落ちこぼれの魔導士は魔王と共に異世界で生きるようです   作:ウィングゼロ

25 / 43
先に行っておきます。ベヒモス戦はめちゃくちゃダイジェストです。
そして何故が5000文字突破したという…


幕間『異端の魔女』

 

「万翔羽ばたき 天へと至れ!天翔閃!」

初めに動いたのは天之河だ。曲線状の斬撃が轟音とともにベヒモスに迫り直撃、ベヒモスは悲鳴を上げて当たったところからは血も吹き出していてダメージを与えられていることを確認する。

「いける!俺達は確実に強くなってる!永山達は左側から、檜山達は背後を、メルド団長達は右側から!後衛は魔法準備!上級を頼む!」

天之河は矢継ぎ早に指示を出す。リーダーとしての素質を育てるためにメルド団長による直々の講習で培った賜物だった。

「ほぅ、迷いなくいい指示をする。聞いたな? 総員、光輝の指揮で行くぞ!」

迷いのない指揮にメルドは感心し指示通り騎士団を連れてベヒモスの右側面に回り込み、そして他のメンバーも己の課された指示通り散らばっていく。

それから天之河達はベヒモスに善戦していく。

永山と龍太郎が身体強化魔法でベヒモスの攻撃を受け止め、止まった隙に雫とメルドがベヒモスの角を切り落とし。天之河が走りながら詠唱した光縛で先の傷つけた切り口を爆発で抉りダメージを負わせる。

その後も危うい場面もあったが後衛組4人による上級魔法、炎天によりベヒモスは断末魔をあげ炎天の攻撃が晴れた後、そこにあったのは黒焦げで倒れ伏せるベヒモスだけだった。

「か、勝ったのか?」

「勝ったんだろ……」

「勝っちまったよ……」

「マジか?」

「マジで?」

全員、未だに信じられないのかベヒモスを討ち破ったことを半信半疑で黒焦げのベヒモスの亡骸を見ていると天之河は持っている聖剣を掲げ、叫んだ。

「そうだ!俺達の勝ちだ!」

天之河の勝利の勝ち鬨で全員勝ったことを自覚したのか歓声を湧き出す。雫もまた遂に此処まで来たと微笑みを零しながら剣を納刀する。

「私達やったのね…遂に此処まで…」

かつての冒険者も勝つことができなったベヒモスを倒したことに自分達は漸くここまで辿り着ける強さを得たことに漸く実感する雫、そんな雫の元に、天之河や龍太郎などの勇者パーティが集まる。

「やったな!雫」

「ええ、私達、遂にベヒモスを倒したわ」

「ああ、これで…香織達も少しは報われる。それに八坂が俺達の前に立ち塞がっても今の俺達なら…!」

天之河が今の勝利を喜び、強くなった自分達を見て、死んだと思い込んでいる香織とハジメも少しは報われると言って、終いにはベヒモスをほぼ単独撃破した。八坂にも対抗できる自身も付いたのか妙に力説に述べるが、雫は少し八坂を敵視している天之河に言いたげな顔で見詰めていた。

既に天之河の中では正人は魔人族に加担した裏切り者で香織とハジメを殺した原因となった人物として捉えていた。

これに関しては誰が反論しようと天之河の考えは変わらず。八坂は悪であったと決め付けている。

その天之河を見て龍太郎や鈴も何か言いたげな顔をして、恵里はあたふたとこの微妙な空気に慌てる。

天之河はそんなことに気付かず。気を引き締めて次の階層へっと全員に伝えようと口を動かそうとしたときこの空間全体に女性の声が響いた。

「なるほど、少しはできるようになったみたいね」

「っ!全員!周辺を警戒しろ!」響き渡った女性の声に一番に反応したのはメルドであった。かつての最高到達点である65階層に天之河達以外の人間が早々にやってこられないために、この女性はただ者ではないと瞬時に理解し敵か味方かもわからないため全員に周囲に気を配るように促す。

騎士団達はそういったことに馴れているために勝利に余韻など見せないように直ぐに警戒を強めたが天之河達は勝利の余韻から切り替えることが上手くできず慌てて周囲を警戒しだす。

円陣を徐々に縮めながら全周囲を警戒する天之河達だが空間に妙に響く足音は66階層に続く通路から響き渡ってきて全員の視線はそちらに向き、徐々に大きくなる足元に全員が緊張を高め固唾をのんで武器を構えていると足音の人物は姿を現す。

紫の髪をし、地球でも童話などで良く聞くような魔女の服を着た年を取っている妙齢の女性が片手に魔導杖を持ちながらあまり警戒していない足取りで天之河達に近づき、凡そ20メートルほどの位置で立ち止まった。

「あら?別にやり合いに来たわけじゃないのだけど」

臨戦態勢すらしない女性だがそれは警戒していないのではなく、する必要がないほど取るに足りない相手だということであり。当の天之河達はそんなことには気付かず。メルドは相対する女性が何者なのかわかると今度こそ相打ちしてでもと決心を固めつつ。女性に軽く確認を取る。

「貴様、まさか異端の魔女か?」

「っ!!異端の…魔女!?」

異端の魔女、メルドから呟かれたその名を聞いて雫は驚きの声を上げる。

異端の魔女といえば7年ほど前に起きた神山での事件で大暴れした末。神敵と定められた異端者。

しかも正人も同じ力を持つということだけで異端者と見られあらぬ疑いなどで泥まで塗られた。

つまりは雫にとってはクラスメイトの侮辱された根元とも呼べる女性なのだ。

「異端の魔女、失礼しちゃうわね。私はプレシア・テスタロッサという名前があるのだけど、別に好きに呼べばいいわ」

いつまでも二つ名呼びで呼ばれるのもあれなのか少し顔を不服そうに自身の名前を明かしどちらでもと好きな方で呼ぶように天之河達に伝えた後、天之河…転移者達に向けて問い掛けた。

「初めまして、トータスにやってきた地球から来た。転移者さん。」

「なっ!?どうしてそれを」

天之河、召喚組は一般的に神エヒトが異世界から使わした神の使徒というのが一般的な情報で、出身世界などは出回っていない情報だった。

なら何故それを知っているのか気になってしかたがない天之河達にプレシアは答えるように口を開ける。

「少し地球という星には関わったことがあってね。あなた達の調べた名前が妙にあの島国の住民の名前に似ていたから推測で答えただけよ。さて、1つ私から聞きたいことあるのよ。聞き覚えのある言葉なら正直に言って欲しいわ。管理局、ジュエルシード、ミッドチルダこの中で聞き覚えのある子はいるかしら?」

聞き慣れない3つの言葉に手を上げる者はおらず。それを見てそうっとこの中に次元世界の認知しているものはいないと悟ると天之河達に皮肉にあることを教える。

「だったら、あなた達はとんでもなくついてないわね。唯一帰還する手掛かりを持っていた少年を失うなんて」

プレシアが言った言葉は何を意味するのか天之河達にはわからなかったしかし、雫だけはプレシアの言葉から憶測で組み立てて1つの人物が思い当たる。

「まさか…八坂くん?」

「そういう名前なのね。ええそうよ、察しが良いわね。彼ならもしかすればあなた達を返すことも可能だった人材よ」

恐る恐る答えた雫に正解であることを述べるプレシア、八坂が地球に帰れる一番有力な可能性であると示唆されると勿論天之河達の動揺は更に酷くなる。

「なっ!?どうして…なんで八坂が…」

「まあ、知らなくて当たり前ね。前回の戦闘も拝見したけど彼が使う術式には少し見覚えもあったから直ぐに同業者ということは理解できたわ。流石に局との関わりまではわからないけど、可能性としては彼が一番、高かったわ」

それに優秀だったのでしょうね。惜しいわねっと前回のベヒモス戦を思い浮かべているのか正人の才能を惜しむ声を上げるプレシア。しかし天之河達にとってはそれはあまりにも衝撃すぎることで殆ど頭に入っていなかった。

「あら?それほど意外だったかしら?まあ、色々と言えない事情は把握できるから彼を責めるのは門違いだと思うわよ」

「門違い?ならなんで魔人族なんかと手を結んで…」

っと次元世界のルールを知るプレシアは容易に教えられない立場にいた正人を少し擁護し、それに反発するように天之河が魔人族とのあらぬ関係を持ちだすが、プレシアは見下す目つきで天之河を見る。

「それは本人に聞いて貰えるかしら?まあその当の本人はいないわけだから。どうしようもないのだけれど」

「ぐっ!っ!そうだ!あなたは八坂と同業者といいましたよね!?それじゃあ地球に帰れる方法も…」

身内のいざこざは身内でやれと外部者のプレシアは正人の疑いを何も擁護せずにそのまま返すと、図星と言わんばかりに顔を歪ませた天之河は直ぐに八坂が帰る方法を知っていたのなら同業者のプレシアも知っているのではっと帰れる方法を訪ねたがプレシアの天之河を見る目は更に見下すことになった。

「そんな甘えが通用すると思っているのかしら?大体、私とあなた達とは利害も一致しないし、寧ろ彼らの介入は私の目的の妨げになる可能性もあるの。そんなリスクしかない行動に私にメリットがあるのかしら?」

「ど、どうして!?」

「いいかしら?私は私の目的のために動いているの、興味本位であなた達に接触しただけで、別にあなた達がどうなろうと知ったことじゃないわ」

完全に天之河達がどうなろうと知らないと一蹴りするプレシアにどうしてと呆然とする天之河、他の全員も帰れる手掛かりとなる人物が目の前にいて協力してくれないことに動揺が走る中。メルド達騎士団は別の意味で抜いている剣先をプレシアに向けていた。

「異端の魔女、プレシア・テスタロッサ。此処でお前には捕まって貰う。罪状は言わずも知れているだろうが…光輝達のためにもお前は此処で捕まえる」

「メルドさん…っ!プレシアさん!俺達に力を貸してくれ、貸してくれないのなら…!」

メルドは職務の他に光輝達のためにもとプレシアを捕らえようと気合いを入れ、それを見た天之河と数的有利と強くなったという自身から呆然としていたことから立ち直り、少し手荒だが俺達ならと呟き聖剣を構える。

他の生徒達も同様、帰れる方法が目の前にあって手を拱いている訳もなく各々の武器を構え捕まえる意思を見せる。

「…そう、それがあなた達の答えなのね」

溜め息を溢し、天之河達の自信に満ちあふれている目を見て哀れと見下ろしているプレシアは未だに臨戦態勢すら取らず無防備のまま突っ立っている。

「行くぞ!」

天之河の号令の元仕掛けようとしたときだった。

天之河達は知るよしもなかった。プレシア・テスタロッサ、彼女は正人などよりも遥か高見にいるSSランクの大魔導士であることを

そしてそれは一瞬だった。

 

「っ!?かはぁっ…!?」

プレシアは持っている杖の柄を地面に軽く叩きつけた瞬間、天之河達の上空から紫の落雷が降り注ぎ、落雷を浴びた天之河達は声も上げられずに全員その場に力尽きた。

「な、何…が」

メルドもまたプレシアと相対するのは初めてで警戒はしていたにも関わらず。明らかに最上級とも捉えられる魔法を軽い素振りだけで放たれたことに動揺を隠せず。プレシアを見る目は既に人間としては捉えていなかった。

「本当に哀れね…殺しはしないわ。その感電も直に解けるから安心しなさい。それじゃあ、私はもう一つの目的も達成したから失礼させて貰うわ」

殺す価値もないと見なしたプレシアは倒れ伏せる天之河達を放ってこの場から離れようとしたとき、1人足取りもおぼつかないが立ち上がろうとする人物を捉えた。

「……」

「し、ずく…」

八重樫雫だ。彼女の体も先程の攻撃で感電しているのにも関わらず持っている剣を杖変わりに何とか立ち上がると意識を保つのにも必死な顔でプレシアを睨む。

「威勢が良い子ね。そういうのは嫌いじゃないわ」

「…っ!ああああっ!!!」

中々威勢が良いと天之河達の中にも雫のような人物がいて少し誉めると、足取りも掴めず。左右にふらついて動き叫びながらプレシアの元へと走り、剣の間合いに入ると横に一閃でプレシア目掛けて振るったがそれた片手で持つ杖に簡単に防がれる。

「この状況で私に刃を振るうなんて…あなたは他の誰よりもいい線がいっているわ。あなたは何のために戦うのかしら?」

「みんなで帰るため…香織もきっとそれを望んでるから…だから私は…!」

「死んだお友達のためってわけね。そのためなら血を浴びることも厭わない。たいした覚悟だわ。その覚悟に評して、良いことを教えてあげる」

雫の覚悟に面白いと笑みを浮かべ、プレシアは雫の耳元で呟いた。

「奈落に落ちた3人はまだ生きている…それをどう捉えるかはあなた次第ね」

「っ!!それは…っ!?」

プレシアから与えられた情報、それは雫がもっとも知りたいことであった。それにより力を入れていた剣にも弱まり動揺を隠せないでいたが、プレシアは雫の剣を杖で弾き、仰け反らせると杖の先端を雫の体にむけ1発の魔力弾を放ち吹き飛ばした。

「し、雫!!!!」

二メートルほど吹き飛ばされた雫は完全に気を失い、感電して何も出来ない。天之河の叫びが広間に響く。

そんな叫びなど一切気にしないプレシアは気を失った雫を見ながら不敵に笑みを浮かべて足元に紫色のミッド式の術式を展開する。

「これを励みに力を付けることね。フフ。あなたの成長楽しみにしているわ」

そう言い残すとプレシアは光に包まれて何処かへと消える。

残された天之河達は先程の勝利の余韻など一欠片も残っておらず。あったのは圧倒的な実力を見せつけられた敗北の味…それだけだった。

 

ヴォルゲンリッターの先行加入を誰にするか(最終的には全員来ます)

  • シグナム
  • ヴィータ
  • シャマル
  • ザフィーラ
  • 誰も来ない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。