落ちこぼれの魔導士は魔王と共に異世界で生きるようです   作:ウィングゼロ

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30話

目を覚ます私の目にしたのはぐっすり眠っている正人くんの顔だった。

寝心地良さそうに早々に起きない寝顔に自然とくすりと微笑みを浮かべ、体を起こして正人くんの隣に座る。

というより、さっきまで正人くんの膝の上で寝ていたんだ……ふふ

 

「この場所に来たときの初めを思い出すな…」

 

あの時は私が気絶していた正人くんを膝枕していたけど、それの逆だからとても新鮮で懐かしくも思える。

正人くんが今此処で眠っているということはヒュドラは無事に倒して、安全な場所まで辿り着いたということだ。

目が眩しい太陽?の光で目を細め辺りを見渡すと…ここって本当に奈落の底なのか疑いたくなった。

流石に外まで移動したということはないと思うけど…

 

「ん…んん…」

 

そんなことを考えていると正人くんから小さい寝言が聞こえてきてうっすらと目も開き始めている。

 

「おはよう…正人くん」

「香織?そうか此処で眠ったのか俺も……懐かしい夢を見たな……」

「懐かしい夢って?」

「……子供の頃…香織と初めて出会った頃の夢」

「っ!!」

 

正人くんも私と同じ夢を!?こんな偶然があっていいの?そんなこと思いながら私は正人くんの話す言葉に耳を傾ける。

 

「あの時、智一さんや薫子さんに連れられて香織も神社やってきたんだよな」

「うん、お父さん達と正人くんのお父さん達が同じ学校の同級生でかなりなかも良かったって話だよね」

「そうそう、だから邪魔にならないように外で遊んでいてくれって言われて俺はいつも通り山の中を散歩してて……それで」

「山の中で迷って泣いていた。私を見つけてくれたんだよね」

 

偶然だったのかもしれないけど……きっと私と正人くんが出会うのは必然だったのかもしれない。

改めて思い出してみるとそう思えた私はきょとんとした正人くんの顔を見ながら微笑む。

 

「妙に…覚えてるな…もう十年も前の出来事だぞ?」

「正人くんの初めて会ったときのことは確り覚えてるよ。それに私もついさっき、同じ夢を見ちゃったから……」

 

奇遇だよねっと笑みを浮かべると正人くんは神妙な顔つきで考え頭をかくとため息をもらした。多分考えたんだろうけど……面倒だから頭の中で簡潔に完結したんだろうな。

 

「どうしてそんな現象が起きたのか……それは追々考えるとして……そうだったな…あの時、山中で香織を見つけたときは本当に驚いたんだぞ?あそこって関係者立ち入りは禁止されてるし」

「そうだね、戻ってからお父さん達正人くんのおじいちゃんに頭下げてたもんね。あの時、久遠ちゃんが帰り道を先導してくれたんだよね」

「あの時は久遠が妖狐なんて知らなかったけどな……久遠とは普通に意思疎通ができたし…山の中は久遠の庭だから久遠が居るだけで父さん達も俺が山の中で遊んでいても問題ないみたいな判断だし…」

 

まあそのお陰で、香織と一緒に山道を迷わずに済んだんだけど。っと言うのが恥ずかしいのが顔を赤くして呟く正人くんを見て、私も顔を赤くする。

 

「それからだよね。正人くんと一緒に遊ぶようになったのも」

「色々遊んだもんな…人見知りの久遠とも直ぐに打ち解けたし……」

 

昔話でここまで花を咲かせる私達、そして正人くんは少し真剣な感じに私を見てくる。

「香織少し、こう手で丸いのを包むようにして魔法を放つ要領で集中してくれないか?」

「え?別に構わないけど…」

 

どうしてそんなことを?っと疑問に思いながら正人くんの言うとおりに魔法を使う要領で力を入れる。

でも魔法は陣とそれに見合った詠唱が必要で正人くんみたいに自在に使えるわけじゃない。だけど正人くんの言われたとおりにすると次第に手で包んでいる空間に水色より白みの掛かった光が集まり出し小さい球体が出来上がりそれは集中すれば徐々に大きくなっているのがわかる。

 

「やっぱり……ヒュドラの戦いでリンカーコアが覚醒してたか……」

 

そう出来上がった球体を見てやっぱりと気付いていた正人くんは納得するが私は少し戸惑う。

これが正人くんと同じ力……あの時、我武者羅に力を出していたと思う。けど今も少し張ってるっていうか……内側から溢れている何かを感じ取った。

 

「ただまあ、制御ができてないな…魔力が溢れ出てる。使い方は後で教えるよ」

「う、うん」

 

取りあえず。魔力を溜めるのは良いぞっと正人くんに言われ、私は手を戻し、出来上がった球体はシャボン玉のように弾け消えると少し遠くから赤い雷が轟音と共に鳴り響く。

 

「あれ?あっちは確かハジメ達がいる場所なんだが……」

 

目を細めて、放電していた場所の方角は南雲くん達がいるという。正人くん、見に行くかっと私に訪ねると私は2つ返事で頷くとベンチから立ち上がって南雲くんがいる…雷が見えた方向へ移動する。

 

 

正人SIDE

 

 

寝て起きて早々、何の騒ぎだと思いながら俺達はユエと離れたあのベッドへと戻ってきたのだが、遠目でもハジメが目を覚ましたのがわかった。

服もあの屋敷からユエが持ってきたのか新調されている。何故かユエがYシャツ一枚着ているだけというのはあえて突っ込まない。

 

「よう、ハジメ目覚めたみたいだな」

「正人か…そっちもな…2人も服がボロボロだろ?ユエが持ってきてくれたもんだ。着替えたらどうだ?」

 

そういってベッドの上には男物も女物の服が散乱していて、俺も一ヶ月以上服を変えていなかったこともあってそうだなっと服を物色しはじめ、服も新しくすると屋敷の前に立った。

 

「ユエが先に軽く調べてくれたみたいなんだが……正人お前も気絶してなかったからある程度見てたんだろ?」

「正人、ベンチで香織と一緒に爆睡していた。起こすのも忍びなかったから、私一人」

「そうだったのか…それじゃあ気合い入れて行くか」

 

ハジメの一声に俺達は頷くと屋敷の中へと入っていった。

 

蹴り兎、イナバについて

  • 正人の使い魔化
  • 原作通り、鈴の一時的な雇用
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