滅茶苦茶カットされてますが、あまり長くしたくないのでダイジェストという型で。
※1/24 サブタイトル修正
※1/26 一部修正
「スパイダードーナツねぇ…」
“スパイダースイーツそくばいかい”なるものが開催されている部屋から出て来た3人。
試しにスパイダードーナツとスパイダーサイダーを購入したものの、それを見た瞬間に、彼等は青ざめた表情を浮かべていた。
「なんか…色が…」
「しかもこのサイダー、クモが丸ごと入ってる…」
「まぁでも、持ってるだけマシだと思うからな…預かるよ」
そう言いながら手を差し出し、ウェンディとミンティアはスパイダーサイダーとスパイダードーナツを手の平に乗せ、キーホルダーチェストに収容する。
「2度と見たくないな…」
「ははは……んじゃ、行きますか——!?」
先に進もうと足を動かそうとしたその時、ユウトは背後に迫る気配を感じ取り、すぐさま振り返る。
が、振り返るのが少々遅かったのかユウトの身体に何かが接触する。
が、痛みは感じず、身体に付着したのは液体——否、紫色のインクだ。
「インク?」
「ユウト君、後ろっ!」
「!?…うぉっとぉ!」
赤い髪を揺らし、女が背後を狙って打撃をユウトに食らわせようとするも、ウェンディが先に気付いたおかげで寸前で躱し、怪我をせずに済んだ。
ユウトをはじめ、ウェンディにミンティアもその女を睨み付ける。
「誰だ?」
「フッ…私ヲ知ラヌ人間ガ存在シテイルトハネ…マァイイ。」
攻撃した者の容姿としては、髪は赤色で吸盤らしき物が付いている。
顔面は黒の大型サングラスを着用していて、左目が赤く発光している。
身体は機動力を重視する為かは分からないが、腰や胸元にのみ服を着用している為、肌の露出は多い。
そんなスタイルが良いタコの擬人化のようにも見える彼女は、自身の名を名乗った。
「私達ハ、“タコゾネス”ト呼バレル突撃兵ダ。」
「タコゾネス…?どっかで聞いた事あるな…」
聞き覚えのある単語。
しかし今はそれを考えている暇は無い。
「何故俺達を狙う?突撃兵?ってのなら他の悪い奴等を狙うのが筋じゃないのか?」
「事情ガアルンダ。オ前ラガ知ル必要ノ無イ事情ガネ!!」
タコゾネスは血相を変えて此方に蹴りを入れる。
ユウトは攻撃を躱し、隙を狙って彼女の腹に拳を入れるが…
「ソンナ攻撃デ私ヲ倒ス?面白イ子供ダネッ!」
「ぐっ」
もう一方の足がユウトの顔面を襲う。
ユウトの筋力は前世より少し上がってはいるが、やはり吹っ飛ばすまではいかないようだ。
「ユウト兄…」
「大丈夫だ…お前はコマンドを使って時間を稼いでくれ…」
「コマンド…?」
ミンティアは手元を見るが、“こうどう”と言うボタンは見当たらない。
それに、この世界では敵とエンカウントする場合に起こる世界の暗転も、
「コマンドなんて無い——」
「ぐあっ!!」
「ユウト兄っ!」
ミンティアの言葉を遮るようにユウトの悲鳴が響く。
「ユウト、トカッテ言ッタカ?…オ前ハ何カ勘違イヲシテイルヨウダ。」
「勘違い…?」
顔を足で踏みながらタコゾネスがそう告げる言葉にユウトは首を傾げる。
「“この世界の敵とエンカウントしたら必ず倒さない”ト、オ前ハソウ決意シテイルヨナ?」
「当たり前だ…!モンスターの身体に傷を付けて喜ぶ馬鹿がいるかよ…!」
「オ前ハ、ソノモンスターガ襲来シタ時ノ共通点ヲ、知ッテイルカ?」
「共通点…?」
この世界のモンスターとエンカウントすると必ず起こる共通点。
その問いにユウトは首を傾げ、それを見たタコゾネスは呆れながら回答する。
「“世界ノ暗転”ジャナイノカ?」
「世界の暗転…あぁ、そう言えばそうだが、それがどうし……」
その時、彼は気付いた。
目に映っている光景は紫色の壁と床。
それを背景に頰を踏む足と赤い髪。
つまり、彼女はモンスターでは無い。
ショッカーと同じ、統合世界の敵だと。
「気付イタカ。ナラ、オ前ハ私ヲ安易ニ倒セル筈ダヨネ?」
「あぁ、分かってる。…俺を可愛がってくれた罪は大きいぞ?」
ユウトは氷で剣を造り出し、口角を上げながらタコゾネスに水色に透き通る剣先を向ける。
「知ってる?力は無くても武器を持てば強く見えるってな?」
「小サイ子供ニ勝テナイ突撃兵ハ存在シナイノサ。」
「お、言うじゃん?…その口、引き裂いてくれるよ」
ニッと笑うユウト。
それを見て、偶然にも同時にウェンディとミンティアの口からこう漏れ出す。
「「怖い」」
……と。
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「——タコはタコらしく大人しく海で泳いでろ」
「コンナ…子供ニ負ケルナンテ…」
氷剣の峰打ちで伸びるタコゾネスに剣を向けながら、ユウトはそう吐き捨て、彼女も小学生にやられる自分を悔やみながら、気を失った。
「凄いねユウト君、タコゾネスさんに峰打ちだけで勝負するって」
「女を斬るなんて想像した事もない。…それに、彼女の白い肌に血一滴流したら嫌だし」
「優しいんだね、ユウト兄」
「んー、優しいと言うか、心遣いってやつだよ」
気絶状態のタコゾネスを横目に、3人は会話をしながら先へ進んだ。
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先に進むと、特定のボタンを押すタイプのパズルが彼等の前に立ちはだかる。
途中で拾った“いろあせたリボン”をミンティアに装備させ、謎の人参“ベジトイド”と、孤独好きな“ミ=ゴス”と戦いつつ、試行錯誤で正解のボタンを着実に押していき、無事パズルをクリアしていった。
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家がある部屋。
その庭?にある葉が落ちきった黒色の木に、ユウトとミンティアは注目していた。
「葉っぱが落ちきってる…」
「しかも黒いとは、縁起が悪いぞ…」
瞬間、家から何者かが現れる。
ミンティアとウェンディはまたタコゾネスなんじゃないかと身構えるが、ユウトは彼女達とは逆に身構えず、そのまま立っていた。
「誰…?」
「大丈夫だ、タコゾネスじゃない。」
ユウトの言う通り、玄関から出て来たのはタコゾネスでは無く、紫色の服を着た山羊——トリエルだ。
彼女は焦りながら携帯を取り出し、ミンティアに通話を掛けるが、此方を見ると携帯をしまって此方に向かい、ユウト達の身長を考えてしゃがみながら話し掛ける。
*まあ! あなたたち だけで ここまで きたの?
*ケガはない?
トリエルはユウト達に怪我の心配をするが、ウェンディが「大丈夫ですよ」と返すと、彼女はホッと安堵し…
*それなら よかったわ。
*さあ こっちへ いらっしゃい。
*かいふくして あげましょうね。
*ずっと ほったらかしにして ほんとうに ごめんなさいね。
「良いんですよ。」
ウェンディはトリエルに微笑みながらそう答える。
*でも…
「ほら、こうやって無事に来れたんですから。心配しなくて大丈夫ですよ、トリエルさん。」
*…。
*あなたって けっこう やさしいのね。
「優しいだなんて、そんな…(照)」
「なんだよ、ちょっと照れてんじゃねぇか…」
「うるさいよ…?」
2人がそんな会話をしていると、トリエルは立ち上がり…
*さて…
*あなたたちには ひみつにしておこうと おもったのだけれど…
*さあ こっちへ いらっしゃい!
と、言い残し、彼女は玄関に消えていった。
「お前結構、好感度上がるんじゃね?」
「うるさいね…あれ?ミンティアちゃんは?」
「ここだよー!」
ミンティアが手を大きく振る。
どうやら、彼女はトリエルと会話している途中に
「さてと、トリエルも待ってるだろうから行こうかね」
「秘密って言ってたけど…」
「もしかして、ぼく達にとって嫌な話とか?」
「流石に無いだろ」
そう会話をしながら、彼等は家の中へ入った。
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中に入ると、鼻に入る甘い香りと共に遺跡のような外観とはまるで違った景観が広がる。
木材で出来た床、白い壁、地下に繋がる階段を囲む柵、花瓶に飾られている花…
まるで、普通の一軒家の内装のような感じで、よく再現出来ている。
そして、ユウト達を出迎えるトリエル。
彼女は微笑み、彼等に話し掛ける。
*いいにおいでしょう?
*サプラーイズ!
「サプライズ?」
*バタースコッチシナモンパイをやいたのよ。
*あなたたちが きてくれた おいわいにね。
「わぁ」
「最高じゃないすか」
ユウト達が来た祝いにパイを焼いてくれるトリエルに、彼等は喜びの表情を見せるが…
*ここでたのしく くらして もらいたくて…
(ん?暮らす?)
彼女の発言にユウトは首を傾げる。
何故かこの家にユウト達が暮らす事になっているのだ。
勿論それは無理な話だが、喜んでいる彼女を悲しませまいと彼は口を慎んだ。
*さあ はいってはいって! ほかにも みせたいものが あるの。
微笑みの表情を見せながらそう言うと、彼女は右手にある部屋の前に向かう。
彼等もトリエルに付いて行き、トリエルの横に立つ。
*ここが…
*あなたたちの おへやよ。
*きにいってもらえると いいけれど…
「うん!ぼく、絶対気に入るよ!」
ミンティアが子供のようにそう返し、ユウトとウェンディも同じように笑みで返す。
*まあ! うれしいわ……あら? こげくさいわね…
*たいへんだわ!
*ゆっくりしていってね!
と、言い残して彼女は台所へと走り去り、ユウト達は部屋へと入る。
部屋に入るとそこは、まるで子供部屋のような空間だった。
2つ置かれたベッド、全く興味をそそられない玩具が沢山入った箱、その後ろのベッドの脇に置かれた白と茶色の人形、タンスの上に置かれた埃かぶった空っぽの写真立て…
そして、クレヨンで描かれた花の絵…
間違いなく此処には子供が住んでいた。
死んだのか、行方不明になったのは知らないが、此処には子供が住んでいて、突如居なくなってから彼女は孤独となり、ユウト達子供を見て嬉しくなったのだろう。
だとしても、彼女には申し訳ないがユウト達には統合世界を元に戻すと言う宿命があるのだ。
此処で住むわけには…いかないのだ。
「だけど、眠くなってきたな…」
「疲れたもんね…寝る?」
「ぼくも…疲れた…」
3人は其々ベッドで横になり、目を瞑る。
同時に、襲う睡魔によって彼等の意識は途切れる事となった。
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ミンティアside
———これは、夢?
———ここ、昔、ぼくが住んでた家だ。
———今でもハッキリと覚えてる。
———
———?…あれは、お兄ちゃん?
———なんで、お兄ちゃんが……?
———!?…お兄ちゃん!?何処行くの!?お兄ちゃん!!
———「フリ………?」
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「——っは!?」
寝ていた筈のミンティアが起き上がる。
悪夢でも見ていたのか、呼吸を立てながら。
「お兄ちゃん……」
彼女はそう呟く。
昔ミンティアに優しくしてくれた、あの兄を。
「?」
ミンティアは右手にある3つのパイに視線を向ける。
彼女達が寝ている間、トリエルが置いてくれたのだろうか。
今食べても良いだろうが、今食べてはいけないような…そう彼女は感じ取る。
「ユウト兄…ウェンディ姉…」
2人の名を呼んでみるが返事は無く、寝息を立てて眠り続けているだけだ。
自分は早く起きすぎてしまったのだと思うと睡魔が襲い、再び横になって彼女は眠った。
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「……ろ、……ティア」
少年の声が聞こえる。
「起きろ、ミンティア」
「ユウト…兄…?」
「先に進むぞ」
「え…?」
寝起きで頭が回らない。
が、先に進むと言う声が聞こえ、彼女は思わず声を漏らす。
「先に進むって…此処に住まないの?」
ユウトにそう尋ねる。
ミンティアの声にユウトは頷き、答える。
「俺達には事情があるんだ、此処で立ち止まってる訳にはいかない。」
「それに、ミンティアちゃんも帰る場所があると思うし…」
「帰る…場所?」
確かに自分は帰る場所——自宅に帰らなければならない。
自分は記憶が無くなっている筈、記憶が無くなっていても、普通なら早く自宅に帰りたいと思う筈だが…
その思いで、ミンティアは俯く。
何も知らないウェンディは、彼女の姿を見て首を傾げるも、すぐにユウトと共に準備を進める。
「トリエルには悪いが、俺達は進む。」
「もうママには言ってあるの?」
「私から「帰りたいです」と伝えたら、トリエルさん、地下に飛び出しちゃって…」
そう。
ミンティアが眠っている最中、起床したウェンディはトリエルに「帰りたい」と伝えていたのだ。
伝えた途端、彼女は、「*ここで まっていなさいね。」と告げ、地下へと走り去っていったのだ。
地下に何があるのかは知らないが、そこに辿り着かない限りは先に進めないようだ。
「じゃあ地下に行かなきゃいけないって事?」
「そうしない限りは先に進めないだろ?此処で立ち止まってたら帰る場所にも戻れないんだ、嫌だろ?」
「……そうだけど…」
また俯いてしまう。
何故こんなにも後ろめたい気持ちが込み上げて来るのだろうか。
「何にせよ、行くしかないんだ。…行くぞ」
「…うん」
その言葉には、何か怒りと悲しみが混濁したような気持ちが感じ取れたような気がした。
彼もきっと分かっているのだろう。
トリエルは優しいのだ。
短い付き合いなのに、彼女はこんなにも優しくしてくれて、パイなんかも焼いてくれる。
そんな彼女と別れなんてしたくないと思っていても、この世界を守る為にも、先に進まなければならないのだ。
仕方の無いことなのだ。
「この地下に降りると、此処に戻れないような気がする…」
「あぁ、分かってる。…覚悟は、出来てるよな?」
ユウトがそう尋ねると、2人は相槌を打つ。
「先へ、進もうか」
To Be Continued...
終わり方…
次回、いせき編最終回。
乞うご期待。