あ、あぁ、勿論だ」
「ユウトは信頼出来るからな、良いだろう」
「サンキュー!」
グレイとエルザの言葉に、ユウトは礼を言う。
しかし、先程もルーシィが言った通り、ギルドの問題も浮上する。
そこで…
「…ウェンディの代役を連れて来ようと思う」
「代役?」
「あぁ。」
この先、この世界に何が起きるか分からない。
それの対策として、代役を用意する事に。
で、その代役と言うのが…
「……アナザー族って覚えてるか?」
「うん、あのハルって奴みたいな奴等でしょ?」
「ご名答。…で、そのアナザー族の者が、居たんだよ、もう1人」
「「「!?」」」
アナザー族の者がもう1人居たと言う言葉に、ナツを除いた全員が驚愕する。
「居たのか!?」
「あぁ、それもアナザーウェンディさ」
「私!?」
まさかのアナザー族のウェンディと言う事にウェンディ本人が驚愕する。
「アナザーハルより全然頼れる奴でよ、…多分もうそいつはギルドに着いていると思うよ」
「待て、本当に頼れるんだろうな」
「会った時から仲良くしてくれたから、多分罠とかでは無いと思うぜ。…て事で、フェアリーテイルは任せる。」
ユウトはウェンディの腕を掴み、船の端に立つ。
「また、会おうな……ナツ」
そう言い残し、ユウトとウェンディは海へとダイブしたのだった。
「ユウト、ウェンディ!?」
「別れ方にしちゃ中途半端だな、オイ」
「だが“また”会おうと言っていたからな、彼奴は必ず戻ってくるだろう」
また来るのであれば、中途半端な別れ方にも一理あるような気が。
で、ユウトに対して怒りを募らせていた白猫、シャルルは…
「ちょっと、私置いてかれたんだけど!?」
「…これからはアナザーウェンディのパートナーになるって事じゃない?」
「絶対慣れないわ」
アナザーウェンディへの不満を抱えるシャルル。
慣れてくれればそれはそれで良いのだが。
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───一方、ユウト達は
「っぷは!…海ってしょっぺぇな」
「だね……あれ?シャルルは?」
「連れて来んの忘れた」
「はいぃ!?」
事実、忘れられていた。
長年の相棒であるシャルルをこの世界に忘れてしまった事に、ウェンディは驚く。
「すまねぇな……でも必ず此処に戻って来るから、その時また連れて来れば良いだろ?」
「そうだけど…大丈夫かなぁ」
ウェンディはシャルルに対する心配を抱えるが、必ず此処に戻って来ると言うユウトの言葉に、多少疑ったものの、今はユウトについていく事に。
「…それじゃ、行きますかね」
「えっと、次なる場所は?」
「それは陸に上がってからじっくりと考えるとしよう。…今は」
「え?……きゃあ!?」
「鮫から逃げるぞぉ!!」
そこが海と言うこともあってか、鮫が2人の匂いを嗅ぎ付けてやって来たのだ。
食い尽くすと言わんばかりに襲い掛かってくる鮫から逃げながら、ユウト達は次なる世界へと足を進める。
───次なる世界、地底へと。
「───あれ、ユウトは?」
「ユウトなら冒険に出たよ、ナツ」
「はぁ!?」
Wars of Characters FAIRY TAIL編 終
次章予告
「…イビト山にて行方不明事件多発?」
「嘘」
「え」
「うわあぁぁあ!!!」
「きゃあぁぁあ!!!」
「貴方達、誰?」
「よっしゃ分かった、お前の名前は……!」
「拙者は侍にござる」
「…何で制服着てんの?」
「タコ!?」
「ゾネス…!」
「ぼくが必ず、みんなを、世界を、救ってみせる!!」
*決意が、みなぎった。
次章“undertale”編
…キャラクター達の物語は、次なる世界へと足を進める。
To Be Continued...
は?アナザーウェンディ?誰それ…と思った方へ
ユウトとアナザーウェンディの邂逅を描いた番外編を書こうと思っていますので、今一度お待ちを。
…さて、次回からは第2章、undertale編となります。
undertaleはFTの次に好むゲームなので、最初から第2章にしようと決めていたので次章となります。
進行はほぼゲーム沿いで進めますが、勿論他作品のキャラクターやオリキャラ等をぶち込む予定なので、お楽しみに!!