【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-   作:炎の剣製

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更新します。


第005話 2日目・2月01日『学園での死闘』

 

家はキャスターに任せて私とセイバーはもう夜が遅くなる頃に家を出た。

その際に家の結界を解析してみたけど、やっぱり私の半端な知識と魔術で作り上げたものとは違い、着々と設備が整っていっている感じがしたのでやっぱり神代の魔女と言われたキャスターはすごいと思った。

セイバーも感心しているのか私と一緒に家の結界の様子を伺っていた。

 

「やはり陣地作成のスキルがあるだけはありますね。

もともとが強力だったシロの結界がさらに分単位で強化されていくのが魔術の知識に乏しい私でも分かります」

「うん。さて、それじゃ新都まで向かおうか、セイバー」

「わかりました、シロ。ですがすみません。霊体化ができない為にシロには負担をかけてしまいまして…」

「まだ気にしていたの、セイバー? 私はそんな些細なことは気にしていないから大丈夫よ」

「ありがとうございます。ですが、いざとなればすぐにでも武装を完了させますのでご安心を…」

「うん!」

 

それから私とセイバーは新都の教会まで続く道を目指していたが、交差点を差し掛かった頃にセイバーがなにかを感じたのか橋とは反対の方へと視線を向けていた。

 

「…………」

「?…どうしたの、セイバー?」

「サーヴァントの気配を察知しました…」

「っ!? 本当セイバー?」

「ええ。どうやらもう戦闘に移行されていると思われます。どうしますか、マスター?」

 

セイバーは私のことをマスターといった。

これは交戦する際の決まりや心構えの一つである。

私は少し考えた末、

 

「…行ってみよう。戦いはしないものの敵がどういったものか確かめておく必要があるから」

「了解しました。それでは私にしっかりと掴まっていてください。飛ばします!」

 

私がセイバーに掴まったと同時にセイバーは疾風となった。

 

 

 

──Interlude

 

 

志郎とセイバーがサーヴァントの気配がする方へと向かっている間に赤い外套をまとったサーヴァントとそのマスター、そして青い軽装の格好をしたサーヴァントが校舎の屋上で対峙をしていた。

 

「いい夜だな…」

 

青いサーヴァントは赤いサーヴァントのマスター―――“遠坂凛”へと話しかけた。

 

「ッ…!」

「そうはおもわねぇか? そこの兄ちゃん?」

「アーチャーが見えている!?」

 

凛は焦っていた。

霊体化させているはずのアーチャーの姿が相手には見えていることが、

 

「ということはサーヴァント!」

「そういうこと。で、それがわかるお前は、俺の敵でいいってことだな!?」

 

開戦の合図とも言うべきかのようにそのサーヴァントはその手に禍々しい赤い槍を出現させた。

 

「赤い槍…! ランサーのサーヴァント!」

「その通り!」

「アーチャー!」

 

凛は合図とともに屋上から即座に軽量と重量制限の魔術を使い校庭へと飛び降りてアーチャーを実体化させた。

ランサーは目の前までやってきて、

 

「へぇ…話が早いじゃねぇか?」

「…アーチャー、手加減はしなくていいわ。あなたの力を見せてちょうだい!」

「了解した、マスター」

 

アーチャーは凛の言葉と同時に両手に陰陽の模様が描かれている白黒の中華刀を具現させた。

 

「は、弓兵風情が剣士の真似事かよ!」

「ふっ!」

 

そしてアーチャーとランサーは疾風となって激突した。

ランサーはその獣のごとき敏捷さで何度もアーチャーへと突きを打ち付けてくるがアーチャーはそれをまるで受け流すように逸らして反撃に転じている。

そのぶつかり合いは数えて十合以上は続いている。

だがアーチャーの双剣には次第に罅が入っていきそれを狙ってかランサーは先ほどよりも重たい一撃を浴びせ、とうとう双剣は砕けた。

 

「もらっ―――なに!?」

 

ランサーは双剣を砕いたと同時に槍をすぐに反転させコンマにも達するであろうスピードで必殺の一撃を見舞ったが、聞こえてきた音は決して体を貫き、神経を絶ち、骨を砕いた音ではなく刃同士がぶつかり合う金属音!

そしてランサーは目を疑った。

先ほど砕いたはずの双剣がまたアーチャーの手に握られているのだから。

だが、ランサーは一瞬という字も出ないほどに体勢をすぐに立て直しまた重い一撃を何合も打ちつけた。

打ち合いは数分にも及び気づけばアーチャーの双剣の砕けた回数はゆうに20回以上は越えている。

それに痺れを切らしたのかランサーは一度距離を置き、隙なく槍を構えながら、

 

「…てめえ、どこの英霊だ? 二刀使いの弓兵なんざ聞いたことがないぜ? それにその双剣…ストックはいくらある?」

「さてね?

――だがランサー。君は判りやすいな。槍兵には最速の英雄が選ばれると言うが、君はその中でも選りすぐりだ。

これほどの槍手は座中にも三人といまい。加えて、獣の如き敏捷さと言えば恐らく一人」

「――ほう。よく言った、アーチャー」

 

ランサーは自身の真名がわかったのだろうアーチャーに対して敬意を払い宝具へと神経を集中させようとした瞬間、

 

「誰だ!」

 

 

Interlude out──

 

 

私と完全武装したセイバーは空を駆けながらサーヴァントの気配が感じる方へと向かった。

そしてなるべく魔力を抑えるようにとセイバーに伝えた後、二人してキャスターが出かける前に渡してくれた魔力殺しの礼装を発動させ遠目から校庭を見た。

そこには月に照らされる三人の影があった。そしてその中に顔見知りが一人いた。

 

《セイバー、一人だけどマスターがわかったわ》

《本当ですか?》

《ええ。あそこでサーヴァントの戦いをじっと見ている彼女が今朝に話したこの冬木の町の管理者“遠坂凛”さん…》

《彼女がそうなのですか。そしてどうやら場所の位置的に双剣の男性が彼女のサーヴァント…そして槍を持った方が敵といったところでしょう? シロ、なにかあの宝具についてわかりますか?》

《少し待って…まずあのランサーに間違いないサーヴァントが持っている赤い槍は……》

 

私はあの槍を見ながら八節を順に解析していき出た結果、

 

《嘘!?》

《どうしたのですか、シロ!》

《あ! う、うん…ちょっと驚いちゃったけどあの槍は歴史を見る限り該当するのはただ一つ。

一度放たれれば心臓を貫くと言われる魔槍・ゲイボルク。そこから導き出される人物といえば…》

《では、彼はアイルランドの光の御子…クー・フーリン!》

《たぶん、それで間違いないわ。さすがランサーに選ばれるだけはあるね》

《はい。彼ならば適当でしょう。ではもう一人の方もなにかわかりますか?》

《それももう解析中よ。…………え?》

 

私はそこで少し思考がフリーズしてしまった。

あれは…確かに宝具、名を『干将・莫耶』。

だけど中身は贋作。それに私と似た感じがする。まさか投影の武器!?

しかし贋作だからといってその完成度に思わず私は見とれてしまった。

そこで気が緩んでしまったのがいけなかったのか、

 

「誰だ!」

 

ランサーに視線で気づかれてしまった。

 

「いけない! セイバー!」

「はい!」

 

私達はすぐに校舎の中へと入り込み、まだ私の正体はばらさない為にもセイバーに正面に立ってもらった。

それからすぐにランサーは私達の前に現れ、

 

「ほう、ついさっきまで気づかなかったがここにもう一人マスターとそのサーヴァントがいたとはな。

しかもそのなりだとセイバーに間違いねぇな? しかし、まぁ…二人とも成長はそこそこってところか?」

「なっ!? ランサーのサーヴァント! それは私に対しての…ましてや敬愛なる我がマスターに対しての侮辱と受け取ってもいいのだな!?」

「セイバー…遠坂さん達がくる前に済ませちゃおうか♪」

「…名案ですね。さあ、ランサー構えなさい!」

「いいねぇいいねぇ、この空気! やっぱ戦いってのはこうでなきゃな! 初撃は譲ってやるぜ!」

「いいだろう。その余裕、倍にして返してあげましょう!」

 

セイバーは風王結界で隠された剣を下段で構えながら魔力放出をして勢いよくランサーに斬りかかった。

 

「はあぁぁぁーーー!!」

 

ガキンッ! と鈍い音がしてランサーの槍とセイバーの見えない剣が激突した。

と、同時に私は事前に用意しておいた無銘の弓で黒塗りの矢をセイバーがランサーに打ち込んでいない場所に向けて放った。

だがそれは中ることも叶わずなにか障壁のようなもので弾かれた。

 

「「!?」」

 

セイバーは咄嗟にランサーの槍を弾いて私の前まで後退して剣を構えた。

 

「予測はしていましたが、やはり貴殿には矢よけの加護が備わっているようですね」

「なんだ? お前らも俺の正体に気づいているってのか?…ったく、これだから有名すぎて困るぜ…ならば食らうか? 我が必殺の一撃を…」

「いえ、今回は本来様子見で来ましたのでそれは受けるわけにはいきません」

「ええ。だからランサー、今日は引いてくれないかな?

それにそろそろ第三者がやってくる…私はまだ彼女には正体を明かしたくないの。

それにあなたも性分的に邪魔が入らない戦いの方がいいでしょ?」

 

ランサーはそこで驚いた顔をしたがすぐにニヤッと笑みを浮かべて、

 

「お嬢ちゃん、なかなか俺の性格理解してるじゃねぇか。気に入ったぜ!

さっきの言葉は撤回だ。お前はいい女だ。だから今回は奴らの足止めをしてやるぜ。

先ほどの正確な弓捌きといいセイバーといい、今度会うときはお前らとは本気で戦えそうだからな!」

「ありがとう、ランサー。でもおだててもなにもあげないよ?」

 

私はニッコリと笑顔を浮かべてランサーの口説き紛いを袖に振った。

 

「くっ! はっはっは! これはいい! やっぱお前はいい女だぜ。じゃあ次会うときを楽しみにしておくぜ。さっさといきな」

「それでは…マスター、いきますよ」

「うん。お願い、セイバー」

 

そして私とセイバーは今出せる最大のスピードで校舎を後にした。

脱出中に、

 

「しかし、ランサーのサーヴァント…あのように飄々とした態度をとっていましたが隙は一切感じられませんでしたから強敵になるでしょうね」

「うん。でも私としてはもう一体のサーヴァントの方が気になったかな?」

「なぜですか、シロ?」

「うん…あのサーヴァント、多分だけど生前は私と同じ投影魔術師だと思うの」

「なっ! それは一体…?」

「彼が使っていた武器、干将・莫耶は中国で有名な宝具の一つなんだけど担い手の伝承は一つも聞いたことがないし、それにランサーが砕いたと同時にすぐに手元に出現させていたでしょ?

それも一回や二回じゃなくて二桁はゆうに越えていたから…そしてなにより宝具の数はそれこそまばらだけど英霊一人でも持つ数は二、三個が限界だと思ったから…」

「確かに…でしたら正面から挑んでくるランサーよりも厄介な敵になりうる可能性が大ということですね?」

「そう。私の予測が正しければ他にも宝具は持ってそうだから。遠坂さんはアーチャーって言っていたからもし戦うとしたら今のところ一番厄介ね」

「そうですね。ふぅ…前回のアーチャーといい、どうしてこのクラスはこうも曲者が揃うのでしょうね?」

「前回のアーチャー…?」

「ええ。いえ、今はもう関係ないことですからお忘れください。それより早く予定していた場所に向かいましょう」

「そうね」

 

 

 

 

──Interlude

 

 

ランサーは志郎とセイバーを見送った後、また凛達と対峙していた。

だが槍を肩で担ぎながら立っているその姿には覇気が感じられないため二人は困惑していた。

それを察したのかランサーは口を開いた。

 

「よお、また会ったな」

「…ランサー、あなた目撃者を消しにいったんじゃないの?」

「まぁな。最初はそのつもりだったんだが、そいつはマスターだったんでな。何合か打ち合った後、引き分けで見逃してやった」

「はぁ…?」

 

あっけらかんとランサーはそう答えたため、二人は目を少し丸くしながら呆れの表情をしていた。凛に至っては声にまで出していた。

だがアーチャーはすぐに持ち直して、

 

「君ともあろうものがみすみす敵を見逃すとはな。なにがあったのだ?」

「なに、なかなか歯ごたえのある奴らだったんでな。それにだ、気に入ったんで見逃したっていう理由じゃだめか?」

 

笑みを浮かべながらランサーは軽くそう答えたが目は本気だったのでアーチャーもそれ以上追求はしなかった。

だが凛はせめて情報だけでも聞き出そうとランサーに問いかけたが、

 

「教えるわけねぇだろうが? 敵の敵は味方とはかぎらねぇんだぜ? ま、しいていうならなかなか見所のあるやつらだったって事だな。

さて、もうそろそろいい頃合いだな。足止めは終了だ。俺はもういかせてもらうぜ?」

「ちょ、ちょっと!?」

 

凛は呼び止めたがランサーは制止も聞かずに霊体化してその場から姿を消した。

そして沈黙が訪れて、

 

「…アーチャー、これはどう思う?」

「さてね、さすがに私でもこのような展開になるとは予想だにしなかったが、奴の口ぶりから打ち合ったと言ったところで対抗できることから恐らく相手のクラスはセイバーだろうよ?」

「くっ…やっぱりそうなるか。…はぁ、学校にいるってことは学園関係者って線が高いじゃない!? この結界といい密集しすぎよ?」

「落ち着きたまえ凛。あせっても物事は解決しないぞ?」

「わかっているわよ。とりあえず家に帰るわよ。怪しまれたら困るし…」

「わかった(…しかし、私の記録が正しければこの時点ではまだセイバーは召喚されていないはず。そしてランサーによって■■■■は一度殺されるはずだ。いよいよ私としてのこの世界の相違は出てきたな。鍵はやはりあの赤毛の少女が握っているということなのか?)」

 

アーチャーは凛の後ろで霊体化しながら考えに耽っていた。

 

 

 

Interlude out──

 

 

 




志郎は敵に気に入られやすいキャラにしたいですね。
しかし戦闘描写が難しいですね、やはり。

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