デット・ア・ファイズ   作:リベンジ

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トオカ編が終わればほぼほぼオリジナル展開になるかな…


夢の始まり・後編③

志道は夢を見た。

先程語った夢ではなく、眠りについた時に見る方の夢だ。

 

炎の中で、倒れている所からいつもその夢は始まる。

もう顔も思い出せない両親の悲鳴、毒を吸うのと変わらない煙、肌を焦がす灼熱の世界、全てが志道の生存を拒む。

ーーーこれは、走馬灯か。

「…………」

終わり際の夢まで、このザマか。

志道は何かを悲観する事もなく淡々と炎の苦しみに耐えていた。

生にしがみつくのも、引き際だと今の彼は思い込んでいる。

悲鳴一つ上げず、燃え盛る道の壁際にもたれかかり空を見上げる。

真っ赤な空は、下品なキャンパスのようだった。

 

私のせいだ。

私が狙われていたから。

私が生きているから。

私が。

視界が急速に滲んでいく、ああ、またこの世界から消えるのだろうか?

いや、違う。

瞳から水が流れている。とめどなく流れ続け指で拭っても止まらない。

志道の事を一つ、思い浮かべるたびに更に瞳から水が溢れ出す。

なのに。

胸の中でくすむ物は、焔のようだとトオカは思った。

燃えたぎるこのココロの何かを、教えてくれる人は。

今そこで、2度と起き上がらなくなった事だけはトオカにもわかる。

それだけで。

「誰だ」

 

「私から、シドーを奪ったのは誰だッッッ!!!」

トオカは世界を酷く憎んだ。

世界は私を受け入れない。

世界はシドーも受け入れない。

なら、もういい。

シドーが教えてくれた私の「ユメ」とやらはもうないから。

 

「神威霊装・十番ッ!!!」

地が鳴き、空が震え、海が荒れだす。

神々の力が、溢れ出す。

精霊《災害》は動き出した。

 

誤算。

予想外。

計画外。

想定外。

 

「嘘」

現実だ。

「嘘………」

折紙は、銃を地面に落とすと地面に倒れ込んだ。

志道が、精霊を庇った???

それだけではなく、自分の、銃弾が彼の頭に。

「う、ぁ、いや、いやあ…あ…」

声もまともに発音出来ない、海底に沈んだように体が重くなる。

無理もない。

自分にとって最後の光を、折紙は自分で壊してしまった。

そして、発狂の引き金のように。

悪魔《精霊》の鳴きそうな声が意識を落とす折紙の鼓膜に確かに響いた。

 

「鏖殺公/《サンダルフォン》______【最後の剣/《ハルヴァンヘレヴ》】」

トオカが冷たい声でそう告げると共に、腹の辺りが光り輝き紫野大剣が出現しようとする。

それを右手で引き抜くと、トオカは銃弾の飛んできた方向に向かって剣を振り抜いた。

刹那。

山が砕けた。

凄まじき轟音と共に街に隣接する高山が一撃にして土も、森も何もかもが崩れ去る。上半分を失った山は後は土砂崩れで連鎖的に壊れていくのみだ。

これで、シドーを奪ったモノは消した。

ああ、でも。

まだ腹が燃えている。

じゃあ次は、何を壊そうか。

 

「アア、アアアアア、アアアアアアアアーーーーッ!!!」

トオカは雄叫びと共に空中へ飛び立つ。

空の方が、より壊せるから。

 

轟音が轟いた。

志道はその音の響いた方をふと見上げる。

勿論何も変わらない煉獄の街が広がっていた。

けど。

けれども。

泣き方も知らない女の子の、雄叫びに聞こえたのは気のせいだろうか。

「…………トオカ!」

思い出した。

何も知らない女の子を。

世界を知らない、人を知らない、夢を知らない。

でも、地獄だけは知っていた女の子。

…同じ、なんで口が裂けても言うつもりはない。

だが。

彼女がこの雄叫びを上げているなら。

そんな事をすべきじゃないと、言わないとならない。

(どうしてだ)

志道は立ち上がった自分に問う。

(俺には関係無いはずだろ)

志道は走り出した自分に問う。

(俺如きに何が出来る)

志道は。

 

(わからない)

 

(だから、見つけに行く)

 

生にしがみつく為に炎の街を走り抜けた。

 

トオカは鏖殺公を構え、街に振りかざそうとしている。

彼女が上空で力を溜めているだけで、空間震は最高潮に暴発している。

ASTの部隊も、市民の避難誘導が最優先でまともに出動出来やしない。

例えした所で、彼女に灰すら残さず消されてしまうが。

「ハアアアアア………」

巨大な光柱に包まれた鏖殺公が今、振り抜かれようとした時。

 

「俺には夢なんてない、けど…」

「せめて、お前の夢ぐらいは守ってやる」

立ち上がった志道が、息を吸う。

ぶち抜かれた頭には傷など残っていなかった。

そして、また鞄にしまってあったファイズギアを巻き、フォンに【555】と入力する。

「変身」

『complete』

 

「トオカーッ!!!!!」

彼史上最高の声量で、555は『プリンセス』の『名前』を呼んだ。

 

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