落ちこぼれの魔導士は魔王と共に異世界で生きるようです   作:ウィングゼロ

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31話

 

 

屋敷内に入った俺達は周囲の警戒をしながらも地上へ出る手掛かりを求めて捜索を始める。

1階は台所やトイレ日常に支障が無い部屋が並んでいて、外の環境も合わせればこの場所での自活ができるだろう。

 

「1階はこんなもんか…ユエ達は何か不審な点とかあったか?」

「……特に怪しいものもなかった至って普通……」

「……少し私は気になることがあったかな?ほら廊下とか部屋もだけど隅々まで行き届いてる」

 

1階を見回ってそれぞれの感想を聞くハジメに香織が手を上げて1階全てに行き届いている清潔感を指摘するとまだ少しピンとこないのか首を傾げている。

 

「ハジメ、此処は反逆者のアジトで……それも大昔な話だ。ふつうなら建物や外の庭園だって手入れなしだと老朽化して使い物にならないはず。だけど今もなおこの清潔感が行き届いているのは何か訳があるのかもしれない。」

「なるほど、確かに白崎の言うとおりか……しかしそいつもあの太陽と同じで神代の失われた技術の恩恵かもしれないな……後で調べねえとな……よし探索を続けるぞ」

 

未だに此処の謎は多いが探索を再開した俺達は2階へと階段を上る。

2階の探索が始まり、しかしかなりの短い時間で探索は終わった。

理由は殆どの部屋が入口に結界術で固く閉ざされていてハジメが錬成で強引に開けようとするも、封魔石を上回り溶解させた錬成を見事に弾いた。

結界の先に何があるのか非常に気になるものはあるが、解除はゆっくりと後でやろう。

 

「2階は殆ど、入れない部屋ばかりだな。後は3階だけか……」

「3階に期待……」

「そうだな」

 

そんなハジメとユエのやり取りをして最後の3階に期待を膨らませながら3階に上がると3階はたった一室だけでこの部屋だけ他とは何処か違うと感覚で見抜く。

 

「此処だけ気配が違う……ハジメ警戒して入るぞ。ユエと香織は扉前で待機していてくれ」

 

俺はハジメと二人で部屋に入り何かあれば直ぐに援護できるように指示を出すとみんな頷きハジメはドンナーを構えて部屋の扉を開けた。

中は直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれている。

そして俺達のいる扉と相対する壁際には豪奢な椅子に座る白骨化した骸骨、それはまるで何かを待っているかのように思える。

 

「行くぞ」

 

ハジメが軽く呟くと俺は頷いて部屋の中へと入る。

お互いに背中を合わせ徐々に前に進み魔法陣の前までやってくる。

 

「どう思う?」

「罠……って可能性もあるが……踏んでみないと確認のしようが無い」

「じゃあ踏むってことだな」

 

罠であるかもしれないという警戒もしつつ魔法陣の中に入ると案の定魔法陣が起動した。

魔法陣から放たれる純白の光は部屋全体を覆い、それで身を閉じた俺の頭の中何かが流れ込んでくる。

 

「ハジメ……無事か?」

隣に居るハジメの安否が気になり声を掛けると短い返事で俺の言葉を返し安否を確認すると光も収まったので目を開けると黒衣の青年の姿があった。

 

「っ!」

「待て!ハジメ!」

 

目の前に謎の青年、それだけで警戒していたハジメはドンナーを向けるが、俺は直ぐさま静止させる。

 

「これ……ホログラムだ……多分、魔法陣と連動して流れるように細工されていたんだろう」

 

黒衣の青年が透き通っているのとドンナーを向けられて眉1つ動かさなかったことからこれは後世に伝えるための措置だったのだと伝えるとハジメもドンナーを下ろした。

 

「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」

「オスカー・オルクス……」

 

メッセンジャーがこの大迷宮の創設者だとは思っておらず驚く俺達にホログラムでしかないオスカーは俺達の反応など無視して語り始める。

 

「ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを」

「反逆者であって…反逆者ではない?」

 

なにやら訳ありだということは話の内容から理解できる。

そしてオスカーの語る内容は俺達の想像を遥かに超える代物だった。

 

かつて…神代の時代から幾分か過ぎ…トータスは争いの絶えない世界だった。

その理由も神託という神の指し示す道を歩むものだった。

それの終止符を打とうとしたのが八人の反逆者…いや、解放者と呼ばれる存在。

解放者のリーダーはこの戦いの中に潜む、神々の存在による遊戯盤であることを神を倒そうと八人の解放者の元仲間を集った。

神々の居場所も突き止め、いざ最終決戦とはいかずユエの言うとおり目論見は破綻した。

動きを知っていた神は解放者達を神敵と認定し人々から世界の敵の烙印を押されたのだ。

神に踊らされる人々は解放者達を攻めたてた。

1人また1人と集った仲間は殺され、解放者達は神との決戦を迎える前にバラバラに逃げたという。

逃げた先で大迷宮を作り、いつか現れるかもしれない。後を継ぐものを長い時を待っていたのだろう。

 

「君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。……君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」

 

微笑みながらホログラムは消えると頭の中に何かが入り込んでくる。

頭を抑え蹲り、頭の痛みも終わるとハジメと顔を合わせ何も言わずに同じ経験をしたことから頷くだけで意思を疎通できた。

 

「どえらいことになってきたな…」

「ハジメ、正人…大丈夫?」

「俺もハジメもな…神の遊戯盤…か俺達はそんな下らない理由で呼び寄せられたってことだな」

腸が煮えくりそうな内容…まさかリィンフォースもそいつらに…考えただけでも怒りが湧き出てきそうだ。

 

「正人、落ち着け、怒りで力が溢れ出てきてるぞ。それに元々、勝手に召喚して戦争しろとかいう神なんて迷惑としか思ってないからな。この世界がどうなろうと知ったことじゃないし。地上に出て帰る方法探して、故郷に帰る。それだけだ。……ユエは気になるのか?」

 

あの話を聞いてもハジメの考えは地球へ帰ること…一昔のハジメなら躍起になっていただろうな…

 

「私の居場所はここ……他は知らない」

 

ユエもハジメが居れば他は何もいらないようでハジメの考えに同調、そんな中、香織もあまり見られない怒りを見せていた。

 

「私も雫ちゃんも…みんな、平和に過ごしたいだけなのに…それを遊びで壊すなんて許せない……!」

「落ち着け、香織……ことはもうかなり大きくなっているが俺達は地球に帰ることを専念する……残念だが管理局もこの件では神の件では動かない」

 

怒り震える香織を同じように静め、管理局の動向を考えて口にする。

あくまで管理局は誘拐事件の被害者の救助……トータスの命運には手を貸すことはないだろう。

 

それを聞いて落ち込む香織、理解はできるがどうしても納得がいかないという状況に顔は優れなかった。

 

 

蹴り兎、イナバについて

  • 正人の使い魔化
  • 原作通り、鈴の一時的な雇用
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