一般人の2人目とかなり盛ってる3人目   作:もけ

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これから学園生活が始まるわけですが、細かく書いていたら初日が六話くらい続くことに……。
ま、まぁ、こんな細かく書くのは最初だけだと思うので、のんびりまったりお付き合いください。


IS学園初日①自己紹介

 おぉ、お前さん、迷子にはならんかったか。

 

 お前さんが「招待客の挨拶が長い」と文句を言とった入学式がようやっと終わったぞ。

 

 これから皆、各々の教室に戻って学園生活や授業計画の”がいだんす”を受けるそうじゃ。

 

 注目の男子三名は、どうやら教室が”ばらばら”のようじゃな。

 

 ん、誰に付いて行くかじゃと。

 

 そうじゃな、儂は長く見とったから明智少年が気になるが、お前さんはどうじゃ。

 

 ほう、織斑少年が気になるのか。

 

 確かに”ねぇむばりゅう”は”ぴかいち”じゃからな。

 

 ”てれび”の街頭”いんたびゅう”でも、ぶっちぎりで一番人気じゃったしのぉ。

 

 ちなみに来栖少年と明智少年はどっこいどっこいじゃった。

 

 三人とも揃って”いけめん”なんじゃが、”たいぷ”の違いが明暗を分けた感じじゃな。

 

 織斑少年は、ほれ、見るからに好青年じゃろ。

 

 真面目そうで清潔感のある黒髪、平均より多少高い身長に運動が得意そうな適度に引き締まった体つき、”かつら”をかぶって化粧すれば女装も”ぎりぎり”いけそうなやや中性的な顔つきには、この年齢特有の子供のあどけなさと大人の凛々しさが共存しておって、聞こえてくる声も「爽やか系」「格好良い」「優しそう」「可愛い」など、好印象なものばかりじゃ。

 

 対して、まずは明智少年じゃが、180の大台に惜しくも1cm届かない179cmの高身長と眼鏡の”いんぱくと”が強いらしくてのぉ、軍人並みに鍛えられた”細まっちょ”の”ぼでぃ”や、露西亜人との”くぉうたぁ”らしいのじゃが、桑茶色の髪と瞳……と言っても伝わらんか、中途半端な色じゃから表現しづらいのじゃが、今風に言うならくすんだ”らいとぶらうん”とでも言えばいいのかのぉ、とりあえずそんな髪の色や瞳の色も華麗に”するぅ”され、「眼鏡が素敵」「真面目そう」「生徒会長っぽい」「ぜひ執事服を」といった”ぷらす”の評価に「きつそう」「ちょっと怖そう」という”まいなす”の評価がちらほら混じる感じじゃ。

 

 ん、執事服は褒め言葉なのかじゃと。

 

 当然じゃろぉ。

 

 男が”めいど服”を好きなように、女も執事服が好きなのじゃ。

 

 いわゆる一つの『萌え』というやつじゃな。

 

 ちなみに眼鏡も”萌えぽいんと”じゃぞ。

 

 覚えておくといい。

 

 さて、次に来栖少年じゃが、彼には変な”きゃっちこぴぃ”が付いておってのぉ、なんでも『一般人の星』だそうじゃ。

 

 顔つきは「普通に格好良いよね」と言われるんじゃがどこか特徴に欠け、身長も168cmと十五歳男子の平均ど真ん中なんじゃが三人の中では一番低く、”もやし”とまでは言わんが特に運動しておらんことが見て取れる細いだけの体つきは街にいる分にはいいんじゃろうが他の二人と比べるといささか見劣りしてしまう。

 

 そんな彼の一番目立つ”ぽいんと”は、染めている”おれんじ”がかった茶髪なんじゃが、”高校でびゅう”を狙ったような匂いがしてのぉ、何と言うか『普通に渋谷で遊んでる高校生』という印象なんじゃな。

 

 そのまんま「遊んでそう」「ちゃらい」という見方もあるにはあるが、逆にその『普通っぽさ』に親近感を感じると同年代の男子を中心に同性に人気が高いそうじゃ。

 

 日本人は判官びいき ――――― 劣勢な方を応援したくなる気質 ――――― の傾向が強いからのぉ、まるっきり一般人の彼を応援したくなるのも分かる気がするわい。

 

 ん、そうじゃな、無駄話はこれくらいにして儂らも行くとしようかの。

 

 その前に…………ふぉっと。

 

 ほれ、織斑少年に付いて行くならこれを一緒に持って行ってくれんか。

 

 これか、これは俗に言う『人魂』じゃ。

 

 あぁ滅多な者には見えんから安心してよいぞ。

 

 これは見たものを記録できる優れものでな、教室の後ろにでも置いておけば事の顛末くらいは知ることができる。

 

 とりあえず各教室と男子三名にそれぞれ付けておけばいいじゃろ。

 

 ん、”ぷらいばしぃ”の侵害じゃと。

 

 かぁ、細かいことは言いっこなしじゃ。

 

 元々、儂らのような存在にそんなものあってないようなもんじゃからな。

 

 ほれほれ、観念してさっさと行かんか。

 

 儂は明智少年のところに行っておるからの、何かあったら呼びに来るんじゃぞ。

 

 

 

 

 

【織斑一夏の場合】

 

「(これは…………想像以上にきつい…………)」

 

 織斑一夏は全身に突き刺さるプレッシャーに冷や汗を流していた。

 

 ここは一年一組の教室。

 

 入学式を終え、時間割で言えば二時間目に当たる臨時のホームルームの時間。

 

 ここでは新入生に対するガイダンスが行われる予定になっているが、始業のチャイムが鳴っても未だ教師は現れていない。

 

 教室に男ひとりだけという状況で、否応なくクラスメイトの視線を集めている一夏は、中央最前列の座席から窓際最前列に座る6年振りに顔を合わせる幼馴染、篠ノ之箒に助けを求める視線を送るが、すげなく無視をされ、視線を黒板に固定することで何とか耐えていた。

 

 一秒が一分にも、一分が一時間にも感じられる苦行とも言うべき時間は、遅れてやってきた副担任の山田真耶の登場によって終わりを迎えるが、定番の自己紹介でさらなる苦難が一夏に訪れる。

 

「え~~…………えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

 クラスメイト総勢29名の女子生徒の視線を正面から受け止めつつ、「初対面の人間の趣味とか聞かされても困るだけだろ」という独特の感性に従って、それだけ言って頭を下げた一夏だが、好奇心旺盛な花の女子高生がそれだけで引き下がるわけもなく、無言のプレッシャーが一夏を追い詰める。

 

 背中をつたう汗の量が指数関数的に増していく中、覚悟を決めた一夏は、期待する視線に臆することなく毅然とした態度で言い切った。

 

「以上です」

 

 …………空気が読めないにも程がある。

 

 そんな”ていたらく”をさらした一夏が、直後に現れた担任教師、織斑千冬 ―――――――――― 一夏の実の姉であり、IS業界どころか一般人でも知らぬ者はいないほどの有名人、公式試合の戦歴は無敗、ISの世界大会初代総合優勝者で『ブリュンヒルデ』の異名を持つ、誰もが認める世界最強の女性 ―――――――――― からIS学園の名物になりつつある『出席簿アタック』を入学早々頂戴するハメになったのも当然と言えよう。

 

 その後、姉の登場になぜか「げぇっ、関羽!?」と中国の武将の名前を挙げもう一発、担任教師に対して「千冬姉」とプライベートの呼び方をしてさらに一発と、最初の一発と合わせて計3発ももらったのは余談である。

 

 

 

 

 

【来栖淳の場合】

 

 一年二組の教室。

 

 織斑一夏とは違い、廊下側の最後尾の座を割り当てられた来栖淳は、重ねて織斑一夏とは違い、クラスメイトからのプレッシャーをほとんど感じていなかった。

 

 なぜなら、

 

「へぇ、ジュリアはイタリアのベ、ベ、」

「ベローナ。『ロミオとジュリエット』の舞台になった愛の街よ」

「あ、愛!? ま、まぁそのベローナで、岸山さんは東京、中里さんは山梨なんだ」

「あ、でも東京って言っても住宅地で、ちゃんとしたお買い物ならバスか電車に乗らないといけないし」

「どのくらい?」

「えっと、10分とか20分とか」

「いいなぁ、さすが東京。うちはすっごい田舎でさ。大型スーパーができたのはいいんだけど、そのせいで地元の商店街が寂れちゃってさぁ。なんかギスギスしてんだよね」

「それは商店街のみんなを応援するべきよ」

「ジュリアさん、その心は」

「街は人が作るものだから。そこで生まれ育った人同士が助け合い、支え合って暮らすからこそ、そこに愛が生まれるのよ」

「また愛…………」

「そう、イタリア人は愛に生きるの。郷土愛、家族愛、友達への愛、そして…………恋人への愛」

「なっ!?」

「ちょっ、ストップストップ。ジュリア、入学早々なにやってんの」

「なにって見て分からない?」

「公共の場ではやめなさい」

「チエは意外と大胆ね」

「へ?」

「いきなり部屋に押し掛けろだなんて、日本の女子高生は積極的だわ」

「へ、部屋にっ」

「そ、そんなこと言ってないじゃんっ!!」

「じゃあ、どこでアピールしろと?」

「そ、それは…………」

「はいはい、三人ともとりあえずちょっと落ち着こうぜ」

「元はと言えば、あんたが原因でしょうがっ!!」

「俺のせいかよっ!?」

 

 会話からも分かる通り、周りの席の生徒と早々に打ち解けていたからだ。

 

 淳の、こんな状況にも物怖じせずに会話に華を咲かせることができるコミュニケーション能力の高さは特筆すべきことだろう。

 

 ただし、

 

「知名度の低いことで逆に有名な埼玉県出身の来栖淳といいます。ちなみに6月22日生まれの蟹座で、血液型はAB型です。身長はまだまだ伸び盛りの168㎝で、体重知りたい人は後でこっそり聞きに来てください」

 

 女子の前で体重ネタを振るデリカシーのなさは残念と言わざるを得ない。

 

 確認するまでもないことだが一応、このネタが盛大にすべったことを付け加えておく。

 

 

 

 

 

【明智博光の場合】

 

 一年三組の教室、明智博光の座席は窓際の最後尾。

 

「(気になるのも分かるが、いっそのこと話しかけてはくれないだろうか)」

 

 胸の内でため息をこぼした博光は眼鏡の位置を直し、視線を窓の外に逃がす。

 

 教室の状況は織斑一夏とそう変わらないが、博光の席が一番後ろということが幸いして、チラチラと盗み見られる程度で収まっている。

 

 ところで博光は既に専用機を所持しているが、その待機状態は眼鏡。

 

 ただしISの待機アクセサリーということ以外にも、ただの眼鏡ではない。

 

 無駄機能と言うなかれ、なんと眼鏡であればどんな形状にも変化可能という優れものなのだ。

 

 そんな本日の眼鏡はリムレスで無駄な装飾のない細いストレートテンプル黒、分かり易く言うとフチなし眼鏡でツルはシンプルに色は基本の黒。

 

 第一印象の9割は見た目で決まるという定説に従い、初日は変な遊び心は出さずに真面目に見えるチョイスをしている。

 

 さておき、例によって例のごとく、HRでは定番の自己紹介が行われているわけだが、

 

「さてと最後はみんなのお待ちかねの明智君ね。時間は気にしなくていいから存分に話しちゃってちょうだい」

「…………はい」

 

 担任が遅れているため進行を務めている副担任の教師によって無駄にハードルを上げられた博光の番が回ってきた。

 

 立ち上がった博光に刺さる29名の女生徒の容赦のない好奇の視線と、副担任のこちらを面白がる意地の悪い笑み。

 

 感情の起伏にとぼしい博光もさすがに面食らうが、眼鏡の位置を直す動作で違和感なく視線を一度外し、精神を立て直した所で低めの声質に合ったややゆっくりした落ち着いた口調を意識して自己紹介を始める。

 

「名前で自己紹介するより三番目の男といった方がみんなには通りが良いかもしれないが、明智博光だ。他の二人はみんなと同い年の様だが、俺は本来ならこの春から大学に通うはずだった18歳と、みんなより3つ上になる。女の園に男3人だけ、加えて最上級生でも年下というこの状況は実はかなり気まずい。もちろん年上の異性という事でみんなも扱いづらいとは思うが、できれば仲良くして行きたいと思っている。ただ男が苦手な子もいると思うとつい二の足を踏んでしまい、こちらから積極的にとはなかなかいかないため声をかけてもらえると助かる。男が入学している時点で説明はいらないとは思うが、一応男がISを動かせる事に未だ半信半疑な子もいるかもしれないため少し自分の情報を開示しておくが、俺のIS適性値はA。親が勤めている関係から水無月科学技術研究所のテストパイロットをさせてもらっていて、データ収集と自衛のために専用機を任されている。専用機の搭乗時間は300時間ほどだが、その前の訓練を合わせれば累計のIS搭乗時間は600時間を越える。これは世間に公表された順番と実際に動かした時期の差から来る食い違いだが、俺がISを動かせる事が判明したのは去年の4月で、この一年でみっちり叩き込まれたからと、まぁそんな所だ。世界情勢、ISを取り巻く環境から自分の立場が今後どうなるかは不透明で正直不安ではあるが、腐っていても仕方がないので目標は大きく国家代表、モンドグロッソ機動部門優勝と大きく出ておこうと思う。男がいる事で色々問題が出るかもしれないが、これから一年よろしく頼む。あぁ最後に、女性のエスコートは不得手ではないが、今のところ将来を約束した相手はいない。女性の好みは対局的だが落ち着いた眼鏡の似合う女性か、暗い気持ちも笑顔で吹き飛ばす様な元気な子が好みだ」

 

 …………この男、見た目に反してよくしゃべる。

 

 言い終わった直後、シンと静まり返った教室だが、すぐに割れんばかりの黄色い歓声に埋め尽くされ、そこここに明るい笑顔が咲き乱れた。

 

 

 

 

 

【授業中、廊下にて】

 

 ふぉっふぉっふぉっ、自己紹介ひとつ取っても意外と個性が出るもんじゃのぉ。

 

 お前さんとしては誰が印象的じゃったかな。

 

 ん、おぉ、確かに明智少年はようしゃべっておったのぉ。

 

 儂はもう一年ほど少年を見てきておるから何のことはないが、初めてでは面食らうじゃろぉ。

 

 普段は物静かな少年じゃがな、別に愛想が悪かったり話すのが苦手ということはないんじゃ。

 

 ゛国家ぷろじぇくと゛になる宇宙開発に携わることを目標に頑張ってきた少年じゃからな、゛こみゅにけぇしょん゛や゛ちぃむわぁく゛の必要性は十分に理解して実践しておる。

 

 それにこの一年で相当仕込まれたからのぉ、女性の扱いも゛ばっちり゛じゃ。

 

 儂が気になったのはお前さんと交換する形になるが織斑少年じゃな。

 

 姉に叩かれたことで有耶無耶になったようじゃが、彼はそもそも空気を読む気も、それに応える気も微塵もないようじゃった。

 

 確か『中二病』と言うんじゃったか、「周りの顔色なんて気にしないぜ」とか「俺は俺の価値観にのみ従う」とか、そういうのを格好良いと思ってしまう年頃ではあるが、こじらせないか心配じゃ。

 

 あれではただの゛けぇわい野郎゛じゃからな。

 

 しかも、そんな゛ぽぉず゛をしとっても直後に姉に尻尾を丸めてみせる辺り゛ヘたれ゛た内面が透けて見えてしまっておるしのぉ。

 

 よく『男は加点方、女は減点方』と言われるが、女性はそういうのに敏感で、なおかつ情け容赦ないぞ。

 

 ゛てれび゛の中の゛あいどる゛扱いしとっても、実際に恋人として付き合えるかと聞かれれば「でも、あれはないよね」と平気で手の平を返すのが女性というものじゃ。

 

 まぁ男で゛あいえす゛を動かせるという゛すていたす゛で全て゛ちゃら゛かもしれんがのぉ。

 

 いや、織斑少年の場合は『織斑千冬の妹になれる』という理由の方が強かったりするかもしれんな。

 

 ん、来栖少年か、彼の話は゛おち゛にはもってこいじゃな。

 

 何と言っても女子に囲まれた状況で゛体重ねた゛を披露する強者じゃからのぉ。

 

 せっかく゛こみゅにけぇしょん能力゛はずば抜けて高いというのに残念なことじゃ。

 

 ゛でりかしぃ゛のなさは、ここでは致命傷になりかねんからのぉ、早く身に付くことを祈るばかりじゃわい。

 

 さて、そろそろまた別行動じゃ。

 

 次は夕食の後にでも合流するかの。

 




こんな感じにたまに語り部さんが出て来ますが、基本は3人の男性操縦者を切り替えながら三人称視点で書かれていきます。
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