命の危機があろうと、日本国はド外道なので翌日も学校はある。
ヘイトスピーチで訴えられるものなら訴えてみやがれ。
愛車をブルブルとエンジンを蒸して、交差点で信号を待ちながら今後の事を考える。
結局、オートバジンとやらは正直得体が知れなくて乗りたくないので、バイクに戻した後適当に家の庭に止めてあるんだが……
「お兄ちゃん、これ、何」
「貰った」
「そんな白々しい嘘はやめてよ!盗んできたなら一緒に返しに行こ?ね?」
妹からの信頼がなさ過ぎて昨晩泣きそうになった。
あの後バイタルチェックだのトオカの身元調査など色々やったが、俺の身体には特に異常はないようだ。
まあ、時計がトオカから出てきて俺の身体に入った、などと言われても脳検査コースまっしぐらだ。
おまけにファイズギアの事も結局言えてない。
トオカにも思わず「ベルトの事は黙ってくれ」と頼んでしまった。
その事を打ち明けてしまったら、今度こそ何もかも終わりそうで。
で、まあサボる理由もないので来るわけだ。
バイクを止め、声も発さず教室に気怠そうに入る。
「折紙は…休みか」
昨日の騒動、こいつも感づいていたのかどうか確認したかったのだが………。
「シドー、おはようだ!」
「………まあ、明日でいいか、変態の家に見舞いとかごめんだ」
「シドー、この制服前と違って本当の服だぞ!気に入ってくれるか?」
「……………」
「シドー、どうしたのだ返事もなしに」
「待て、琴理か、あれだ、あの小さい二本に髪を束ねた女か」
「?!琴理の事をどうして知っているのだ!?」
「………管理を丸投げされた………」
これから学校生活、全部こいつを監視しないといけないのか…!?拷問刑なんじゃ?
俺が頭を抱えていると、見知った声が聞こえてきた。
「オイオイ、常に枯れた顔と雰囲気してた乙河クンが鳶一に続いて女の子と喋ってる、これはまた空間震」
「朝から胡散臭い挨拶はお断りだ」
「む、お前は?」
「殿町雅治。こいつの話し相手さ」
殿町はそれだけトオカに返すと、自分の席に座った。
「それより一回職員室に行った方が良いんじゃない?先生と一緒に自己紹介タイムがあるはずだから」
「む!そうだった、ありがとうマサジ!」
トオカはお礼を言うと
瞬間、突風が吹きクラスが騒然とする。
…本当にアイツ力を封印されてんのか?
そして、トオカが居なくなった途端、クラスメイト達はコソコソこちらを見て噂話を始めた。
「なんなんだ乙河の奴…不良の癖してよ…!」
「もう転校生に手をつけるなんて最悪…!」
「あんな可愛い子が毒牙に……かわいそう…」
「あーあ、また評判落ちた」
「これ以上落ちねえよ」
俺は窓を見ながら適当に返事を返した。
暫くすると、担任がやってきてぽわぽわした声で挨拶をする。
「みんなおはよ〜!さて、今日からこのクラスに転校生がなんと二人もやってきま〜す!」
あ?
「もう1人転校生ェ?…おい、なんか聞いてないか」
「さあね、俺を情報通扱いするのはやめてもらおうか」
大体学校のシステム的に普通1クラスに二人も入れないだろ。
死ぬ程厄介な匂いしかしない。
「さ、入って」
教室のドアが空き、二人の少女が入ってきた。
一人は、紫色の輝きを放つ朗らかな空気の女。馬鹿っぽいとも言う。
「やとがみ、とおかだ!よろしく頼む!」
明らかに書き慣れないチョークの震えっぷりを数分披露して「夜刀神十香」と黒板に書いてから元気よく名乗った。
ちなみに名字は琴理製だ。赤の他人と名字が合致したら不味いから誰もいない苗字にしようと言ったのはアイツだがお兄ちゃんお前のセンスが心配なんだが。
そして、次に隣で声を発したのは。
「こんにちは、時貞狂三ですわ」
凛とした時で、黒板に名前を記す。
「わたくし、精霊ですの」
怪しい所か、バッチリターゲットだった。
【Open Your Read For The Next Dead】
「野良猫ちゃんほど可愛いモノがこの世に存在すると思いで?」
「………飼い猫はどうなんだ」
『プリンセス』!
「ベルトもウォッチも、いつまでも何も知らないガキが持っていていいモノじゃありません」
「よし、強そうだ、あいつはやめておこう」
「あれがファイズですの?わたくしの方がまだマシですわね」
「お前なんかと…協力出来るか」
「そうですか、実に残念ですわーーーー。では、死ぬまで踊ってください」
『呼び逢う魂』
「フェアリークローバーに、5人は多いですわ」