Muv-Luv*Vierge 護世界の少女達 血潮染む運命に導かれる 作:空社長
『べフォート・スフィア』が凶悪すぎました。
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東京都江戸川区北小岩町
『べフォート・スフィア』は江戸川を超えて江戸川区北小岩町に侵攻する。
球体本体が直径40mに及ぶ巨体は超低空で進んでいるために、進路上にあった上小岩小学校の校舎を回避することもなく激突させて引き潰す。
さらに、その勢いのまま京成小岩駅南側を通り、マンションを引き倒していく。
被害が倍増していくこの状況に、自衛隊は手をこまねいている訳ではなく、崩壊した第二防衛線の戦力を後退させながらも再編成を行って、迎撃戦へと投入していた。
10式戦車及び16式機動戦闘車が低速で移動しながら射撃を繰り返し、マンションの合間からAH-1S攻撃ヘリが対戦車ミサイルを放つ。
奥戸スポーツセンター公園、篠崎公園に配置されている99式155㎜りゅう弾砲が砲撃を行い、航空自衛隊のF-35が空対地ミサイルによる攻撃を仕掛けていく。
その攻撃の勢いも数も、先の防衛線とは比べようがない程に落ち込んでいた。
その理由は、避難の遅れにあった。
太平洋沿岸県に加えて、人口約70万の江戸川区民を短い時間で避難させるのは明らかに不可能であり、その多くが指定避難所や地下鉄駅などに一時避難を余儀なくされている現状だった。
さらに『べフォート・スフィア』の高威力光線自体も命中精度が高くなく、たった1両の戦車を倒すのにも数発の光線を放ち照射方向にあった高層建築物や商業施設を薙ぎ払っていく有様で、国民を巻き添えに戦闘を行うことができるわけなかった。
そして、自衛隊が躊躇している間にも事態はさらに悪化する。
方向転換を行った『べフォート・スフィア』は総武線小岩駅へと到達。
雑居ビルや商業施設をなぎ倒していきながら駅へと迫る中で、駅近くの高層建築物に光線を放ち、駅ごと周辺の街並みを破壊して蹂躙していった。
「超低空でこのまま進む想定した場合、3、4階以上の建築物は全て破壊されることになります。これが被害想定です」
総務大臣補佐官から山井総理へと被害想定マップが表示されたタブレット端末が渡される。
山井は特に驚きもせずに表情を変えることなく、目線を動かして端末を操作する。
「ほぼ全滅だな……それに、奴がこれだけに収まるとも思えない」
自衛隊で対抗できない無力さを感じると共に、警戒心を露わにする。
総務大臣補佐官へと端末を返すと、小原防衛大臣へと振り向く。
「彼女たちはどうだ?」
「希望する全部隊が参加を要望し、現在予定配置場所に移動中です。準備が完了すれば、鈴木統合幕僚長より報告が入るはずです」
数十秒後、報告を待つ彼らの部屋に、鈴木統合幕僚長が入室する。
「連絡が入りました。配置完了した、と」
「鈴木統合幕僚長、躊躇はいらない。彼女らの為に全力で叩け」
山井の意図を理解した鈴木は眉をひそめながら答える。
「しかし、まだ避難完了の報告も……」
「ただでさえプログレス部隊の出撃も規定外なのだ、非難は覚悟の上だ。そもそも、ここで本気を出さなくて、どこで出す?」
武人ですらない自衛隊の経験も無い山井だったが、この時は覚悟の決めた凄んだ表情を浮かべていた。
「……分かりました。全力で叩かせていただきます」
_UTC3月23日午前4時46分・JST3月22日午後1時46分_
東京都江戸川区松本町
『べフォート・スフィア』が進路上のマンション等の高層建築物をなぎ倒しながら、南小岩町、東松本町へと進入し、新中川の東岸へと到達する。
江戸川区総合体育館は自衛隊の統合指揮所であったが、彼我の距離が近すぎるという理由で東京都立江戸川高等学校の校庭へと移転させた。
「ただの陽動だと思うな!ここで撃破するつもりで全力で撃ち込め!!」
新中川西岸の松本町より横1列となった大量の10式戦車が120㎜滑腔砲を一斉に撃ち放ち、遅れて16式機動戦闘車が105㎜砲を発射する。
標的は直径40mの球体であるため適当に狙いをつけても当たるが、彼らは同じ1点へと命中させることを求めた。
高性能な射撃管制装置が他の車両と連動してコンピューターが定めた目標へと狙いを定め、撃ち続ける。
さらに、空からは航空自衛隊機、在日アメリカ空軍機からの空対地ミサイル、空対艦ミサイルが降り注ぎ、海からは30.5㎝という巨弾、数多の巡航ミサイルが直撃していく。
だが、攻撃の主導権を握れたのもそこまでであった。
『べフォート・スフィア』はいつの間にか鎖を繋いだかのような全長50mも伸びる漆黒の触手を4本生やしており、数多の攻撃に晒される本体の盾として用いていた。
球体に走る赤い輝きを増大させると、球体下部の4方向に設置されていた固定脚状物体を切り離し、球体の上空まで上昇させる。
その上空で間隔を保ちつつ高速回転を行い、強烈な光がその中心に生まれ、やがて光は強力な波となって広範囲に勢いよく拡散した。
その光は半径7kmの全ての電子機器を使用不能に陥れた。
それは展開していた自衛隊の軍用電子機器にも及んだ。
「何が起きた……一体何が!!」
その範囲外である官邸危機管理センターでは、一部の閣僚がモニターに映る一部のカメラが切れたことに狼狽える。
「詳細はわかりません……ですが、おそらくは電磁パルス攻撃だと思われます」
「彼女たちとは?」
「残念ながら……連絡が取れません」
山井の問いに、鈴木は顔を俯かせつつ、答える。
「後は……託すしかないか」
その場にいる全員の思いを、山井は吐露した。
_UTC3月23日午前5時08分・JST3月22日午後2時08分_
東京都江戸川区松本町東部
「ダメそう、何も反応しない」
防衛省傘下特殊戦技統合運用局、陸上自衛隊東部方面特殊戦技隊に属する陽菜の隊は『べフォート・スフィア』から500mの位置まで接近していた。
隊長である陽菜のスマホは電磁パルスを受けて一切の機能を失っていた。
「美海ちゃん、行ける?」
陽菜は後ろを振り向き、耳から上の後ろ髪を左右で束ねた茶髪ロングツーサイドアップの少女に声をかける。
彼女の名は
誰にも優しく、誰からも慕われている少女だった。
「行けます、陽菜先輩!鷹の目!!」
「鷹の目」の効果は空から地上を見下ろす俯瞰視点で状況を把握するというもので、鳥になったような感じで周囲数kmの状況を把握する。
その時、『べフォート・スフィア』が北西の方角へ光線を数回連射する光景が目に移り、住宅街ごと薙ぎ払われていった。
「陽菜先輩、敵が光線を北西に発射しました!」
「北西……?もしかして、誰か戦闘してるの?」
「自衛隊の一部部隊が反撃しているのかも、戦車は使えなくたって火器は使えるはず」
陽菜の部隊に属する少女達が口々に答えていく。
陽菜は少し迷った挙句、無視しようと思ったが、一人の女性が意見する。
「その場所に行ってくれませんか?」
「志津江さん……何か
意見した女性の名前は
陽菜より少し大人びた印象を受けるが、それもそのはずで彼女は20代を迎える直前でプログレスとなった女性だった。
長い黒髪を後頭部でまとめたシニヨンというヘアスタイルをした彼女は陽菜の言葉にうなずいた。
彼女の能力は
「はい……助けて、と」
「行こうよ、ヒナ」
陽菜に声を掛けるのは義姉妹のセラだった。
「私たちは助けられた。なら、今度は助けなきゃ」
「うん……そうだね、セラ。みんな、私たちは仲間を助けに行こうと思う」
セラの言葉に陽菜は決心を決める。
やがて『べフォート・スフィア』を迂回しつつ、数分かけて移動したところはがれきの山だった。
陽菜が視線を左右に動かすと、崩れていない壁に背をあずけ腕を抑えている少女と、座り込み俯いている少女の姿が見えた。
陽菜達が二人の下に向かうと、光線によって焼け爛れた腕を抑え痛みに耐える少女が叫ぶ。
「お願い!二人を助けて!!」
「二人……?」
「……私たちは四人で行動してたんだけど、攻撃を受けてる中で見失って……私たちの応急処置はしたからお願い……助けて……」
陽菜は彼女達の傷を見て少し恐怖を感じた。
それを心の奥にしまい込み、美海に声をかける。
「美海ちゃん、分かる?」
「はい……!多分、むこう……だと思います」
自分の能力に自信が持てず、言葉の語尾に疑問符を付ける。
そんな彼女を陽菜は信用して口を開く。
「行こう。外したっていいよ、私なんかどこに行くべきかもわからないから」
数分歩き、2階建ての住宅が大きく破壊している場所に辿り着き、その端に
がれきをどかすと、二人は折り重なって仰向けに倒れており、口から大量の血を流し、腹に大きな傷口を開けていた。
一人の少女が陽菜達の足音に気づき、目を小さく開き左手をゆっくりと上げ、その手を紺色髪の少女が両手で握る。
その感触に気づき目を開くが、少女の目には光が灯っておらず、真っ暗なままだった。
数秒間か十数秒間、少女はその手を力無く握り締めていたが、やがて光無き瞳の目から大粒の涙を流すと、力無く左手を落とす。
「……陽菜、すぐに病院に!死なせたくないっ……!」
必死に彼女の冷たくなりかけた手を握っていた紺色ボブカットの髪形をした少女、
北カフカース紛争で地獄を見てきた陽菜はその訴えを無情にも退ける。
「もう……無理だよ」
「どうしてっ!」
「あの涙を見たでしょ……あれはもう死ぬと分かったときに流す涙だから、私はそれを沢山見てきたからっ……まだましだよ、こんな死に方っ……!」
陽菜はトラウマを、一緒に過ごしていた少女達の事を思い出し、静かに涙を流し続ける。
「陽菜……先輩……」
「ごめん……なさい」
陽菜は泣き止むとすぐに涙を拭き取り、言葉を続ける。
「それに、傷が深すぎるよ。治すこともできないのに、わざわざ痛い思いをさせながら死なせるよりは、こっちの方がいいよ……」
そう話ながら、陽菜は少女に近づき、そっと瞼を閉ざす。
「こんなところで眠らせてごめん、でも必ず来るから」
「ヒナ、私が変わろうか?」
「ううん、私がやりたいから……なら、手伝って?」
陽菜の言葉にチームの全員が手伝った。
美海は鷹の目で周囲を警戒し、陽菜達は二人の遺体を隣同士で並べる。
「美海ちゃん、他の隊は?」
「見えません。引き返したのか、それとも迷っちゃってるのかも……」
「私たちだけか……みんなはどう?」
陽菜は自分の意見に拘らず、メンバーの意見に耳を貸した。
「私は陽菜先輩が行くなら、ついていきます!」
「私も、陽菜ちゃんが行くなら」
「私もです」
「私もっ!」
「私も行きます!」
「ヒナが行くなら行くよ」
陽菜はその言葉の数々を聞いて、自分の意見と同じだったことにホッとし、安堵の表情を浮かべる。
「ありがとう、私はあのウロボロスを倒したいと思う。もう、これ以上苦しみを与えたくないからっ!」
陽菜達はその闘志を燃やす。
_UTC3月23日午前5時18分・JST3月22日午後2時18分_
東京都永田町 官邸危機管理センター
「山井総理、報告がございます」
その声は会議室に入室してきた大臣補佐官ら集団の先頭にいる外務大臣補佐官の
険しい表情と閣僚らに刺さるその
「アメリカ、加えてロシア大使からの急な報告とは何だったのだ?」
「はい、今から御説明いたします」
珠瀬はモニターを指さし、その報告内容を表示させた。
そのモニターに映る内容だけで理解できた者は誰もが青ざめた。
「先ほど日本時間午後1時50分頃、アメリカとロシア両国は大型ウロボロス個体に核弾道ミサイルによる核攻撃を敢行しました。その結果、残念ながらウロボロスを撃破することはかなわず、ロシア方面は依然として侵攻を続け、アメリカ方面は大都市デンバーが壊滅いたしました」
「なんだとっ!!!」
「続けます、これを受けて在日米軍は核攻撃の選択を放棄する提案を行ってきています。オハイオ級は待機中ですが、厚木基地のB-52は『べフォート・スフィア』の脅威度の高さから、撤収させる考えを表明しています」
珠瀬が話し終えると、会議室に沈黙が広がった。
当然であった、人類史上最大威力の兵器が完封されるとなっては、絶望に等しい物を与えていた。
その空気の中で、山井は口を開く。
「どうする?小原防衛大臣」
「B-52は予定通りでいいですが、オハイオ級に関しては浮上待機でお願いします。誤解しないで頂きたいですが、あくまで最後の選択肢です、今は彼女達に、プログレスが希望です」
「しかし、電磁パルスで連絡は取れないのであろう?」
「それはあくまでも我々の場合です」
小原は他の閣僚からの質問に答えていく。
山井は無用な議論だと判断し、別の話題に切り替える。
「大蛇、いや『アナコンダ型』の動向は?」
「現在ロシア艦隊が引き付けています、ゴルシコフ級1隻を失いましたが、それ以降は撃沈艦は確認されていません。陸地に近づけない為にもまだ攻撃しない方がよろしいかと」
「そうか……小原大臣、偵察隊の状況は?」
「既に移動中ですが、戦場に到着するには今しばらくかかるかと」
「……我々にできるのは、無事を祈ることだけか……」
_UTC3月23日午前5時28分・JST3月22日午後2時28分_
東京都江戸川区中央4丁目
「おばあちゃん、使うね」
陽菜は腰に巻いた紐に差した先祖代々受け継がれてきた日本刀の刀身を抜く。
彼女が実家から持ち出そうとした時に祖母が快く承諾したことを思い出し、立派な刀を傷つけてしまう罪悪感にも襲われる。
だけど、それをすぐに捨て去り、刀を構えた。
「さくら、準備良い?」
「いけるよー!」
大きなピンクリボンを後頭部に着けた緑髪ミディアムヘアの少女、
魔法少女に憧れる彼女は、人々の幸せを守るために戦うことを選んだ。
「千尋と美伽ちゃんはその後で撃って」
「分かってる!」
「わかりましたー!」
千尋と、鬼の血を引く橙髪ロングヘアーの少女、美伽・ブレイズダリクも元気よく返す。
「私と美海ちゃん、セラは一緒にね!」
「はい!陽菜先輩!」
「私はヒナについていくだけだから」
「志津江さんはその後ろから私たちを支援して、だけど決して離れすぎちゃだめだから」
「はい……!」
「攻撃開始!!」
さくらがいつの間にか二つ構えていた対戦車ロケットランチャーのトリガーを引き、高速化と高威力化の効果が込められた弾頭を撃ち放つ。
亜音速まで加速した弾頭は『べフォート・スフィア』の球体に直撃し、不協和音を鳴かしながらよろめかせる。
その隙に、さくらと志津江以外のプログレスが前に進み、千尋がグラビティシャボンによって周囲に生成した重力球を球体にめり込ませ、動きを阻害する。
美伽は両手から延焼性の高い炎を生み出し、球体表面を炎上させる。
だが、『べフォート・スフィア』が黙って見ているわけがなかった。
初撃への対応は遅れたが、4本の触手が動き出し、その内の1本が千尋に襲い掛かる。
「かはっ……!」
予測できない方向から腹を強く殴打され、大きく振り飛ばされる。
内臓に一時的なダメージを負い、血を吐き出した。
「千尋!」
「千尋ちゃん!」
もう1人の美伽が触手に追い立てられる中で、美海は勝手に動きを変える。
「私、黙って見てられないです!」
マナで剣を作り出すと、そこに風のエネルギーが集中する。
「
美海が剣を突き出すと、そこから剛速球とも比べ物にならない風の奔流が生まれ、2本の触手を薙ぎ払って断ち切った。
だが、本体の存在を忘れていた美海は直下から光線の攻撃を受ける。
風で巧みに回避行動を取り、高威力光線の直撃を避けていくが、縦横無尽に放たれる小粒のような光線で右頬と右腕を切り裂かれる。
美海は初めて感じる痛みに苦しみ、バランスを崩す。
「美海!!もう一回やります!!」
さくらは咄嗟の判断で、対戦車ミサイルを放ち、美海への気を逸らす。
だが、今度はさくらが標的となり、数多の光線攻撃を受ける。
咄嗟に盾を作り出して耐えるが、それでも複数箇所を切り裂かれていた。
「こんなんで挫けたら……魔法少女なんかになれない……!だから……!」
だが、彼女は泣きながらも抵抗の意思を示した。
それに感化されるかにように、陽菜も続いた。
「セラ、行くよ」
陽菜はマナを力強く込めた刀を構えて球体を切り付け、セラは威力の高めた銃弾を撃ち続ける。
だが、球体は傷つくことはあれど大きな損傷にはならず、二人は苦悩を浮かべる。
必死に攻撃してる最中で、頭上から触手が近づいていることには気づかず、気づいた時には陽菜の体を赤い奔流が貫いていた。
「ヒナ……?」
致命傷自体は避けられたものの、陽菜の傷口から膨大な量の血が流れ、口から吐血する光景はセラの思考を停止するには十分な光景だった。
そんな二人を助けるために、志津江と美伽が手を取り合った。
志津江は所持していた自衛隊の制式拳銃を構え、あらゆる全ての能力向上効果を付与し、美伽はその射線上に炎の列を作り出し、トリガーを一緒に引く。
撃ちだされた強化銃弾は炎との融合を重ねていき、球体表面に到達する頃には加害効果の高い砲弾となって直撃し、その装甲は凹ませる。
強烈な一撃を加えられた『べフォート・スフィア』は当然それに怒り狂い、強力な反撃をお見舞いした。
爆煙で周りが見えなくなるほどの光線攻撃で、志津江は右足を、美伽は左腕を貫かれる傷を負ったが、陽菜とセラを逃がす時間を確保した。
『べフォート・スフィア』は彼女達への興味を失い、松島町方面へと侵攻を再開、彼女達は物陰に身を隠していた。
誰もが心身に傷を負い、元気に話せる状況ではなかった。
「ごめん、私が役に立たなくて」
「陽菜先輩は悪くないです、私なんか指示を聞かずに勝手に落ちて……ごめんなさい」
美海は途中で言い切って口を閉ざし、涙を流す。
「陽菜ちゃん、私もう兵士をやめようと思う。こんなに痛いなんて思わなくて、私一番年長者なのに……」
事実上の戦力外宣言。
他の子はそんなの認められるわけないと思っていた、だが実際は違った。
「いいですよ。……でも、最低限あれを倒してからですね」
「あんなのに勝てる訳ない……!死ぬかもしれないんですよ……?陽菜ちゃんだってそんなに」
「分かってます……でも、私たちが勝たないと、帰るところが無くなっちゃうんですよっ……私はそれだけは嫌です。どんなに傷ついたって倒すまでは退きません!」
陽菜の最後まで諦めない言葉が仲間達の心の中に強く響く。
「融通が効かないね、陽菜ちゃんは。分かりました、やりましょう」
「美海に助けられてばかりじゃ、嫌ですからね」
志津江と千尋の言葉で美海や、さくら、美伽も立ち上がり、陽菜と、既に立っていたセラとも肩を組む。
傷ついた少女達は再び立ち上がり、共に声を掛け合った。
※次回予告
少女達は痛みを、死の恐怖を感じながら戦い、その果てに……
希望となる。