【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-   作:炎の剣製

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更新します。


第011話 3日目・2月02日『共同戦線協定(前編)』

 

 

 

…アーチャーは一体どうしたというのだろうか?

お父さんとなにか関係を持っていた人なのかな?

そこで遠坂さんが口を開いた。

 

「ねぇ、セイバー…?」

「なんでしょうか?」

「あなたにアーチャーの姿をした知り合いはいなかったかしら?」

「いえ、いなかったと思います。キリツグがどうかは分かりませんがあの人はあまり他人と交友関係を持てるような人物とは到底思えませんから…」

「そう…。それじゃ、ますます謎ね。アーチャー自身、私のせいでもあるんだけど一時的な記憶喪失らしいからさっきの切羽詰ったような顔は初めて見たわ」

「え? それじゃ遠坂さんはアーチャーが何処の英霊か分からないんですか?」

「ええ。少なくとも二刀使いの弓兵なんて聞いた事が無いから…。それよりいつまでもアーチャーの話をしていてもしかたがないから、今は現段階でのことを話し合いましょう」

「そうですね」

「次だけどモグリの件はもういいわ。私から考えがあるからその話はまた後でゆっくり話しましょう」

「わかりました」

「それで、今私が気になっているのはなんで衛宮さんはサーヴァントを二体も連れているかって事よ! いくらなんでも反則でしょ!?」

「それなんですけど…最初はさっきの話を伝えるためにセイバーを召喚しようとしたんですけど…キャスターは、その、助けたんです…」

「助けた…?」

「ええ。私は志郎様に消滅しかけていた寸前で助けていただいたのです」

「消滅しかけていたって…ランサーかバーサーカーにマスターをやられたの? でも、それならキャスターをみすみす見逃すわけもないし……はっ! …まさか、あなたマスター殺しをしたの!?」

「ご名答…よくわかったわね」

 

それが判明した途端に遠坂さんが「ダンッ!」とテーブルを叩いて、

 

「ちょっと衛宮さん! そのことを知っていながらどうして自分のサーヴァントにしたのよ!?」

 

それは分かっている。でも、

 

「経緯はどうあれ助けるのに理由は必要ですか?

確かにキャスターはマスターの人を殺したのは覆しようの無い事実でキャスターにも罪は確かにあります。

でも、そこまでキャスターを追い込んだ魔術師の人にも非はあったと思います。違いますか?」

「それは、そうだけど…」

「それに私はキャスターのこと、信じていますから…」

 

出来る限りの笑顔で自身の胸のうちを明かした。

だけどそこでなぜか遠坂さんは顔を赤くして横に逸らしてしまった。

気づけばセイバーとキャスターも顔を赤くして体を震わせている。

どうしたんだろう…?

 

「どうしたの?」

「え、衛宮さん…あなたのそれは狙っているの? それとも天然…?」

「は…?」

 

とりあえずなにか分からなかったけど居間の雰囲気は緩和したらしい。

遠坂さんはなにかしきりに我慢できずに私に抱きついている二人を見て顔を赤くしている。

気のせいかアーチャーの姿が一瞬見えたけど見間違いかな…?

 

「………とりあえず衛宮さんのいうことはわかったわ。それじゃ最後に確認したいんだけど今学校に張られている結界は…キャスターの仕業ではないわよね?」

「当たり前です」

「それじゃ確認ね。今現在確認されているサーヴァントはここにいるセイバー、アーチャー、キャスターの他に衛宮さんはどれくらい?

ちなみに私は真名がわかっているのはランサーこと“クー・フーリン”だけで後はバーサーカーとそのマスターだけよ」

「私も同じです。ただ分かっているといえばバーサーカーの真名とその宝具くらいです」

「知っているの!?」

「はい。でもその前にもうこれは等価交換じゃなくて協力関係としての話し合いにしませんか? お互い腹の探り合いはしたくないですし」

「そうね…確かにそうだわ。聖杯戦争の実態を知った今は私も衛宮さんに協力するわ」

「わかりました。それじゃバーサーカーの真名ですけど…ギリシャ神話最大の英雄“ヘラクレス”…」

「ヘラクレス!?」

「はい。そしてその宝具は過去十二に及ぶ試練を成し遂げた事から、自身の体に宿った力『十二の試練(ゴッドハンド)』です」

「それはどういった効果なの…?」

「文字通り十二回殺さなきゃ倒すことのできない…そして殺したエモノには耐性がついて二度と通じないようになってしまうといったもの。

私達は昨日どうにか二回殺す事ができましたけど、もうセイバーの剣は真名を開放しなければ通じないことはあきらかです」

「それは厄介ね…とんでもない怪物だわ。バーサーカーだから理性を失っているのが唯一の救いかしら?」

「いえ、ところがそう簡単にはいかなそうなんです。私達が戦った時はまだ狂化されていない状態だったから…」

「え? 狂化されていないのにあんな力を持っているって言うの!?」

「はい。それに姉さんはバーサーカーを完全に制御下においているみたいですから暴走はまずありえないでしょう」

「なんて、反則。………ん? 姉さん?」

 

あ、そういえばまだ姉さんのことを説明していなかった!

それで私は姉さん…イリヤスフィール・フォン・アインツベルンのことを教えた。

それを聞いた遠坂さんはなにか思ったのか神妙な顔つきになって、

 

「それじゃ、そのイリヤって子は見た目は子供だけど成長が止まっているだけで、本来は私達より一つか二つ上で義理とはいえあなたのお姉さんに当たるわけか。

そして聖杯戦争にはアインツベルンの悲願とは別にあなたを殺すということも含まれているわけね。

しかもそれが勘違いだって言うからやり切れないわね。切嗣さんも何度か侵入を試みようとしたんでしょ?」

「はい。私も一、二回付き合った事がありますがアインツベルンの敷地は思いの他厳重で侵入すらできませんでした」

「確かに…私も召喚されたときにはアインツベルンの城は強固な結界で守られていることを感じました。キリツグが内部に入り込めたのは運が良かったのでしょう」

「そう…。で、あなたは誤解を解いてイリヤスフィールを救いたいって訳ね?」

「はい。お父さんとも約束しましたから…!」

 

それで私は握りこぶしを作って気合を入れるポーズをする。

でも、そこではたと私は動きを止めた。

なんていうか、もう自分で言っていて恥ずかしくなってきたから…。

だけどそこでなぜか遠坂さんが爆発した。

そして抱きついてきて押し倒されてしまった。

…それでお茶がこぼれちゃったな、と頭の片隅で感じるくらい。

 

「あーもー! あんたってほんといい子ね! 普段から優しい子だとは思っていたけどここまでなんて! 魔術師としては少しばかり抜けているけどいいわね!」

「(あわわわわッ!?)」

 

遠坂さんは私の顔を胸に埋めながら色々騒いでいる。

とうの私は遠坂さんがこんな積極的な性格とは思っていなかった+こんな綺麗な人に抱きしめられているという状況で頭が回っていなかった。

そこにセイバーが大声を上げて、

 

「シロを離しなさい魔術師(メイガス)! いきなりそのような行動は馴れ馴れしいにも程があるでしょう!?」

「いいじゃない? 減るものでもないんだし…」

「減ります!」

「なにがよ?」

「私達が抱きしめる回数がです!」

「セイバーの言う通りね…!」

 

…えっと、なんだろう?

いつの間にかこの居間は一種の結界のようなものが構築されてきている。

それより遠坂さんはともかく二人はそんなに私を抱きしめて楽しいかな?

 

 

 

…異空間と化しつつある居間でどこまでも純朴な志郎だった。

それから少し時間が経過して、

 

 

 

「それじゃ共同戦線といきましょうか」

 

キッ!と真面目な顔になって遠坂さんがそう仰った。

先ほどまでの騒ぎがまるで嘘のよう…。

気づいたら先ほどまでの雰囲気もどこへやらとセイバーとキャスターも真剣な顔になっていた。

…どうやら遠坂さんとなにか共感できたものがあったらしい。

いいことだね。

それで返事は当然、「わかりました」と答えておいた。

 

「うん。それじゃまずはあらためて…私はこの冬木の町を管理している魔術師でセカンドオーナーの遠坂凛よ」

「それじゃ私も習って…名前は衛宮志郎。これからよろしくお願いします、遠坂さん」

「名前の方でいいわ。私も志郎って呼ばせてもらうから」

「えっと、それじゃ凛さん…」

「うん、よろしい。セイバー達もなんて呼んでもいいわよ」

「では、リンと…いい響きをしていますね」

「私はアーチャーのマスターで通させてもらうとするわ。お嬢ちゃんでもいいわよ?」

 

セイバーとキャスターもそれぞれ呼称が決まったようなので返事を返していた。

セイバーは純粋にいい名だと褒めて、キャスターはまるで誘うような妖艶な言葉遣いだった。

それで凛さんは顔を赤くしたりしていたけどすぐに調子を取り戻して、

 

「それじゃ手始めにまずお互いの使える魔術を把握しておきましょう。いざってときに何を出されるか分からないんじゃ洒落にならないから。

できればアーチャーも教えて欲しいものだけれどね…。

ま、それはいいとしてもうお分かりの通り、私の魔術はまず魔術刻印に刻まれたガンドを主にした様々な魔術…それに宝石を中心とした宝石魔術師。

そして属性は“五大元素(アベレージ・ワン)”よ」

「“五大元素(アベレージ・ワン)”ですか!?」

「そうよ。だから大抵の魔術は使えるわね」

「はぁ…凛さんってすごいですね。私はちょっと属性が特殊だから羨ましいです」

「志郎の属性ってなんなの?…っていうかあまり貴女は魔術を使わなかったからどんなのか分からなかったわね?」

「あはは…あまり知られると先がまずいことになるから他の魔術師には内緒にしておくんだよってお父さんに言われていたから…」

「なに…? もしかしてあなたって封印指定級の魔術師ってわけ?」

「まぁ、そうなりますかね…? キャスターも私の魔術は異常だって判断したくらいですから」

 

それで凛さんはキャスターのほうに顔を向けて、「そうなの?」と尋ねていた。

 

「ええ。私も最初に志郎様の魔術を見させてもらった時は驚愕しましたから…」

「…キャスターのサーヴァントをも唸らせる魔術か。それでどういったものなのよ?」

「口外しないって約束できますか? そうでないと最悪協定が破綻する恐れがありますから…」

「それほどなのね…わかったわ。遠坂の名に誓って約束は守るわ」

 

凛さんは自信の顔をして言い切ってくれた。やっぱりいい人だな…。

 

「ほっ…ありがとうございます。それじゃまず私の属性ですがこれも特殊で五大に属さない“剣”です」

「“剣”…? また珍しいもの持っているわね? それじゃ五大に属していないって事はろくな魔術は使えないってわけ?」

「…はい。一応お父さんが残してくれた魔導書で覚えたから知識だけは持ってはいるんですけど、いざ使ってみろとか言われると初級程度のものはなんとか使えますが、それ以上となるとそう簡単にはいかないのが現状です。

それでまともに使える魔術といったらやっぱり属性故なのか“強化”“変化”“解析”“投影”と戦闘方面ばかりなんです」

「ふーん…極まれに特殊な属性を持った魔術師が生まれるっていうけど、ほんとに使いづらいのね。

…しかも志郎の場合は間違いなく先天的じゃなくて後天的なわけか。それじゃ一代目の魔術師だから魔術回路もそう本数はないんじゃない?」

「それが…調べたところ最高27本はあるみたいなんです」

「へっ? そんなにあるの? 私も遠坂家は六代も続いているのに40本しかないのに…」

 

それで凛さんは少し顔を俯かせた。

 

「は、はい。なんでもお父さんがいうには私の回路の本数は一代にしては破格だと言ってました」

「…確かに破格の本数ね。聖杯の泥が身体に影響した結果かしら?」

「そうだと思います。それに私の魔術回路も少し特殊なんです。本来回路は擬似神経ですよね?」

「? ええ、そうね。それが一体どうしたっていうのよ?」

「これもきっと聖杯の影響だと思いますけど、私の魔術回路は通常神経と一体化していて本当の神経といっても過言じゃないんです」

「………」

 

そこで凛さんが無言になり険しい顔になった。

反応としては当然かな? これだけで十分封印指定ものだし。

そして凛さんは頭で言いたい事がまとまったらしく、

 

「…じれったい説明はいいわ。実際それだけでも十分だけど、あなたの本当の魔術を教えて?

それにバーサーカーを二回も倒したって言ったけど、セイバーの剣でやっと一回。宝具を使わずともそれだけで耐性はついてしまう。

それじゃもう一回はどう倒したって言う? キャスターはおそらく後方支援で精一杯…。

と、なればあなたの隠している特殊な魔術以外考えられないわ。まさか強化や黒鍵だけで倒したってわけじゃないんでしょう?」

 

凛さんは一気に言い切ったらしく満足げな顔をして、でも教えなさいと目で訴えてきていた。

 

「ですが凛さん、先ほど私はその魔術を言いましたよ?」

「えっ? でも碌にたいしたものじゃないでしょ? 強化に変化、解析…って、もしかして投影?」

「そう。投影魔術です」

「でも、投影たって程度がしれているでしょ? 作ってもせいぜい触媒に使われるのがいいとこよ…?」

「本来ならそう思うでしょう。ですがリン、まずはシロの投影を見てから判断してもよろしいかと…」

「そう…それじゃ見せてもらえないかしら?」

「はい。それじゃ――投影開始(トレース・オン)

 

 

 

──Interlude

 

 

「なっ!?」

 

私の前には一本の西洋剣が置かれた。

それは私の見間違いでなければ…!

そこで屋根の上にいたはずのアーチャーが私の隣に立っていて、

 

「…古代ローマの兵達の標準装備だった名を『グラディウス』だな」

 

やっぱり!

なにこれ!? これが投影魔術だって言うの!? なんて出鱈目!

一から魔力で練り上げただけで普通はすぐに霧散しちゃうほどだっていうのにこれはもうしっかりと形を持っている。

ちなみにこれは切嗣さんと旅の途中に博物館に寄って解析したという。

だから日本刀とかは結構種類があるというらしい。

 

「そう…これが私の投影。

一度解析で見たものは、

創造理念、基本骨子、構成材質、制作技術、成長経験、蓄積年月…それらすべてを再現して本物に近い贋作を作り出せる異端の投影です。

属性が“剣”ですからそれに近い武器も複製可能ですね。それでランサーの真名も分かったようなものです」

 

ッ!? ランサーのゲイボルクも解析できたというの!?

まさに封印指定ものだわ!

 

「…つまりあなたの使う解析魔術は投影魔術をする延長線上のものでどんなものでも複製可能ってわけ?」

「どんなモノでも、というわけではないです。あくまで武器、防具にカテゴリーされるものばかりです。他のものは投影できても存在強度が足りないため次第に消滅しますから…」

 

それだけでも十分凄すぎるわよ!

志郎がまどろっこしく言うのも納得いくわ。

これがもしセイバー、キャスターがいなくて、そして尚且つ聖杯戦争でもなかったら私はこの子をどんな手を使ってでも匿う算段を取り付けるわよ。

これは異常、だけで片付けるほど簡単なものじゃない…。

もし魔術協会に知られればこの子は一生幽閉が目に見えている。

そんなことを考えているとさらに志郎は驚くことをしてくれた。

なんと数本もの剣を空中に浮かばせていた。

なんでもバーサーカー戦では魔力の籠もった剣を出来る限り投影。

そして打ち出してそれらすべてを心臓に集中させて鉄壁の体を一度貫き、さらにとどめとばかりに心臓に密集した剣全ての幻想を解き放って大爆発を起こさせたという。

…なんて、こと。

それじゃ志郎はサーヴァントの一度限りの最後の手である宝具破壊を何度もできるってことじゃない!?

 

「だから絶対内緒にしてほしいんです。自分でいうのも悲しいですけどこんな異端な魔術回路に投影魔術…封印指定は確定ですから」

「ええ、そうね…。私だったからいいものの他の魔術師に知れでもしたら大変な騒ぎになるわ」

 

そう、もう志郎の投影は等価交換なんてへったくれもあったものじゃない代物…。

さすがにアーチャーも驚いているようだった。

だが驚きようがどうも私とは違うらしい。

 

「では衛宮志郎…お前はもしかして宝具すらも投影できるのではあるまいな?」

 

なんて…とんでもないことをアーチャーは言い出した。

 

 

 

Interlude out──

 

 





シロは宝具を投影は滅多にさせません。投影してもただの程度の低い剣か刀くらいですかね。
ですからチートなしです。前に投影したフェイルノートとかは私の知識不足のものでしたから、これも投影は本編ではもうしないと思います。
してもやっぱり本編同様に夢で見たカリバーンとアヴァロンくらいしかしないと思います。
干将・莫耶ももしかしたら使うかもしれませんが…。
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