うちの嫁鯖が病んだ件   作:VISP

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今回はダダ甘です。
次回こそヤンヤンです。
文字通り、死んでも離してくれない奴()


ノッブの場合 前編  あとがき追加

  その時、「なんかBBが映画上映するってー!」という茶々の言葉を聞いて、グダグダ組(飲み会に参加してる副長&もう寝た魔神さん除く)はあっさりとお菓子とお茶とお酒を持って、BB主催のこの上映会へと参加した。

 で、そこで漸くリアルタイム盗撮上映会だと知ったのだが、「ま、是非もないよネ!」と言ってそのまま参加した。

 マスターと男サーヴァント達が泥酔し、ついには恋バナ始めるに至っては「女子会か!」と言って大爆笑し、後日これをネタに如何にからかうか楽しみにしながら鑑賞していた。

 だが、

 

 

 『ノッブがいちばんすきかなぁ。』

 「は?」

 

 

 酒に酔って赤い顔でたどたどしい口調で語るマスターの言葉に、知らずノッブの口から疑問の声が漏れていた。

 なお、同じく疑問の声を漏らしていた者は多数いたが、その声は全員底冷えしていたりする。 

 

 

 『ノッブってさ、いつもはぐだぐだしてるけど、ちがうかおがたくさんあるんだ。』

 

 

 そこからは始まったのは、幼気な口調となったマスターの惚気という名の独演会だった。

 上映会を見る女衆も、酒宴に参加している男衆も、見たことのないマスターの姿に興味津々だった。

 

 

 『まじめなときは、かりすまあってごうりてきで、とってもりりしくて。

  かとおもったら、おとこっぽくてめずらしいものずきで、とってもかっこよくて。

  ふだんはぐだぐだーってしてて、でもふとしたしぐさがすごいきれいでさ。

  それにあまいものとかかわいいものすきとか、すごいおんなのこらしいところもあって…。』

 「流石はマスター。伯母上の事よく見てるわー。」

 

 

 叔母と姪の関係である茶々がぽつりと零す。

 天才的で、合理的で、傾奇者で、珍しいもの好きで、身内には駄々甘。

 そして、戦国大名であり、武士であり、女性である。

 そんな複雑怪奇な属性が闇鍋の様に混ざり合い、しかしそれぞれ完全に混ざり合う事なく、奇妙な調和を保っている。

 そんなカオスそのものの内面を正確に言い当て、しかもそれに惚れているのだと微笑む事ができる男がこの世にどれだけいるのだろうか?

 

 「んで伯母上は……言うまでもないか。」

 

 普段のノッブなら、恋の告白なんてされようものなら、笑って誤魔化すか断るだろう。

 或いはちょっと凄んでみせて、相手の怯えた様を見て、未熟者と嗤うだろう。

 だが、今の彼女はどちらも出来なかった。

 ここまで正確に己の内面を言い当てる事が出来たのは、彼女の生前において片手の指に満たない。

 そして、それが出来た者は家臣か難敵で、決して彼女に男女の意味での好意を抱く事は無い関係だ。 

 

 何よりもマスターが自分の事をそうも見事に理解してくれた事に喜びを感じている自分自身に驚いていた。

 

 「~~~っっ!??!?」

 

 知らず赤く染まった頬を両手で抑え、顔を俯かせていた。

 そんな常ならあり得ない自分に茶々を除くこの場の面々から視線が集中するのが分かるが、今のノッブはそれ所ではなかった。

 

 (え、え?なにわたしなんでこんな、え?)

 

 混乱のためか、脳内の口調が遠い昔、吉法師として知られる以前の本当の幼少期、或いは蘭丸と同衾する時位で、ここカルデアでは今はいないが信勝位しか知らない一人称だ。

 人生50年過ぎても、英霊として現界した今の彼女は20も過ぎぬ娘の体。

 思考もまたそちら側に大分引き寄せられている事も加味しつつ、その天才的な頭脳(熱暴走気味)で思考する。

 

 (マスターは私の我儘とか大騒ぎにいっつも付き合ってくれて…あれ?その頻度、他の英霊とかよりも多い?おまけにちょくちょくあっついボイラー室に顔出すか食堂に連れて来てくれるし、レイシフトのメンバーの時はほぼ毎回マシュと一緒にだし…。)

 

 なお、イベントとか相手が槍属性じゃない場合、マシュと共にほぼいつも編成に入っている(後半組だが)。

 これは彼女の持つ神性特攻のためだが、それと同じ位にマスター個人の嗜好でもあった。

 勿論、絆レベルはカンストしてるゾ。

 

 (やばいやばいやばい!アイエエエ、ナンデ!?マスターが私に惚れてるナンデ!?)

 

 脳内で忍殺語が出てくる程度にはテンパっているノッブだったが、続く一言に完全に凍り付いた。

 

 

 『でも、ノッブはオレのことそんなふうにみてないから、いえないんだぁ…。』

 「は?」

 

  

 音自体はさっきと全く一緒なのに、そこに込められた感情と意味は天と地程の違いがあった。

 知らず、その言葉には極寒と錯覚する程の威圧感が込められていた。

 

 

 『ノッブはさ、にほんでいちばんゆうめいなひとで、すんごいだいみょうで、だいろくてんまおーだからさ…。

  おれみたいなふつーのひとがこくはくなんてしたって…。

  それに、みんなもうすぐかえっちゃうからよけいにおもしになるかなって…。』

 「なにそれ。」

 

 

 そこまで聞いて、もう信長は止まらなかった。

 人理を救ったお前が言うのか、英霊達と絆を結んだお前が言うのか、私と共にあったお前がそれを言うのか。

 激情のまま知らず知らずの内に立ち上がり、その身から炎を噴き出し始めていた彼女に、更に追い討ちがかかる。

 

 

 『おーあの第六天魔王様をねぇ…。』

 『確かに高嶺の花だが…マシュでなかったのが意外だな。』

 『ましゅもだいすきだよー。』

 「は?」

 

 

 再び、上映室に極寒の威圧感が満ちた。

 

 

 『ましゅはさーおれとずっといっしょにたびしてくれて、ずっとまもってくれたんだ。

  ほかのみんなにもかんしゃしてるけど、でもやっぱりましゅがいちばんなんだ。』

 『の割に好きなのは盾の嬢ちゃんじゃねーのな。』

 『ましゅはさ、まもってあげたいんだ。まもってもらったぶんだけ、たいせつにしたいの。』

 「………。」

 

 

 マスターの言葉に、ほんの少しだがノッブの怒りも下がる。

 しかし、続いた言葉によってそれも吹っ飛んだ。

 

 

 『だからさーましゅがのぞむことなら、おれはなんでもしてやりたいんだ。

  それくらいのごほーびがあってもよいとおもう。』

 「先輩…!」

 

 

 予想通り、制止そっちのけで感動するメガネの後輩の姿を見て、ノッブはやはり最大の強敵はこやつじゃな、と認識を新たにした。

 マスターがそういう意味で言っているのではないとしても、自分がいなくなれば残るのはマシュだけ。

 結局は出来レースに近い状況であり、マシュは悠々とマスターと恋人としての絆を育める。

 

 それはつまり、今の信長が抱いている感情を踏み台にするという事に他ならない。

 

 「………。」

 

 聞くべき事を聞いた、ならば残るは行動のみ。

 問題に対しては即断即決、果断な判断力を持つ信長は、最適な行動を取るべく上映室の出入り口へと向かう。

 

 「何処へ」

 「行くのですか?」

 

 不穏な気配を察知してか、素早く溶岩水泳部(の中でもヤベー二人)が立ち塞がり…

 

 「茶々、沖田。」

 「おっまかせー!」

 「あーもう!後で奢りですよ!」

 

 カリスマ全開の信長の声に、茶々と沖田の二人が即応し、襲い掛かろうとしていた頼光と清姫の二人を止める。

 

 「く、どきなさい!」

 「どかない!伯母上の恋の行方がかかってるんだから!」

 「シャァぁ!」

 「申し訳ありませんが、斬ります。」

 

 突然始まった戦闘に、一部のサーヴァントが巻き込まれながらも、全員が遠巻きに事態を見守る=野次馬となって観戦する。

 

 ((((だって他人の色恋沙汰って楽しいし。)))))

 

 まぁ英霊って言っても人間で女性だしネ是非もないネ。

 

 「く、邪魔しないでください!」

 「お断り申す!お館様の想いが叶うこの機会!邪魔立てさせる訳にはいきませぬ!」

 

 なお、残りの一名と+αの間では仲間割れ?が起きていた。

 

 「邪魔じゃな。」

 

 戦闘で通れない入口に見切りをつけると、信長は実体化させた火縄銃を連射させ、食堂の方向の壁を破壊した。

 それを数回繰り返して通り抜けると、あっさりと目的地へと付いた。

 即ち、食堂で泥酔中のマスター、藤丸立香の下へと。

 

 「おい、起きろ。」

 

 つかつかと軍靴を鳴らして近づき、うとうとし始めたマスターの胸倉を掴み上げる。

 突然の事態にギョッとしたエミヤ(弓)が止めようとするも、傍らの五次ニキに止められる。

 見れば、周囲には既に火縄銃が20丁近く実体化しており、邪魔をしようものなら即座に発射される状態だった。

 威嚇でも牽制でもなく、一発目から水平射撃である。

 五次ニキなら兎も角、エミヤ(弓)ではこの近距離では流石に危険だった。

 

 「あれ、のっb」

 「少し黙れ。」

 

 マスターが、立香が口に出来たのはそれまでだった。

 まるで食らい付く、否、真実そういった意味合いだった。

 これは自分のものだ、誰にも渡さん。

 断固とした所有欲を、執着を見せつける様に、信長は立香の唇に噛み付く様にして吸い付いた。

 

 「「「「「「「「「おおおおおお!」」」」」」」」」

 「「「「「「「「「ああああああ!?」」」」」」」」」

 

 そこかしこで歓声と悲鳴が上がるが、しかし当人達の視界には今互いの事しか映っていない。

 噛み付き、唇を吸い、開いた口内に舌を捻じ込み、思うが儘に蹂躙し、味わい尽くす。

 逆の立場だったら間違いなく強姦とか性犯罪でしょっぴかれる様な蛮行に、しかし観客らは(戦闘していたサーヴァント含む)固唾を飲んで見守った。

 やがて立香の息が続かなくなった頃、漸く濃厚に過ぎる最初の口吸いは終わった。

 立香の唇からは血が出ており、先程の口吸いで唇を噛み切られた事が分かる。

 

 「っ、げほ!ノッブ、なんで…!」

 「いい立香?一度しか言わないから、よく聞きなさい。」

 

 痛みと酸欠で流石に酔いが覚めたのか、先程よりもしっかりとした言葉遣いと瞳で見てくる立香に、第六天魔王でもなく、戦国大名でもなく、武士でもない信長が、吉法師が満足気な笑みを浮かべ、告げる。

 心からの言葉を、単なる女の子としての思いを、自分を理解してくれた優しい青年に。

 

 

 「貴方は私のもの。私は貴方のもの。天魔や魔王と呼ばれる身ではありますが……どうか幾久しく、この吉めをお側にお置きくださいませ。」

 

 

 軍帽を取り、床に尻餅をついた立香の前に自身も身を正して座り、三つ指ついて頭を下げる。

 誇り高く、情が深い彼女がそうする意味を、立香は遅まきながらも気付いた。

 これが、彼女なりのプロポーズだという事に。

 

 「俺も、ノッブが、吉が好きです。ずっと一緒にいてください。」

 

 立香の言葉に、吉姫はゆっくりと頭を上げると、その美貌に艶然とした笑みを浮かべて宣言した。

 

 「撤回は聞きません。死んでも一緒にいますからね、お前様。」

 

 こうして、深夜の大騒ぎは一応の結末を迎えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお、その後

 

 「誰ですか。こんな深夜に大騒ぎをして、職員や子供達の健康を害そうとする輩は。」

 

 この後いっぱい治療(物理)された。




く、くそうヤンデレとか久々だから上手く筆が乗らない…!
だが準備は整った。
これで次回こそヤンヤンに入れるぞ!

なお、この話のノッブはLv100、フォウダブルマ、スキルマ、絆10のガチオブガチ仕様です。
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