ふぅー。
仕事の休憩時間 缶コーヒーを飲みながら、俺はため息をついた。
この工場に就いて約2年間、俺は自分なりにやっているつもりだ。だが実際俺は何もできていない、そのせいで最初は優しくしてくれた上司や先輩も 最近では罵声ばかりだ。 工場だけならまだいいのだが家に帰っても同じようなものだ。分かっている。俺が悪いということは、甘えているってことは、だが分かっていても実際は精神的にかなりこたえる。
今の俺にとっての癒しはポケモンだけだ。20を超えても、ポケモンのアニメを見ている。もちろん、今放送しているサン&ムーンシリーズもだ。俺もそっちに行ってみたい。ベッドの上で仰向けになりながらポケモンの動画を見ていた俺は、自然とそう呟いていた。
結局次の日を迎えてしまった。いつもと同じように家からも会社からも罵声を浴びた。怒られるうちが華だと言うが俺はそうは思わない。精神はズタズタだった。
はぁー、本当にもうため息しか出ない。
そう言えば俺って最近笑えていない。そりゃそうだわな。ずーっとイヤなことしかないんだから。
そう思いながらなんとかその日の仕事をこなして家に帰り昨日のポケモンの動画の続きを見る。動画を見終わった俺はあることをやる決意をした。それは2次元トリップ法というものだ。数年前たまたまネット上で見かけたものである。その当時は興味がなくスルーしていたのだが、最近気になりサイト上に上げられているトリップ法を読むのが俺の日課となっている。
特にここ2週間ぐらいは現実から逃れたいという一心で実際に試す日が多くなってきている。だが運命というものは残酷である。やってもやっても失敗し、次の日の朝を迎えてしまう。だが今夜やる方法はいつもとは違い成功率が高くそれと同時に危険な夢上会議という方法である。
やり方は水が入ったコップを用意し、夜中の2時か3時に白い壁に手をつけ呪文を唱え水を飲み干し壁を見続ける。黒い穴が開いたらその穴に突っ込むという方法だ、
時刻は夜中の2時、ネット上に記載された手順通り呪文を唱え壁を見続けた。
変化はすぐに現れた。まず頭痛と吐き気だ。ここまで酷いのはインフルエンザ以来だ。それでも壁を見続けていたら円形の穴がでてきた。
成功か?と思った矢先、穴から白い手が伸びてきた。当然逃げることが出来ず壁の中に飲み込まれてしまった。
壁の中で俺は首を絞められていた。 痛い、苦しい、 口の中に鉄の味がする。 助けてくれ 俺はそう願った。しかしさっきも言ったように運命は残酷だ。どうにかしようともがいていたら右足に違和感を感じ
足元を確認した。目を疑った。俺の首を絞めているものと同じ手が俺の右足首を掴みそのまま下に引きずり下ろそうとしていた。
足の方がまだ自由がきいたのでバタつかせ振り払おうとしたがそんなこと何の意味もなかった。
ああ、俺死んだな。心の中でそう呟いていた。
長い間引きずり下ろされていたがようやく地面についた。そこは真っ暗な何もない場所だった。相変わらず首を絞められ、足首を掴まれていたため動くことは出来なかった。
奥から人のようなものがこっちに向かってきた。遠くからは分からなかったが近づいてくるにつれて確認出来たのは女性だった。
ただどう見ても生きているように思えなかった。まず顔色は血の気が引いたように真っ青。地面につくほどの長い髪。全身は血まみれだった。そして俺の首を絞め、足首を掴んでいる手は女性のものだった。
恐らく、この女性は自分の両手を伸ばし俺を壁の中に入れこの空間に引きずり下ろした張本人だろう。
そんなことを考えていたら女性は俺に近づいて低い声で、[お前はここで私の肉体となれ]と言ってきた。俺は冗談じゃないと思い[それは断る]と言い返した。
そのとたん、女性は発狂し俺に包丁を向けた。
これはもうダメだ。これからくる想像を超える痛みに備え目を瞑った。 その時だ。
?[悪を消し去る光の矢よ。今ここに解き放て。ライトニングアロー!]
厨二病のセリフが耳に入り俺は目を開けた。
最後に瞳で確認したものはゲームとかでよく見る光り輝いている矢が俺を襲った女に大量にささり、うめき声をあげながら倒れる姿。
そしてそれを見届ける何者かの姿だった。