落ちこぼれの魔導士は魔王と共に異世界で生きるようです   作:ウィングゼロ

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32話

 

 

「これが解放者、オスカー・オルクスの残した遺言だ。」

《そうか…情報感謝する。まさか敵は神そのものか…身勝手な神も居たものだな》

 

 その日の夜、俺は2階の個室にベッドに腰を座らせて、アースラに連絡を入れた。

これまでの経緯と今日明らかになった解放者達の事実、それに伴う俺達召喚者の状況も改めて話し合う必要があるだろう。

 

《解放者の情報は地上に降り立ったフェイト達にも伝える。》

「フェイト達がトータスに来たのか、またどういった方法で……」

《簡単な話だ。近日配備されたばかりの高高度戦闘用装備を装備して結界に穴を開けた後、直接降りた》

「さらっといってるがそれって人の身で大気圏突入させたってことだよな……装備に関しては噂は聞いていたけど…良く装備が回ってきたな。もう少し……時間がかると思ったが……何かあったのか?」

 

 万年人員不足の管理局にしてはあまりにも早い決断、俺は大気圏突入プランはもっと慎重に事を進めると思っていた。

だがその俺の予想は外れここまで尚早に事が動いたのは不信で仕方がなく。クロノに尋ねる。

するとクロノは溜め息を吐き、何かあったのかを話し始めた。

《……全く、顔には出していないのに妙に鋭いな…1週間ほど前、こちらでも今回の事件と類似する現象がミッドチルダで起きた。行方不明者の親族から管理局に圧力をかけられ…上層部は腰を上げる他なかったようだ》

 

 こちらとしては都合の良いことだがなっとまた溜め息を溢すクロノ。

クロノの悩みの種はわかったが新しい疑問が生まれる。

管理局に圧力をかけられる存在など指で数える程しかいないはず。

一体何処の誰なのだろうと疑問に思っていると直ぐにクロノが口にすることで疑問は解消される。

 

《場所はベルカ特別区域にある都市テーベの王城の一室、その日は五帝会談が執り行われていた。その一室には四帝の子息子女がいた》

「っ五帝!?五帝連盟に被害がでたのか……なるほど、それは上層部も無視することはできなかったわけだ」

 

 五帝連盟……遙か昔ベルカ戦乱の世の中から今もなお継続されている5つの貴族家系からなる五帝達が主となっているベルカ貴族達の組織。

炎帝 アリアドネ公爵家

雷帝 ダールグリュン子爵家

地帝 ロックヴァレー公爵家

風帝 アウスレーゼ伯爵家

そしてそれをまとめる盟主、天帝……

嘗ては氷帝セリュウス伯爵家も加えた六帝連盟だったがセリュウスの反乱により氷帝の直系は一族郎党粛正され、今は5つからなる五家が今のベルカの地の治安を守っている。

その勢力は聖王教会と並び管理局も無視できない力を保有している。

確かにそれならば管理局を動かすことも可能だろう。

 

「また厄介な事になったな……」

《ああ、こちらもその転移反応はキャッチし大体な場所は割りだして入るが発見まではいっていない》

「なんか問題でもあったのか?」

《反応があったのは大陸の南…つまりは》

「…魔人族の領地か…まさかエヒトは天之河達と四帝の子息達ぶつける気か?」

 

 そんなことするのなら結果が見えている…魔人族の圧勝だ。

四帝となれば英才教育も施されているはず。年齢の差があるとしても戦い方をついこの前学んだ天之河達とでは天と地の差だ。

《子息達に何かあれば五帝が黙っていない。君のクラスメイト同様、最優先に事を当たらなければならない。》

「そうだ、クラスメイト!天之河達は安否は確認できたか?」

《それは報告を受けている。君達を除いたクラスメイトは確認できたとのことだ。》

「そうか…」

 

 良かったと心からほっとする。全員ということは八重樫も生きているということ…香織の不安も少しは晴れるだろう。

 

《この地に降りているのはフェイトにはやて、それとシグナム…その他50名程の局員が大陸に散らばっている…もし会うことがあれば情報を共有するといい》

「フェイトやはやて、シグナムまで…」

 

 かなりの人員を動員していることを知った俺だが少し気になることもクロノに聞いてみる。

 

「なのはは…来てないよな?」

《来てない…というか今回のことはなのはには伝えていない。伝えたら飛び出してきそうだからな》

「その方が良いだろう…体のこともあるわけだし」

 

 今回はなのはは抜き…これはフェイトとはやてもなのはの容体を気にして伝えなかったのだろう。俺もそのことには賛成だ。後でふて腐れてそうだか…それの埋め合わせは後でユーノにでも押しつけよう。

そんなことを心の中で考えた後、少し談話した後通信を切る。

通信していて疲れた俺はベッドに横になり、この後のことを考える。

俺達は全員で出した提案でしばらくの間この地に残ることになった。

これからの旅はかつてないほど過酷なものになる。

今回、オスカー・オルクスが託した魔法、神代魔法…生成魔法は鉱石などに魔法を付与するというハジメにとってまさに鬼に金棒になる魔法だった。

その鉱石を加工すればアーティファクトの出来上がり、今世唯一のアーティファクト作成できる錬成師の誕生である。

因みにあの魔法陣に乗り、試練に乗り越えたと判断されれば手に入れられる。

だから俺や香織達も生成魔法を習得、適性もあるために香織とユエはあまり使えないようだが…俺は少し工夫しようと考えていた。

 

「さっさと風呂入って寝るか」

 

 今日はもう遅いし寝ることにしていた俺はベッドから立ち上がり、扉に手をかけようとしたとき扉の先に気配を感じた。

気配感知でいまなら誰なのかもわかるために扉越しでその人物に声を掛ける。

 

「香織?扉の前で何してるんだ?」

「ま、正人くん!?えっと…その…は、入って…いいかな?」

「?別に構わないぞ」

 

 そういって扉を開けて香織の姿を確認すると思考が止まった。

目の前には赤らめる香織の姿、それだけでは何故赤らめているのかは不明だが服装にその答えがあった。

純白のネグリジェ…かのホルアドの月下の語り合いでの服装の再来である。

 

「ま、正人くん…そのまじまじ見ないで…は、恥ずかしいから」

「あ、ああ」

 

 香織の声で正気に戻り、部屋に招き入れた後部屋の中は沈黙が流れる。

この後どう切り出せばいいのかマジで迷って居るからだ。

取りあえず何とかしなければと香織が気にしそうな話を切り出す。

 

「そうだ、香織クロノから連絡だが天之河達無事みたいだ…全員あの時脱出できたらしい」

「本当!?雫ちゃん……無事だったんだ……良かった」

 

 本当にほっとした顔で八重樫の生存を喜ぶ香織にこっちも微笑む中、何かを決心した色っぽく赤らめる香織はベッドに腰掛けていた体を起こし俺の目の前に立った。

 

「ね、ねえ……正人くん……」

 

そういってネグリジェに手をかけて……そして……

 

……

 

 

 

 

 

「あ~いい湯だな」

 

 屋敷にあった風呂に入ってとても心地よい温度に体が和ぐ中俺は此処から見える外の光景に現を抜かす。

やはり疲れた体には風呂が一番だ。

 

……え?あの後どうなったかって?そりゃあ……まあ……あれだ……

 

「本当にいい湯だね。正人くん」

 

 ……察せ

俺の横には一緒に入っている香織の姿…既にハジメもユエも眠り、俺達はこっそりと風呂につかりに来たのだ。

 

「その……香織、本当に俺で良かったのか?」

 

 過ぎたことだが改めて香織に確認を取る。するとむくれた顔で俺を見て寄り添う。肌は完全に接触して少し鼓動が早くなる中、香織は当然のように話し始める。

 

「もう…あんなこと好きじゃない人になんかしないよ。私は正人くんのことが大好きです…」

「香織……」

「これからは一緒だから……頑張ろ」

 

 そう手をグーにしてファイトっ!と可愛く勇気づける香織に微笑みながら俺は返事をする。これから何があるのはそれは俺にもわからない……だけど……今度こそ俺は大切な者を守っていこうと思う。

 

「こんな俺で良ければ…よろしくお願いします」

 

その日…俺と香織は…恋人同士になった。

 

 

 

 

 

NOSIDE

 

 ほぼ同時刻…

地球でもトータスでもない無人世界…

そこは万年暖かい気温で緑の生い茂る豊かな世界。

その世界の丘に誰かの手で作られた小さいお墓があった。

立派とは到底呼べないそれの前にフードを被った小柄な人物はその前で持っていた両刃槍を横に置き、持ってきた花を墓前に添えるとその場に跪く。

 

「…………」

 

 そして両手の手の平を合わせ死者への手向けとして静かに黙祷を捧げる人物に同じようにフードローブを羽織る銀髪隻眼の少女がやってくる。

 

「……その花はどうした?」

「………この世界の花です。ここに来る途中に花畑から少し摘んできました。」

 

墓前の前で跪く人物は跪くことをやめず、顔も向けずに淡々と後ろいる少女に話しかける。少女もそうかっと冷たくあしらわれるが少女は話を切り替える。

 

「今回は私とツーマンセルだ。あの男と一緒ではないことはわかっているな」

(せんせい)とは別行動は初めてですが、外せないようがあるでは仕方ありません。それにここに来たのは……長い時間此処には戻って来れなさそうなので来ただけです」

「そういう風に見えたか?」

 

 なにやらあるものの命令で動こうとしている2人は淡々と話す中墓前の人物は合わせていた手を離すと右手でフードで見えない顔…目に近い場所を手で当てる。

だが直ぐに顔を当てていた手を離すと横に置いた槍を手にし少女へと振り返る

 

「行きましょう……トータスへ」

「ああ、行くとしよう」

そういってフードの人物は槍を一振りすると足元にサファイアブルーのベルカ術式を展開し魔法陣内の2人は次元転移で別の世界へと転移した。

 

1章『オルクス真大迷宮/奈落の化け物』END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次章予告(あくまで予定)

これは落ちこぼれと自称していた魔道士と錬成の魔王の物語ではない

「これより、勇者様一行による。集団戦闘の模擬戦を執り行う!」

「みんな!私の指揮に従って行動して!」

「あっちはボロボロね……狙うならあっちか!」

 

それは少年少女達の一時の出来事

「私は八重樫雫って言うの…あなたは?」

「フェイト……フェイト・ハラオウンだよ」

出会うはずもなかった…出会い

 

「良いわ、雫には教える…八坂が残していた…ものについて」

 

物語は刻々と進んでいく。

 

「魔人族の大部隊がこちらに押し寄せてきます!!」

「慌てるな!急いで迎撃の態勢を取るぞ!」

 

速すぎる開戦

 

「みんな!俺達なら勝てる!」

「ああ、行くぜ!」

 

動き出す帝王の子らとイレギュラー

 

 

「フウ?フウは…風…全てを切り裂く突風……」

「へっ!熱くなってきたぜ!!」

「申し訳ありません。あなたがたには何も恨みはありませんが…私達にも譲れないものがあるのです」

「ご、ごめんなさーい!!!」

「これもお前の予測通りか?」

「ええ、この戦いは人間族の負けです」

 

 

様々な思惑がある中、少年少女達は戦果の渦に巻き込まれていく。

 

次章…第2章『アリアンロッド城塞/五帝乱舞』

 

「っ!管理局の金色の…閃光」

 

「友達だ」

 

それは空白の物語




あくまで予定ですこうなるとは限りません。

それと幕間を2つほど挟みますしばらくかかると思います
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