とりあえずタイムテーブルはこんな感じに変わります。
始業から終業 08:30~15:25 → 07:50~15:00
昼休み 45分 → 60分
授業科目は本文でどうぞ。
【来栖淳の場合】
IS学園は入学式当日から早々に通常授業が始まるが、そこはISについて学ぶ世界で唯一の専門教育機関だけあって、その授業内容は普通の高校で教えるものとはかなりの点で異なっている。
例えば語学科目の『国語』と『英語』。
IS業界での共通言語である日本語と一般的な世界共通言語である英語を学ぶことによって円滑なコミュニケーションを行えるようになることを目的としているため、授業は会話がメインとなっている。
例えば理系科目の『数学』『物理』。
IS学園では二年生の進級時に操縦科と整備科のどちらかを選択することになるのだが、その時点で基本的なことは一通りできるようになっておくために、最低でも専門職に進まない理系の大学卒業生に相当する知識を修めておく必要があり、そのために入学時点で高校の範囲は既に学習済みとして、授業は最初から大学レベルでスタートする。
例えば『社会』。
ISを取り巻く世界情勢の理解を深めるために、人種問題や宗教問題、紛争や戦争といったものから各国内や国家間の対立や軋轢、駆け引きの経緯を中心に学ぶ。
その他にも『情報』の授業ではプログラミングや設計、『保健』の授業では自己管理のためのスポーツ医学、将来的な話になるが国家代表ともなれば社交の場に招待されることもあるため『礼法』を学び、その際に恥をかかないように美術と音楽を『教養』として学ぶ。
『選択』の授業は進級時の学科分けに先行する形で武術と技術の分野から選び、『武術』では捕縛術や剣道、射撃の基礎を学び、『技術』では実際に部品作りや組み立てを体験する。
目玉である『IS』の授業を除けば、残るカリキュラムは『体育』と『家庭科』なのだが、『家庭科』がわざわざ科目として組み込まれている理由には切実なる背景が存在する。
パイロットだけでなく整備士も動かせた方が何かと便利という理由からIS業界は女性比率が高いが、女尊男非の象徴でもあるISに携わる女性は一般男性から敬遠されがちなこともあって、結果として独身率が高くなってしまっているという現状があり、どんなに世の中が変わっても、いや、むしろ変わってしまったからこそ男性はより家庭的な女性を求めるようになり、どんなにお高くとまってはいても、こと恋愛や結婚といった場合、相手に気に入られなければ意味がないため、背に腹は代えられないと花嫁修業の一環として家庭科の授業が取り入れられているという悲しくも厳しい現実があるのだ。
最後の話は余談として、このようにIS学園のカリキュラムは日本国の定める高等学校学習指導要領とは一線を画す内容となっている。
そうなると当然中学校で学ぶ範囲だけでは予備知識が足らないため、IS学園を志望する学生は幼少期より独自に学外で学習しているのが常であるのだが、しかし今年の新入生の中にはIS学園への入学など想像すらしていなかった者たちがいる。
そう、男性操縦者たる織斑一夏、来栖淳、明智博光の三人だ。
そのうちの二人、織斑一夏と来栖淳には鈍器と見紛うほど分厚い参考書が送りつけられ、他の生徒が何年もかけて積み上げてきた知識をわずか一ヶ月で覚えろと無茶にもほどがある仕打ちが課せられたわけだが、その苦労を現時点で知っているのは来栖淳だけである。
片割れの織斑一夏は…………後で泣きを見るだけなので、ここでは触れないでおく。
もう一人の男性操縦者、明智博光については、彼が18歳でそもそも勉強が進んでいたこともあるが、ISを避けては通れない宇宙関連の研究職を目指していたために、クラスの女子と比べても遜色ない学習を幼少期より積み重ねてきており、加えてこの一年で詰め込まれた実践的な知識によって操縦技術はもちろんのこと、知識の面でも特定分野に限るがアドバンテージを得ている。
そういった経緯があって、受験シーズンも終わって地元の友人たちが羽目を外しているのをしり目に、二番目の男性操縦者として早々に要人警護の名目で隔離された来栖淳は、ホテルの一室で軟禁状態のまま家庭教師とマンツーマンで虚しくも過密なひと月を過ごしてきていた。
そんな淳は、女の園に投げ込まれた哀れな子羊となる同士二人と早々にコンタクトを取るべく、ランチを共にしようと休み時間にアポイントメントを取り付けに行く。
二限目、臨時のホームルーム後の休み時間。
向かうは一年三組の教室。
廊下側の窓から教室の中を窺うと、対角線上の最奥にいる目的の人物と偶然にも目が合った。
軽く会釈した後、ハンドサインで教室後方の扉を指差すと、すぐにこちらの意をくんで立ち上がったのを見て、淳も歩を進める。
休み時間は10分しかないため移動してゆっくり話している余裕はなく、かと言って扉の前では邪魔になってしまうので、廊下の窓側に寄る。
「えっと、初めまして、二組の来栖淳です。なんか呼び出すみたいな形になっちゃってすみません」
「いや、こちらから行く手間が省けた。明智博光だ。よろしく」
「あ、よ、よろしくお願いします」
本来なら高校一年生と大学一年生という年齢差に加え、およそ10cmの身長差に制服越しにも分かる鍛えられた体格の違い。
何より纏う雰囲気が子供と大人ほども違っている。
そんな見るからに年上という相手から握手を求められたことで動揺した淳だが、生来の明るさと軽さですぐに立て直してみせる。
「昼飯誘いに来たんですけど、どうっすか」
「大歓迎だ。織斑には」
「次の休み時間に声かけに行きます」
「そうか。先に食堂に着いた奴が席を確保しておくのでいいか」
「了解っす」
無事話がまとまった所で二人はお互いの背後、自分たちを遠巻きに取り囲む野次馬の群れに視線を移すと、揃って苦笑を浮かべる。
「何か有名人になった気分っすね」
「物珍しさが先に立ってる辺り、どちらかと言うと希少動物扱いじゃないか」
「つまり俺たちは上野動物園のパンダだと」
「分かり易い例えだな」
「笹でも食べますか」
「とりあえず手でも振って愛嬌を振り撒いたらいいんじゃないか」
「それもそうっすね」
見るからにノリの良い淳と、空気の読める明智がギャラリーに向けて手を振ると黄色い歓声がわいた。
次いで三時限目、詰め込み型の勉強ではどうにもならなかった英会話をカタカナ発音で乗り切った後の休み時間。
明智に告げた通り、もう一人の男性操縦者、織斑一夏をランチに誘うべく一年一組の教室に向かった淳だったが、こちらの結果はかんばしくなかった。
なぜなら、
「まぁ! なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
金髪縦巻きロールの絵に描いたようなお嬢様が、見た目を裏切らない芝居がかった高飛車な態度で目的の人物に絡んでいたからだ。
わざわざ自分から地雷を踏みに行く変態的な趣味は淳にはないため、織斑に気持ちの上で手を合わせ、そっときびすを返したのだった。
【明智博光の場合】
休み時間に来栖淳から食堂に誘われていたため、ランチは男同士気の置けないものになりそうだと、博光の食堂へ向かう足取りも心なしか軽く感じられる。
女性は苦手ではないが、さすがに1対多数で常に気を遣っているのも疲れるようだ。
生徒の利用する食堂は、朝夕は学年によって分かれている各学生寮のものを使い、昼は校舎に隣接する巨大フードコートのようなものを使う。
食堂は食券制、全校生徒300名を超す大所帯の大半が限られた時間の中で食堂に詰めかけるわけだが、受取口では10秒待たずに出てくるという早業のため列の動きは驚くほどスムーズで並んでいてもストレスを感じる事は少ない。
生徒は知る由もないが、生徒が券売機で食券を買った時点でオーダーが入り、過去にその料理を提供した際に注文された食数からある程度の見積もりが出されていて、温蔵庫や湯煎、料理工程を分けるなどの工夫を凝らし、作業をシステマチックに簡易化する事で提供スピードを可能な限り上げているのだ。
初日のストレス、できれば消化の良い物、しかしボリュームも捨てがたい、という事で『肉うどん』を選択した博光がトレーを持って目的の人物を探すべく辺りを見渡せば、「お~~い、明智さん、こっちこっち」という喧騒の中においてひときわ大きな声が耳に届く。
その声に視線を向ければ窓際のボックス席で立ち上がって手を振る来栖。
否応なく注目を集める立場だというのに、わざわざ自分から目立つ行動を取る来栖に「迂闊だな」と博光は胸中でこぼすが、しかし孤立無援の中で味方の見つけた安堵も、探す手間が省けたのも事実なので、今回は不問にする事にして近付く。
「すまない。待たせた」
「いえ、俺も今来たとこですからって、何かアレっぽい会話ですね」
「個人の趣味を否定する気はないが、俺はノーマルだから期待するなら織斑にしてくれ」
「いやいやいやいやいや、俺もノーマルですって。女子サイコー」
「こんな場所で女好きを公言するとは凄いな。俺には真似できない」
「どうしろって言うんすかっ!!」
来栖が吠えた所でツカミは終わったと、二人とも緊張を解いた素の笑みを浮かべる。
「もっと固い人かと思ってましたけど、明智さんって意外と話せる人みたいで安心しました」
「よく言われる」
「あ、やっぱり」
「まぁ騒ぐのが苦手なのは確かだがな」
「明智さんって何て言うか雰囲気が委員長タイプですよね。クラス代表とか選ばれたんじゃないですか」
「あぁ」
「推薦ですか」
「いや、立候補だ」
「おぉっ!! 男らしいっすね」
「という事は、来栖は押し付けられた口か」
「あ、分かります? せっかく男がいるんだがら担がなきゃって満場一致でした」
「気持ちは分からなくもないが」
「ま、そうっすね」
わずか半日で自分たちが今後どういう風に扱われるか正しく理解した二人は共に苦笑を浮かべる。
博光は自分の夢を叶えるために、今のこの状況を自身の価値を高めることに利用する気でいるため、むしろこの風潮は歓迎すべき事態だが、意外な事に来栖もまた「仕方がない」「面倒くさい」という素振りを見せてはいても、その実「満更でもない」と喜びの色が見え隠れしている。
「そういえば織斑は遅いな」
「あぁ、えっと、教室まで行くには行ったんですけど、何かちょっと取り込み中だったみたいで」
「と言うと」
「金髪ドリルに絡まれてました」
「…………あぁ」
「あれ、もしかして明智さんの知り合いだったりします?」
「いや、俺が一方的に知ってるだけだ。そういう来栖も入学式で見てるはずだが」
「へ?」
「新入生代表の挨拶で壇上に上がっていた入試主席合格のイギリス代表候補生セシリア・オルコット。特徴的な髪型だ。多分本人だろう」
「あ、あはは、そういえばそうだったような」
「居眠りでもしてたのか?」
「隣りの女子たちと駄弁ってて完璧スルーしてました」
「やはり女好きか」
「ちょ、誤解ですって。男は3人しかいないし、空気読まずに何か別のクラスだし、他に仲良くしようと思ったら女子しかいないじゃないっすか。不可抗力ですよ」
「必死だな」
「誰のせいですかっ!!」
来栖のテンポの良いリアクションに博光が笑えば、釣られて来栖も笑みをこぼす。
女子校に男子3人だけというシンパシーも手伝って、急速に打ち解ける2人。
これは来栖のイジられ易さ、年上にも萎縮しない社交性の高さによる所も大きい。
「そうそう、クラスの女子たちが噂してるの聞いたんですけど、明智さんって企業のテストパイロットで専用機持ちなんですよね」
「あぁ」
「もう既に搭乗時間が何百時間だとかって」
「専用機で300時間、その前を合わせれば600時間」
「マジっすか。スゲーっすね」
「いや、数字だけ聞くと大きく感じるかもしれないが、1日2時間の訓練で年間700時間を超える事を考えれば100時間も短い事になる。努力する時間とISに乗れる環境さえ許せば、そんなに難しい数字じゃないさ」
「はぁ、そんなもんですか」
ISコアは世界に467個しかなく、実質的に国家防衛の要でありながらアメリカの様な大国でも所有数は20に届かないと言う現状において、その一つを個人が専有できるというのは正しく特別扱いであり、望外の幸運と言っても過言ではない。
「それよりも内容が問題だな。俺の場合は速やかに自衛の手段を得る必要があると考えられたから、とりあえず知識は後回しにして身体で覚えさせられたよ。最初の3ヶ月は体力作りに生身での格闘と射撃の訓練、ISも毎日3時間は乗ってたな。日に何度も気絶するのが当たり前だった」
「マ、マジっすか…………」
「ISの操縦者はなぜか美人ばかりだろ。それが返ってアダになってな。綺麗であればあるほど天使の微笑みが、より壮絶な悪魔の冷笑に見えるんだ。今では感謝も尊敬もしているし、優しい所も可愛い所も知っているが、当時は恐怖と殺意しか感じられなかったな。ま、過ぎてしまえば良い思い出だよ」
「そう言える明智さんが凄いっす」
「他人事じゃないぞ。来栖もいざという時のために、生身でも自分の身くらいは守れる様に鍛えておいた方がいい。学園に引きこもっているならある程度は平穏に過ごせるだろうが、街に出るなら注意が必要だ」
「うっ、やっぱりそう思います?」
「当然だな」
「…………精進します」
博光たち男性IS操縦者はヒステリックな女尊男非主義者に敵視されているため、学園の外に出るなら突発的に襲われる事も考慮しておかなければならない。
服の下に防刃・防弾素材のISスーツを着込んだとしても頭部まではガードできず、そうでなくとも駅のホームから突き落とされたり、車に突っ込まれればひとたまりもない。
事前に「どのような状況に危険が潜んでいるのか」テロ対策の訓練を受けておくに越したことはないのだ。
余談だが、ISを至上とする女尊男非主義者にとってブリュンヒルデこと織斑千冬は神にも等しい存在のため、その弟である織斑一夏はこの手のターゲットから外される傾向にある。
この様な素人の凶行も怖いが、組織だった誘拐の危険も忘れてはいけない。
「男がISを動かせるメカニズムを解明するために人体実験を」という発想は非人道的だが誰しもが考え付く事でもあり、人権という枷がある以上、国が大手を振って手を染める事はないが、裏でも何もしないと考えるのは楽観に過ぎる。
余談の続きだが、実はこの手の場合も織斑一夏はターゲットになりにくい。
なぜなら世界最強のISパイロットである織斑千冬と、世界最高の頭脳である天才にして天災の篠ノ之束が背後にいるからだ。
もし犯行が発覚すれば、報復行為で冗談ではなく本気で国が亡ぶ。
では「男性IS操縦者の中で織斑一夏だけは安全なのか」と問われれば答えは否だ。
3人の中で織斑一夏だけがターゲットになりうる条件が存在する。
それは「篠ノ之束を誘き出す餌」として用いられるケースだ。
篠ノ之博士が身内と認める人間以外に興味を示さないのは周知の事実だが、生身でもIS用ブレードを振れる織斑千冬を諦めるのなら、他の候補は妹の篠ノ之箒とお気に入りの織斑一夏しか対象がいない。
ただ、ネットワーク上で敵なしの篠ノ之博士と敵対する事はあまりにもリスクが勝ち過ぎるため、結果的に織斑一夏が狙われる可能性は低いと言える。
白騎士事件の際にハッキングされた2000発を超えるミサイルのような分かり易い直接的な脅威ももちろん恐ろしいが、ガス、水道、電気、通信、交通などのライフラインを始めとする社会生活を支えるコンピュータの制御を混乱させられる危険に思い至れば、篠ノ之博士に手を出すべきではない事は誰の眼から見ても明らかだろう。
ひるがえって、もし篠ノ之博士に手を出すつもりなら、ネットワークの脅威にさらされない本拠地を得るか、そもそも本拠地を必要としない組織作りをするくらいの周到さが必要だと考えられる。
さておき、以上の事から博光と来栖には外出の際、命の危険が十分に考えられるわけだが、今のところ専用機の有無と個人の能力の差によって、その危険度は来栖の方が圧倒的に高いと言わざるを得ない。
ある夢の実現のために自身の価値を少しでも高めたい博光にとって来栖淳と織斑一夏という存在は、これから常に周りから比べられる最も身近な競争者であると同時に、心情的には世界に3人しかいない同じ境遇のかけがえのない同士であり、打算的な事を考えれば将来的に強力なコネクションになる可能性が高い相手でもある。
競争者については自身が努力すればいいだけの話であるため、博光としては同性として、また年長者としてフレンドリーに接する事を心掛けるだけであり、問題があれば先程の様に忠告し、頼まれれば手助けするのもやぶさかではないというのが基本的な行動指針となっている。
「俺は自衛のために国から銃の携帯を特例として認められているが、来栖はそういう話はされていないのか」
「いや、初耳です――――――――――って、明智さん銃持ってるんすかっ!?」
「ベレッタ92FSの Vertec Inox モデル。映画でもよく登場するアメリカ軍が正式採用している拳銃、通称『M9』を小型化、素材をステンレスにする事によって軽量化しつつも強度を上げたモデルだ。口径は9mm、弾数は15発。ISに対しては豆鉄砲だが人間相手ならこれで十分。初心者にも優しい反動が小さくて取り回しの便利な銃だな。ちなみに普段は盗難防止と持ち運びの利便性からISの拡張領域に入れて保管してある。展開速度は実際の早抜き早撃ちと遜色ないレベルまで仕上げてあるが、イメージを固めるために実物を抜く動作が必要なのは今後の課題だな」
「何て言うか、改めて自分がヤバい世界に首突っ込んだんだなって実感しました」
「俺も一年前まではその辺にいる一般人だったよ。思えば遠くに来たものだ」
「笑えないっすね」
「全くだ」
女の園である女子校、それもタイプは様々だが、なぜかアイドル並みの容姿を持つ女子しかいないIS学園に入学する事になった、これまたなぜかイケメンばかりの男子3人に対して、ネット掲示板などでは世の男たちからの羨望やら嫉妬やらの声が日々燃え上がっているが、当事者たちにしてみれば実際問題それ所ではないのが実情だ。
一歩でも学園の敷地から外に出てしまえば命を狙われる危険がある状況を考えれば、囲い込みや遺伝子情報を狙ったハニートラップなど可愛いものと言える。
もちろん外出の際には護衛が陰ながら付くことになっているが、世の中に100%は存在しないため、出来る手段は講じておくに越したことはない。
「あぁ~~~~、とりあえず何から手を付けたらいいと思います?」
「そうだな。朝食前に体力作りでランニング、放課後に射撃と近接戦闘用にCQCか捕縛術の訓練、夕食後に危機に対するシミュレーションの座学といった所が妥当だとは思うが、とりあえず2組の担任と副担任に相談してみる事だな。もしかしたら学園にはそういったカリキュラムが用意されているかもしれない」
「そう、すね。こちとら学生なんですからまずは教師に頼るのが筋ってもんですよね」
「あぁ、何かあれば言ってくれ。力になる」
「明智さん…………ありがとうございます。兄貴って呼んでいいですか」
「却下だ」
「つれないっすね。男のツンデレは…………ここでは需要ありそうですね」
「諦めてはいるが、自分の薄い本など考えたくもない」
「それには激しく同意っす」
「それに男にデレる趣味はない」
「おっ、その言い方だと女子にはデレるって事ですか」
「女性に甘いのは男の性(さが)だろ」
「くぅぅぅ、何か大人の余裕って感じっすね」
「ま、この話はここまでにしておこう。食事する場所でする話でもないし、何よりそろそろ時間だ」
シリアスになりかけた空気をぶち壊す来栖に、そこが彼の良い所なんだろうと好意的に受け取る博光だった。
「そういえば織斑一夏、来ませんでしたね」
「食事くらい落ち着いた所で取りたかったんじゃないか」
「確かに全校生徒相手に1人でこの食堂に来るのは難易度高いっすね」
「とりあえず顔見せに放課後1組の教室に行ってみるか」
「そうっすね。お供します」
こうして初めての会食はお互いに好印象のうちに終わった。
ちなみに一夏は購買で買ったオニギリを箒と屋上で食べてます。