Muv-Luv*Vierge 護世界の少女達 血潮染む運命に導かれる 作:空社長
次話は少しお待ちいただければ
_MSK西暦2021年5月28日午前1時14分_
チェチェン共和国シェルコフスカヤ
その頃、チェチェン解放戦線実効支配下のヴィノグラドノエという小さな街の一角にある1つの倉庫には多くの男が群がっていた。
その奥には20歳にも届かない少女達が綺麗な肌を汚し、裸でぐったりと背中を寄せ合い虚ろ目で倒れていた。
「いや……!もうやめて……」
その中、身体中に痣や切り傷がある紫髪の少女は、他の気を失っていない少女と共に四つん這いになり、男達に行為を強制され、涙を流しながら呻き声を上げていた。
「やめて……って言われてもなぁ。司令官閣下からやれと言われてるからなぁ、それに解放したら解放したで、お前は俺らを殺しに行くんだろ?」
「だって……だって、だって!」
少女は言葉を返そうとするが、自分の命の為に、戦域弾道ミサイルイスカンデル-Mを撃墜した事を思い出し涙を流しながら言い淀み、言葉を繰り返す。
「なら、やめるわけにはいかねぇ。所詮は俺らの玩具さ」
泣きながら呻き声を零す少女は、男になされるがままに動く。
「諸君、味はどうだ?」
その時、群がる男達の後方から一人の男の声が聞こえる。
現れたのはチェチェン解放戦線指揮官のレンゲノ・ザルヴィチ・アポロフである。
男達は「最高です」「感謝しています」と口々に答えるが、1人だけ「もっとやれよ、この雌豚が」と答えてアポロフの気を引く。
その男は自分が弄んでいた子の足を掴んで吊り上げ、アポロフの方へと歩く。
「やめて……やめて……ください」
あまりにもか細い声だったが、紫髪の少女にハッキリと聞こえた。
「わ、私の妹に手を出さないで!……」
アポロフはその言葉を聞き、ほう、と零しながら薄気味悪くニヤける。
少女の左隣にいた別の少女を足で
そして、懐にある拳銃を抜き、向ける。
「やめて……!」
「だったらお前が死ぬか?」
アポロフは少女を殺す事も犯す事もなんとも思わず、淡々と話す。
少女はそれは……と言い淀む。
「だろうな!お前は姉ではあるが所詮は人間だ、自分の命が惜しいに決まってる。こいつもかなりの美形だが、俺の仲間を満足出来なかった罰。玩具ならば、満足させられなかったら処分されるのみ」
アポロフは少女の髪を鷲掴みし、妹の方へと顔を向けさせる。
「痛いっ……痛い……!」
「妹の死に際を見るのは姉の務めだよ、しっかりと見ろ」
少女は目尻から1粒の涙を零す。
(ごめん、ごめんなさい……ごめんなさい)
少女は、死にたくないよと涙を流しながら叫ぶ妹の方を向く。
バァン
後頭部に拳銃を突きつけたまま発砲し、血飛沫が飛ぶ。
少女の頬に血と妹の脳髄の一部が付着し、妹の惨状を目に焼き付けてしまい、恐怖に身体が震える。
「……う、ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」
少女は妹の亡骸に触れ、僅かな暖かさを感じて泣く。
その様子を美味そうに見るアポロフは部下に指示を出す。
「あれを持ってこい」
その後、1分もしない内にアポロフの手に手渡されたのは、軍や執行機関で採用されている電気棒を出力増大させた違法改造版である。
アポロフは少女の顔を自分の靴で右に退け、少女の頬に電流を流してない電気棒を当てて見せつける。
「お前も制裁を受けてないな、それがこれだ」
そう言い、アポロフは電流を流し、少女の背中に押し当てる。
「ひぎゃあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
あまりの痛みに少女は言葉にすらならない悲鳴をあげる。
人に当てるレベルでは無い高電圧の電流を20秒以上も当てられ、少女は気絶する。
「連れて行け、こいつはもう戦力として使い物にならん、性処理玩具として働かせろ」
(なぜ、我々の性処理を嫌がるのか……女は子孫を産むのが務めだ。イスカンデルを迎撃できたのも私が命令したからメス共は助かったのだ、慰安婦として働かすのが最大限の慈悲と言うのがなぜ分からない。我々が役に立たせてるのだ、無能なロシア軍と違ってな)
アポロフは疑問に思うが、彼の常軌を逸した思考は誰にも理解できないだろう。
その時。
『2人が逃亡!繰り返す、2人逃亡したぞ!!』
通信機からこのような内容の無線が発せられる。
倉庫周辺にいた兵士らは追いかけようとするが、アポロフに制される。
「まあ待て。貴様らが追いかけても、そいつらは逃げるだけだ。まずは足を止めるのが先決だろう?」
と、アポロフは薄気味悪くニヤける。
彼は無線機を手に取り、無線を繋げる。
「
『了解した。私の好きなように弄んでいいのだな?』
「構わん」
ヴィノグラドノエの北には、テレク川が東西に流れており、その間には最大で約200mの足場が悪く、高低差のある草地が存在した。
その草地を2人の裸の少女が走る。
2人の少女は倉庫から逃げ出した。、その証拠に寝る事すら許されずに犯された跡がいくつも付き、殴られた跡も見受けられた。
捕まったらもっと酷い事をされるかもしれない、という事を承知の上で先頭の少女はもう1人の手を掴み、草木で傷を負いながら必死に走った。
「……どこまで逃げるの……?」
後ろの少女が前の少女に尋ねる。
「……わかんない……!」
「わかんないって……じゃあどうすれば……いいの!!」
前の少女は返す言葉が見つからず俯き、後ろの少女の手を引きながら必死に走る。
しかし、それを後ろから見つめる者がいた。
「ほう……なかなかの美女じゃないか……それを今から弄ぶ事が出来るとはなかなかの役得、存分に味あわせてもらおう」
ヴィノグラドノエ北部の建物の高所から双眼鏡を覗くのは、チェチェン解放戦線暫定狙撃連隊長ミハイル・セルゲーヴィチ・アニシモフである。
彼は舌舐めずりしつつ、PGMへカートⅡ対物ライフルのスコープを覗き照準を合わせる。
「まずは後ろの少女の腕1本吹っ飛んでもらおう」
アニシモフは躊躇無く引き金を引き、12.7㎜弾は発射される。
そして、12.7㎜弾は寸分狂わず、後方の少女の二の腕に命中し、当たった際の衝撃波は命中箇所から腕を引き裂き、大量の血が空を舞った。
数秒経ち、少女は腕が引き裂かれた事に気づき、あまりの激しい痛みに絶叫を上げた。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
「お姉ちゃん!?……腕が……」
前を行く少女は姉の絶叫で姉が撃たれたことに気づき、一瞬呆然となる。
「ククク……痛がってる痛がってる……そう、これこそ俺が見たかったものだ、さてもう1人は足を吹っ飛ばさせてもらうか」
アニシモフは女を痛め付けたいという欲望を表情から露わにした。
しかし、少女は"狙われている"という事に一早く気づき、大量の血を見て顔を歪めるも、すぐに痛がる姉を無理やり引き摺って近くにある窪みに逃げ込む。
「ちっ……隠れたか、なかなかに上手くいかないな」
アニシモフは無線機を取り出し、アポロフへ繋ぐ。
「こちらアニシモフ、2匹は窪みに隠れてこちらからは狙撃が出来ん。お前の好きなようにしていいから排除してくれ」
『上官に向かって、"お前"とは聞き捨てならんな。まあいい、了解した』
アポロフは無線機をしまい、部下らに話す。
「2匹のメスを捕らえる。距離は150mほど離れた窪みだ。捕らえ次第、処罰せよ。不当に逆らった者には罰を与えなくてな、どんな行為も許可する」
「はっ!」
部下らに連れられ男達は出ていく。
その倉庫に残されたのは、アポロフと頭を撃ち抜かれた少女の亡骸であり、他の少女達は牢へと移動させられていた。
アポロフは亡骸は無情にも踏み付け、蹴り飛ばす。
「後でメス共に処理させておくか」
と言い残し、自分も立ち去る。
そして、草地の窪みでは少女が姉に必死に呼びかける。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん、しっかりして!!」
しかし、姉は断裂部位から流れる大量の血と共に、痛みに苦しんでいた。
だが、少女は逃げる前まで弄ばれ、痛め付けられた記憶から焦燥感に駆られ、呼びかける。
そして、ふと耳を澄ましてある音を聞く。
(……川……?)
少女は痛がる姉を引き摺り、自身も姉を庇って怪我を負いながらも音の方向へと向かい、テレク川の手前までたどり着く。
少女の眼下には5mの段差があり、水面へとつながっている。しかし、問題はその川がかなりの激流で流れていて、もしかしたら死ぬかもしれないという恐怖を覚える。
躊躇するも、偶然聞こえてきた男達の声の方により恐怖を抱き、段差の淵に、少女は姉を抱えて立つ。
そして、段差から飛び降りる直前、少女は姉に告げる。
「お姉ちゃん。お姉ちゃんは私が守るから」
少女は姉の両手をしっかりと掴み、姉と向かい合って抱き合いながら段差から飛び降りる。
着水と同時に小さめの水飛沫が上がり、2人は激流の中に姿を眩ます。
世界接続の影響で世界各地で気候変動が起きており、テレク川流域も例年の二倍以上の水量となっていた為、十分に水中に体が入れる水深であり、何より濁っているため、川岸からの発見は困難であった。
その最中、倉庫にほど近い建物では、乱雑に床に仰向けになった少女がいた。
「ごめん……ニーナ。逃げて……逃げて私達の事を伝えて、私じゃもうできないから」
この少女もまた乱暴され、年齢不相応な程腹が膨らんでいた。
しかし、泣きながらも決して心は壊れていなかった。
_MSK午前1時20分_
チェチェン共和国ナウルスカヤ地区・シェルコフスカヤ地区 上空
イスカンデル-Mの撃墜で影響を受けた国防省からの命令で戦力再編成を終わらせた南部軍管区は直ちに攻勢を指示。
チェチェン共和国上空に多数のロシア軍用機が進入する。
『クロレブニィ00より全機、多数のIFFに反応しない機体を確認した。識別結果、MIG-21系統だと判明、全機撃墜せよ』
「カラシフ01了解。全機、指令誘導に従い、順次発射せよ」
クロレブニィ00から指令誘導を受け取った第39・第127親衛戦闘機航空連隊は直ちに
前衛のSu-27SM2
約60機から放たれたミサイルは数発が動作不良を起こすのみで、その殆どが命中し、チェチェン戦闘機隊のMIG-21はフレアを炊く暇もなく、次々に撃墜されていった。
ミサイルを撃ち尽くした全機は機関砲のみで戦う為に距離を縮める。
だが、距離を縮めた結果、戦況が一変する。
MIG-21を30㎜機関砲弾で撃墜するSu-27UB、その後ろをMIG-21二機が追撃する。
『プロバフ04、後方から二機接近してるぞ!』
『知っている!しかし、数が多すぎないか!!』
『我々はただ目の前の敵に集中するしかない!プロバフ05、04を援護するぞ!!』
『了解。だが、機体にしてもMIG-21の機動じゃないぞ!』
パイロットらの無線が飛び交う。
MIG-21の数の多さ、そしてMIG-21では考えられない機動に翻弄されるロシア空軍は懸命に戦っていたが、遂に撃墜機が出る。
4機程のMIG-21に囲まれ、1機のMIG-29がエンジンに機関砲弾を受けてエンジンが停止し、空中で火球と化す。
さらに、MIG-23ML戦闘機十数機が戦域に躍り出て、さらにロシア空軍を翻弄しにかかる。
MIG-23MLは短距離AAMを連発するヒットエンドラン戦法によって、次々にロシア空軍機を撃ち落としていく。
幸い、第39親衛戦闘機航空連隊第556中隊のSu-57Bステルス戦闘機12機を投入して膠着状態には持ち込めたものの、明らかにチェチェン相手で苦戦しすぎる状態だった。
一方、陸でも戦闘が始まっていた。
チェチェン共和国北部一帯は平原である為に、独立自動車化狙撃旅団に属するT-90A"ヴラジーミル"、T72B2"ロガートカ"*1等の機甲部隊、その後続で追随するBMP-1D、BMP-3M歩兵戦闘車、BTR-80、90装甲兵員輸送車、Ural-63095装輪装甲車で構成される機械化部隊で縦深攻撃が開始された。
第439親衛ロケット砲兵旅団の2S19ムスタ-S自走榴弾砲*2の支援攻撃の元で進軍し、ダゲスタン共和国及びスタヴロポリ地方へと侵入していたチェチェン解放戦線のT-72A、Bの他、輸出向けのモンキーモデル*3であるT-72M*4で構成される機械化部隊を速攻で撃破し、チェチェン共和国へと侵攻する。
チェチェン侵入後、ヴラジーミルが砲発射式レフレークス対戦車ミサイルを放ち、ロガートカは125㎜滑腔砲を撃ち、所詮旧式であるT-72戦車やテロリストお馴染みの自動車爆弾を撃破していき、機械化部隊は北緯47度以北の地域を暫定的に占領する。
陸上部隊を掩護するべく戦闘ヘリ部隊も展開を完了し、周到な注意が払われており、多少の損耗はあっても、勝利は誰もが疑うことはなかった。
ナウルスカヤ地区クリンコヴォでは一両のT-90Aに二基の携帯対戦車擲弾発射器RPG-7から放たれたPG-7VL対戦車榴弾が襲い掛かるも、幸いT-90A戦車の爆発反応装甲コンタークト5は正常に作動し、化学エネルギー弾である
「リッサ01より小隊全車。攻撃を受けた。2時方向、RPG射手だ。制圧砲撃を加える」
「リッサ02了解」「03了解」
RPG-7の
順調な戦況であったが、突然進軍は停止する。
ある戦車中隊が進軍中にそれは起きる。突如、前方より極細のレーザー光線が超音速で放たれ、T-72B2戦車の表面を走る。幸い複合装甲及び車体前面236㎜砲塔前面296㎜の均質圧延鋼板を貫くことは無かったが、装甲表面のライトや各種機器は破壊され、何より重要な事として、履帯が切断されたため行動不能となってしまう。
僚車が直ちに掩護するべく前方に出るが、レーザー光線によって履帯を焼き切られ、さらに文字通りの光の矢によってハッチより上半身を晒していた車長は首から上と下を裂かれてしまう。
『くそっ、行動不能の為、脱出する!』
『車長が……やられただと!?中隊長、指示を乞う』
無線に怒号が相次ぎ、混乱し始めるロシア軍。
一方でチェチェン解放戦線側でも自分の行為を後悔する者もいた。
「人を……殺した……?」
前に手をかざす少女は、先程ロガートカの車長を切断した光の矢を放っていて、人が切断される光景を鮮明に覚えていた。
「おい、まだ敵はいるんだ。今更後悔しても遅い、やれ」
少女の首元に刃物を当てる男は脅迫まがいに指示を出す。
少女は諦めた表情で小さく返事をする。
「……はい」
別の部隊では、T-90A戦車が眼前から高速で迫る光弾が直撃し、複合装甲、そして均質圧延装甲板さえも貫いて撃破され、突如起きた雷撃で全ての電子機器が故障し行動不能になった事例も発生し、一部では後方の機械化部隊にまで襲撃を加え、輸出型モンキーモデルであるはずのT-72Mが高速の砲弾によってT-90Aを行動不能に追い込み、歩兵戦闘車等の機械化部隊に損害を与えている。
また、一人の少女がロシア軍兵士に突っ込んでおり、その少女は光剣を持ち、兵士が気が付かぬ内に、数名を斬り殺す。だが、その少女は泣きながら斬っていた。
「いや……!いやだ……なんで殺さなきゃいけないの……この首輪さえなければ……!」
少女は地面と自分の体に付く大量の血を見て、絶望感を覚える。その少女の首には首輪が付いており、少女はその持ち主に従うしかなかった。
前線の想定を上回る被害報告を受けて、ロストフ・ナ・ドヌの南部軍管区OSK、そして、ロシア連邦国防省はこれ以上の損害を受けることは出来ないとし、撤退を決断する。
全部隊が撤退を完了するまでの一日で南部軍管区OSKによってまとめられた損害総計より、陸空軍合わせ4割強の損耗を出していたことが明らかになり、これはこの規模の戦力を動員した上で想定外であり、何よりチェチェン解放戦線という組織がどれほど大きくともあってはならない損害であった。
※次回予告
チェチェンの真実《3》【進展】
敗北の後、ロシアは少しずつ相手の真相を、戦力の強化を進展させていく。