【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-   作:炎の剣製

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更新します。


第019話 4日目・2月03日『新都での一日』

 

 

深山町から新都へと目指すバスに揺られている中で私達はかなり注目されていた。

セイバーと一緒に行った時より注目度は高いかもしれない。

まぁ、おおよそ検討はつくんだけどね。

 

「衛宮さん、どうしたんですか? そんなに黙りこくってしまって…」

「………リン、とても、不自然です」

「セイバーもはっきりいうね」

 

そう、凛さんという外見せの人格で猫を被っている人のおかげでバスの中はそれは静かで尚且つ男子学生だろうか?私達の方を顔を赤くしながらも何度かチラチラと見てくる。

私はともかく可愛らしいセイバーに学園一の美少女である凛さんがいればすぐに注目度は上がるものだろうな。私が場違いではないかと思ってしまうことしばしば…。

 

…そういえば話は変わるけど家を出る前にアーチャーがキャスターに「後どれくらいで出来るか…?」という謎の会話をしていて思わず聞き耳を立ててみると、それに対してキャスターはというと「明日にはできるから安心してちょうだい」という会話がなされていたけど、キャスターはなにかをアーチャーに頼まれて作っているっていう事でいいのかな…?

なにか良からぬものではないといいけど…。でも、多分この先で役立つものだと思うし。

ただ、私に教えてくれないのが少し寂しかったり。

とにかく明日になれば分かるだろうからそれまで待ってみよう。

そう結論付けると沈んでいた思考を浮上させると、セイバーが少し不安げな表情で私の方を見ていた。

 

「…シロ? どうしたのですか。なにか深く考え込んでいたようですが…」

「ん? いや、大丈夫だよセイバー」

「そうですか。ですが休めるときに休んでおいてくださいね。いついかなる時に戦闘が起きてもいいように」

「うん、ありがとう」

 

和気あいあいとセイバーと会話をしているとなにやら凛さんがこちらをじっと眺めてきているけどどうしたんだろう…?

それで聞いてみることにした。

 

「凛さん? どうしたん………いや、どうしたの?」

「いえ、なんといいますか衛宮さんとセイバーが姉妹のように見えて…」

「そうかな?」

「シロと姉妹ですか。楽しそうです」

 

凛さんの言葉に曖昧な表情で返事を返してセイバーはと言うとどこか恍惚とした表情を浮かべている。

でも、

 

「兄妹、か………」

 

それで私は急に寂しい思いに駆られてしまった。

その様子に気づいたのだろうか、凛さんが「あっ…」と言葉を漏らした後、

 

「…ごめんなさい志郎。兄妹に関しての話題はあまりダメよね?」

「ううん、そんなことないよ凛さん。ただ、兄さんがいれば私はもっと楽しい会話でもできたのかな?って…」

「そう…」

 

凛さんも猫かぶりを解いてしまうほどに私の事を心配してくれたみたいでなんだか申し訳なかったな。

でもそんな、もう二度と叶わないことを夢想しながらもバスは新都へと到着した。

 

 

 

 

――Interlude

 

 

 

新都に到着する前の凛達との会話内容…。

そして志郎の『兄さんがいれば私はもっと楽しい会話でもできたのかな?って…』というどこか物悲しいセリフ。

その時の志郎の表情は一瞬ではあったが微妙に変化して一言では言い表せないほどのものが籠もっていた。

そして霊体化していてもその言葉は嫌と言うほど聞こえてきた。

………私に大火災以前の記憶が少しでも残っていれば………。

そう、思わずにはいられなかった。

ただただ悔しい思いだけが重ねられていく。

 

《………で、志郎のそんなセリフを聞いてアーチャーはなにか思ったの…?》

《ッ! 急に念話で話しかけてくるな凛。さすがに察しが良すぎるぞ》

《そりゃねぇ。さすがに志郎の前で兄弟関係の話題は今後は避けようって思っちゃったくらいだからね。で、お兄様としての心境はどうだったのよ?》

《茶化すな、あきらかに嫌な笑みを浮かべているぞ凛。………なに、少しでも記憶が残っていればなとな》

《そっかぁ………》

 

すると凛とは少しばかり念話のやり取りが途絶える。私の思っていることを聞いてなにを思ったのか…。

 

《ま、志郎とアーチャーが結構複雑な人間関係なのはわかっていたけど志郎のあんな表情を見るのはさすがに堪えるわよね》

《………ああ、そうだな。できることなら名乗り出たいのが正直なところだが、前も言ったが志郎との大切な記憶を失っている私には名乗り出る権利がないからな》

《そこまで括ることもないと思うけどね。貴方、結構な意地っ張りのようね》

《放っておけ。ただ志郎の悲しい表情を見たくないだけだ》

《そうね…。ま、いいわ。それはそうとアーチャー。志郎も気づいていたみたいだけど家を出る前にキャスターとなんの話をしていたのよ…?》

《それか。まぁ凛にも関係していることだがどこかで気取られるとまずいから時が来たら教えよう》

《ふーん? わかったわ。その時を楽しみにしておくわ》

 

それで凛は思念通話をやめて志郎達へと話しかけに行った。

志郎は楽し気に笑っている…。

この笑顔を守れるように頑張るとしよう。

 

 

 

Interlude out──

 

 

 

凛さんが新都に着いた途端になにやらあちこちを見回している。きっと魔術的なことをしているのだろう。

私は知識があっても実践できるほどの腕も魔術もないからこういう時は凛さんは実に頼りになるなぁ。

それから数分して、

 

「は~………前にもアーチャーを召喚した翌日に来たんだけど、新都の方にはあまり魔術の手は伸びていないようね」

「そうなのですか、リン?」

「ええ。ほら、朝の冬木のニュースでもやっていたけど数名かの行方不明事件くらいしか起こっていないじゃない? まぁ、十年前の連続猟奇殺人事件に比べればマシだけど、それでも事件は起こっているからこれが魔術師によるものならただの警察じゃお手上げだしね」

「十年前ですか…。確かに、あれは酷かったですね。当時のキャスターとそのマスターが次々と子供たちを殺害する光景は見るに堪えませんでした」

「あ、そっか。セイバーも関係者だから当然知っているのよね」

「はい」

「わたしも少しそいつ等に関しては苦い思い出があるから………もう、嫌だったわ」

 

それで当時を思い出しているのか凛さんにセイバーは二人とも苦い顔をしている。

第四次聖杯戦争の関係者だからセイバーはともかく凛さんはそのマスターに誘拐でもされたのかな…?

 

 

 

………志郎は知る由もないことだが、当時の凛は誘拐された友達を助けに自ら出て行って殺されかけた過去を持つ。

間桐雁夜というマスターのおかげで今も生きられているが、もし彼がいなかったらもう凛もこの世にいなかったことだろう………。

 

 

 

…まぁ、これ以上バス停の周辺で血生臭い話をしているのもあれだからと言う理由で気分を変えてヴェルデ―――所謂ショッピングモールでも行こうという話になったので移動することになった。

それから私達は喫茶店エリアに入ったりして休憩がてら新作のケーキなどを食べたりして一時は楽しんでいた。

聖杯戦争中と言う制約がなければセイバーはもっと楽しめていただろうと思うのはケーキを美味しそうに食べている光景を見れば明らかだった。

ケーキを食べ終わって次はどうしようかという話になった時だった。

 

「あ、シロ。少し楽しそうなお店を見つけました。行ってみませんか?」

「まぁセイバーがそういうなら」

「そうね」

 

せっかくのセイバーの我が儘だし付き合おうという事になって一店のファンシーショップへと入った。

 

「へぇ…。セイバーにお人形の趣味があったなんてね」

「いえ、ただお店の前を通ったら気になるものが目に入りまして…あ、ありました」

 

セイバーはそう言うとお目当ての商品が見つかったのかいつも冷静な態度とは違い、少しはしゃぎ気味にある人形へと近づいていく。

それは、

 

「ライオンの人形…?」

「はい。その愛らしい姿は私の心を掴みました。かつて私は小ライオンを飼っていたことがあるのです。その記憶が蘇りまして………あぁ、なんと愛らしい」

 

ギュッとライオンの人形を抱きかかえるセイバーの姿はまさに女の子だった。

でも、当時と言う事は表向きは誰かに面倒を見てもらったんじゃないかな?

王様が執務の手を割いてまで面倒を見ることはできなかったと思うし。

そのことを聞いてみると、

 

「はい。当時はそこまで手が回りませんでした。だから過ごしやすくなった現代はとても羨ましいものですね」

「そっか…。それじゃ珍しいセイバーの我が儘も見れたことだし、そのライオンの人形、買ってあげるね」

「!? いいのですか、シロ!」

 

それで『パァッ!』という表現ができるくらいにセイバーは笑顔になった。

 

「いいの、志郎? そこまでお金あるの…?」

 

凛さんに心配されたけど、そこは大丈夫。

私はあんまり使う事がないのかお金は結構持っている方だし。

それに前に話した代行者のシエルさんに秘密を共有する条件として黒鍵を時たま投影しては秘密裏のルートで送付していてお金を稼いでいるからあまり金欠と言うわけじゃないから。

そのことを伝えたら凛さんにすごい目で見られたのは、まぁあまり気にしないことにしよう。

なにやらぶつぶつと「これは、お金になるかも………」と聞こえてくるけど私は一切気にしません!

それでセイバーにライオンの人形を買ってあげた。

 

「ありがとうございます、シロ。大切にしますね」

「うん。喜んでもらってよかった」

 

それで遊んだしいくらか町も回って以上は特になかったとして帰り支度でもしようかという話になってきたけど、帰る前に行っておきたい場所があるので凛さん達を引き留めてその場所へと向かった。

 

「シロ? どこへ向かっているのですか…?」

「そうよ志郎。しかもこの先って…」

「うん。冬木中央公園だよ」

「やっぱり…」

 

それで凛さんは少し顔を顰めた。

その気持ちは私もわかる。

でも、行っておかなければいけないと思ったから。

 

「冬木中央公園…? そこになにかあるのですか?」

「うん。セイバーなら見当つくんじゃないかな? 十年前の大火災で使えなくなった土地だよ」

「なっ…!」

 

それでセイバーも顔を同じく顰めた。

霊体化していて見えないけどおそらくアーチャーも顔を歪めていると思う。

そして到着した。

 

「ここは………人々の怨念が渦巻いていますね」

「ああ、そうだな」

 

そこにアーチャーも実体化して姿を現してセイバーの言葉に相槌を打っていた。

 

「ここは、大火災の跡地であり聖杯降臨の地だ。だから一種の固有結界じみた空間になっているのだろうな」

「セイバーもアーチャーもわかるんだね」

 

私の言葉に二人とも無言で頷く。

 

「でも、志郎。こんなところに来てなにをするのよ?」

「うん。決意でもしておこうと思って」

「決意、ですか…?」

「うん」

 

それで私は公園前で目を瞑って手を合わせて祈りを捧げながら、

 

「ここで亡くなった皆さん…。兄さんに家族のみんな…私は絶対にこの聖杯戦争を最後の冬木での戦いにして見せます。皆さんの無念は晴らせないと思う。でも、見ていてください…」

 

そう言ってしばらくは無言で祈りを捧げていたのであった。

 

 

 

………………………

………………

………

 

 

「それじゃ、帰ろうか」

 

私は先ほどまでの雰囲気を一切変えてそう言う。

それで一緒に祈っていたのだろう三人とも頷いてくれた。

そしてバス停へと向かう帰り道を歩いている時だった。

ビルが立ち並ぶエリアの裏路地の一角から悲鳴が聞こえてきたのは…。

 

 

 

 




最後に悲鳴が聞こえてきました。
なにが起きたのか…。



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