落ちこぼれの魔導士は魔王と共に異世界で生きるようです   作:ウィングゼロ

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24話

 

[取りあえず、8人の反逆者とプレシア・テスタロッサについての情報共有は無事に終えた。他に何か聞きたいことがあれば出来る限り話そう]

といっても本当に機密のことは言えないから何でもというわけではない。

香織も既に頭いっぱいなのか、遠慮した表情で苦笑いを浮かべ、南雲に関しては自分が知りたいことは知れたので錬成で作り上げている武装を組み立てていた。

これで終わりかな?っと思っていると意外な人物から質問の声が上がった。

「聞きたいこと…ある。ハジメ達はどうして此処にいるの?」

ユエだ。しかも質問というのもこのオルクスの奈落にいるのかという俺達に対する質問。香織はそういえば何も話してなかったと思い浮かべ、南雲も作業している手を止めていた。

しかもユエの質問は1つではなかった。なぜ、魔力を直接操れるのか。なぜ、固有魔法らしき魔法を複数扱えるのか。なぜ、ハジメは魔物の肉を食って平気なのか。ハジメの左腕はどうしたのか。そもそもハジメは人間なのか。ハジメと俺が使っている武器は一体なんなのか。

主に南雲のことを聞いていて、所々気になる言葉も飛び交っていたためにクロノやフェイトは執務官の顔をしている。

内心、これは詰んだなっと思い南雲に言葉を投げ掛けた。

「南雲…諦めろ。正直に話したほうがいい…お前のお姫様がお待ちだぞ」

「おい!八坂、所々お前も含まれてるからな!…仕方ねえな先ずは…」

それからトータスに転移してからの俺達の事情をユエに話した。

ユエに対して刺々しい言葉遣いはない。多分南雲にとってユエは本人も気付かないうちに心の支えにしていたのだろう。

だからこそ南雲はきっとユエがいれば完全に道を踏み外すことはないと確信ができた。

淡々と南雲の経験談を語り、それを一語一語確りと聞くユエ、俺達も聞いてる中、残っているクラスメイト達を思い浮かべる。

今頃どうしているのか…もしかしたら奈落に落ちた日に全滅した可能性もある。

相手はリィンフォースだ。操られている上、彼女に遠慮などありはしない。

此処でクラスメイト達のことを話さないのは香織のためだ。きっとこんな話すれば香織はまず始めに八重樫のことを気にする。

あの2人は大親友と言える間柄だ。どちらか欠ければきっと壊れるだろう。

そうすると一番危ういのは香織ではなく八重樫かもしれない。

俺達から見たらあっちの方が生存率が高く。別に死んでいるところを見ているわけでもない。

だが残されたクラスメイト達は俺達が奈落に落ちて死んだと思い込んでいるだろう。

落ち込んで意気消沈していてくれれば良いが…あの天之河が立ち止まるとはとても思えなかった。

そんなことを考えているとなにやら鼻を啜る音が聞こえる。ふと目を聞こえてきた方向を見るとユエが悲しそうに泣いていた。

「いきなりどうした?」

「……ぐす……ハジメ……つらい……正人も香織も……つらい……私もつらい……」

きっと俺達の話を聞いてユエは同じように見捨てられたと思ったのだ。

そして同じ苦しみを味わった俺達のために泣いているユエに南雲は苦笑いをして優しく右手で撫でる。

「気にするなよ。もうクラスメイトのことは割りかしどうでもいいんだ。そんな些事にこだわっても仕方無いしな。ここから出て復讐しに行って、それでどうすんだって話だよ。そんなことより、生き残る術を磨くこと、故郷に帰る方法を探すこと、それに全力を注がねぇとな」

今の南雲の行動理念は故郷に帰ること。そのためなら彼はきっと邪魔なものを全て排除するだろう。それはきっとクラスメイトであってもだ。

だが俺はそんなことさせない。知り合いと戦う悲しみを知っているから。

殺す方法はとらず捕らえるという行動でクラスメイトという障害を排除する。甘い考えだが同郷のよしみだ。

南雲の危うさはクロノ達も感じ取ったのか視線だけで確り見張っておけと視線を送り。俺は意図を読み取って頷いた。

南雲に撫でられていて心地よく目を細めていたユエが南雲の帰るという言葉に反応する。

「……帰るの?」

「うん?元の世界にか? そりゃあ帰るさ。帰りたいよ。……色々変わっちまったけど……故郷に……家に帰りたい……」

「……そう」

明らかに落ち込んだ表情を見せるユエ。その心情はこの場にいる全員が察した。

「……私にはもう、帰る場所……ない……」

「……」

300年以上封印されていたこともあるがユエは南雲の傍が彼女の居場所だと見定めたのだ。それがいきなり元の世界に帰ると言えばユエの心情が痛いほど理解できた。

「南雲くん…ユエちゃんは…」

香織も悲しそうな顔で南雲に訪ねる。南雲もユエと香織の表情を見てユエの頭を撫でていた手で自分の頭をカリカリとかく。ふと俺と視線が合い。俺は自分で決めろと意味を込めて頷くと呆れた表情でまたユエの頭を撫でた。

「あ~、なんならユエも来るか?」

「え?」

「いや、だからさ、俺の故郷にだよ。まぁ、普通の人間しかいない世界だし、戸籍やらなんやら人外には色々窮屈な世界かもしれないけど……今や俺も似たようなもんだしな。どうとでもなると思うし……あくまでユエが望むなら、だけど?」

南雲の提案はユエにとっては天の助けだった。ユエは驚いた顔でいいの?っと訪ねて南雲は頷いた。

そうすると先程の無表情など嘘かのように微笑んだ。それに南雲は見惚れているようで、俺はニヤニヤと笑みを浮かべて南雲達に助言した。

「そうと決まれば俺も手を貸してやる。なーに、此処に地球移住した事例が1名いるからな。戸籍なりはクロノに任せれば簡単に揃えられる。そこんところは安心して貰っていい」

「おい、事実だがどことなく悪意を感じたのは僕だけか?」

っとクロノが引きつりながら俺を見ていてフェイトは落ち着いてと宥めている。

「それに別段ユエが地球に来ても問題ないだろう。一応地球にも吸血鬼いるわけだし」

「いやちょっとまて、その話まじなのか!?」

南雲の物凄く驚いた声に、いるよっと軽く頷き、フェイト達もああ、すずかのことと小声で頷いていた。

「吸血鬼どころか、何千年も生きてる妖狐とか良く俺の家にご飯とか食べに来るし問題ないだろう」

その妖狐…久遠も家…というか八坂神社の近くの山中に普通に住み着いてるし…海鳴が特殊すぎるけど別段300年の吸血鬼が来ても…うん問題ない。

南雲は頭を抱え、あれ?地球ってそんなにファンタジーだっけ?っと呟き、香織も妖狐?…もしかして久遠ちゃん?っと当の本人は会ったこともあるために妖狐が誰なのかを苦笑いを浮かべ、そしてユエに関しては同じ吸血鬼が生きているということに少し不安の色も見せているが目を輝かせていた。

取りあえず、ユエの件も解決かな?後は俺が聞きたい管理局の動向を聞くことにする。

 

「クロノ…今後の管理局の方針なんだけど…」

[そのことについては、まだ決まっていないが個人の意見として言わせてもらう。転移事件に加えてリィンフォース、そしてプレシア・テスタロッサという脅威まで現れた。これは最早静観といえる状態ではない。僕は今回の件を上層部に報告してトータスへの派遣を上申するつもりだ。]

「…転移なしでトータスに降りれるのか?」

「管理局を舐めて貰っては困る。帰還する方法はないが転移以外でのトータスに降りるぐらいは可能だ」

「…行きしだけの片道切符というわけか…」

管理局…というよりクロノの考えはわかった。流石に個人で対応するのは身が重いのはよくわかる。そして今回クロノ達に知り得た情報で上層部も重い腰を上げることだろう。

[管理局としての方針も伝えたことだし、後は僕個人としてやっておきたかったことをしよう。正人、南雲くん…]

「なんだ?まだ話があるのか?」

……クロノの眉がピクピクと動いている。これは…来るか、クロノお得意の…あれが。

[君達の内容から南雲くんと正人が色々と危険なことをしていたことへ色々と言いたいことがある。存分に聞いて欲しい]

「お、おい、八坂…こいつは」

「…諦めろ南雲…もう、クロノは止められない」

こういう時のクロノは何を反論しようものなら直ぐに論破される。

俺達は抗うこともできずただクロノのスーパークロノタイムという名の説教を受けるしかなかった。

 

 

香織SIDE

 

[あ~クロノくん完全にスイッチ入ってもーたな…]

そう離れた場所で正人くん達が説教を受けているのを私とウインドウ越しにはやてちゃんは眺めていると苦笑いの笑みしか浮かばない。

[香織ちゃん……正人くんのことこれからもよろしくな。香織ちゃんやったら正人くんのこと全部任せられるさかい。]

「はやてちゃん…」

正人くんのことを頼むのはわかるけど…どこかはやてちゃんの言い方に違和感を覚える。それじゃあまるで、はやてちゃんにはもう私と正人くんの間に入り込む隙がないと言っているような。

「…はやてちゃんもだよ」

[へ?何がや?]

「正人くんのこと、はやてちゃん、正人くんのこと好きなんだよね。それを簡単に諦められるわけないもん。」

はやてちゃんの正人くんに対する好意は理解している。正人くんははやてちゃんを命懸けで守ろうとしていたのだ。当然そういった感情が芽生えていても不思議じゃない。

それにはやてちゃん、正人くんと同じで色々と抱え込んじゃうし、心の内に正人くんの好意を内に秘めて私と正人くんのために退くだろう。

でもどうしてかそれじゃあ私は納得ができなかった。

[えっと…それはその…]

私の指摘にたじろぐはやてちゃん。顔は赤く感情が高ぶっているのがわかる。

「独占欲はあるよ。けどそれだけじゃ駄目な気がするんだ」

きっと一段落すれば私は自制もできずに正人くんに身を全て捧げるだろう。正人くんがかっこいいのはわかるし何人も正人くんのことが好きになるのも妬けるけど頷ける。それに一番が良いという欲望はある。だけど、1人を選んで他のみんなのことを気にしないなんてあれだけの闇を抱えていた正人くんが抱えないはずがない。

世間的には間違ってるんだろうな…っと思うけど…正人くんが一番納得のいく方法を私は選びたかった。

[えっと…その…あの……っ!!あ、あかん通信状況が!!]

あたふたするはやてちゃん、そして悩んだ末にあるはずもない通信障害を理由に通信を切る。

勿論だけどフェイトさんとクロノさんの通信は未だに続いている。

後でフェイトさんにはやてちゃんに言伝頼もうかな?

そう思いながら私は説教をうける正人くんのことを見守ることにした。

 

ヴォルゲンリッターの先行加入を誰にするか(最終的には全員来ます)

  • シグナム
  • ヴィータ
  • シャマル
  • ザフィーラ
  • 誰も来ない
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