【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-   作:炎の剣製

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更新します。


第025話 5日目・2月04日『学園での日常・Ⅰ』

 

志郎が落ち着いた後、二人は学園へと向かっていった。

その道中、

 

「………所で、ねぇ志郎? いつもの料理は手を抜いていたでしょう………?」

 

そんな凛の疑問に志郎はと言うと普段の微笑を浮かべながらも、

 

「え? そんなつもりはないんだけど………すみません。ちょっとストレスが溜まるとつい本気以上のものが作れちゃうんです」

「あー……まあそうね。昨日から色々と凄い事が起きてるから志郎の気も尖っちゃうか」

「うん………特に慎二くんとのこれからをどうしようかというのも少し………」

「そっか。間桐くんという問題点もあったわね。うまくこちらに仲間にできれば御の字だけど、間桐臓硯が見張ってる中ではそう簡単にはいかないでしょうしね」

 

そう、いつどこで使い魔の蟲で監視しているか分からないから神出鬼没なのである。間桐臓硯という人外の怪物は。

 

「ま、桜の件も含めて早めにこの一件を終わらせたいわね」

「はい」

 

そんな会話をしていながらも二人はしばらくして歩いていると他の生徒達がちらほらと通学路に見え出したので凛は優等生という顔を被った。

それに志郎は多少は驚いていたがそれはいつも学園で見ている遠坂凛の姿だったので特に気にすることもなくすぐに順応した。

だが霊体化しているアーチャーは周りの視線が二人に注がれていることにいち早く気づいていたのでそのことを凛に伝えていた。

 

「ん………? そうなの」

「どうしたの、凛さん?」

「うん。アーチャーがいうには周りから珍しいものを見るような視線が私達に注がれているみたいなのよ」

「そうなんですか………?」

「ええ。ああ、志郎は気にしなくてもいいのよ。きっといつも一人で登校していたから志郎と一緒に歩いているのが物珍しいんでしょうね」

「あ、確かにそうだね」

 

だが実際はその要因に志郎も含まれているのは凛のみが知っていた。

志郎はテストの成績が自身や柳洞一成に続いて良いし、人当たりもよく自分よりも人付き合いがいいのもある。

そして学園のマスコットキャラとまで言われているからだ。

そんな子と自身で言うのもなんだけどミス・パーフェクトとか言われている自身が一緒にいれば自然と目立ちもするだろう。

凛はそう考えていた。

………ただ、当の凛すらも気づいていない事だろうがはたから見れば二人とも種別は違うがどちらも可愛く可憐な女子なのはどう見ても明らかな事で。

そんな美少女二人が一緒に歩いていればどうしても注目を集めてしまう事は明らかである。

二人は特に気にしていないので聞く耳を立ててはいないのだがアーチャーは聞いていた。

男子女子関係なく二人に注がれる視線と尊敬と渇望の言葉の数々を………。

 

「(………凛に関しては私の時でも同じような感じであったが、志郎のこの人気はさすがにすごいな)」

 

アーチャーは内心で我が妹は凄いとばかりに褒めているのであった。

そんなアーチャーのシスコン一歩手前な気持ちなど知る由もなく志郎と凛は会話を続ける。

 

「それでだけど。そろそろ学園に着くけど、なにか感じた?」

「うん。変わらずあの気分が悪くなる結界が張られているね………」

 

二人は表面上では普通の会話をしているように見せていたが小声で魔術関連の会話をしていた。

 

「志郎もやっぱりそう思うのね。わかったわ。それじゃお昼休みにまた落ち合いましょう。場所は屋上だからよろしくね」

「うん、わかったわ」

 

それで凛は志郎と別れて先に校舎へと入っていった。

それから志郎はふとある事を思って弓道場へと足を運んだ。

すると弓道場の入り口からまだ弓道着姿の三綴綾子が出て来て志郎に気づいたのか近寄ってきた。

 

「あ、志郎じゃん。おはよう」

「おはよう、綾子」

「うん。それよりさ、突然だけどさっきまで一緒にいた奴はもしかして遠坂か………? 一緒に登校してきたみたいだけどどうしたんだい?」

「あ、うん。その事なんだけどね、凛さんが家の改築で困っていたらしくて当分の間はウチに泊めてあげることにしたの」

「へえ………あの遠坂がね。しかも既に志郎は凛さんって呼んでるのね。ふーん………それじゃもしかして志郎もアイツの本性ももう知ってる口なのかい?」

「本性………? ああ、アレの事ね。うん、そこそこは………」

 

志郎は苦笑いを浮かべながらも初めて本性を出した時の凜の事を思い出していた。

 

「そっか。それじゃ驚いたろ? この学校の優等生が実は特大の猫を被っているって事が」

「うん。まぁ慣れればそんなに気にしないかな? 凛さんってどちらでも可愛いし」

「うっ………やっぱり志郎ってすごいな」

「え? なにが?」

「いや、遠坂の本性を知った上で普通に可愛いと言えるところがだよ。多分男子がこれの事を知ったら青天の霹靂みたいな感じだと思うよ」

「それ、どこか使い方間違っていない………?」

「まぁね。でもそれだけ遠坂の猫かぶりは凄いって事だよ」

 

綾子はそう言って笑う。

それから少し談笑が続き、ふと志郎は本題を思い出して綾子に聞く。

 

「ところで綾子。少しいい………?」

「なんだい?」

「うん。桜と慎二くんは部活ではどうだったかっていう話なんだけど」

「ああ、間桐兄妹の事か。妹の方なら今日の朝はいつもよりどこか元気が良くて矢を放ちまくっていたよ。なんでも運動がしたいとかなんかで………そこら辺は朝に桜がお前の家に来てるんだから理由は知っているんだろ?」

「あはは………まぁね」

 

それで朝の出来事を掻い摘んで話す。

 

「それはまた、お気の毒に………」

「うん。ちょっと反省してる」

「そうか。まぁ妹の方は特に変化はなかったけど代わりに兄の方が休みっていうか藤村先生の話によれば今日は学園自体休んでいるみたいなんだよな」

「慎二くんが………?」

「ああ、あの真面目な奴が珍しい事もあるもんだよ。妹の方に聞いても分からないの一点張りでね。こりゃまいった」

「そ、そうなんだ」

 

そう言って表情を曇らせる綾子に事情が事情だけに話せない志郎は曖昧に返事を返す事しかできないのであった。

 

「まぁ、そのうちまたひょっこり顔を出すさ。あいつは次期副主将なんだからね」

「なんだかんだで綾子はこき使いそうだもんね」

「あっはっは! 朝から言うね志郎。まぁ、そうだけどね。あ、そろそろ時間がやばいから着替えてくるよ。いやー、志郎と会話していると遠坂とは違うけど話が弾むんでやばいね」

「うん。それじゃまたね綾子」

「ああ」

 

それで弓道場の更衣室へと綾子は向かっていった。

綾子を見送った志郎は教室へと向かう最中にセイバーへと思念通話を送る。

 

《………セイバー、聞こえる?》

《はい。聞こえていますシロ。どうされましたか………?》

《うん。今日は慎二くんが学校を休んでいるみたいなの。それでもしかしたら間桐臓硯の命令でやむなくこの学園に張られている結界を発動しに来るかもしれないからやってきたら教えてくれないかな? 屋上にいるから校門は見れるでしょう?》

《はい、わかりました。シンジが入ってきましたらすぐに伝えますね》

《うん。それじゃまたお昼時に屋上で》

《はい》

 

それで志郎はセイバーとの会話を中断した。

 

 

 

 

──Interlude

 

 

 

志郎と別れた後に私は学園に張られている結界の起点をアーチャーに探ってもらうように指示をした。

前回はランサーに邪魔をされて作業が捗らなかったからね。

でも、この結界の件で驚いた事と言えばやっぱり間桐くんよね。

ライダーにこの結界を張らせたのは間桐くんでしょうけど張らせた理由が間桐臓硯に逆らえなかったから、であったのはまぁ仕方がない事だ。

そして志郎の話によって間桐くんの全体像が大体は見えてきたのは嬉しい誤算ね。

桜を助けようという兄らしい内容だったのは私としても心休まる事だった。

でも解決法が見いだせずに志郎同様に悩んでいて苦悩していたというのも悔しいけど気持ちはわかる。

私も志郎に桜の実情を教えてもらえなかったらここまで姉としての気持ちを思い出すことは無かったでしょうから。

そう、間桐臓硯は協定を守っているようであり実際は人喰いも厭わない怪物であるのはもうわかっている。

いつその牙を私達に向けてくるか分からないのが怖いわ。

まぁそんな相手を倒そうとしている私達もどっちもどっちな状況だけどね。

魔術師としては下策だけど姉妹としてはぜひとも桜は助けたい。

今更だという気持ちはあるけどそこだけは譲れない。

 

《………大丈夫かね凛。気分が優れないようだが》

 

そんな私の気持ちを察したのだろう。

正体が分かってから幾分皮肉な部分がなりを潜めた我がサーヴァントであるアーチャー………エミヤシロウは私に気遣いの言葉を言ってくる。

令呪で霊的に繋がっているから伝わってしまうのだろうね。

そこは仕方がないと割り切る。

 

《大丈夫よアーチャー。私はいつでも準備はできている。すぐに戦闘になっても動けるわよ。だから心配ご無用よ》

《ならいいのだがね。凛はここぞという時に遠坂の呪いが発動していつポカをしてしまわないかと不安で不安で………》

《あら? 素直ねアーチャー………?》

 

幾分カチンときたので少し低めにそう答えると、

 

《………いや、失言だった》

 

それでアーチャーのセリフは一旦途絶える。

でもそんななんでもないやり取りが私を気遣ってくれているのは分かる。

だから、

 

《さっきも言ったけど心配いらないわよ。桜は絶対救う。これは決定事項よ》

《それでこそ凛だな。では起点探しに行ってくるとしよう》

 

そう言ってアーチャーの気配が遠ざかっていくのを確認すると私は教室に入り席に座る。

そこに、

 

「あ、と、遠坂さん、おはようございます………」

「あら。三枝さん、おはようございます」

 

クラスメートの三枝由紀香さんが話しかけてきた。

この子はいい子なんだけど少しでも気を許すと素を出しちゃいそうで警戒しないといけないのよね。

 

「あの、それで今日の朝なんだけどシロちゃんと登校していたようですけどどうしたんですか………?」

「………あぁ、そういえば三枝さんは衛宮さんとは大の仲良しでしたね」

「はい! シロちゃんは薪ちゃんや鐘ちゃんと同じくらい大事なお友達なんです!」

「そうですか」

 

三枝さんは嬉しそうに表情を綻ばせる。

そう、二年の間では志郎と三枝さんが一緒になると必ずほんわかな空間が出来上がる。

そこに薪寺さんや氷室さん、それに綾子なんかが混ざっていくのだ。

中心になるのは必ず志郎だというので何度かそんな光景を目撃した事はあるけど、あれは一種の麻薬みたいなものだわ………。

私がもし入っていったら即で素を出してしまう自信がある。

だからあまり関わらないで遠巻きに見ていたのだけれど、

 

「あ、そうだ。今日はシロちゃん達と一緒にお昼はどうですか? この際ですから遠坂さんもシロちゃんと仲良くなりましょう?」

「あ、それは嬉しい相談ですが、その、今日はその衛宮さんと一緒にお昼を食べる予約を入れていまして………」

 

その瞬間、三枝さんはもちろん聞く耳を立てていた他の生徒からもザワリと言う感じのどよめきを感じた。

 

「………その、やっぱりシロちゃんとはもうお近づきになったんですか?」

 

少し残念そうな表情をする三枝さんに良心を抉られるような気分にさせられるけどここで負けたらペースをあちらに持ってかれてしまう。

 

「はい。だからまた誘ってもらえないですか。都合が合えばですけど」

 

つい心の贅肉が出てしまい隙を出してしまった。

その瞬間、三枝さんは笑顔を浮かべて、

 

「はい! その時は一緒にお昼ご飯をしましょうね」

 

そう言って三枝さんは薪寺さんと氷室さんの方へと歩いていった。

やっばー………フラグを立ててしまったわね。今後は気を付けないと………。

 

 

 

Interlude out──

 

 




三枝さんの登場です。
日常と銘打つんですから彼女らとの交友を描かないといけませんよね。
何気ない日常も大切な日常ですからね。
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