落ちこぼれの魔導士は魔王と共に異世界で生きるようです   作:ウィングゼロ

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幕間『観察者と守護者』

 

オルクス大迷宮65階層。嘗ての冒険者の最高到達点と謳われたその階層のボス、ベヒモスはたった3人の異界から召喚された若者に倒された。それは歴史的な大挙であったが、その3人に待ち受けていたのは更なる絶望であった。突如として現れた銀髪の魔人族の攻撃により3人は奈落の闇へと消えていってしまった。

 

「うそ…香織…嘘でしょ?」

落ちていく親友を目にして決して見せることは無かった弱々しい姿を見せる雫、幼なじみの光輝もまた今助けに行くと香織を助けようと躍起になるが周囲にいた龍太郎や数人の生徒達によって組み付かれ、飛び降りを阻止していた。

「嘘だ…こんなの嘘に決まってる!!」

更に檜山までも何かを否定するように頭を抱え蹲る中、メルドは確りと敵を見据えていた。

「馬鹿者!まだ気を抜くな!!!」

怒鳴り上げるように声を荒げるメルドその目線の先には銀髪の魔人族(推測)が背中に三対六羽の黒翼で浮いているのか空中で静止していた。

未だに敵は健在、最悪は刺し違えてもっと考えるメルドだがそれは杞憂に終わることになる

「………」

突如として魔人族の足元に展開するベルカ魔法陣、そして魔人族が転移っと口走ると魔人族はメルド達に興味を示すこと無く何処かへと消えてしまった。

「…九死に一生を得たか…」

張り詰めた空気が無くなったが状況は最悪といっていい。

今回の演習で3人もの優秀な若者を失い。勇者である光輝も香織が奈落へと落ちたことで錯乱している。生徒達の心を占めているのは死の恐怖という負の感情で、まともに戦うことなど難しいだろう。

だがこれ以上犠牲は出させる訳にはいかないとこの場に止まるのを止めて生徒達を立ち直らせながらも騎士団達や何とか戦える龍太郎などの少数の生徒達と共にオルクス大迷宮を脱し、オルクス大迷宮の受付にて帰らぬ人となった正人達の死亡を報告するのであった。

 

 

そして65階層での出来事を遠くから観察していたものがいた。

観察者は紫の球体を通してオルクス大迷宮の外の人目が無いところからモニタリングしていた。

「まさか、こんなことになるなんてね…ベヒモスを3人で倒したことに関しては少し誉めておくけど、ふふ、面白いものが見られたわ」

そういって自分の前に展開しているウィンドウを操作して新たに開かれた画面には正人の魔法を使う姿が移し出されていた。

「あの術式…ベルカ術式ね、聖教教会が異邦人を召喚したっていう話は聞いていたけど、その中に同業者がいるなんて熟々、面白いわ」

「どこから来たかはわからないけど、恐らく、彼らもやってきて、手をこまねいているはず」

観察者が思い浮かべるのはこの世界だけではない様々な世界を守る組織。観察者もまたその組織と戦い。その末に二度と這い上がれない空間に大切なものと飲み込まれ気付けばこの世界来ていたのだから

「あの子達が落ちた先はオルクス真大迷宮…あの子達は生き残れるかしらね」

そういって観察者の妙齢な女性は人気を避けながら、ホルアドの街を後にした。

 

そして正人達が奈落へと落ちていった同時期まで遡り、トータスの惑星軌道上…そこに一隻の宙に浮く船が停止していた。その船のブリッジでは今オペレーター達が忙しくパネルを操作している。

「ハラオウン提督!先程の魔力波長パターンを解析したところ、民間協力者、八坂正人の魔力波長パターンと一致しました!」

「そうか、漸くこれで場所を絞り込めそうだ。ここまで2週間ほど、この世界に覆われている結界らしきものの性で静観しかできなかったが…これで少しは支援できる」

この船次元航空艦アースラの艦長を務めるクロノ・ハラオウン提督は艦長席に座りながらも先ずは一息と息を吹く。

何故彼らがこの星にやってきたのか。それは地球で起きた転移誘拐事件がきっかけだった。突如として某所の学校の一クラスにいた生徒及び先生が転移させられ忽然と消えたのが全てもの始まりだった。

当時、正人の読み通り、その転移反応は管理局が設置していたサーチャーに反応しそれは海鳴市のハラオウン宅の設備にリアルタイムで転送された。それをクロノの嫁であるエイミィ・ハラオウンが転移の反応を追跡し惑星トータスに転移させられたことを突き止め、今回の件で転移に巻き込まれた中に正人が含まれていたことも含め、本局に伝えられた。

そして付近をパトロールしていたアースラ、クロノにトータスに向かうように指示が出され、トータスには辿り着いたものの、結界によって、人などを長距離転移することが困難だと判断され今現在も立ち往生を状態が続いている。

そして正人の魔力反応をキャッチできたことで、クロノは少しでも進展するようにクルー達に指示を出す。

「あやふやだが大凡の場所が分かれば、そこに送受信を絞り込めば通信もできるはずだ。」

「了解!」

「…正人…無事だと良いんだが…どうしても嫌な予感がする。……彼と通信ができて正確な居場所も特定できれば、彼のデバイスを転送できるのだが」

クロノは艦長席の近くのパネルを操作し艦内の一室の映像が映る。

そこには今まさに整備が終えた正人の相棒の姿があった。

 

勇者パーティーから香織が離脱する時期

  • 原作通り
  • ベヒモス戦、ハジメが奈落へ
  • ベヒモス再戦後
  • 香織が目覚め、決意後
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