とあるポケモンが先行登場です(タイトルバレ)。それではどうぞ。
104番道路。トウカシティを抜けた海沿いの道をケンタ一行は歩いていた。
sideケンタ
「このまま道なりに進めばトウカの森が見えてくる。ホウエンで最も広い森林公園だ」
「へぇー、どんなポケモンがいるのかなー?」
「深い森だからな、むしタイプやくさタイプのポケモンが多いな。なかでもキノココっていう、この森固有のポケモンもいるぞ」
「へぇー!どんなポケモン!?」
「こんな」
『キノココ きのこポケモン くさタイプ
深い森の湿った地面を好む。ピンチになると一斉に猛毒の胞子を撒き散らす』
「わぁーかわいいかもっ!」
「まってハルカちゃん。後半ものすごく危険なこと書いてるよ」
ハルカはキノココの容姿に興味しんしんといった様子だが、ユウキ君はその説明文に目が行ったようだ。ハルカの付き添いで着実に危機察知能力が身に付いて行ってるな。
「ユウキ君の言うとおり、キノココはレアだが同時に危険なポケモンでもある。おまけに生息してるのは木の入り組んだ森の奥深くだ。実際キノココ狙いで森の奥まで行って帰ってこなくなったトレーナーもちらほらいる」
「「ひぃっ!!?」」
ハルカとユウキ君は今の話ですくみ上がっている。
「ま、カナズミまでの道のりはちゃんと整備されてるから、道なりに進めば迷うことはない。はぐれないようにちゃーんと着いてくるように」
「「はーい!」」
こうして俺たちは心地のいい潮風に吹かれながら、トウカの森への浜道を歩いて行った。
「ふふん、待っていたよ庶民達」
「あん?」「「?」」
いよいよトウカの森へと差し掛かろうという時、入り口の前に立ち塞がる者がいる。
セットした金髪に高そうなスーツという身なりのいい出で立ちの、いかにもなお坊っちゃんという姿をした男だった。
「ああ、なんだ。金ヅルのミツグか」
「はっはっはっ、よーしふざけんなてめえ」
声を掛けた張本人たるミツグは、青筋を浮かべて微笑むという無駄に器用なことをしながら俺たちに積めよってきた。
「お兄ちゃん、この人お兄ちゃんの知り合いなの?」
「ふっ、よくぞ聞いてくれたねお嬢さん。そう、何を隠そうこの僕は」
「重役のどら息子」
「そうそうウチの家政婦にも「坊っちゃんったらま~た遊び惚けてぇ~」とか影で言われてってちがぁぁぁぁう!!?僕はデボンコーポレーション重役の1人息子の成木ミツグだ!!
キレのいいノリつっこみを決め、ミツグはこちらを指差し高らかに告げる。
「因縁って……ケンタさんこの人に何かしたんですか?」
「ん?ああ………」
◆◆◆◆◆◆◆◆
あれは俺が父さんのフィールドワークの手伝いで旅を始めたばかりの時だった。
『そこの庶民、この僕とバトルをする名誉を与えてやろう』
『あん?』
と、こんな具合で唐突にこいつにバトルをふっかけられ、まぁ俺 も買うことにした訳だが……
『ふむ、参考までに聞くが、所持バッチは幾つだい?』
『ゼロ』
『ぶふぉっ!?はははwwwこりゃ失礼wなんだ君は
『……………』
『ははは!よしこうしよう!もし君が勝ったら
『……………』
『ふふふははは!まあ、僕も勝負というからには手加減なしでやらせて貰うよ。気に病む必要はない。トレーナーなら敗北を知り学ぶことも大事なことだからねwww』
『………………』
『さあ!今日この僕に出会ってしまったことに後悔したまえええええええええ!!』
~~~10分後~~~
『………で、なにか?』
『すみませんマジ調子こいてました』
その後、手持ち全てをバーンに瞬殺され、なおも食って掛かろうとしたところを顔面を掴んで持ち上げられたミツグの姿があった。
『くっ!このままですむと思うなよ!!』
と、テンプレな捨て台詞と賞金21600円を残してミツグは去って行った。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「______とまあ、その後も俺の行く先々で唐突に現れては勝負を吹っ掛け、そのたびに返り討ちにされては俺に金を巻き上げられとるんだ」
「「へ、へぇ……」」
「悪意のある紹介してんじゃねえ!!」
何気にこいつとはもう5年近い付き合いになる。因みに、俺は立場上研究者見習いということになっているので、資金の方は父さんの方からある程度融通してもらっているのだが、あくまでも研究資金なのでこいつから手に入る賞金は捨て金自由に出来る路銀としてそこそこ助かっていたりするのだ。
「ふん!余裕をかましていられるのも今日までだ!!今日という今日は貴様に吠えずらかかせてやる!そのための秘策があるのだからな!!」
「今時吠えずらなんて言葉使わねぇだろ」
「せがらしいわ!!いちいち上げ足とんじゃねぇ!」
ミツグはキレ気味にベルトからモンスターボールを取り外し、それをこちらへ向けて構える。
「もういい、シンプルに言ってやる。トレーナーは、目と目が合ったら____
「ポケモンバトル……ってか?」
そして、どちらからともなく、同時にボールを放った。
sideハルカ
やがて始まったお兄ちゃんとミツグさんとの2対2のポケモンバトルは、私たちの思っていた以上に高レベルなものだった。
開始早々、”はらだいこ”によって攻撃力を最大まで高めたミツグさんのマッスグマの”ずつき”や”きりさく”の猛攻。それをラーニャちゃんはひらりひらりとかわして”けたぐり”や”つじぎり”で着実にダメージを与えていってる。
「”ふいうち”っ!」
「マニュッ!!」
ドムッ
「グマッ………!」
「決まった……!」
ユウキ君がそう呟く。ラーニャちゃんの拳がマッスグマの鳩尾に突き刺さり、マッスグマは苦しそうに顔を歪めて倒れた。
「クソッ!……戻れマッスグマ、ゆっくり休んでくれ」
ミツグさんはそう言ってマッスグマをボールに戻した。
ミツグさんは強い。最初はちょっとおマヌケな人なのかなって思ってたけど、多分今の私たちじゃ相手にならないくらいに強い。
けど、それでもお兄ちゃんにはかなわずなかった。やっぱりお兄ちゃんは、トレーナーとして、私たちよりも遥かに先に居るんだ……!
「どーしたミツグ、前回と大して変わってねぇぞ?」
「んがっ!?……ああ、そうとも。この一年、マッスグマの育成に十分手を回せなかったのさ」
そう言って、ミツグさんはベルトから黒いモンスターボールを取り出した。
「ダークボールか」
「ああ、お前を倒すために他の地方から取り寄せたジョーカーだ。あまりにも狂暴で育成には苦労させられた。……だが、その強さは折紙付きさ!!」
そう言ってミツグさんはモンスターボールを投げた。
「グマァァァァァァァァ!!!」
そうして現れたのは、見たことのないポケモンだった。
黒と灰色の体毛に鋭い爪の付いた前足、そして赤く鋭い目が印象的な、とっても怖そうなポケモン。
「おいおい、えらくパンクなルックスしたポケモンだな。そいつが切り札ってやつか」
「いかにも、その名もタチフサグマ。ガラル地方に生息するジグサグマの"原種"。その進化した姿さ」
『タチフサグマ ていしポケモン
ノーマル・あくタイプ マッスグマの進化系
ガラル地方固有種。ガラル地方の過酷な生存競争を生き抜いたマッスグマのみが進化できる。とても獰猛で好戦的』
そんな説明文が図鑑から流れる。タチフサグマと呼ばれたそのポケモンは、長い舌をペロリと垂らして、ラーニャちゃんをニタニタ嘲るように睨んでいる。
「さあっ!このタチフサグマの強さに恐れおののいて「ギャオォォォォォォ!!」っておい!?」
タチフサグマはミツグさんの指示も待たずに鋭い爪を光らせラーニャちゃんを狙う。
「"ブレイククロー"だ!」
「かわせ!」
「マニュッ!」
ラーニャちゃんはタチフサグマのブレイククローを紙一重で避ける。タチフサグマそれに露骨にイライラした顔を浮かべて何度も腕を振るう。けれどそれもことごとくかわされている。
「タチフサグマ!指示も待たずに動くな!!そいつらは雑に戦って勝てる相手じゃねぇ!!」
「チッ!」
ミツグさんの指示も無視して、タチフサグマはラーニャちゃんに爪を振るう。ラーニャちゃんはそれを"見切って"かわし、その放物線上に触れた地面や木は大きく抉れた。
「うそっ……!」
「なんて威力だ!?」
「"こおりのつぶて"!」
そんな技にもぜんぜん怯まず、ラーニャちゃんの放ったこおりのつぶてがタチフサグマにヒットし、タチフサグマは後ろにぶっ飛ばされる。
「グマッ……!」
タチフサグマは歯ぎしりをしてラーニャちゃんを睨み付ける。
「わかっただろう。そいつらは並み居るザコとは違う。無様に負けたくなければ僕の指示を聞け」
「ーーーーッッ!!?」
タチフサグマは血走った目でミツグさんを睨み付けるけど、ミツグさんはぜんぜん怯んでない。わたしなら腰抜かしちゃいそうなくらい怖い顔なのに……やっぱりあの人もすごい!
「………成る程ね。戻れラーニャ」
すると、突然お兄ちゃんはラーニャちゃんをボールに戻した。
「ったく人を上手く使いやがって……望み通りにしてやるよ。行けバーン!!」
「バクフーーーン!!」
出てきたのはバクフーンのバーンちゃん。炎の鬣を燃やして真っ直ぐにタチフサグマを見据えている。
「出たなバクフーン……!」
「バック」
「グルルルルルル……」
「………ニヤリ」
「ーーーーッッ!?グマァァァァァ!!!」
バーンちゃんはタチフサグマを見て嘲るように笑う。それにタチフサグマは一気に激昂してバーンちゃんへ"とっしん"する。
「"かえんほうしゃ"!!」
けど、それより早くかえんほうしゃの炎がタチフサグマを火だるまにした。
「グオオオオオオオ!?……グマァァァァ!!!」
タチフサグマは炎に包まれてなおバーンちゃんに襲い掛かる。なんて執念なの!?
「ったくあのバカっ!!」
「"かわらわり"!!」
ドンッ
「ガハッ……!!」
「あーあー、もう」
バーンちゃんのかわらわりが頭にめり込み、タチフサグマは膝から崩れ落ちる。その目は最後までバーンちゃんを睨み付けていた。
sideケンタ
「はぁークソ。一体くらいは倒せると思ってたのに」
「よく言うわ。人のこと当て馬に使いよってからに」
「え?当て馬って?」
ハルカとユウキ君は俺が当て馬と言ったことに疑問を浮かべている。
「お兄ちゃん、どういうことなの?」
「ああ。さっきのを見てわかったかと思うが、こいつはタチフサグマを扱い切れていない。いや、あの場合経験が足りないと言った方が正しいか」
ハルカは今一つよくわかっていないようだ。
「経験?」
「そ。大方経験値を稼ぐために勝てる相手としかバトルしてなかったんだろ。それで、バトルの上で重要な危機察知能力が育ってないし、
「ぐっ!………ああ、そうだよ。ガラルからジグサグマの
「昔の自分を見てる見たいで?」
「そうそうってやかましいわっ!!」
再びキレのいいノリつっこみを決めたミツグは、きびつを返し歩いて行く。
「ま、今回のことはこいつにもいい経験にはなっただろう。次こそはまともなバトルをして見せるよ。………それが僕の目標でもある」
「ミツグ……」
「じゃあな」
そう言い残し、ミツグは颯爽と歩いて行く。あいつ……
俺はやつの背中を追いかけ、
「おい、勝ったんだから賞金よこせや」
「やっぱ覚えてた!?」
「お兄ちゃん台無しかもっ!?」
こうして、旅の資金を巻き上げた俺たちは、改めてトウカの森へと入って行ったのだった。
◇おぼっちゃまのミツグ
第3世代において最初に遭遇する金持ちNPC。金のたまを持たせたジグサグマが印象的だが、初戦ではまず気づかない。
「なぜ金のたまを持たせるかって?それは僕がおぼっちゃまだからさ!」
デボンコーポレーションの重役の1人息子であり、絵に描いたようなボンボン。社長の息子と面識あり。
駆け出し時代のケンタに喧嘩を売るが、旅立ち時点で十分に育てていたケンタに惨敗。それ以来金の力でケンタの行く先々に現れてはリベンジを挑み金を巻き上げられている。
パートナーはジグサグマから進化したマッスグマ。長年のケンタとのバトルの経験によってバッチ7つ分くらいの実力はあるが、本人らに自覚はない。
正直 挿し絵って必要でしょうか?
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一話に一枚欲しい
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あった方が面白い
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文章だけで表現して欲しい