落ちこぼれの魔導士は魔王と共に異世界で生きるようです 作:ウィングゼロ
「くそ!これでも駄目か…!」
ハイリヒ王国の城内、勇者達に割り振られた部屋で俺は必死に解決策を模索していた。
取りあえず行ったことは主に転移と通信
前者の転移は魔法陣じたいは展開でき短距離しかやっていないが可能。だが次元転移となると何かに阻まれるように打ち消されている。
そして、後者の通信に関してもあまり明るい話はない
昨日考察していた同様、通信も駄目だった。
履歴は受信されている訳でもなく。こちらからかけても繋がる気配もない。
ただ単に遠すぎるのかそれとも外部に通信ができないように妨害されているのか
憶測を頭の中で並べながら部屋の窓から外を見る。
「朝日が昇り始めてる…」
気付かなかったがどうやら一徹したみたいだ、目に隈が出来てそうだな 。朝から訓練が始まると言っていたから、今からおちおち眠ることも出来ない。
何処かで区切って眠るべきだったとぼやきながら気休めで数分仮眠をしながら誰かが呼びに来るまで体を休めた。
そして集められた俺達は今から座学が始まろうとしている。他の面々はちゃんと寝ていたみたいで顔色は悪くない。
「おはよう!正人くん!」
「香織か…おはよう…」
「あれ?正人くん、顔色悪いけど大丈夫?もしかして寝てないの?」
「大丈夫だ、昨晩色々と考え事をしてたら朝になってたたけだ」
何をやっていたのかは詳細を省きながら、やってきた香織にまで心配され、一応大丈夫と言っておく。
気をつけてねっと心配の言葉を投げ掛けながらも何かを配っていたのか12センチ×7センチの銀色のプレートを俺に渡してくる。
銀色のプレートには昨晩俺が勝手に命名したトータス術式の魔法陣も描かれていて何らかの魔法的なものということは直ぐにわかり思わず口を滑らした。
「
「え?」
「あっ、いや、なんでもない…寝てないのが響いてるみたいだな」
思わず口にしてしまった単語に香織が反応、直ぐさま誤魔化し寝ていないことが原因ということにした。
そしてこれが全員に配られたのを見計らい俺達を見てくれる教官、ハイリヒ王国の騎士団長メルド・ロギンスが話し始める。
この人、結構気楽な人で、俺達にも年上ぶったり特別扱いする人じゃなかった。でもまあ、教官として紹介されたとき、面倒な雑務は副長に押しつけたと豪快に笑っていたけど、俺的にはそれでいいのが騎士団長…っと内心で思う。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。ステータスオープンと言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ?そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
アーティファクトという聞き覚えのない単語に俺を含む全員が首を傾げる中、代表で天之河がそれは何なのか質問する。
「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」
メルド団長の説明に俺も含め納得する生徒達、要するにアーティファクト=
では早速と渡されていた針で指を傷つけ血を魔法陣に擦りつけると、ステータスプレートが表示される。さて俺のステータスは…
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八坂正人 16歳 男 レベル1
天職:弓使い
筋力:40
体力:70
耐性:25
敏捷:25
魔力:15000
魔耐:5
技能:魔力操作[+身体強化][+武装強化][+視覚強化]・ベルカ術式適性・双剣術・弓術[+精密射撃][+精密狙撃][+精密曲射][+精密速射][+視力補正]・気配感知・魔力感知・速読・高速思考・並行思考・言語理解
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………まあこんなところだろう
天職弓使いねえ、確かに闇の書事件でも弓形のデバイスを使っていたから言い得て妙だと思うけど…他のみんなはどうなのだろう。
「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」
レベル1ってなってるけど俺の場合7年も前に戦ってるわけだからレベル1っていうのも不思議に思う。
「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」
いや、他の全員がどんなステータスしてるんだろうか…俺、魔力だけ桁が違うんだけど
「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」
戦闘用の天職だけど弓使いのくせに双剣術っていうスキルが付いているのだけどこれ大丈夫か?
「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」
あのすいません数十倍どころか1500倍なんだけどこれって成長率えげつないってことじゃないの!?
「ねえ、正人くん、正人くんのステータスってどうだった?私は治癒師なんだって」
「えっと…弓使い…」
取りあえず天職だけ答える。メルド団長には見せる前に色々と言っておかなければならない。
まず天之河は天職が勇者…しかもステータスALL100らしく、その上技能もかなりあるらしい。
それから次々と生徒達のステータスを確認していき、俺も見せる前に釘を刺し、何とか公にはならずに済んだ。
「…南雲?」
後ろらへんにいた南雲の顔色が悪い。
何処かステータスが悪いのかとそう思っているとメルド団長もハジメのステータスを見て固まっていた。
「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
南雲は生産職だったようだ。確かにここまで全員が戦闘職という偏りすぎなものがあったので南雲の顔の色もわかるが…たぶんそれだけじゃない。
「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ?メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」
「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」
南雲を弄る種だとばかりにいじめ常習犯の檜山やその取り巻きどもが見下してくる。
「さぁ、やってみないと分からないかな」
「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」
そしてハジメのステータスプレートを強引に奪うとステータスをみた檜山が爆笑しそのまま取り巻き達にステータスプレートを投げ渡すと全員が檜山と同じ反応をする。
「ぶっはははっ~、なんだこれ! 完全に一般人じゃねぇか!」
「ぎゃははは~、むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~」
「ヒァハハハ~、無理無理! 直ぐ死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇよ!」
あいつら…!
晒し者にする行為に俺も頭にきて一言二言言ってやろうと近づこうとしたがその前に畑山先生がやってくる。
「こらー!何を笑っているんですか!仲間を笑うなんて先生許しませんよ!ええ、先生は絶対許しません!早くプレートを南雲君に返しなさい!」
ウガーっと私は怒ってますよと言いたいのであろう畑山先生は完全に興がさめたのか、檜山達から簡単にステータスプレートを取り戻すと南雲のフォローしようと南雲と同じ生産職で基本的に南雲と変わらないとステータスプレートを見せると南雲の目が更に死んだ目になった。
メルド団長の反応から生産職ではあるけど類を見ないほどのレア天職だったんだろう…フォローのつもりが思いっきりトドメを刺してしまったようだ。
勇者パーティーから香織が離脱する時期
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原作通り
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ベヒモス戦、ハジメが奈落へ
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ベヒモス再戦後
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香織が目覚め、決意後