【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-   作:炎の剣製

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更新します。


第014話 3日目・2月02日『これからについて』

 

 

あれから凛さんは大量の荷物を担いだアーチャーを連れて家までやってきた。

アーチャーは平気そうな顔をしていたけどどうにも不服そうな表情をしていたので私が少し持ちますと言って持ってあげた。

そして凛さんと話をしながら離れの客間まで案内していると後ろからなにやら小さい声で、

 

「(凛とは大違いだ…魔術師として育ったというのにこれほど真っ直ぐに成長するとは…)」

 

アーチャーはなにやらぶつぶつ言っていたけど私には聞き取れなかった。

でもなぜか凛さんがガンドを飛ばしていたのでなにかいけないことでもいったのだと思って私は口を挟まずにいた。

客間に案内した後、凛さんは少し部屋を改造するとか言っていたけど…え? もしかしてここに居座る気なのかな? と思ったり思わなかったり…。

でも敵対するよりはいいよね? と脳内完結しておくことにした。

そして夜食の時になぜか凛さんは私の食事をいくつか口にした後、腕をグッと握り締めて小さい声で「よしっ!」とか言っていた。

…時間もあんまり無かったから少し手を抜いたけど調子に乗っていると痛い目を見させますよ?

なぜかアーチャーが肩を震わせていたけどきっと気のせいだ。

それから私達は食休みもいいくらいの時間になって、凛さんが話しかけてきた。

 

「さて、と。それじゃ志郎。明日は日曜日だしどうするかしら?」

 

そう。明日は日曜日。だとすると学園内の結界潰しもできないので暇になってしまう。

するとすれば藤ねえの相手かはたまた…。

夜になれば他のマスターの拠点を探るのに絶好の日かもしれない。

けど、まずイリヤ姉さんにバーサーカーは冬木市郊外の森の奥にあるアインツベルン城にいるだろうから一日かけないと到着しないような場所だ。

そして仮に向かったとして、迷う可能性がある。

以前に何度かお父さんと一緒にアインツベルン城に行ったことがあるがあそこは籠城するには打ってつけの場所だ。

多分だけどもうイリヤ姉さんによってアインツベルン城の周囲には監視による結界が張られているだろうから敷地に入った瞬間にすぐに感づかれるだろう。

さらにはバーサーカーに襲われて逃げる羽目になるだろうことは予想できるし、戦っても勝てる勝算は今のところかなり低いから悩みどころだ。

よって、アインツベルン城に行くのは今のところは却下、かな? 残念だけど…。

 

そして次にランサー。

彼のマスターは今のところ正体が分かっていないから探しようがない。

 

ライダーもまた同意の理由で探すのは困難を極める。

ただ、なんとなくだけど予想だけはできる。

現在冬木市で行方不明事件が何度か起きている。

おそらく一般人から魔力を摂取するために魔術師が襲わせているんだろうと思う。

そして学園の結界もおそらくライダーの仕業だろう。

あんな結界はキャスターのクラス以外だと適性があるのはライダーくらいだろうから。

 

そして最後にアサシンのサーヴァント。

アサシンのサーヴァントはイレギュラーでも起きない限り召喚される英霊は『ハサン・サッバーハ』。気配遮断のスキルを使うから一番見つけにくい敵だろう。どんな宝具を使うかも分からないから要警戒だ。

 

………よし、今のところのサーヴァント達の主な情報は整理できた。

それと明日の予定だけど、明日はとりあえずセイバーと剣の特訓でもしようかな?

アーチャーにも私の投影魔術の練度を見てもらいたいし。よし、決まりね。

ので、凛さんに話を振ろうと凛さんの顔を見たら神妙な顔つきで見られていた。なにゆえ…?

私が少し困惑していると、セイバーが間に入ってきて、

 

「シロ。あなたは考え始めると周りが見えなくなることがあるようですね。いえ、それは特に悪いわけではありません。思案するシロの表情もとても可愛らしい物でしたからむしろ役得です」

「はい。志郎様、考える表情もとてもキュートでしたよ」

「あ、ありがとう…?」

 

私は曖昧な返事しか返すことができなかった。

それでやっとのこと凛さんも意識を取り戻したのか少し頬を赤く染めながらも咳払いをして、

 

「(…大丈夫大丈夫。志郎の仕草がどれをとっても可愛いのは今更じゃない? だから落ち着け私の心音!)………さて、それで志郎の考えは何かまとまった?」

「はい。とりあえず明日は学園にもいけませんし結界の件は後回しにします。幸いあの結界はまだ発動はしないと思いますから」

「どうしてそう思うの? 理由を聞きたいわ」

「理由ですか。まぁ、大雑把に言いますと結界内に取り込む人が明日は一切いないから発動しても不発に終わるのが目に見えていますから」

「確かに…」

「だから明後日の月曜までこの件は待機です。次にマスター探しですけど、ランサー、アサシンの二体は現状探しようがありませんから出現したら迎え撃つスタンスでいいと思います」

「そうね。特にアサシンが厄介だけど………いけそう? アーチャー?」

「そうだな。アサシンのサーヴァントは気配遮断のスキルを持つ。相手取るには厄介な相手と言える。だがこのスキルの弱点は攻撃に移る際にはランクがガクッと下がるところだ。その瞬間を見極め対処すれば後は相手取る分にはステータス的には負けることはないだろう」

「ではアサシンの相手は私がしましょう」

 

そこでセイバーが声を上げた。

セイバーなら負けることはないと思うけど一応用心に越したことはない。

だから、

 

「セイバー。いけるんだね?」

「はい。私の直感のスキルを駆使して必ずやアサシンのサーヴァントを仕留めて見せましょう」

「それじゃ、任せたね」

「お任せください」

 

これでランサー、アサシンに対する下準備はできた。

後はだけど、

 

「ところで志郎? ライダーのマスターについては目星はついているのかしら?」

「はい。なんとなくですけど………この件に関しては凛さんとも話しておきたいと思っていたんです」

「私と…?」

「はい。おそらくライダーのマスターは御三家のうちの一つである間桐家から出ていると思うんです」

 

そう言い切った瞬間、凛さんの表情が強張ったのを確かに感じた。目も大きく開いていて動揺が隠せないようだ。

 

「え………ちょ、ちょっと待って志郎。でも慎二は魔術回路を持たないただの人なのよ? そんなあいつがライダーのマスターなわけ…」

 

凛さんの表情は非常に焦っているように感じます。

まだ他にも選択肢はあるのにわざと視界を狭めて見ないようにしているように…。

認めたくないのだろう。凛さんにとって離れ離れになってしまったが本当の姉妹である桜がこの聖杯戦争に参加しているかもしれないマスター候補だという可能性に。

 

「凛さんの気持ちはわかります。ですが言わせてもらいます。おそらく桜がライダーのマスターです。証拠と言ってはなんですが、よくうちに桜は来てくれるんですけど最近手に包帯を巻いているのを見たんです」

「そ、そうなの…」

 

それでしばらく凛さんは無言になった。けど魔術師として落ち着きを取り戻したのだろう。

 

「…ごめん、志郎。もう大丈夫よ。取り乱してごめんなさい。続けて」

「わかりました。そして多分今のマスター権は慎二君にあるんだと思います。桜が学園にあんな結界を張るとは到底思えませんので」

「そうね。そこは同意だわ。でもどうやって…?」

「おそらく令呪によるマスター権の譲渡あたりが妥当かと思います」

「なるほどね。でも、ねぇ志郎。一ついい?」

「はい?」

 

そこで凛さんは少し怒ったような表情をしていた。

多分桜関係が原因なんだろうな。そこは甘んじて受けるしかない。

 

「…それじゃ志郎は桜が間桐の手にあると知りながら家に招いていたの?」

「一応知ってはいたけど招いていたのは本当に偶然。

私が半年前に怪我をしたときに何度も面倒を見てもらってそのまま成り行きで今の状態になってしまっただけなの…」

「そう。変に勘ぐってごめんなさい。でも遠坂家と間桐家が不可侵条約を結んでいるのは知っているのよね?」

「はい。そこは色々調べましたから。この際だからいいますけどその不可侵条約…すでに意味のないものに成り下がっていると思います」

「え…それって」

「間桐家の当主である間桐臓硯はご存知ですよね?」

「ええ。当然知っているわ。でもそれがどうしたの?」

「凛さんは間桐臓硯が桜にやっている行いを知っていますか?」

 

そう、お父さんの調べで判明したおぞましい内容。

今のなにも知らない凛さんに話してもよいものかと思うけど知ってもらわないと話にならないから。

だけど、そこで意外な方から話を振られてきた。

 

「衛宮志郎…お前は彼女の身になにが起きているのか知っているのか…?」

「えっ…アーチャー? どうしたの? そんな怖い目をして…?」

 

私はその射貫くような視線に怯えてしまった。

それにすかさずセイバーとキャスターが反応を示して『ガタッ!』と立ち上がろうとするけどこんな些細なことでいちいち喧嘩腰になっていても仕方がないので、

 

「セイバー、キャスター。落ち着いて」

「アーチャーもよ。その射殺すような視線を抑えなさい」

 

私と凛さんの声で三人ともまた席に座る。アーチャーは目を瞑っているようだけど、自身を落ち着かせているようにも感じる。

 

「すまない…。だがこれは凛にとって大事な問題だ。だから知っていることがあるなら話してくれないか」

「わ、わかりました。それでは簡潔に今桜の身に何が起こっているのか話しますね」

 

それで私は間桐臓硯が桜に対して行っている非道の数々を話していく。

それを聞くにつれて凛さんは表情が険しくなっていって、最後まで聞き終えると、俯いてしまっていた。

ショックの連続だったのだろう。これは仕方がない。

 

「………私は、桜の苦しみに気づいてやれることができなかったのね…。姉として失格だわ」

「凛さん…」

「凛…」

 

私とアーチャーはどう言葉をかけていいかわからないでいた。

やっぱりこれは私達だけで解決した方がよかったのかもしれないと思ったけど、もう動いた歯車は戻らない。

知ってしまったからにはこの問題をどう解決するかが先決だ。

 

「………志郎は、どうして桜を助けてやれなかったの…? 知っていたならどうにでも…」

「それができればどれだけよかったか。解析の魔術で桜の心臓辺りを見た時にはもう私には無理だと分かってしまいました。蟲が桜の心臓に憑りついていたんです。下手に触れると桜がどうなるかわからない………。だから今まで悔しい思いをしながらもなにもできませんでした」

「…そう」

 

それで私と凛さんは無言になる。

そこにアーチャーが無言で立ち上がり、

 

「…衛宮志郎。少しセイバーとキャスターを借りてもいいだろうか…?」

「え? いいですけど、ここでは話せないことですか?」

「ああ。少し大事な話があるんだ。なに、悪いようにはせんよ。安心したまえ」

 

そう言ってアーチャーはセイバーとキャスターを連れてリビングから出て行った。

なにを話すのか気になるけど、今は落ち込んでいる凛さんを慰める事をした方がいいと思う。

 

「…志郎。桜を救いましょう。どういう結末になるかわからないけどあの子には生きていてほしいから」

「はい。わかりました」

 

それで私達はこれからについてもっと話し合うのであった。

 

 




凛さんには桜の真実を知ってもらいました。
次回、アーチャー視点を、かけたらいいな………。
それとバーサーカーの件はもう修正不可な状態まで来てしまいましたので目を瞑ってもらえるとありがたいです。

ここが変だと思ったところは突っ込んでもらって構いませんのでよろしくお願いします。
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